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誰も知らない認知症;脳のはたらき(知的機能)からみた老人性認知症の予防と介護

老人性認知症の確実な予防方法と認知症高齢者の適切な介護方法をシリーズで解説します。

97 再び冬眠します

2021-01-11 04:25:19 | 日記
 「キンチョーの夏」 今年 コロナで 「キンチョーの冬」

   お正月疲れ ・・・ と ・・・ コロナ疲れ ・・・

     ・・・ ・・ 再び冬眠します ・・・・・




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   職場では 遊び 家では 仕事する
    (注;「職場では遊び」とは「楽しく仕事をする」ことです)
   パワハラと セクハラ恐れ ハラハラす
   スタッフの よいとこどりが 仕事です
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96 たくましく生きる(5)

2021-01-06 03:46:30 | 日記
 コロナ禍のピーク(ではないかも知れません・・・)で迎えた2021年のお正月、「介護老人保健施設とかち」の近隣の老人保健施設や病院でも大規模なクラスターが発生しています。そして、「明日は我が身」と覚悟しながらも、何とか「たくましく生きる」ことのできる施設づくりを目指していこうと思っています。

  ・・・ ストレスは(コロナ禍の) 施設づくりの 栄養素 ・・・


  〔 介護老人保健施設とかち ( https://www.zhi.or.jp/t/ )〕

 新型コロナに振り回されている昨今、「無菌室」に入りたがっている人々や施設が多すぎるように感じています。小生の後輩(とは言っても、今は滋賀県庁の偉い役人さんですが)が今年の年賀状に「モノを怖がらなさすぎたり、怖がりすぎたりするのは優しいが、正当に怖がることはなかなか難しい」という寺田寅彦の名言を引用していました。そのとおりだと思います。

 今回の「たくましく生きる」の5回シリーズの最後は、誠に身勝手で申し訳ありませんが、コロナ禍のストレスを発散するために「人生哲郎のボヤキ」を呟いてみたいと思います。
 他人の愚痴やボヤキに付き合っている暇のない賢明な読者の皆様には、今回のブログはスルーして何か他のことをして下さるよう、予めお勧めしておきます。ちなみに「人生哲郎」は「人生幸郎」とは何の縁も所縁もありません。


 ※※※ 「人生哲郎」のボヤキ / 認知症 ※※※ 「人生幸朗」のパクリ?

 だいたいやね 専門家には「専門のことしか知らんバカ」と「専門のことも知らんバカ」の2種類しかおらん、ちゅうことは聞いとったけど、認知症の専門家ちゅうのは「専門のことも知らんバカ」ばっかりやないか!
 「ボケを防いだりボケた爺さん婆さんの世話をしっかりしようと思うんやったら、認知症の専門家の立派なセンセーの話をまともに聞いてたら何も役に立たん、屁みたいなもんや」、介護の仕事を頑張ってる正直者の孫娘が言うとったから、間違いないやろ。
 「認知症は病気です」というコマーシャル、わしらの税金たくさん使うてテレビで流すんやったら、しっかり「認知症」を治さんかい! 責任者は出てこい!

 (嫁)「あんたはアホか?」(哲郎)「アホちゃいまんねん、パーでんねん」(月亭八光)
   *** 五千円 アホちゃいまんねん、パーですねん *** (難解)
   *** パーでんねん 言えるあなたは ボケません ***
   *** そのとおり 〇〇は死ななきゃ 治らない ***

 だいたいやね こいつら「治すことはでけんけど、進むのは遅くできるんや」とええカッコつけて、効きもせん高い薬を何年も前からぎょうさん売ってきよった。薬の売り上げの金額では日本一になったらしいやんけ、センセーもクスリ屋さんもええ商売してはりまんなあ、たまらんわ!
 ボケが病気か歳のせいか、耄碌じじいのわしでも分かるわ。年寄りがボーとして何もせんかったら誰でもボケるんや、昔から決まっとる、そんなこともわからんのか!

 だいたいやね 認知症の偉い学者さんもそうやで、「アルツハイマーになった爺さん婆さんの脳ミソにはアミロイドβとやらが貯まって脳がイカレてしまう」とか、「海馬っちゅうとこがどんどん縮んでいくんや、そやさかいボケはどんどん進んでいくんや」とか、「汗が飛び散るほどのコリン?・・・やったかな?・・・   そや、思い出した、アセチルコリンちゅうやつを薬でドンドン出すようにしたら、ボケはちょっとの間だけならようなりまんねん」とか、難しい理屈ばっかり並べやがって、そんな薬が効かんちゅうことがまだ分からんのか、ええオツムしてるくせに、ええ加減にせえよ、まだ懲りん(コリン)のかい!

 (入所者)「お前はバカか?」(とかちの介護職員)「私はアホです」
   *** お前はバカか 私はアホです 大笑い *** (迷演技?)
   *** 大笑い させる介護は 名演技 ***
   *** 大笑い できる入所者 人気者 ***

 だいたいやね・・・   いや、もうやめとくわ、血圧が上がるさかい。そやけど「誰も知らない認知症」ちゅう「何もおもろないブログ」を読んではる皆さんには、せっかくやから「目からウロコを早う落として欲しい」と思うてます。これホンマでっせ。ほな、さいなら。

 ※※※ 「人生哲郎」のボヤキ / 認知症 ※※※ でした。



 ともあれ、「介護老人保健施設とかち」も新型コロナの「第3波」「第4波」・・・に振り回されることになると覚悟していますが、「たくましく」「うまく」「よりよく」、何とか耐え忍んでいきたいと思っています。

  ・・・ 施設長(フチガミさん) 介護する人 介護(快護/支援)する ・・・
  ・・・ 事務長も(サトーさん) 介護する人 介護(快護/支援)する ・・・
  ・・・ 自衛隊(タケダさん) 介護する人 介護(快護/支援)する ・・・
      ( 施設管理の「タケダさん」は自衛隊出身の「最強コマンダー」です )
  ・・・ タカハシさん(介護師長) 老健とかちの 司令塔 ・・・
  ・・・ ヨコイさん(看護部長) 何とかできる すごい人 ・・・

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   今回の「たくましく生きる」をテーマに記述した5回シリーズの
  ブログの最後に、個人的なことで誠に恐縮ですが、
   香帆ちゃんが「たくましく」「うまく」「よりよく」育っていく
  ことを、心から願っています(哲爺からの遺言)。
   里奈さんと慧くんには、愚作を一句捧げます。末永くお幸せに。
    ・・・ 恋愛の 良いとこ取りを いつまでも ・・・
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95 たくましく生きる(4)

2021-01-05 09:19:42 | 日記
 前回のブログ「94 たくましく生きる(3)」では、「たくましく生きる」「うまく生きる」「よりよく生きる」の視点から「認知症高齢者の介護」について記述してきました。
  今回のブログでは、やはり「たくましく生きる」「うまく生きる」「よりよく生きる」の視点から「老人性認知症の予防」について記述していきたいと思います。

 老人性認知症の大多数は、「本人の自覚」や「周囲の支援」、そして何よりも「老人性認知症に関する正しい知識」があれば確実に予防することが可能です。「老人性認知症に関する正しい知識」とは、このブログ「誰も知らない認知症」で解説してきた「老人性認知症の本質的な病態」です。難しそうな言葉を避けて分かりやすく表現すれば、老人性認知症の大多数は「頭(脳)の寝たきり」である、ということです。

 老人性認知症の確実な予防に関する解説は、このブログ「誰も知らない認知症」で何度も繰り返し(くどいほど)記述してきました。興味や関心をもたれた方はこのブログのバックナンバーを閲覧していただければ幸いです。




 今回のブログでは「早期認知症高齢者」(早期認知症の状態になった高齢者)の「生き方」の実態と「脳リハビリ」を含めた周囲の適切な対応について記述していきたいと思います。

1) 「早期認知症」とは
 日本早期認知症学会では「早期認知症」とは「認知症の初期段階」であると定義しています。誰もが納得せざるを得ない尤もな定義です。しかしながら、「総論賛成」の定義を決定してから10年以上の歳月が経過していますが、最も大切な「各論」を議論できる学会として機能するには、まだ10年以上の歳月を要するのではないかと憂慮しています。ちなみに、「認知症予防専門士」を養成している日本認知症予防学会は、一言で言えば「学会のための学会」であり、評価するに値しません(ひどい表現かもしれませんが、決して批判でもなく、憂慮でもありません)。
 このブログ「誰も知らない認知症」では、下図に示すとおり「早期認知症」を簡明に定義するとともに、老人性認知症の早期発見のポイントを提示してきました。



2)「早期認知症高齢者」の心理的特性
 「早期認知症高齢者」(早期認知症の状態になった高齢者)つまり「小ボケ;初発期」から「中ボケ;境界期」の初期段階の状態になった高齢者の「生き方」を理解するためには、「早期認知症高齢者」にみられる心理状態に関する知識を整理しておくことが大切です。
 下図に示されるように、「早期認知症高齢者」にみられる心理状態は「攻撃的」「易怒的」「独善的」「衝動的」「猜疑的」「妄想的」などの「陽性心理」(陽性的な心理傾向)と「心気的」「依存的」「悲観的」「抑鬱的」「自閉的」「逃避的」などの「陰性心理」(陰性的な心理傾向)に整理することができると思われます。そして、脳のはたらき(知的機能)の司令塔である前頭葉のはたらき(統合機能/心的機能)が加齢とともに徐々に低下してくると「陽性心理」と「陰性心理」のコントロールに支障を来たす傾向がみられ、特に前頭葉機能が病的に低下した「早期認知症高齢者」においては、これらの「陽性心理」と「陰性心理」が多少なりとも病的な状態に陥る場合が少なくないことを知っておく必要があります。


3)「早期認知症高齢者」は「よりよく生きる」ことができるのか?
 「早期認知症高齢者」は、日常生活、特に社会生活や人間関係において「よりよく生きる」ことが困難になっています。それなりに「たくましく生きる」「うまく生きる」ことができたとしても、前頭葉機能が病的に低下しているために「意欲」や「自発性」などが乏しくなってきます。また、様々な不安や混乱を経験するごとに、プライドを含めた「自分らしさ」を頑なに守ろうとするためか「頑固」「我儘」「マイペース」になってしまう傾向が目立ってくるようです。さらに、当然のことながら「もの忘れ」や「うっかり」も病的なレベルに進んでくることから、「よりよく生きる」どころではなく、「より悪くならないように生きる」ために精一杯な状態になってしまうのでしょう。

4)「早期認知症高齢者」は「うまく生きる」ことができるのか?
 「早期認知症高齢者」は、慣れ親しんだ家庭生活や人間関係においてはそれなりに「うまく生きる」ことができますが、変化の多い社会生活や人間関係においては「うまく生きる」ことが困難になっています。特に「論理や計算、考え方などを大切にする人生を歩んできた理性派」(左脳タイプ)の早期認知症高齢者は「他人との関係」や「仲間との関係」「自分自身との関係」に支障を来たしやすく「攻撃的」「易怒的」などの陽性心理や「悲観的」「抑鬱的」などの陰性心理が目立ってくるようです。また、このような「理性派」(左脳タイプ)の早期認知症高齢者には自信過剰な傾向がみられ、前頭葉が担う注意分配機能の病的な低下に伴う自制心の低下、慎重さの欠落などにより自動車事故を起こしてしまうケースも増えてくるようです。

5)「早期認知症高齢者」は「たくましく生きる」ことができるのか?
 意外に思われるかも知れませんが、「早期認知症高齢者」は「たくましく生きる」ことが難しくなっています。実は、長年にわたり培ってきた「知恵」が「たくましく生きる」ことの邪魔をしてしまうのです(このブログでは「理性に基づいた知識」と「感性に基づいた経験」の協働を「知恵」と言い表しています)。特に「論理や計算、考え方などを大切にする人生を歩んできた理性派」(左脳タイプ)の早期認知症高齢者は、「適当に、いい加減に生きる」ことに抵抗を感じ、反発する傾向もみられるようです。「たくましく生きる」乳幼児のように無邪気で、気分次第で泣いたり笑ったりすることは「恥」だと感じ、「たくましく生きる」小学生に満ち溢れている「遊び心」もすっかり忘れてしまうようです。

6)老人性認知症の予防;「早期認知症高齢者」の「生き方」を支援する
 前述したように、「早期認知症高齢者」は周囲からの何らかの支援がなければ「よりよく生きる」ことや「うまく生きる」「たくましく生きる」ことが困難になっています。そして、このような状態が続き、さらに傷病による入院や兄弟や親友との別離などの悪化要因が加わると、いつの間にか「早期認知症」から「認知症」と呼ばれる状態に進んでしまうのです。
 周囲の誰かが(幸いにも)「老化」から「認知症」へと至る「脳のはたらき(知的機能)の変化」を理解していれば、「正常な老化現象」と「早期認知症」そして「老人性認知症」を簡便かつ的確に把握することが可能です。「周囲の誰か」が「認知症の専門医」や「医師」である必要は全くありません。大雑把に言えば、下記の A、B、C を知っていれば良いのです。

 A 「かなひろいテスト」が「合格」 ・・・・・・・・ ・「正常老化」
 B 「 今日の日付(年月日)を全て正しく言える」 ・・・ 「早期認知症」
 C  「今日の日付(年月日)のどれかが言えない」 ・・・ 「老人性認知症」


 老人性認知症の「早期発見」「早期対応」の実践を試みられる方は、「早期発見」は決して難しくはないけれど「早期対応」(脳リハビリ)はなかなか難しいことを実感されることと思います。今回のブログでは「脳リハビリ」に関する解説は割愛しますが、興味や関心をもたれた方はこのブログのバックナンバーを閲覧していただければ幸いです。

今回のブログ「95 たくましく生きる(4)」のポイントについては、下記の「認知症川柳」(愚作ですが)を参考にしていただければ幸いです。

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  長生きは 頑固・我儘 マイペース
  予防なら 脳のはたらき チェックする
  認知症 確かな予防は かなひろい
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94 たくましく生きる(3)

2021-01-04 04:13:13 | 日記
 認知症高齢者(世間一般に「認知症」と言われるような状態になったお年寄り)は、徐々に進行していく「老化現象」や様々な事情による「廃用性変化」によって「よりよく生きる」ことや「うまく生きる」ことができなくなり、その人なりの知識や経験などを頼りにしながら「たくましく生きる」高齢者です。

 脳のはたらき(知的機能)からみた認知症高齢者の介護(自立支援)を実践する際には、以下の記述する介護のポイントを十分に理解しておくことが大切です。

1) 認知症高齢者の姿は(室伏)
 認知症高齢者とは「どのような高齢者」であるのか、ということを言い表すことは介護の出発点です。室伏君士医師(国立病院機構菊池病院名誉院長)は「認知症高齢者の姿は、認知症という障害をもちながらも、その中で彼らなりに何とか一生懸命生きようと努力している姿、あるいはそれが出来なくて困惑している姿である」と述べています。



 脳のはたらき(知的機能)からみた認知症高齢者の介護の原点は、「認知症という症状」ではなく、室伏医師の言葉にある「認知症という障害」であることに他なりません。老人性認知症とは「知的機能の障害によって引き起こされた状態」であることを、是非とも再確認していただきたいと思います。

2)脳のはたらき(知的機能)の障害からみた認知症高齢者
 認知症高齢者のおかれている状態は、単なる記憶障害や認知機能の障害だけでは決して説明することはできません。前頭葉が担う統合機能や大脳辺縁系が担う情動機能を含めた知的機能全体を視野に入れておくことが大切です。
 そのような視点から、このブログ「誰も知らない認知症」では「認知症高齢者とは、自立した生活に必要な知的機能が障害されたために、記憶にない、理解できない、見当もつかないという不安、混乱、困惑、焦燥、恐怖の中で、安心、安全、安定、安住を求めながら、知的機能に残された過去を頼りにして、その時その場の日々を何とかやり過ごしている高齢者である」と言い表しています。



 敢えて説明を加えるならば、「自立した生活に必要な知的機能」とは前頭葉が担う統合機能(社会的知能)であり、「記憶にない、理解できない、見当もつかない」とは大脳後半部(左脳・右脳)が担う認知機能の障害を表現しています。また、「知的機能に残された過去」とは、人生において脳に刻まれた過去の記憶や、動物としての根源的な本能や習性(情動機能)を表現しています。

3)高齢期における脳のはたらき(知的機能)の老化と老人性認知症
 高齢期における脳のはたらき(知的機能)は、必ずしも「通常(正常)の老化現象」のレベルに留まるのではなく、「病的な老化現象」のレベルや、「認知症」のレベルへと低下していく場合が決して少なくありません。そして、「正常老化」から「認知症」に至る過程においては、まず「前頭葉が担う統合機能」が障害され、これに続いて「左脳が担う認知機能」が障害されていきます。この過程については、このブログ「誰も知らない認知症」において何度も繰り返し強調してきました。





 また、大多数の老人性認知症(老化廃用型認知症;金子)においては、知的機能の障害の進行に伴って、「小ボケ」(初発期)から「中ボケ」(境界期)、「大ボケ」(進行期;世間一般に言われている認知症)へと進行していきます。「小ボケ」(初発期)とは「左脳が担う認知機能は障害されていないが統合機能が障害されている段階」であり、「中ボケ」(境界期)とは「統合機能の障害に加えて左脳が担う認知機能も障害されている段階」です。
 認知症高齢者の介護に際しては、症状(日常生活能力の障害、様々な行動心理症状)の原因となっている「知」(認知機能)、「情」(情動機能)、「意」(統合機能)の状態を見極めることによって適切な介護方法を見出し、日常生活の介護(自立支援)や行動心理症状の軽減、消失を図ることが大切です。



4)認知症高齢者の介護;「うまく生きていただく」ための介護
 認知症高齢者に「うまく生きていただく」ための介護のポイント、すなわち左脳や右脳が担う「知」(認知機能)とその障害(認知障害)を理解して介護を実践していくための重要なポイントとして、以下の3項目(①~③)を提示しておきたいと思います。

 ① 言語性知能(論理的な認知)が徐々に低下していくことから、MMSを
   実施して残存機能(まだ出来ること)と欠落機能(出来なくなったこと)
   を把握する。
 ② 理性(論理的に考える知能)が障害されていくことから、認知症高齢者
   と会話する場合には逆効果や悪循環になるような論理的な説明や説得は
   避けるように留意する。
 ③ 性差や個人差はみられるものの、認知症高齢者においては感性(直感的
  に感じる知能)が保持されている場合が多いことから、認知症高齢者と
   接する際には表情や態度など、感性を重視した対応を心掛ける。

5)認知症高齢者の介護;「たくましく生きていただく」ための介護
 認知症高齢者に「たくましく生きていただく」ための介護のポイント、すなわち大脳辺縁系が担う「情」(情動機能)の特性を理解して認知症高齢者の介護を実践していくための重要なポイントとして、以下の3項目(④~⑥)を提示しておきたいと思います。

 ④ 認知症高齢者は不安や混乱のために危険や恐怖を感じやすいことから、
  「安心・安全」を感じられる心理状態を提供する。
 ⑤ 認知症高齢者は居住環境の変化、変動への適応が困難となることから、
  「安定・安住」を確保できる生活環境を提供する。
 ⑥ 体調の良否は「快・不快の情動」に大きく影響することから、体調の
   管理に配慮して快適な健康状態を提供する。

6)認知症高齢者の介護;「よりよく生きていただく」ための介護
 認知症高齢者に「よりよく生きていただく」ための介護のポイント、すなわち前頭葉が担う「意」とその障害を理解して介護を実践していくための重要なポイントとして、「注意分配に関わる機能」「心理状態に関わる機能」「性格や人格に関わる機能」の3つの機能に注目し、以下の3項目(⑦~⑨)を提示しておきたいと思います。

 ⑦ 認知症高齢者は注意力、特に注意分配機能の障害がみられることから、
   日常生活における様々な危険を回避するように十分配慮し、適切な助言
   や誘導を実施する。
 ⑧ 認知症高齢者は感情の調節が難しく、心理的に不安定になりやすいこと
   から、前頭葉機能の低下や障害に伴う心理的特性を理解し、様々な言動
  に対して受容的、共感的に対応する。
 ⑨ 認知症高齢者は前頭葉機能の障害に伴って性格や人格(その人らしさ)
   が徐々に失われていくので、性格や人格の“良い面”を引き出すことを
  意識しながら、長年にわたって培われてきた個性を尊重する。

7)「よりよく」「うまく」「たくましく」生きていただくための介護
 認知症高齢者における「知」(認知機能)、「情」(情動機能)、「意」(統合機能)の特性や障害を理解して適切な介護を実践していくために、それぞれに関する3項目の介護のポイントからなる合計9項目(①~⑨)を提示してきました。そして最後に、「知情意(知的機能)からみた介護」のポイントのまとめとして、下記の項目(※)を追加しておきたいと思います。

 ※ 介護する側と介護される側、すなわち人(知情意)と人(知情意)との
   信頼関係を築くことが介護の基本であることを十分理解する。



 知的機能の障害の有無や程度にかかわらず、一人ひとりの人間には基本的な生活を維持するための脳のはたらき(知・情・意)が培われ、家庭生活や社会生活に適応し、様々な人間関係を営んでいます。したがって、認知症高齢者の介護に際しても、「認知症高齢者の知・情・意」に「介護者の知・情・意」が大きく影響することを理解しておくことが大切です。
 つまり、介護される側の認知症高齢者と介護する側の介護者との「人(知・情・意)と人(知・情・意)との信頼関係」を築くことが介護の基本であり、最も重要な介護のポイントであるということです。表現を換えれば、認知症高齢者の「症状」や「障害」を理解する前に、認知症高齢者の「人」を理解することが介護の大前提であるということです。また、認知症高齢者から介護者の「人」を理解してもらえるようになるために、日頃から介護者自身の「人」(知・情・意)を磨いておくことが必要です。



8)まとめ
 今回のブログでは「たくましく生きる」をテーマにして、脳のはたらき(知的機能)からみた認知症高齢者の介護について記述してみました。
 いわゆる認知症高齢者(進行期;大ボケ)の家庭生活や社会生活における「自立度」すなわち「日常生活能力」や「責任能力」は「4歳~0歳レベル」の乳幼児の「自立度」に相当します。したがって、「たくましく生きる」ことはできるとしても、1人では「よりよく生きる」ことができなくなっている、1人では「うまく生きる」ことができなくなっているのです。そして、適切な支援や介護がなければ「生きること」さえ困難になっていくことを十分に理解していただきたいと思います。

 上記の4)~7)についての具体的な内容については、このブログ「誰も知らない認知症」の以下のバックナンバーを参照(閲覧)していただければ幸いです。

 (参照) 52 知的機能からみた介護のポイント 2019/01/09
      53 知 からみた介護のポイント 2019/01/16
      54 情 からみた介護のポイント 2019/01/23
      55 意 からみた介護のポイント 2019/01/30
      56 知情意 からみた介護のポイント 2019/02/06

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#謹賀新年/2021

2021-01-03 10:36:59 | 日記
 ブログ「誰も知らない認知症」を訪問していただいた皆様、新年あけましておめでとうございます。

 年末に恒例の冬眠に入ったものの、不覚にも新年早々目覚めてしまいました。そして、半覚醒の状態で、5回シリーズのブログ、「たくましく生きる」(1)、「たくましく生きる」(2)を投稿してしまいました。

 今年の正月三が日は、「快眠」「快食」「快便」を心掛けながら、「快飲」(日本酒・焼酎・ワイン)と「快話」(かけがえのない親友との電話)に明け暮れています。

 皆様の2021年が良い1年となりますよう、心からお祈り申し上げます。

 令和3年1月3日




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  介護老人保健施設とかち 渕上 哲