goo blog サービス終了のお知らせ 
goo

川越唐桟

私がここ数年、是非手に入れたいと焦がれていたものの一つが「川越唐桟のきもの」です。
「唐桟」というのは、きもの好きのかたには馴染みがあると思います、ようするに縞模様の木綿です。
安土桃山~江戸時代、オランダ船によって日本にもたらされたインドの織物で、当時は大変に珍しく高価なものでした。

(以前ご紹介した紙入れの蓋裏に使われていたのがこの渡来物の唐桟です)

産業革命以後、質の良い細い木綿糸が欧米から輸入されるようになり、その糸を使って日本の各地で唐桟が織られるようになりました。
私の故郷の川越も、そんな産地の一つです。
川越唐桟の特徴は、とても細い縦糸を二本ずつ通す「双子織」。江戸時代末に天保の改革で贅沢な絹織物が禁止された中、絹のようなしなやかな手触りをもつ、江戸好みのいきな縞の川越唐桟は、「かわとう」と呼ばれて大変な人気だったそうです。
さて、この川越唐桟ですが、明治~大正時代に機械化の遅れや安い類似品が出回った事から衰退してしまったのを、昭和五十年代に市民の愛好会のかたが手織り、入間の西村夫妻が力織機でを研究・復活させました。現在流通している川越唐桟の多くは、西村織物の機械織です。ところが後継者が居ないままご高齢になり、西村織物は操業停止。いつまで在庫がもつか解らない状態だということで、なるべく早く手に入れなくては、と思っておりました。
西村織物の反物は、川越の蔵造りの街並みにある「呉服・笠間」と「かんだ
という2店舗で取り扱っています。ネット通販もありますが、実物を見て選びたいので、12月に川越で展示会を開催した折に、呉服・笠間さんへ行きました。

機械織はさほど高価ではなく、単糸で一反1万円ほど。
あらかじめネットで予備知識を得ていたので、双子の草木染も見せて頂きました。
草木染はもう在庫が本当に少なくて、出して下さったのは鰹縞。「紺をベースに他の色も使った、いかにも唐桟らしい縞が欲しい」と私の希望を伝えると、「一反だけ残っている」と出して下さいました。

この画像の右です。藍染の濃淡にマリーゴールド染の金茶の筋。これは私の希望通り!(どちらかというと男性向き、笠間の若旦那も同じものをお持ちだとか。)ちなみに左は昔パッチワーク用に買った他所の単糸織りの唐桟、一見似たようなものですが、これだけ拡大すると糸の細さがまるで違います。手触りはもっと違います! 本当にしなやかで絹のよう。今を逃すと二度と手に入らないかもしれない、と思い、これに決めてお仕立てもお願いしました。

きものは袷、単衣、薄物・・・合わせるとざっと思い浮かぶだけで既に30枚以上はありますが、私用にと誂えてもらったのは付け下げ1枚だけ。あとは全て伯母や母のお下がりでやりくりしているのだし、普段の洋服や化粧品には全くお金を掛けていないのだから、たまには贅沢しても良いよね~この色柄なら一生大切に着られそうだし。
考えてみれば、自分のおサイフで自分で反物から選んでお誂え、も生まれて初めての経験なのでした。それが故郷の織物で木綿のきもの、というのはいかにも私らしく身の丈に合った良い選択のように思えます。
そしてお正月明け、仕立てあがって手元に届きました。単衣なので、ゴールデンウィークが明けた頃に下ろしましょう。
今からわくわく、楽しみです。そして来年は父ちゃん用に誂えたいな~。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
« 2010 初釜 眼鏡 »
 
コメント(10/1 コメント投稿終了予定)
 
 
 
いい生地ですね (海ちゃん)
2010-02-02 18:48:30
着物の事は何も知らずに、手作りして来ましたが
色々な着物を解いていく内に色んな生地があるんだな
としらされます。古着を戴いた中に大島の端切れがあり、それで日記帖を作ったことがありました。やはり
きめの細かい生地はいいですね。新しい畳を撫でているみたいでした。ブログ楽しみにしています。少しは着物の事も知らないと手作りしている意味がありませんから。  ありがとうございました。
 
 
 
海 さま (ふちこま)
2010-02-03 23:31:02
コメントをありがとう御座います。
私はガラスと出会う前は、パッチワークなど布を扱う趣味を楽しんでいました。
古い着物地は、良い物が多いですね。
大島紬はきめ細かく、光沢のある美しい布ですね。
海さん、「思い出の布で豆本を作ります」というのもお仕事にして下さると、
喜ぶかたが大勢いらっしゃるかもしれませんよ!

こちらこそありがとう御座いました。
またお立ち寄り下さいませ。
 
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。