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喜べ

祈れ、感謝せよ! (by モーセ神父)

10/30

2014年10月29日 | キリスト教
キリスト教歳時記303  10月30日
B今日の福音
 ヨハ15:8-15 あなたがたが豊かに実を結び、わたしの弟子となるなら、それによって、わたしの父は栄光をお受けになる。父がわたしを愛されたように、わたしもあなたがたを愛してきた。わたしの愛にとどまりなさい。わたしが父の掟を守り、その愛にとどまっているように、あなたがたも、わたしの掟を守るなら、わたしの愛にとどまっていることになる。
 これらのことを話したのは、わたしの喜びがあなたがたの内にあり、あなたがたの喜びが満たされるためである。わたしがあなたがたを愛したように、互いに愛し合いなさい。これがわたしの掟である。友のために自分の命を捨てること、これ以上に大きな愛はない。わたしの命じることを行うならば、あなたがたはわたしの友である。もはや、わたしはあなたがたを僕とは呼ばない。僕は主人が何をしているか知らないからである。


C今日の暦
1890年 「教育ニ関スル勅語」(教育勅語)発布。家族国家観に立ち、忠君愛国を国民至高の道徳とし、全国の学校で、拝礼・奉読が義務付けられた(1948年失効)。
1909年 聖公会修道会のアトンメントのフランシスコ女子修道会(NY)、カトリック教会に共同体全員が受け入れられる。
2005年 第二次大戦中のドレスデン爆撃(戦争末期の無差別爆撃。軍事施設はなく、バロック様式の美しい街並みと数多くの文化財で知られていた)により崩壊した聖母教会が、東独政府により再建され、聖別される。「世界最大のジグソーパズル」と再建工事は呼ばれた。


W今日の言葉  わたしの愛にとどまりなさい
 いつもイエスの愛を受けるにふさわしいものであり続けなさい。そしてイエスのみを愛し続けなさい。
 そのためには、イエスが父の掟を守って愛にとどまるように、イエスの愛の掟を守ることが大切である。
 「神の言葉を守るなら、まことにその人の内には神の愛が実現しています。これによって、わたしたちが神の内にいることが分かります(Iヨハ2:5)」。
 「神を愛するとは、神の掟を守ることです。神の掟は難しいものではありません(Iヨハ5:3)」。


Pワンポイント   わたしの喜び
①父なる神に、死に至るまで、それも十字架に死に至るまで従順であり続けることから来る喜び。それに弟子もあずかる。
  「わたしを愛しているなら、わたしが父のもとに行くのを喜んでくれるはずだ。父はわたしよりも偉大な方だからである(ヨハ14:28)」。
「しかし、今、わたしはみもとに参ります。世にいる間に、これらのことを語るのは、わたしの喜びが彼らの内に満ちあふれるようになるためです(ヨハ17:13)」。
②イエスは弟子を愛し、そのために命を捧げる。また弟子もイエスを、そして互いを愛するのを見る、その喜び。

10/29

2014年10月28日 | キリスト教
キリスト教歳時記302  10月29日
B今日の福音
 ヨハ15:1-7【イエスはまことのぶどうの木】「わたしはまことのぶどうの木、わたしの父は農夫である。わたしにつながっていながら、実を結ばない枝はみな、父が取り除かれる。しかし、実を結ぶものはみな、いよいよ豊かに実を結ぶように手入れをなさる。わたしの話した言葉によって、あなたがたは既に清くなっている。わたしにつながっていなさい。わたしもあなたがたにつながっている。ぶどうの枝が、木につながっていなければ、自分では実を結ぶことができないように、あなたがたも、わたしにつながっていなければ、実を結ぶことができない。わたしはぶどうの木、あなたがたはその枝である。人がわたしにつながっており、わたしもその人につながっていれば、その人は豊かに実を結ぶ。わたしを離れては、あなたがたは何もできないからである。わたしにつながっていない人がいれば、枝のように外に投げ捨てられて枯れる。そして、集められ、火に投げ入れられて焼かれてしまう。あなたがたがわたしにつながっており、わたしの言葉があなたがたの内にいつもあるならば、望むものは何でも願いなさい。そうすればかなえられる。


C今日の暦
1956年 第二次中東戦争(スエズ戦争)が勃発。エジプトとイスラエル、イギリス、フランスがスエズ運河を巡って起こした戦争(→3月26日P中東戦争)


W今日の言葉
※ぶどうの木   イスラエルの民。「あなたはぶどうの木をエジプトから移し、多くの民を追い出して、これを植えられました(詩編 80:9)」。
※まことのぶどうの木  イエスにおいてのみ、イスラエルに与えられた神の約束は、成就する。
   「わたしはあなたを、甘いぶどうを実らせる確かな種として植えたのに、どうして、わたしに背いて、悪い野ぶどうに変わり果てたのか(エレ2:21)。(→9月16日P ぶどう園の歌)
※手入れをなさる、清くなっている   原語で同じ語根を持つ言葉。試練によって、そして神の言葉によって清くされたキリスト者は、豊かに実を結ぶ。
※実を結ぶ   「苦難は忍耐を、忍耐は練達を、練達は希望を生む(ロマ5:3-4)」。
        「霊の結ぶ実は愛であり、喜び、平和、寛容、親切、善意、誠実、柔和、節制です(ガラ5:22-23)」。
※火 (→6月2日W 地獄))


Pかなえられる
 イエスとつながり、イエスの言葉がいつもあることが重視される。
 信仰は何より大切である。(→8月13日P 信仰)
 「からし種一粒ほどの信仰があれば、この山に向かって、『ここから、あそこに移れ』と命じても、そのとおりになる。あなたがたにできないことは何もない(マタ17:20)。」
 「だから、言っておく。祈り求めるものはすべて既に得られたと信じなさい。そうすれば、そのとおりになる(マコ11:24)」。

10/28

2014年10月27日 | キリスト教
キリスト教歳時記301  10月28日
B今日の福音
 ヨハ14:25-31 わたしは、あなたがたといたときに、これらのことを話した。しかし、弁護者、すなわち、父がわたしの名によってお遣わしになる聖霊が、あなたがたにすべてのことを教え、わたしが話したことをことごとく思い起こさせてくださる。わたしは、平和をあなたがたに残し、わたしの平和を与える。わたしはこれを、世が与えるように与えるのではない。心を騒がせるな。おびえるな。『わたしは去って行くが、また、あなたがたのところへ戻って来る』と言ったのをあなたがたは聞いた。わたしを愛しているなら、わたしが父のもとに行くのを喜んでくれるはずだ。父はわたしよりも偉大な方だからである。事が起こったときに、あなたがたが信じるようにと、今、その事の起こる前に話しておく。もはや、あなたがたと多くを語るまい。世の支配者が来るからである。だが、彼はわたしをどうすることもできない。わたしが父を愛し、父がお命じになったとおりに行っていることを、世は知るべきである。さあ、立て。ここから出かけよう。」


C今日の暦
○聖シモン 聖ユダ使徒(→3月4日W 使徒)
 シモンは熱心党に入っていた(マタ10:4)。 シモンはヘブライ語でシメオン(神は開かれた)。
 ユダはタダイ(タデオ)とも呼ばれ、アルファイの子(マタ10:3)。イエスの従兄弟で小ヤコブと兄弟(ユダ1:1)。『ユダの手紙』の著者?
 ふたりともにペルシアで宣教し、そこで殉教したとも伝えられる。
1627年 イエズス会司祭コンファロニエリ、禁教令のためにマカオに追放され、帰天
1633年 ヴァレンテ、日本の司教に任じられたが、来日できず帰天
1585年 コルネリウス・ヤンセン出生(-1638年)。ネーデルラントのカトリック神学者(イノセント10世によりその説は排斥される)
 人間の自由意志は道徳的善をなに一つ行うことが出来ない。人間の全ての行動は、情欲から生じる現世的望みか恩恵によって作り出される天上の望みのいずれかによる。この双方が人間の意志に強い影響を及ぼし、人間の意志は自由がないため、いっそう強い方の望みの圧力に従う結果となる。
1962年 ソ連指導者ルシチョフがキューバからのミサイル撤去を発表


W今日の言葉
※弁護者(→10月26日W)
※世の支配者   悪魔(→3月29日W 悪霊、悪魔)。


Pワンポイント        平和 シャローム
 イスラエルでは別れの時などに使う日常の挨拶の言葉。「あなたがたに平和があるように(ルカ24:36)」。
 かけたところのない状態で、繁栄、幸福、無事、満足の意味を持つ。内的な、神により与えられるものであり、すべての人が神の恵みに満たされるところに実現する状態。 たとえば放蕩息子のたとえで、父が兄息子にかけた言葉に言い表されている。「子よ、お前はいつもわたしと一緒にいる。わたしのものは全部お前のものだ(ルカ15:31)」。
 「前に話していた、年をとった父上は元気(シャローム)か。まだ生きておられるか(創世43:27)」。
 「主が御顔をあなたに向けてあなたに平安を賜るように(民数6:26)」。
 「平和のうちに身を横たえ、わたしは眠ります。主よ、あなただけが、確かにわたしをここに住まわせてくださるのです(詩編4:9)」。
 「堅固な思いを、あなたは平和に守られる、あなたに信頼するゆえに、平和に(イザ26:3)」。

10/27

2014年10月26日 | キリスト教
キリスト教歳時記300  10月27日
B今日の福音
 ヨハ14:18-24 わたしは、あなたがたをみなしごにはしておかない。あなたがたのところに戻って来る。しばらくすると、世はもうわたしを見なくなるが、あなたがたはわたしを見る。わたしが生きているので、あなたがたも生きることになる。かの日には、わたしが父の内におり、あなたがたがわたしの内におり、わたしもあなたがたの内にいることが、あなたがたに分かる。わたしの掟を受け入れ、それを守る人は、わたしを愛する者である。わたしを愛する人は、わたしの父に愛される。わたしもその人を愛して、その人にわたし自身を現す。」イスカリオテでない方のユダが、「主よ、わたしたちには御自分を現そうとなさるのに、世にはそうなさらないのは、なぜでしょうか」と言った。イエスはこう答えて言われた。「わたしを愛する人は、わたしの言葉を守る。わたしの父はその人を愛され、父とわたしとはその人のところに行き、一緒に住む。わたしを愛さない者は、わたしの言葉を守らない。あなたがたが聞いている言葉はわたしのものではなく、わたしをお遣わしになった父のものである。


C今日の暦
1466年 エラスムス生まれる(-1536年)ネーデルラントの人文主義者。カトリック司祭、神学者。「キリスト者の一致と平和」をテーマとし、カトリック教会の諸問題を批判しつつも中道を標榜し、教会に忠実だった。『ユートピア』のトマス・モアとと親交し、自由意志に関するマルティン・ルターとの論争でも知られる。『痴愚神礼賛』『エンキリディオン』『平和の訴え』
1986年 ヨハネパウロ2世、アシジに世界の宗教指導者を招き、平和を祈る


W今日の言葉   一緒に住む
 「わたしのための聖なる所を彼らに造らせなさい。わたしは彼らの中に住むであろう(出エジ25:8)」。
 「わたしはあなたたちのただ中にわたしの住まいを置き、あなたたちを退けることはない。わたしはあなたたちのうちを巡り歩き、あなたたちの神となり、あなたたちはわたしの民となる(レビ26:11-12)」。
 「娘シオンよ、声をあげて喜べ。わたしは来て、あなたのただ中に住まう、と主は言われる(ゼカ2:14)」。


Pワンポイント   わたしたちには御自分を現そうとなさる
 人々はメシアの華々しい出現と王としての支配を期待した。しかしイエスはそのようにして姿を現すメシアではない。かえって人々の罪を代わりに負ってくださる。ついに復活し、死に勝利してさえも、自身の出現は信じる人のみに限られた。
 「神はこのイエスを三日目に復活させ、人々の前に現してくださいました。しかし、それは民全体に対してではなく、前もって神に選ばれた証人、つまり、イエスが死者の中から復活した後、御一緒に食事をしたわたしたちに対してです(使徒10:40-41)」。
 それはイエスを愛し、イエスの言葉を守ることで、父なる神からも愛され、神が共に住んでくださるから。
 「神の掟を守る人は、神の内にいつもとどまり、神もその人の内にとどまってくださいます。神がわたしたちの内にとどまってくださることは、神が与えてくださった“霊”によって分かります(Iヨハ3:24)」。
 人間の信仰と愛に答え、神が恵みをあらわして下さるのである。

12/25-12/31

2014年10月24日 | キリスト教

キリスト教歳時記359  12月25日
B今日の福音
 ヨハ21:1-6【イエス、七人の弟子に現れる】その後、イエスはティベリアス湖畔で、また弟子たちに御自身を現された。その次第はこうである。シモン・ペトロ、ディディモと呼ばれるトマス、ガリラヤのカナ出身のナタナエル、ゼベダイの子たち、それに、ほかの二人の弟子が一緒にいた。シモン・ペトロが、「わたしは漁に行く」と言うと、彼らは、「わたしたちも一緒に行こう」と言った。彼らは出て行って、舟に乗り込んだ。しかし、その夜は何もとれなかった。既に夜が明けたころ、イエスが岸に立っておられた。だが、弟子たちは、それがイエスだとは分からなかった。イエスが、「子たちよ、何か食べる物があるか」と言われると、彼らは、「ありません」と答えた。イエスは言われた。「舟の右側に網を打ちなさい。そうすればとれるはずだ。」そこで、網を打ってみると、魚があまり多くて、もはや網を引き上げることができなかった。


C今日の暦
○主の降誕   神でありながら人間イエスとして、この地上に来て下さったことを祝う(→1月11日B)。
 クリスマス(英語)はキリストのミサの意味。ノエル(フランス語)やナターレ(イタリア語)は誕生日の意味。
 12月25日がイエスの生誕日と聖書には明記されていない。もともとはローマにあったミトラ教で、太陽出生(この日を境に寿命を縮めていた太陽が勢いを取り戻す)の祝日だった。しかしまさに正義の太陽(マラ3:20)であるイエスの誕生を表すのにも、適当な日とみなされ、その日を受け継いだ。
 クリスマスツリーを飾るのは冬でも枯れない命のシンボル・常緑樹を大切にするドイツの樹木信仰による。ツリーはエデンの園の中央に生えていた木(創世2:9)とキリストの十字架を想起させる。飾りの赤はイエスの血、緑は永遠の命、白はイエスの清さと勝利、鈴は救い主が産れた喜びを告げるとされる。
 また降誕を再現する人形のセット(プレゼピオ←ラテン語preasape かいば桶)も教会や家で飾られる。フランシスコは実際に馬や牛を連れてきて盛大に祝った。
1953年 返還済みのトカラ列島を除く奄美群島が7年10か月ぶりにアメリカから日本に返還される。


W今日の言葉
※ティベリアス湖   ガリラヤ湖のこと(→2月21日W ゲネサレト湖)。
※右側に       右利きであれば、普通左側に網を打つ。
※魚が多くて     ペトロら漁師の召命の物語とだぶる。最初から再出発するのである(2月21日B)。
            「そして、漁師たちがそのとおりにすると、おびただしい魚がかかり、網が破れそうになった(ルカ5:6)」。


Pワンポイント   イエスの神性
 イエスの人生は人間となって生まれたこと、そして十字架上でのはっきりとした死により表される。
 イエスの神性は聖霊により身ごもったこと、父なる神により認証され、また奇跡を行ったことから明らかである(1月30日W 天から聞こえた)。そのためイエスは父なる神と同格の、しかし同時に区別されて子なる神、神の独り子と言える。
 また宇宙は子によって創られたとも言うことができる。 「御子は、見えない神の姿であり、すべてのものが造られる前に生まれた方です。天にあるものも地にあるものも、見えるものも見えないものも、王座も主権も、支配も権威も、万物は御子において造られたからです。つまり、万物は御子によって、御子のために造られました。御子はすべてのものよりも先におられ、すべてのものは御子によって支えられています(コロ1:15-17)」(→6月20日P ビッグバン理論)(→7月2日P アブラハムが生まれる前から)
 「神は…天地創造の前に、神はわたしたちを愛して、御自分の前で聖なる者、汚れのない者にしようと、キリストにおいてお選びになりました(エフェ1:3)」。つまり天地創造の前に父と子は心を一つにして、子イエスの血によって世界を贖うと決意していた、十字架のもとに世界を創造されたとも言える。


今日の祈り

キリスト教歳時記360  12月26日
B今日の福音
 ヨハ21:7-14 イエスの愛しておられたあの弟子がペトロに、「主だ」と言った。シモン・ペトロは「主だ」と聞くと、裸同然だったので、上着をまとって湖に飛び込んだ。ほかの弟子たちは魚のかかった網を引いて、舟で戻って来た。陸から二百ペキスばかりしか離れていなかったのである。さて、陸に上がってみると、炭火がおこしてあった。その上に魚がのせてあり、パンもあった。イエスが、「今とった魚を何匹か持って来なさい」と言われた。シモン・ペトロが舟に乗り込んで網を陸に引き上げると、百五十三匹もの大きな魚でいっぱいであった。それほど多くとれたのに、網は破れていなかった。イエスは、「さあ、来て、朝の食事をしなさい」と言われた。弟子たちはだれも、「あなたはどなたですか」と問いただそうとはしなかった。主であることを知っていたからである。イエスは来て、パンを取って弟子たちに与えられた。魚も同じようにされた。イエスが死者の中から復活した後、弟子たちに現れたのは、これでもう三度目である。


C今日の暦
○聖ステファノ殉教者(-37年)。 十二使徒を助けるために選ばれた助祭。
 「十二人は弟子をすべて呼び集めて言った。『わたしたちが、神の言葉をないがしろにして、食事の世話をするのは好ましくない。それで、兄弟たち、あなたがたの中から、“霊”と知恵に満ちた評判の良い人を七人選びなさい。彼らにその仕事を任せよう。わたしたちは、祈りと御言葉の奉仕に専念することにします。』一同はこの提案に賛成し、信仰と聖霊に満ちている人ステファノと、ほかにフィリポ、プロコロ、ニカルノ、ティモン、パルメナ、アンティオキア出身の改宗者ニコラオを選んで(使徒6:2-5)」。
 すばらしい不思議な業やしるしを行ったが、妬みをかい、最高法院に引き出され立派な弁明を行った(使徒7:2)。そのため石打ちに合い、イエスの弟子の最初の殉教者となった。イエスの受難にならい自分を迫害する人のために祈った(→7月11日W 石で打ち殺す)。
 「人々が石を投げつけている間、ステファノは主に呼びかけて、「主イエスよ、わたしの霊をお受けください」と言った。それから、ひざまずいて、『主よ、この罪を彼らに負わせないでください』と大声で叫んだ。ステファノはこう言って、眠りについた(使徒7:59-60)」。
1982年 『タイム』のパーソン・オブ・ザ・イヤーに、初めて人間以外の物としてコンピュータが選ばれる。
1991年 ソビエト連邦の最高会議がソビエト連邦の消滅を宣言。


W今日の言葉
※上着をまとって   仕事用の短い下着をつけており裸同然だった。ペトロはイエスに会うのに、それでは失礼ととっさに思った。
※二百ペキス     1ペキスが45センチだから90メートルということになる。
※炭火      「『「あなたも、あの人の弟子の一人ではありませんか。』ペトロは、『違う』と言った。僕や下役たちは、寒かったので炭火をおこし、そこに立って火にあたっていた。ペトロも彼らと一緒に立って、火にあたっていた(ヨハ18:17-18)」。
 おびえと恐怖を癒す同じ火が、今は夜明けに希望を与える火となった。
※百五十三匹   あまりに大漁だったので、喜んで何匹あるか数え、記憶したのだろう。


Pワンポイント   弟子たちに現れたのは、これでもう三度目
 12月22日B、12月24日Bに続いて3度目。


今日の祈り

キリスト教歳時記361  12月27日
B今日の福音
 ヨハ21:15-19【イエスとペトロ】食事が終わると、イエスはシモン・ペトロに、「『ヨハネの子シモン、この人たち以上にわたしを愛しているか」と言われた。ペトロが、「はい、主よ、わたしがあなたを愛していることは、あなたがご存じです」と言うと、イエスは、「わたしの小羊を飼いなさい」と言われた。二度目にイエスは言われた。「ヨハネの子シモン、わたしを愛しているか。」ペトロが、「はい、主よ、わたしがあなたを愛していることは、あなたがご存じです」と言うと、イエスは、「わたしの羊の世話をしなさい」と言われた。三度目にイエスは言われた。「ヨハネの子シモン、わたしを愛しているか。」ペトロは、イエスが三度目も、「わたしを愛しているか」と言われたので、悲しくなった。そして言った。「主よ、あなたは何もかもご存じです。わたしがあなたを愛していることを、あなたはよく知っておられます」。イエスは言われた。「わたしの羊を飼いなさい。はっきり言っておく。あなたは、若いときは、自分で帯を締めて、行きたいところへ行っていた。しかし、年をとると、両手を伸ばして、他の人に帯を締められ、行きたくないところへ連れて行かれる。」ペトロがどのような死に方で、神の栄光を現すようになるかを示そうとして、イエスはこう言われたのである。このように話してから、ペトロに、「わたしに従いなさい」と言われた。


C今日の暦
○聖ヨハネ使徒福音記者(-101年) (→2月23日P 使徒の紹介②(兄弟ペア))、(→4月16日W ペトロ、ヤコブ、またヤコブの兄弟ヨハネ)
 聖霊降臨の後はペトロと共にエルサレム教会の指導者として活躍した。イエスから愛され、イエスの昇天後、聖母マリアにも仕えた。迫害され流刑されながらも長寿を全う。「愛する者たち、互いに愛し合いましょう。愛は神から出るもので、愛する者は皆、神から生まれ、神を知っているからです。愛することのない者は神を知りません。神は愛だからです(Iヨハ4:7-8)」。
1923年 虎の門事件。共産主義者により摂政・皇太子裕仁親王(後の昭和天皇)の車に向け銃が発砲・狙撃された暗殺未遂事件。皇太子に怪我はなかった。内閣は総辞職。社会主義・労働運動への弾圧強まる。


W今日の言葉 愛しているか
イエスはペトロに愛しているかと三度問う。これはペトロがイエスのことを三回否定したのに呼応している(ヨハ18;→11月19日,20日B)。三回否定したペトロは三回愛しているということで、悲しくなったが、しかしイエスのゆるしと愛も感じた。イエスも再度、牧者としての使命を与え直す。
 なお一回目と二回目にイエスが「わたしを愛しているか」と問うたときはギリシア語の「アガパオー」が、三回目は「フィレオー」が使われている。そしてペトロは三回とも「フィレオー」で答えている。アガパオーは制約のない、完全で無条件の愛(たとえば親の子への愛)をさす。一方フィレオーは友愛を表し、優しい愛ではあっても完全な愛ではない(たとえば友の愛)。
 イエスは最初、ぺトロに尋ねる。「シモン、……わたしを愛しているか(アガパース・メ)」。「完全かつ無条件に愛しているか」。裏切りを経験していなければ、ぺトロは、もちろんこう答えただろう。「わたしはあなたを無条件に愛しています(アカパオー・セ)」。
 しかし今、ぺトロは、忠実に従わなかった辛い悲しみ、自分の弱さがもたらした悲しみを知っている。そこで彼は謙そんに答えた。「主よ、わたしはあなたを愛しています(フィロー・セ)」。つまり「わたしはわたしの人間としての貧しい愛をもってあなたを愛しています」。
 イエスは二回目に尋ねる。「シモン、わたしが望むこの完全な愛をもってわたしを愛しているか」。ぺトロは、人間としての謙そんな愛をもって愛していますと答える。「キュリエ・フィロー・セ」「主よ、わたしがあなたを愛していることは、あなたがご存じです」。
 三度目にイエスはシモンにただこう尋ねる。「わたしを愛しているか(フィレイス・メ)」。シモンは理解した。イエスにとっては、自分の貧しい愛で、すなわち自分に唯一可能なこの愛で、十分なのだということを。
 ただし、イエスやペトロが話したアラム語ではこのような細かい区別はなかったと思われる。


Pワンポイント   ペトロがどのような死に方で、神の栄光を現すようになるか
 67年ネロ帝の迫害下で逆さ十字架にかけられて殉教したとされる。ペトロの墓の上に立てられているとされるのが、サン・ピエトロ大聖堂である。


今日の祈り

キリスト教歳時記362  12月28日
B今日の福音
 ヨハ21:20-23【イエスとその愛する弟子】ペトロが振り向くと、イエスの愛しておられた弟子がついて来るのが見えた。この弟子は、あの夕食のとき、イエスの胸もとに寄りかかったまま、「主よ、裏切るのはだれですか」と言った人である。ペトロは彼を見て、「主よ、この人はどうなるのでしょうか」と言った。イエスは言われた。「わたしの来るときまで彼が生きていることを、わたしが望んだとしても、あなたに何の関係があるか。あなたは、わたしに従いなさい。」それで、この弟子は死なないといううわさが兄弟たちの間に広まった。しかし、イエスは、彼は死なないと言われたのではない。ただ、「わたしの来るときまで彼が生きていることを、わたしが望んだとしても、あなたに何の関係があるか」と言われたのである。


C今日の暦
○幼子殉教者  ヘロデにより殺害された幼子たち(→1月23日B)の祝日。イエスにより贖われた人の初穂であり、言葉は話せないが、死によって信仰を証しした。
1180年 平清盛(1118-1181年)、畿内最大の反平氏勢力興福寺・東大寺など南都の諸寺を焼き打ち、僧兵を殺害。「仏敵」と呼ばれることになる。
1937年 ラヴェル没(1875年-)。フォーレに学び、ドビュッシーと並ぶフランス近代音楽の代表的作曲家。古典的な形式美をもとに、華麗な管弦楽法や異国情緒のある作風を確立。『亡き王女のためのパベーヌ』『スペイン狂詩曲』『ボレロ』『ダフニスとクロエ』


W今日の言葉
※イエスの愛しておられた弟子 (→ 11月19日W もう一人の弟子)
※わたしの来るときまで彼が生きていることを、わたしが望んだ
 ヨハネは生きている間にイエスの再臨が来るとの噂が広まっていた。この間違いを指摘した。
 再臨の「その日、その時は、だれも知らない。天使たちも子も知らない。父だけがご存じである(マコ13:32)」のだから。


Pワンポイント   復活⑧
 イエスの復活は、キリスト信仰の中心である。
 「キリストが復活しなかったのなら、わたしたちの宣教は無駄であるし、あなたがたの信仰も無駄です。…キリストが復活しなかったのなら、あなたがたの信仰はむなしく、あなたがたは今もなお罪の中にあることになります。…この世の生活でキリストに望みをかけているだけだとすれば、わたしたちはすべての人の中で最も惨めな者です。しかし、実際、キリストは死者の中から復活し、眠りについた人たちの初穂となられました。死が一人の人によって来たのだから、死者の復活も一人の人によって来るのです」(Iコリ15:14-21)。


今日の祈り  ブルデンチウス(5世紀の聖歌)
 殉教者の美しい花よ 暴風が 開いたばかりのばらを散らすように キリストの迫害者は 君たちを生命の入口で奪い取った
 君たちは キリストの最初の殉教者 犠牲になった小さな小羊 天の祭壇の前に 殉教のシュロと冠を持って 無邪気に遊んでいる


キリスト教歳時記363  12月29日
B今日の福音
 マタ28:16-20【弟子たちを派遣する(マコ16:14ー18、ルカ24:36ー49、ヨハ20:19ー23、使徒1:6ー8)】さて、十一人の弟子たちはガリラヤに行き、イエスが指示しておかれた山に登った。そして、イエスに会い、ひれ伏した。しかし、疑う者もいた。イエスは、近寄って来て言われた。「わたしは天と地の一切の権能を授かっている。だから、あなたがたは行って、すべての民をわたしの弟子にしなさい。彼らに父と子と聖霊の名によって洗礼を授け、あなたがたに命じておいたことをすべて守るように教えなさい。わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる。」


C今日の暦
1170年 カンタベリー大司教トマス・ベケットがイングランド王ヘンリー2世の部下により暗殺。国王と意見が対立。「喜んで私は、イエスの名のために、また教会を守るために死ぬ」。
1934年 日本がワシントン海軍軍縮条約の破棄を通告(→2月6日C)。


W今日の言葉
※すべての民をわたしの弟子にしなさい   「イエスはこの十二人を派遣するにあたり、次のように命じられた。「異邦人の道に行ってはならない。また、サマリア人の町に入ってはならない。むしろ、イスラエルの家の失われた羊のところへ行きなさい(マタ10:5-6)」。
この制限はついに撤廃される。しかしまだユダヤ教の一派(分派)としてキリスト教は成立したにすぎない。
 やがてユダヤ教から破門宣言され、ユダヤ教と別の宗教となっていく。こうしてキリスト教は、ユダヤ人のもとだけでない、全人類のための世界宗教として成長していくことになる。(→7月5日W 会堂から追放)
※父と子と聖霊の名によって洗礼を授け    「父と子と聖霊の名に入れる洗礼を授け(フランシスコ会訳)」
 「名に入れる」とは、「聖別して神のものとし、神の本性にあずからせる」こと。
 「この栄光と力ある業とによって、わたしたちは尊くすばらしい約束を与えられています。それは、あなたがたがこれらによって、情欲に染まったこの世の退廃を免れ、神の本性にあずからせていただくようになるためです(IIペト1:4)」。
※いつもあなたがたと共にいる
 「『見よ、おとめが身ごもって男の子を産む。その名はインマヌエルと呼ばれる。』この名は、『神は我々と共におられる』という意味である(マタ1:23)」。


Pワンポイント 父と子と聖霊
 ここで父と子と聖霊が合わせて述べられる。これがのちに三位一体の教義として確立していく。(→12月25日P イエスの神性)(→11月3日W 弁護者)
 ユダヤ教、キリスト教は一神教である。にもかかわらず神が3つ出てきたかのようである。父と子と聖霊と言う互いに対等で優劣のない神を認めつつ、しかも一つの神であることを説明するために使ったのが、「位格・ペルソナ」という言葉である。そして一つの神(の本性を持つの)が、3つの位格(父と子と聖霊の位格)を持つ「三位一体の神」と呼ぶようになった。
 三位の神。大雑把に、「父なる神」の時。そして「人間となった神の子イエス」が現れていた時。そしてイエスが昇天していなくなった後、「聖霊」によって導かれる時。このように区別されることもある。しかも神は時間を超越しているため、この3つは最初から一体の神として永遠の昔からあり、そしてあり続ける(→12月25日P イエスの神性)。
 この三位一体の神を認めて初めてキリスト教と言える。しかしこの三位一体の神こそ、ユダヤ教やイスラム教がどうしても納得できない点でもある。しかしキリスト教は三位一体の神を唱え、イエスはただの人間ではなく、神の独り子と主張し続けてきた。





今日の祈り

キリスト教歳時記364  12月30日
B今日の福音
 ルカ24:44-49 イエスは言われた。「わたしについてモーセの律法と預言者の書と詩編に書いてある事柄は、必ずすべて実現する。これこそ、まだあなたがたと一緒にいたころ、言っておいたことである。」そしてイエスは、聖書を悟らせるために彼らの心の目を開いて、言われた。「次のように書いてある。『メシアは苦しみを受け、三日目に死者の中から復活する。また、罪の赦しを得させる悔い改めが、その名によってあらゆる国の人々に宣べ伝えられる』と。エルサレムから始めて、あなたがたはこれらのことの証人となる。わたしは、父が約束されたものをあなたがたに送る。高い所からの力に覆われるまでは、都にとどまっていなさい。」


C今日の暦
1922年 世界初の社会主義国家・ソビエト社会主義共和国連邦建国。
1944年 ロマン・ロラン没(1866年-)。フランスのノーベル賞作家。『ベートーベンの生涯』『ミケランジェロの生涯』など理想を追求してやまない天才の伝記を発表。音楽家の生涯を描いた『ジャン=クリストフ』。第1次大戦では偏狭な愛国主義を批判する『戦いを超えて』。インド思想や社会主義にも共感していった。
1993年 バチカンとイスラエル、基本合意文書に調印、2000年の対立に終止符。
2006年 サッダーム・フセイン元イラク共和国大統領の死刑執行。


W今日の言葉
※モーセの律法と預言者の書と詩編に書いてある事柄 (→3月8日P 律法と預言者)(→12月21日P 御自分について書かれていること)
※証人(→6月4日W)   「神はこのイエスを三日目に復活させ、人々の前に現してくださいました。しかし、それは民全体に対してではなく、前もって神に選ばれた証人、つまり、イエスが死者の中から復活した後、御一緒に食事をしたわたしたちに対してです。そしてイエスは、御自分が生きている者と死んだ者との審判者として神から定められた者であることを、民に宣べ伝え、力強く証しするようにと、わたしたちにお命じになりました(使徒10:40-42)」。
※父が約束されたもの  聖霊
 「わたしが父のもとからあなたがたに遣わそうとしている弁護者、すなわち、父のもとから出る真理の霊が来るとき、その方がわたしについて証しをなさるはずである(ヨハ15:26)」。
 「五旬祭の日が来て、一同が一つになって集まっていると、突然、激しい風が吹いて来るような音が天から聞こえ、彼らが座っていた家中に響いた。そして、炎のような舌が分かれ分かれに現れ、一人一人の上にとどまった。すると、一同は聖霊に満たされ、“霊”が語らせるままに、ほかの国々の言葉で話しだした(使徒2:1-4)」。


Pワンポイント   昇天前のイエス(同じルカによる『使徒言行録』より)
 「イエスは苦難を受けた後、ご自分が生きていることを、数多くの証拠をもって使徒たちに示し、四十日にわたって彼らに現れ、神の国について話された。そして、彼らと食事を共にしていたとき、こう命じられた。『エルサレムを離れず、前にわたしから聞いた、父の約束されたものを待ちなさい。ヨハネは水で洗礼を授けたが、あなたがたは間もなく聖霊による洗礼を授けられるからである。』さて、使徒たちは集まって、『主よ、イスラエルのために国を建て直してくださるのは、この時ですか』と尋ねた。イエスは言われた。『父が御自分の権威をもってお定めになった時や時期は、あなたがたの知るところではない。あなたがたの上に聖霊が降ると、あなたがたは力を受ける。そして、エルサレムばかりでなく、ユダヤとサマリアの全土で、また、地の果てに至るまで、わたしの証人となる(使徒1:3-8)」。(続き → 12月31日W 天に上げられた)


今日の祈り

キリスト教歳時記365  12月31日
B今日の福音
 ルカ24:50-53【天に上げられる(マコ16:19ー20、使徒1:9ー11)】イエスは、そこから彼らをベタニアの辺りまで連れて行き、手を上げて祝福された。そして、祝福しながら彼らを離れ、天に上げられた。彼らはイエスを伏し拝んだ後、大喜びでエルサレムに帰り、絶えず神殿の境内にいて、神をほめたたえていた。
 ヨハ20:30-31【本書の目的】このほかにも、イエスは弟子たちの前で、多くのしるしをなさったが、それはこの書物に書かれていない。これらのことが書かれたのは、あなたがたが、イエスは神の子メシアであると信じるためであり、また、信じてイエスの名により命を受けるためである。
ヨハ21:24-25 これらのことについて証しをし、それを書いたのは、この弟子である。わたしたちは、彼の証しが真実であることを知っている。イエスのなさったことは、このほかにも、まだたくさんある。わたしは思う。その一つ一つを書くならば、世界もその書かれた書物を収めきれないであろう。


C今日の暦
1617年 ムリーリョ出生(-1682年)。バロック期のスペインの画家。やわらかく甘美な色彩と金のもやのような輝きを帯びた光が特徴。甘美な聖母像や、愛らしい子どもの絵で知られる。『無原罪の御宿り』『善き羊飼い幼児キリスト』『聖母子』。
1869年 マティス出生(-1954年)。フランスの画家。フォービスム(野獣主義)を推進。原色を生かし、肉付けを否定し、線のアラベスクを実現。対象を単純・装飾化。南フランス、ドミニコ会修道院ロザリオ礼拝堂を設計。壁画・ステンドグラスも制作。
1945年 GHQ「修身・日本史および地理の授業停止と教科書回収に関する覚書」を提示。


W今日の言葉
※天に上げられた  父なる神に迎え入れられて、すでに得ていた天上の栄光に完全に入った。
 「こう話し終わると、イエスは彼らが見ているうちに天に上げられたが、雲に覆われて彼らの目から見えなくなった。イエスが離れ去って行かれるとき、彼らは天を見つめていた。すると、白い服を着た二人の人がそばに立って、言った。『ガリラヤの人たち、なぜ天を見上げて立っているのか。あなたがたから離れて天に上げられたイエスは、天に行かれるのをあなたがたが見たのと同じ有様で、またおいでになる』(使徒1:9-11)」。
※絶えず神殿の境内にいて、神をほめたたえて   「また、アシェル族のファヌエルの娘で、アンナという女預言者がいた。非常に年をとっていて、若いとき嫁いでから七年間夫と共に暮らしたが、夫に死に別れ、八十四歳になっていた。彼女は神殿を離れず、断食したり祈ったりして、夜も昼も神に仕えていたが、そのとき、近づいて来て神を賛美し、エルサレムの救いを待ち望んでいる人々皆に幼子のことを話した(ルカ2:36-38)」。


Pワンポイント   わたしたちは、彼の証しが真実であることを知っている
 わたしたちとは、ヨハネの福音を編さんしたヨハネの弟子たち。



今日の祈り


12/16-20

2014年10月24日 | キリスト教
キリスト教歳時記351  12月16日
B今日の福音
 マコ16:5-8 墓の中に入ると、白い長い衣を着た若者が右手に座っているのが見えたので、婦人たちはひどく驚いた。若者は言った。「驚くことはない。あなたがたは十字架につけられたナザレのイエスを捜しているが、あの方は復活なさって、ここにはおられない。御覧なさい。お納めした場所である。行って、弟子たちとペトロに告げなさい。『あの方は、あなたがたより先にガリラヤへ行かれる。かねて言われたとおり、そこでお目にかかれる』と。」婦人たちは墓を出て逃げ去った。震え上がり、正気を失っていた。そして、だれにも何も言わなかった。恐ろしかったからである。


C今日の暦
1707年 富士山が噴火し、宝永山が出現。
1773年 マサチューセッツ植民地ボストンで、イギリス本国の政策に反発した現地植民地人が港に停泊中のイギリス船を襲撃。イギリス東インド会社の船荷の紅茶箱を海に投棄(ボストン茶会事件)。
1921年 サン・サーンス没(1835年-)。フランスの作曲家、オルガン奏者。国民音楽協会創設。3歳から作曲を始める。『サムソンとデリラ』『動物の謝肉祭』
1965年 サマセット・モーム没(1874年-)。イギリスの小説家、劇作家。10歳で孤児となり伯父の牧師館に引き取られた。医学を学んだが、作家生活に入る。第1次世界大戦中は軍医として従軍、のち諜報活動に転じた。 平明な文体と巧妙な筋運びで、懐疑的な人生観のこめられた小説を書いた。『人間の絆』『月と六ペンス』『ひとめぐり』
1978年 木内藤三郎神父帰天。北海道月形町に知的障がい者施設「雪の聖母園」を設立、恵まれない人々の父として生涯をささげた。
1998年 米英軍が、国際連合の大量破壊兵器査察に非協力的としてイラクを空爆。


W今日の言葉
※若者   「主の天使が天から降って近寄り、石をわきへ転がし、その上に座ったのである。その姿は稲妻のように輝き、衣は雪のように白かった(マタ28:2-3)」。
※かねて言われたとおり  「しかし、わたしは復活した後、あなたがたより先にガリラヤへ行く(マコ14:28)」。
※ガリラヤ  裏切ったユダ以外の11人の使徒は、すべてガリラヤ出身。もう一度最初から始めようとの呼びかけでもある。


Pワンポイント  復活③ 
 「十字架の死を体験した弟子は、裏切ったことに対しての罪滅ぼしの気持ちから、またイエスが神の子なら死ぬはずがない。そのような共通の幻想からイエスが復活したという物語を作り上げた」。
 つまりイエスの復活は歴史的事実ではなく、信仰上、心の中だけで作り上げたものだ。そのように説明されることがある。
 しかしイエスの十字架を見て皆逃げてしまい、同じ目にあったら大変と、隠れてこもってしまった弟子たち。
 その同じ弟子が、ただの「イエスが復活した」という、自分たちで作り上げた幻想のために、その後、堂々と世間に現われて「イエスは復活した、確かにメシアだった」と宣言しただろうか。自分たちで作り上げた物語のためだけに、実際に命をささげることができただろうか。




今日の祈り

キリスト教歳時記351  12月17日
B今日の福音
 ヨハ20:3-10 そこで、ペトロとそのもう一人の弟子は、外に出て墓へ行った。二人は一緒に走ったが、もう一人の弟子の方が、ペトロより速く走って、先に墓に着いた。身をかがめて中をのぞくと、亜麻布が置いてあった。しかし、彼は中には入らなかった。続いて、シモン・ペトロも着いた。彼は墓に入り、亜麻布が置いてあるのを見た。イエスの頭を包んでいた覆いは、亜麻布と同じ所には置いてなく、離れた所に丸めてあった。それから、先に墓に着いたもう一人の弟子も入って来て、見て、信じた。イエスは必ず死者の中から復活されることになっているという聖書の言葉を、二人はまだ理解していなかったのである。それから、この弟子たちは家に帰って行った。


C今日の暦
1843年 チャールズ・ディケンズ『クリスマス・キャロル』が出版。守銭奴で利己的な老人スクルージがクリスマス・イヴに、幽霊から自分の過去・現在・未来を示され、恐ろしくなり、回心し、人々に慈愛を施すようになる。
1881年 大浦天主堂庭園に絵踏の謝罪のため大十字架を建てる。
1903年 ライト兄弟が人類初の動力飛行に成功。
2013年 フランシスコ教皇は、77歳の誕生日の朝、ローマ市内のホームレスをバチカンに招き、自身が生活する聖マルタの家の食堂で、食事を共にした。招待されたのはバチカン付近の路上生活者3名で、スロバキア、ポーランド、チェコ出身の男性だった。一人は「教皇に会えるのだから、ホームレスだったかいがある」と話した。


W今日の言葉   二人はまだ理解していなかった
 「しかし、ペトロは立ち上がって墓へ走り、身をかがめて中をのぞくと、亜麻布しかなかったので、この出来事に驚きながら家に帰った(ルカ24:12)」。


Pワンポイント   イエスは必ず死者の中から復活されることになっているという聖書の言葉
 「そして、キリストの復活について前もって知り、『彼は陰府に捨てておかれず、その体は朽ち果てることがない』と語りました(使徒2:31)」。
 「神はイエスを復活させて、わたしたち子孫のためにその約束を果たしてくださったのです。それは詩編の第二編にも、『あなたはわたしの子、わたしは今日あなたを産んだ』と書いてあるとおりです。また、イエスを死者の中から復活させ、もはや朽ち果てることがないようになさったことについては、『わたしは、ダビデに約束した聖なる、確かな祝福をあなたたちに与える』と言っておられます。ですから、ほかの個所にも、『あなたは、あなたの聖なる者を朽ち果てるままにしてはおかれない』と言われています(使徒13:33-35)」。
 「主の定められたところに従ってわたしは述べよう。主はわたしに告げられた。『お前はわたしの子、今日、わたしはお前を生んだ』(詩編2:7)」。
 「あなたはわたしの魂を陰府に渡すことなく。あなたの慈しみに生きる者に墓穴を見させず(詩編16:10)」


今日の祈り

キリスト教歳時記352  12月18日
B今日の福音
ヨハ20:11-18【イエス、マグダラのマリアに現れる(マコ16:9ー11)】マリアは墓の外に立って泣いていた。泣きながら身をかがめて墓の中を見ると、イエスの遺体の置いてあった所に、白い衣を着た二人の天使が見えた。一人は頭の方に、もう一人は足の方に座っていた。天使たちが、「婦人よ、なぜ泣いているのか」と言うと、マリアは言った。「わたしの主が取り去られました。どこに置かれているのか、わたしには分かりません。」こう言いながら後ろを振り向くと、イエスの立っておられるのが見えた。しかし、それがイエスだとは分からなかった。イエスは言われた。「婦人よ、なぜ泣いているのか。だれを捜しているのか。」マリアは、園丁だと思って言った。「あなたがあの方を運び去ったのでしたら、どこに置いたのか教えてください。わたしが、あの方を引き取ります。」イエスが、「マリア」と言われると、彼女は振り向いて、ヘブライ語で、「ラボニ」と言った。「先生」という意味である。イエスは言われた。「わたしにすがりつくのはよしなさい。まだ父のもとへ上っていないのだから。わたしの兄弟たちのところへ行って、こう言いなさい。『わたしの父であり、あなたがたの父である方、また、わたしの神であり、あなたがたの神である方のところへわたしは上る』と。」マグダラのマリアは弟子たちのところへ行って、「わたしは主を見ました」と告げ、また、主から言われたことを伝えた。


C今日の暦
1865年 アメリカで奴隷制廃止
1956年 日本国際連合に加入。国際連盟を脱退して23年。
1969年 英国議会で死刑の永久廃止可決
1993年 八王子市の創価学会「東京牧口記念会館」でオウム真理教による池田大作サリン襲撃未遂事件発生。
2007年 バチカン、国連の死刑執行停止を求める決議を「希望のしるし」として歓迎すると発表


W今日の言葉  ラボニ  わが先生
 ラビ(アラム語、ヘブライ語)は「先生」。もともと「ラブ(大いなる者)」+「イー(私の)」。ユダヤ人はすぐれた律法の教師をそう呼んだ。 「ラボニ」はアラム語でより尊敬をこめ、強調した言い方。
※わたしは主を見ました  マリアの復活体験。「わたしたちは、見たことや聞いたことを話さないではいられないのです(使徒4:20)」。


Pワンポイント    イエスだとは分からなかった
 エマオへの弟子に現われた時(→12月20日,21日B)も、ガリラヤ湖に多くの弟子たちに現われた時(→12月25日B)も、すぐイエスと分からなかった。十字架で惨めな死を遂げたイエスの印象があまりに強かったのだろう。


今日の祈り

キリスト教歳時記353  12月19日
B今日の福音
 マタ28:9-10 すると、イエスが行く手に立っていて、「おはよう」と言われたので、婦人たちは近寄り、イエスの足を抱き、その前にひれ伏した。イエスは言われた。「恐れることはない。行って、わたしの兄弟たちにガリラヤへ行くように言いなさい。そこでわたしに会うことになる。」
 マタ28:11-15【番兵、報告する】婦人たちが行き着かないうちに、数人の番兵は都に帰り、この出来事をすべて祭司長たちに報告した。そこで、祭司長たちは長老たちと集まって相談し、兵士たちに多額の金を与えて、言った。「『弟子たちが夜中にやって来て、我々の寝ている間に死体を盗んで行った』と言いなさい。もしこのことが総督の耳に入っても、うまく総督を説得して、あなたがたには心配をかけないようにしよう。」兵士たちは金を受け取って、教えられたとおりにした。この話は、今日に至るまでユダヤ人の間に広まっている。


C今日の暦
1986年 ソ連が反体制物理学者サハロフ博士(1921-1989年)夫妻の流刑を解除。物理学者で水爆を開発。スターリン主義的な体制に反対し、1970年人権委員会を設立。1975年ノーベル平和賞受賞するが出国を認められなかった。1980年流刑。ゴルバチョフのペレストロイカのもと復権。



W今日の言葉
わたしの兄弟たち  裏切った弟子たちを変わらず、むしろ前より愛情をこめて兄弟たちと呼ぶ。弟子はやっとイエスの十字架による贖いの秘義を理解し、今度こそ同じ道を歩んでいくものとなるからである。


Pワンポイント   復活④
 もしも弟子たちが、イエスが復活したと言う幻想をやはり作ったとしたならば。
 それはたいへんな神への冒涜ともなる。そんなことをしたならば「神の偽証人とさえ見なされます。…復活しなかったはずのキリストを神が復活させたと言って、神に反して証しをしたことになるからです(Iコリ15:15)」。あの素朴で正直で、打算のない、何も持たない弟子たちが、そんな偽証をあえてしただろうか。そこに何の利益があっただろうか。


今日の祈り   (和解のためのアピール;ブラザー・ロジェとマザーテレサ)(→8月16日C)
 「現代世界の苦悩の中にあって私たちには共に訴えたいことがあります。これほど人間性が傷ついている現実の中で、キリスト者同士が互いに壁を作り、分裂しているということが私たちには耐えられません。もうここで分裂しあうことをやめようではありませんか。そして互いへの恐れから私たち自身を解放しようではありませんか。誰が正しく誰が間違っているかを見つけようとすることに、何の意味があるのですか。キリストよ、わたしたちが自分自身に打ち勝つことができるよう私たちの心を開いてください。人間というパンにとって最も重要なパン種であり、唯一の交わりである教会、その和解を決して遅らせることがないように」

キリスト教歳時記354  12月20日
B今日の福音
 ルカ24:13-24【エマオで現れる(マコ16:12ー13)】ちょうどこの日、二人の弟子が、エルサレムから六十スタディオン離れたエマオという村へ向かって歩きながら、この一切の出来事について話し合っていた。話し合い論じ合っていると、イエス御自身が近づいて来て、一緒に歩き始められた。しかし、二人の目は遮られていて、イエスだとは分からなかった。イエスは、「歩きながら、やり取りしているその話は何のことですか」と言われた。二人は暗い顔をして立ち止まった。その一人のクレオパという人が答えた。「エルサレムに滞在していながら、この数日そこで起こったことを、あなただけはご存じなかったのですか。」イエスが、「どんなことですか」と言われると、二人は言った。「ナザレのイエスのことです。この方は、神と民全体の前で、行いにも言葉にも力のある預言者でした。それなのに、わたしたちの祭司長たちや議員たちは、死刑にするため引き渡して、十字架につけてしまったのです。わたしたちは、あの方こそイスラエルを解放してくださると望みをかけていました。しかも、そのことがあってから、もう今日で三日目になります。ところが、仲間の婦人たちがわたしたちを驚かせました。婦人たちは朝早く墓へ行きましたが、遺体を見つけずに戻って来ました。そして、天使たちが現れ、『イエスは生きておられる』と告げたと言うのです。仲間の者が何人か墓へ行ってみたのですが、婦人たちが言ったとおりで、あの方は見当たりませんでした。」


C今日の暦
1951年 平塚らいてふらが再軍備反対婦人委員会を結成。
1970年 コザ暴動。アメリカ施政権下の沖縄のコザ市(現在の沖縄市)で発生したアメリカ軍車両、施設に対する焼き討ち事件。契機は米軍人が沖縄人をはねた交通事故。背景には米施政下での圧制、人権侵害に対する沖縄人の不満があった。


W今日の言葉
※六十スタディオン  11km
※イエスだとは分からなかった   「二人の目は遮られていて」「イエスが別の姿で御自身を現された(マコ16:12)」
  失望の中、イエスと再会できるとは夢にも思っていなかった。
※クレオパ    クレオパトロス
※三日      ユダヤ人の宗教的観念では、人間の霊魂は三日間は死体の周囲にとどまるが、この期間を過ぎると肉体を離れ、もはや生き返る希望はまったく失われるとされた。
※仲間の者が何人か   ペトロ(ルカ24:12)、ペトロとヨハネ(ヨハ20:3)


Pワンポイント      復活⑤ ユダヤ当局の反応
 ユダヤの宗教・政治指導者、そしてローマは、イエスを実際に処刑した。それはイエスについていくものを根こそぎ絶やすことにあった。ところでイエスは自分は復活すると預言していた。このことも十分承知だった。だからこそ墓を封印をし、番兵に見張りさえさせていた(→12月13日B)。
 もしも復活が弟子たちの幻想なら。そしてイエスの遺体が墓になかったのが弟子たちが盗んだだけとしたなら。
 この復活の作り話を壊すのは簡単だった。すぐに弟子たちをとらえ、弟子たちが隠したイエスの遺体を自白させて見つけ出し、遺体を再び皆の前で公開すればよかった。ところがこの簡単なことを、ユダヤもローマもなぜかできなかった。かえってイエスの弟子が遺体を盗み出したと言えと買収している(マタ28:12-13)。



今日の祈り

キリスト教歳時記355  12月21日
B今日の福音
 ルカ24:25-35 そこで、イエスは言われた。「ああ、物分かりが悪く、心が鈍く預言者たちの言ったことすべてを信じられない者たち、メシアはこういう苦しみを受けて、栄光に入るはずだったのではないか。」そして、モーセとすべての預言者から始めて、聖書全体にわたり、御自分について書かれていることを説明された。一行は目指す村に近づいたが、イエスはなおも先へ行こうとされる様子だった。二人が、「一緒にお泊まりください。そろそろ夕方になりますし、もう日も傾いていますから」と言って、無理に引き止めたので、イエスは共に泊まるため家に入られた。一緒に食事の席に着いたとき、イエスはパンを取り、賛美の祈りを唱え、パンを裂いてお渡しになった。すると、二人の目が開け、イエスだと分かったが、その姿は見えなくなった。二人は、「道で話しておられるとき、また聖書を説明してくださったとき、わたしたちの心は燃えていたではないか」と語り合った。そして、時を移さず出発して、エルサレムに戻ってみると、十一人とその仲間が集まって、本当に主は復活して、シモンに現れたと言っていた。二人も、道で起こったことや、パンを裂いてくださったときにイエスだと分かった次第を話した。


C今日の暦
1722年 小石川養生所設立。江戸時代に幕府が設置した無料の医療施設。将軍徳川吉宗と江戸町奉行の大岡忠相の主導した享保の改革における下層民対策。幕末まで140年あまり貧民救済施設として機能。
1931年 聖母病院開院(社会福祉法人聖母会;新宿区)
1946年 昭和南海地震が発生。マグニチュード8。地震と津波で死者1330人。


W今日の言葉
※こういう苦しみを受けて、栄光に入るはずだったのではないか   「人の子は必ず多くの苦しみを受け、長老、祭司長、律法学者たちから排斥されて殺され、三日目に復活することになっている(ルカ9:22)」。(→5月29日W 死と復活の予告)
※シモンに現われた  「聖書に書いてあるとおり三日目に復活したこと、ケファに現れ、その後十二人に現れたことです(Iコリ15:4-5)」。
※パンを裂いてくださったときにイエスだと分かった   パンの増やし、聖体の制定の動作を思い起こした


Pワンポイント 御自分について書かれていること
 「わたしには彼が見える。しかし、今はいない。彼を仰いでいる。しかし、間近にではない。ひとつの星がヤコブから進み出る。ひとつの笏がイスラエルから立ち上がりモアブのこめかみを打ち砕きシェトのすべての子らの頭の頂を砕く(民数24:17)」。
 「あなたの神、主が全部族の中から彼を選び、彼とその子らを永久に主の名によって仕える者とされたからである(申命18:5)」。(→1月10日W 契約)
またイザヤ書では主の僕の使命、苦しみと死が預言されている(イザ42:1-4、イザ50:4-9、イザ52:13-53:12)。 (→11月15日W 必ずこうなると書かれている聖書の言葉)(→11月30日W どこから来たのか)(→12月4日W その人は犯罪人の一人に数えられた)
 「宦官は、『手引きしてくれる人がなければ、どうして分かりましょう』と言い、馬車に乗ってそばに座るようにフィリポに頼んだ。彼が朗読していた聖書の個所はこれである。『彼は、羊のように場に引かれて行った。毛を刈る者の前で黙している小羊のように、口を開かない。卑しめられて、その裁きも行われなかった。だれが、その子孫について語れるだろう。彼の命は地上から取り去られるからだ(イザ53:7-8)。』宦官はフィリポに言った。『どうぞ教えてください。預言者は、だれについてこう言っているのでしょうか。自分についてですか。だれかほかの人についてですか。』そこで、フィリポは口を開き、聖書のこの個所から説きおこして、イエスについて福音を告げ知らせた(使徒8:31-35)」。


今日の祈り

キリスト教歳時記356  12月22日
B今日の福音
 ルカ24:36-43【弟子たちに現れる(マタ28:16ー20、マコ16:14ー18、ヨハ20:19ー23、使徒1:6ー8)】こういうことを話していると、イエス御自身が彼らの真ん中に立ち、「あなたがたに平和があるように」と言われた。彼らは恐れおののき、亡霊を見ているのだと思った。そこで、イエスは言われた。「なぜ、うろたえているのか。どうして心に疑いを起こすのか。わたしの手や足を見なさい。まさしくわたしだ。触ってよく見なさい。亡霊には肉も骨もないが、あなたがたに見えるとおり、わたしにはそれがある。」こう言って、イエスは手と足をお見せになった。彼らが喜びのあまりまだ信じられず、不思議がっているので、イエスは、「ここに何か食べ物があるか」と言われた。そこで、焼いた魚を一切れ差し出すと、イエスはそれを取って、彼らの前で食べられた。


C今日の暦
1216年 ドミニコ会教皇ホノリウス3世によって認可される。「説教者修道会OP」。同時期に成立したフランシスコ会同様、清貧を重んじた。神学の研究に励み、学者を多く輩出。異端審問の審問官に任命されるも多くなった。アルベルトゥス・マグヌス、トマス・アクィナス、マイスター・エックハルト、シエナのカタリナ(女子信徒会)、バルトロメ・デ・ラス・カサスなど。
1972年 トルーマン没す(1884年-)。アメリカ大統領。日本への原爆を決定した。
 原爆開発にあたり国家予算の20%の予算を議会に事後承諾させ、今後も予算計上のため成果が必要だった。実戦で実験し、戦後の覇権争いでソ連に対して優位に立つこととなった。人種的偏見はあった。
1972年 ウルグアイ空軍機571便遭難事故でアンデス山中に墜落した乗客の生存者16人が71日ぶりに救出。


W今日の言葉
※手や足を見なさい  手足に残っている十字架の傷跡を見なさい。確かに十字架にかかったイエス自身だ。
※食べられた     復活した栄光の体のことはよく分からない(Iコリ15:35-58)。食べ物が必要なのかどうかも分からない。しかし肉体を持ってることは確かであり、そのことを明確にイエスは指し示した。(→12月24日P 戸にはみな鍵がかけてあったのに、イエスが来て真ん中に立ち)


Pワンポイント     復活⑥ 民衆の回心
 十字架につけよと叫んだ人々。ところがその50日後、少なくとも3000人が、ユダヤ当局の思惑にも関わらず、イエスの復活を信じ、キリスト者となった。その後、さらに信じる人々が広まっていって、だからこそ今日に至っている。これは明らかな事実。
 自分たちが十字架につけたイエスという人物を、今度は神とあがめ、裏切り者の弱い軽蔑すべき弟子のもとに結束していく。これは弟子の復活宣言を、確かに信じるに足るものと人々が認めたから。そのためには信じられる何かがあったはず。「ただの裏切り者の弟子たちの幻想」を信じるはずがない。



今日の祈り

キリスト教歳時記357  12月23日
B今日の福音
 ヨハ20:21-23 イエスは重ねて言われた。「あなたがたに平和があるように。父がわたしをお遣わしになったように、わたしもあなたがたを遣わす。」そう言ってから、彼らに息を吹きかけて言われた。「聖霊を受けなさい。だれの罪でも、あなたがたが赦せば、その罪は赦される。だれの罪でも、あなたがたが赦さなければ、赦されないまま残る。」


C今日の暦
1933年 日本共産党の宮本顕治らが中央委員の小畑達夫・大泉兼蔵を特高警察のスパイとして査問。リンチにより数日のうちに小畑が死亡。
1948年 極東国際軍事裁判で死刑判決を受けたA級戦犯7名の絞首刑を執行。
1958年 東京タワーの完工式


W今日の言葉
※平和があるように  ふつうの挨拶のことば。しかしここでは十字架に勝利したイエスのように、世の困難を乗り越えて歩むべき使徒の使命が示されている。「わたしは、平和をあなたがたに残し、わたしの平和を与える(ヨハ14:27)」。
※遣わす    特別な使命を受けて遣わされたものが使徒(→3月4日W 使徒(使者))
  今も特別に聖霊を注がれ、油を塗られて、司教とその協力者である司祭が叙階され、派遣されて、イエスを証していく。
※息を吹きかけて言われた。聖霊を受けなさい。
 「ついに、我々の上に、霊が高い天から注がれる。荒れ野は園となり、園は森と見なされる(イザ32:15)」。
 「わたしは乾いている地に水を注ぎ、乾いた土地に流れを与える。あなたの子孫にわたしの霊を注ぎ、あなたの末にわたしの祝福を与える(イザ44:3)。
 「わたしは彼らに一つの心を与え、彼らの中に新しい霊を授ける。わたしは彼らの肉から石の心を除き、肉の心を与える(エゼ11:19)」。
 「また、わたしがお前たちの中に霊を吹き込むと、お前たちは生きる。わたしはお前たちを自分の土地に住まわせる。そのとき、お前たちは主であるわたしがこれを語り、行ったことを知るようになる」と主は言われる(エゼ37:14)」。
 「わたしは二度とわが顔を彼らに隠すことなく、わが霊をイスラエルの家に注ぐ(エゼ39:29)」。
 「その後、わたしはすべての人にわが霊を注ぐ。あなたたちの息子や娘は預言し、老人は夢を見、若者は幻を見る。その日、わたしは、奴隷となっている男女にもわが霊を注ぐ(ヨエ3:1-2)」。


Pワンポイント  だれの罪でも、あなたがたが赦せば、その罪は赦される。…あなたがたが赦さなければ、赦されないまま残る
 「わたしはあなたに天の国の鍵を授ける。あなたが地上でつなぐことは、天上でもつながれる。あなたが地上で解くことは、天上でも解かれる(マタ16:19)」。
 これは今も教会に引き継がれており、ゆるしの秘跡として現存している(→1月27日W洗礼)。
 信者が二度と同じ罪を犯さない決意をもって罪を告白すると、償いを指示される。そのあと次のゆるしのことばが司祭をとおして、イエス自身から与えられる。
 「全能の神、あわれみ深い父は、御子キリストの死と復活によって世をご自分に立ち帰らせ、罪のゆるしのために聖霊を注がれました。神が教会の奉仕の務めを通してあなたにゆるしと平和を与えてくださいますように。わたしは、父と子と聖霊のみ名によって、+あなたの罪をゆるします」


今日の祈り

キリスト教歳時記358  12月24日
B今日の福音
 ヨハ20:24-29【イエスとトマス】十二人の一人でディディモと呼ばれるトマスは、イエスが来られたとき、彼らと一緒にいなかった。そこで、ほかの弟子たちが、「わたしたちは主を見た」と言うと、トマスは言った。「あの方の手に釘の跡を見、この指を釘跡に入れてみなければ、また、この手をそのわき腹に入れてみなければ、わたしは決して信じない。」さて八日の後、弟子たちはまた家の中におり、トマスも一緒にいた。戸にはみな鍵がかけてあったのに、イエスが来て真ん中に立ち、「あなたがたに平和があるように」と言われた。それから、トマスに言われた。「あなたの指をここに当てて、わたしの手を見なさい。また、あなたの手を伸ばし、わたしのわき腹に入れなさい。信じない者ではなく、信じる者になりなさい。」トマスは答えて、「わたしの主、わたしの神よ」と言った。イエスはトマスに言われた。「わたしを見たから信じたのか。見ないのに信じる人は、幸いである。」


C今日の暦
○クリスマス・イブ(→2月24日W 日が暮れると)
562年 558年に地震のため崩壊したコンスタンティノープルの大聖堂アヤソフィアが再建される
1865年 南部連合の退役軍人らがクー・クラックス・クラン (KKK) を設立
1979年 ソ連軍がアフガニスタンに侵攻。 共産主義政権が成立し、宗教指導者を弾圧した。それに対してジハード聖戦が宣言され、ほぼ全土が抵抗運動の支配下に落ちた。政権はソ連に軍事介入を要請した。ムジャーヒディーン、抵抗運動の兵士(その中にウサーマ・ビン=ラーディンもいた)もソ連に対抗、米中央情報局(CIA)による極秘の武器供給が行われた。1989年2月ソ連は撤退するが、その後もムジャーヒディーンの内部抗争、タリバンの台頭、それに対する米国との戦闘など戦火は続く。またイスラム原理主義テロリストの活動が活発化する。


W今日の言葉 見ないのに信じる人
 イエスの復活を自身は見ていないが、他人の証言を受け入れ信じる人。
 「あなたがたは、キリストを見たことがないのに愛し、今見なくても信じており、言葉では言い尽くせないすばらしい喜びに満ちあふれています(Iペト1:8)」。
イエスの弟子にこのように見なければ信じないものがいた。しかしそのトマも「わたしの主、わたしの神よ」とイエスの神性を宣言するにいたる。だからこそその後、命をかけて福音を宣べ伝えた。ここに復活体験の確かさがまた示される。(→7月3日C 聖トマ使徒)(→12月15日P 復活②)
※戸にはみな鍵がかけてあったのに、イエスが来て真ん中に立ち    イエスの復活後の栄光の身体の神秘が表される。


Pワンポイント   復活⑦ パウロの書簡より
「最も大切なこととしてわたしがあなたがたに伝えたのは、わたしも受けたものです。すなわち、キリストが、聖書に書いてあるとおりわたしたちの罪のために死んだこと、葬られたこと、また、聖書に書いてあるとおり三日目に復活したこと、ケファに現れ、その後十二人に現れたことです。次いで、五百人以上もの兄弟たちに同時に現れました。そのうちの何人かは既に眠りについたにしろ、大部分は今なお生き残っています。次いで、ヤコブに現れ、その後すべての使徒に現れ、そして最後に、月足らずで生まれたようなわたしにも現れました(Iコリ15:3-8)」。


今日の祈り

12/1-12/15

2014年10月24日 | キリスト教
キリスト教歳時記335  12月1日
B今日の福音
 ヨハ19:12-15 そこで、ピラトはイエスを釈放しようと努めた。しかし、ユダヤ人たちは叫んだ。「もし、この男を釈放するなら、あなたは皇帝の友ではない。王と自称する者は皆、皇帝に背いています。」ピラトは、これらの言葉を聞くと、イエスを外に連れ出し、ヘブライ語でガバタ、すなわち「敷石」という場所で、裁判の席に着かせた。それは過越祭の準備の日の、正午ごろであった。ピラトがユダヤ人たちに、「見よ、あなたたちの王だ」と言うと、彼らは叫んだ。「殺せ。殺せ。十字架につけろ。」ピラトが、「あなたたちの王をわたしが十字架につけるのか」と言うと、祭司長たちは、「わたしたちには、皇帝のほかに王はありません」と答えた。


C今日の暦
1521年 レオ10世帰天(在位1513年-)。 ルネサンス期教皇。メディチ家出身。前教皇が着手したサン・ピエトロ大聖堂の建設を引継ぎ、ミケランジェロ、ラファエロらの芸術家のパトロンとなる。1517年にサン・ピエトロ大聖堂建設資金のため、ドイツでの贖宥状販売を認め、ルターによる宗教改革の直接のきっかけに。行列や宴会など贅沢好きで浪費を繰り返し、ルターにローマは「新しきバビロン」と非難された。45歳で急死。
1858年(安政4年) 植村正久帰天(-1925年)。牧師、田村直臣、松村介石、内村鑑三と共にキリスト教界の四村と呼ばれた。日本基督教会、プロテスタントの指導者。
1976年 ラジオ・ベリタス、日本語放送開始(-1992年)。フィリピンにあるカトリック系列のラジオ放送局。エドゥサ革命の際は、コラソン・アキノについてマルコスに反旗を翻したエンリレ国防相・ラモス参謀長への支援を呼びかける放送をした。
1988年 12月1日を世界エイズデーに。 世界保健機関 (WHO) がエイズ問題への人々の意識を高めることを目的として制定。


W今日の言葉  皇帝  カイサロス(ギリシア語)、カエサル(ラテン語)
 時の皇帝はティベリウス(14-37年在位;アウグストゥスの義子。属州統治、財政立て直しに努力)。暴君のため、ピラトはユダヤ人の言葉に恐れをなした。
ユダヤ人にとり神こそが王で、皇帝を王として内心として認めたりはしていなかった。しかしここでは、群集がイエスよりバラバを選んだように、王としてイエスでなく、ティベリウスを認める。


Pワンポイント  過越祭の準備の日の、正午ごろ
 この時刻に、過越の小羊のが始まる。イエスは旧約時代の過越の小羊に代わり、真の過越の小羊として、十字架でほふられることになる(→10月13日W 小羊)。
 「いつも新しい練り粉のままでいられるように、古いパン種をきれいに取り除きなさい。現に、あなたがたはパン種の入っていない者なのです。キリストが、わたしたちの過越の小羊として屠られたからです(Iコリ5:7)」。



今日の祈り

キリスト教歳時記336  12月2日
B今日の福音
 マタ27:24-26 ピラトは、それ以上言っても無駄なばかりか、かえって騒動が起こりそうなのを見て、水を持って来させ、群衆の前で手を洗って言った。「この人の血について、わたしには責任がない。お前たちの問題だ。」民はこぞって答えた。「その血の責任は、我々と子孫にある。」そこで、ピラトはバラバを釈放し、イエスを鞭打ってから、十字架につけるために引き渡した。
マタ27:31-32【十字架につけられる(マコ15:21ー32、ルカ23:26ー43、ヨハ19:17ー27)】このようにイエスを侮辱したあげく、外套を脱がせて元の服を着せ、十字架につけるために引いて行った。兵士たちは出て行くと、シモンという名前のキレネ人に出会ったので、イエスの十字架を無理に担がせた。


C今日の暦
1859年 ジョン・ブラウン処刑される(1800年-)。アメリカの奴隷制度廃止運動家。初めて反乱を唱道し実行した。
1942年 シカゴ大学内の実験用小型原子炉で、世界で初めてウランの核分裂の持続的な連鎖反応に成功。原子炉の日となる。
1949年 国連総会決議「人身売買および他者の搾取の禁止に関する条約」が採択。奴隷制度廃止国際デーとなる。
2001年 アメリカの大手エネルギー会社、エンロンが経営破綻。巨額の不正経理・不正取引による粉飾決算が明るみに出て。


W今日の言葉   十字架刑
 ローマ法の死刑の中でも最も残酷な刑罰。 ローマ市民権を持たない奴隷などが、ローマ皇帝、または帝国に対し、反逆罪を犯した場合に適用された。十字架の横木だけで60キロあるといわれる。
 十字架刑に処す前には、習慣として鞭打ちを行った。これは死を早めるためである。裸にして柱に縛り、先端に鉛のついた長い革ひもや鎖で、鞭打った。ユダヤの律法では鞭打ちの回数は40を超えてはならないと決まりがあるが(申命25:3)、ローマ法ではそのような制限はない。
※シモンという名前のキレネ人  キレネはギリシアの対岸アフリカ北岸の町。多くのユダヤ人が居住(使徒2:10)。今日のトリポリ。
 次の記述などからのちに信者となったとされる。
  「アレクサンドロとルフォスとの父でシモンというキレネ人(マコ15:21)」
  「主に結ばれている選ばれた者ルフォス、およびその母によろしく。彼女はわたしにとっても母なのです(ロマ16:13)」。


Pワンポイント   群衆の前で手を洗って
 ピラトには責任がないことを群集の前で知らせるため、ユダヤ人にも異邦人にも知られる手洗いの式を行う。
 「死体に最も近い町の長老たちは皆、川で首を折られた雌牛の上で手を洗い、証言して言わねばならない。「我々の手はこの流血事件とかかわりがなく、目は何も見ていません。主よ、あなたが救い出されたあなたの民、イスラエルの罪を贖い、あなたの民、イスラエルのうちに罪なき者の血を流した罪をとどめないでください(申命21:6-8)」。


今日の祈り

キリスト教歳時記337  12月3日
B今日の福音
 ルカ23:27-32 民衆と嘆き悲しむ婦人たちが大きな群れを成して、イエスに従った。イエスは婦人たちの方を振り向いて言われた。「エルサレムの娘たち、わたしのために泣くな。むしろ、自分と自分の子供たちのために泣け。人々が、『子を産めない女、産んだことのない胎、乳を飲ませたことのない乳房は幸いだ』と言う日が来る。そのとき、人々は山に向かっては、『我々の上に崩れ落ちてくれ』と言い、丘に向かっては、『我々を覆ってくれ』と言い始める。『生の木』さえこうされるのなら、『枯れた木』はいったいどうなるのだろうか。」ほかにも、二人の犯罪人が、イエスと一緒に死刑にされるために、引かれて行った。


C今日の暦
○日本の宣教の保護者聖フランシスコ・ザビエル司祭(1506-1552年)。スペイン北で生まれる。パリの大学で哲学の助教授となるが、そこでイグナチオ・デ・ロヨラと友となり、キリストに生涯をささげるよう誘われた。10人の仲間とともにイエズス会の創立に参加。叙階後、インド、マレーシア、インドネシア、フィリピンなど宣教。マラッカで日本人ヤジロウに会い、1549年8月15日鹿児島に渡る。支配者に回収させることが近道との方針で、京都の将軍、山口の大内義隆から布教の許可を得た。さらに中国に渡ろうとして病に伏した。 遺体がインドのゴアに安置され、腐敗からまぬかれている。
311年 ディオクレティアヌス没(244年-)。ローマの最後の軍人皇帝。専制君主制を行い、四分治世を行った。キリスト信者を迫害した最後の皇帝。
1930年 フランシスコ会士、沖縄での宣教を始め、沖縄教会を創立する
1940年 岩下壮一神父帰天(1889年-)。 東京帝国大学哲学科を卒業後、欧米に留学。カトリック司祭となり、宣教とハンセン病患者に尽くす(1930年神山復生病院6代目院長)。中心となって作った公教青年会は、1920年に『カトリック』を創刊。また「カトリック新聞」の前身『公年會々報』を発行。1933年学生指導のため聖フヰリッポ寮を設立し、それが今の真生会館(四谷)。
記念日・年中行事[編集]
1982年 「障害者に関する世界行動計画」が国連で採択。国際障害者デーとなる。


W今日の言葉
※婦人たち     イエスに仕えてきた婦人たち(ルカ8:1-3)
※子を産めない女  「主よ、彼らに与えてくださいあなたが与えようとされるものを。彼らに与えてください子を産めない胎と枯れた乳房を(ホセ9:14)。
※山に向かっては  「アベンの聖なる高台このイスラエルの罪は破壊され、茨とあざみがその祭壇の周りに生い茂る。そのとき、彼らは山に向かい「『我々を覆い隠せ』、丘に向かっては「『山に向かっては我々の上に崩れ落ちよ』と叫ぶ(ホセ10:8)」。


Pワンポイント   『生の木』さえこうされるのなら、『枯れた木』はいったいどうなる
 霊に満たされ生き生きしている神の子イエスがこのような苦しみを負わされるなら、霊的に枯れている罪多きユダヤ人は、どれだけの罰を受けるだろう。実際に、40年後、エルサレム崩壊(70年)で実現する(→1月19日※ イスラエルの簡単な歴史)。



今日の祈り

キリスト教歳時記338  12月4日
B今日の福音
 マコ15:22-25,27-28 そして、イエスをゴルゴタという所--その意味は「されこうべの場所」--に連れて行った。没薬を混ぜたぶどう酒を飲ませようとしたが、イエスはお受けにならなかった。それから、兵士たちはイエスを十字架につけて、その服を分け合った、だれが何を取るかをくじ引きで決めてから。イエスを十字架につけたのは、午前九時であった。また、イエスと一緒に二人の強盗を、一人は右にもう一人は左に、十字架につけた。[こうして、「その人は犯罪人の一人に数えられた」という聖書の言葉が実現した。]
ルカ23:34 そのとき、イエスは言われた。「父よ、彼らをお赦しください。自分が何をしているのか知らないのです。」人々はくじを引いて、イエスの服を分け合った。


C今日の暦
1563年 トリエント公会議(第19回公会議)、ピウス4世のもと閉会。 教皇パウルス3世により宗教改革の危機を克服するため1545年に開かれた。2009年 京都朝鮮学校公園占用抗議事件


W今日の言葉
※ゴルゴタ        (<グルグルタ;アラム語)。されこうべの場所。 ラテン語では「カルバリオの場所」。
※没薬を混ぜたぶどう酒   「苦いものを混ぜたぶどう酒(マタ27:36)」(胆汁を混ぜた;フランシスコ会訳)。強く、麻酔作用がある酒で処刑前に飲むと苦痛がやわらげられる。鞭打ちですでに傷ついているイエスはそれを飲む余裕もなかった。
  「人はわたしに苦いものを食べさせようとし、渇くわたしに酢を飲ませようとします(詩編69:22)」。
※その人は犯罪人の一人に数えられた  「それゆえ、わたしは多くの人を彼の取り分とし、彼は戦利品としておびただしい人を受ける。彼が自らをなげうち、死んで、罪人のひとりに数えられたからだ。多くの人の過ちを担い、背いた者のために執り成しをしたのは、この人であった(イザ53:12)」。
※彼らをお赦しください   彼らとはイエスを刑に定めたユダヤの宗教指導者、ユダヤ人のことだろう。 なおキリストの弟子の最初の殉教者、ステファノも同じように祈った。
  「人々が石を投げつけている間、ステファノは主に呼びかけて、『主イエスよ、わたしの霊をお受けください』と言った。それから、ひざまずいて、『主よ、この罪を彼らに負わせないでください』と大声で叫んだ(使徒7:59-60)。


Pワンポイント   トレント公会議
 「聖書のみ」という主張を退け、聖書と聖伝が教えのよりどころとした(聖書も教会の中で成立し、教会が範囲を定めた)。(→5月13日P)
 ヴルガータ訳(ラテン語)が公式聖書。ルターが省いた第二正典は正典(旧約の後期、ギリシア語で書かれたもの)。
 義化の問題。「救いは恩寵のみによる」の主張に対し、恩寵が義化の根本と認めつつも、人間の協働に意味を認めた。
 7の秘跡の確認(洗礼、堅信、聖体、ゆるし、終油、叙階、婚姻)。(→1月27日W洗礼)
  聖体に関し、聖変化によってパンとワインがキリストの体と血になる(実体変化)と確認。
   (イエス自身がはっきりと、わたしの体、わたしの血と言っている。マタ26:26、Iコリ11:24)。
 贖宥状の販売や金銭による取引を禁止しつつも、依然「免償(贖宥)」の意義は保たれる。
 聖人、聖遺物の崇敬、煉獄や諸聖人の通効(交わり、執り成し)などの教義は有効。


今日の祈り

キリスト教歳時記339  12月5日
B今日の福音
 ヨハ19:19-24 ピラトは罪状書きを書いて、十字架の上に掛けた。それには、「ナザレのイエス、ユダヤ人の王」と書いてあった。イエスが十字架につけられた場所は都に近かったので、多くのユダヤ人がその罪状書きを読んだ。それは、ヘブライ語、ラテン語、ギリシャ語で書かれていた。ユダヤ人の祭司長たちがピラトに、「『ユダヤ人の王』と書かず、『この男は「ユダヤ人の王」と自称した』と書いてください」と言った。しかし、ピラトは、「わたしが書いたものは、書いたままにしておけ」と答えた。
 兵士たちは、イエスを十字架につけてから、その服を取り、四つに分け、各自に一つずつ渡るようにした。下着も取ってみたが、それには縫い目がなく、上から下まで一枚織りであった。そこで、「これは裂かないで、だれのものになるか、くじ引きで決めよう」と話し合った。それは、「彼らはわたしの服を分け合い、わたしの衣服のことでくじを引いた」という聖書の言葉が実現するためであった。兵士たちはこのとおりにしたのである。


C今日の暦
1791年 アマデウス・モーツアルト没(1756年-)。 オーストリアの作曲家。ハイドン、ベートーヴェンと並ぶウィーン古典派三大巨匠。称号は神聖ローマ帝国皇室宮廷作曲家。リューマチ熱により死亡? 死の間際病者の塗油は拒んだ。フリーメーソンもパトロンだった。
 宗教音楽としては『ミサ曲ハ短調』『「レクイエム(未完)』『アヴェ・ヴェルム・コルプス』など。
1955年 アメリカ・アラバマ州で、マーティン・ルーサー・キング牧師(1929-1968年;バプテスト派)の指導で黒人差別反対の非暴力バス・ボイコット運動開始。1年続く。(→1月15日C)。 白人に席を譲るのを拒否した黒人女性が逮捕されたことを機に。
 1963年「I Have a Dream(私には夢がある)」と人種差別の撤廃と各人種の協和という高邁な理想を演説(→8月28日C)。
 1968年 暗殺される(4月4日C)。
 その41年後、アメリカ人とケニア人の混血であるバラク・オバマが大統領に就任(夫人は黒人奴隷の子孫)
2013年 マンデラ帰天(1918年-) 「あまりにも長く続きすぎた異常な人災の経験からは、全人類が誇りに思うような社会が生まれるに違いない」(→6月12日C)


W今日の言葉   服を分け合った
 死刑執行者は処刑された人が残したものを処分する権利を持っていた。
 「骨が数えられる程になったわたしのからだを彼らはさらしものにして眺め わたしの着物を分け、衣を取ろうとしてくじを引く(詩編22:18-19)」。 


Pワンポイント   イエスの十字架こそ命の木
 「主なる神は、見るからに好ましく、食べるに良いものをもたらすあらゆる木を地に生えいでさせ、また園の中央には、命の木と善悪の知識の木を生えいでさせられた(創世2:9)」。
 「主なる神は言われた。『人は我々の一人のように、善悪を知る者となった。今は、手を伸ばして命の木からも取って食べ、永遠に生きる者となるおそれがある。』主なる神は、彼をエデンの園から追い出し、彼に、自分がそこからとられた土を耕させることにされた。こうしてアダムを追放し、命の木に至る道を守るために、エデンの園の東にケルビムと、きらめく剣の炎を置かれた(創世3:22-24)」。





今日の祈り

キリスト教歳時記340  12月6日
B今日の福音
マタ27:35-36 彼らはイエスを十字架につけると、くじを引いてその服を分け合い、そこに座って見張りをしていた。
マタ27:39-44 そこを通りかかった人々は、頭を振りながらイエスをののしって、言った。「神殿を打ち倒し、三日で建てる者、神の子なら、自分を救ってみろ。そして十字架から降りて来い。」同じように、祭司長たちも律法学者たちや長老たちと一緒に、イエスを侮辱して言った。「他人は救ったのに、自分は救えない。イスラエルの王だ。今すぐ十字架から降りるがいい。そうすれば、信じてやろう。神に頼っているが、神の御心ならば、今すぐ救ってもらえ。『わたしは神の子だ』と言っていたのだから。」一緒に十字架につけられた強盗たちも、同じようにイエスをののしった。


C今日の暦
○聖ニコラオ司教(-336年)。トルコの司教。ニカイア公会議に参加し、貧しい人に心を配り、ローマ帝国の迫害で投獄され、拷問を受けた。
 まだ信者だった頃、身売りを決めた3人の娘の家の窓に、金袋を投げ込み、身売りをしなくてすんだ。
 オランダで子どもに贈り物を送る日(オランダ語読みで、シンタ・クラース)。その習慣がアメリカに持ち込まれた時、なまってサンタクロースと呼ばれるように。  カトリックの典礼歴からは外されている。
1921年 大英帝国内の自治国としてアイルランド自由国の建国が決定。


W今日の言葉   神の子なら
 「本当に彼が神の子なら、助けてもらえるはずだ。敵の手から救い出されるはずだ(知恵2:18)」。
 「主に頼んで救ってもらうがよい。主が愛しておられるなら助けてくださるだろう(詩編22:9)」。
 「わたしを見る人は皆、わたしを嘲笑い、唇を突き出し、頭を振る(詩編22:8)」。
 神に創られたものでしかない人間が、神に対して、条件を満たせば、信じてやろうと、神の上に立って取引しようとする(→3月15日P)。
 これはイエスが、(神になることを願って天使から悪魔に堕落したその)、悪魔から誘惑に際にかけられた言葉でもある。「神の子なら、この石にパンになるように命じたらどうだ(ルカ4:3)」(→1月31日P)。
 ここに原罪に汚された人間の姿がある。「蛇は女に言った。 『決して死ぬことはない。それを食べると、目が開け、神のように善悪を知るものとなることを神はご存じなのだ。』女が見ると、その木はいかにもおいしそうで、目を引き付け、賢くなるように唆していた。女は実を取って食べ、一緒にいた男にも渡したので、彼も食べた』(創世3:4-6)」。


Pワンポイント   原罪
 人祖アダムとその妻エバは、蛇に姿を変えた悪魔によって、エデンの園で誘惑され、神によって食べることを禁じられた木の実を食べた。神のように善悪を知り、賢くなることを望んだからだ。その結果、神との緊密な関係、また人間同士の完全な信頼関係がくずれ、人間には死が入りこむようになった。この罪はその子孫である全人類に及んでいる。
 こうしてアダムの神への背きの罪のために、死が人間に入った。
 しかしイエスは、ゲツセマネの園で試練に打ち勝ち、神への従順(それも十字架に死に至るまでの従順;フィリ2:8)を貫いた。それによって永遠の命が再び人間に回復されることになる。「最初の人アダムは命のある生き物となったと書いてありますが、最後のアダムは命を与える霊となったのです(Iコリ15:45)」。




今日の祈り

キリスト教歳時記341 12月7日
B今日の福音
 ルカ23:39-43 十字架にかけられていた犯罪人の一人が、イエスをののしった。「お前はメシアではないか。自分自身と我々を救ってみろ。」すると、もう一人の方がたしなめた。「お前は神をも恐れないのか、同じ刑罰を受けているのに。我々は、自分のやったことの報いを受けているのだから、当然だ。しかし、この方は何も悪いことをしていない。」そして、「イエスよ、あなたの御国においでになるときには、わたしを思い出してください」と言った。するとイエスは、「はっきり言っておくが、あなたは今日わたしと一緒に楽園にいる」と言われた。


C今日の暦
○聖アンブロジオ司教教会博士(340-397年)。 ドイツで生まれ、ローマで勉学に励み、北イタリアで執政官となる。347年ミラノ在住でまだ非信者だったとき、信者が「アンブロジウオを司教に」と叫びだした。逃げ回ったが、結局、受洗し、司教に選出された。
 以後誠実に職務を果たし、教会の権利を皇帝に対し力強く擁護した(皇帝は教会の上ではなく、教会の中にいる)。
 アリウス派(次の皇帝がアレイオス派でアンブロジオを逮捕しようとした)に対して、正当な信仰を守った。
1798年 スイスの教育者ペスタロッチ(1746-1827年)が孤児院を開設。
ルソーの自然主義思想の影響を受け、自発性、直感を重視しつつ、孤児、児童教育にささげた。宗教的、道徳的心情を中心とした諸能力の調和的発展を教育の目的とし、実践した。
1965年 カトリック教会、東方教会との対立解消(教皇パウロ6世とコンスタンディヌーポリ総主教が911年にわたる相互の破門を解消)。
  (→1月5日P 東西教会が分かれた理由、4月12日C)


W今日の言葉
※楽園 パラディソス
 楽しみの場所。永遠の平安と幸福に満ちた場所。
  「勝利を得る者には、神の楽園にある命の木の実を食べさせよう(黙示2:7)」。
 ギリシア語旧約聖書ではエデンの「園(創世2、創世3)」でも使われる。
  「この貧しい人は死んで、天使たちによって宴席にいるアブラハムのすぐそばに連れて行かれた(ルカ16:22)」。
※「御国においでになるときには(新共同訳)」   「み国に入られるとき(フランシスコ会訳)」
 「御国の権威をもっておいでになる時には(口語訳)」「御国の位にお着きになるときには(新改訳)」


Pワンポイント
    十字架上の7つの言葉
父よ、彼らの罪を許してください。                ルカ23:34
あなたは今日私とともに楽園にいる                ルカ23:43
女よ、これがあなたの子です。                       ヨハ19:27
わが神わが神どうして私を見捨てられるのか  マタ27:45 マコ15:34  詩編22:2
乾く                                   ヨハ19:28
成し遂げられた。                             ヨハ19:30  詩編22:31
父よ、あなたの手に私の霊をゆだねます。             ルカ23:46



今日の祈り

キリスト教歳時記342  12月8日
B今日の福音
 ヨハ19:25-27 イエスの十字架のそばには、その母と母の姉妹、クロパの妻マリアとマグダラのマリアとが立っていた。イエスは、母とそのそばにいる愛する弟子とを見て、母に、「婦人よ、御覧なさい。あなたの子です」と言われた。それから弟子に言われた。「見なさい。あなたの母です。」そのときから、この弟子はイエスの母を自分の家に引き取った。


C今日の暦
○無原罪の聖マリア  1854年にピウス9世により宣言された。「人類の救い主キリスト・イエスの功績を考慮して、処女マリアは、全能の神の特別な恩恵と特典によって、その恩宿りの最初の瞬間において、原罪のすべての汚れから前もって保護されていた」。
 マリアは恵みに満ちている(ルカ1:28)ので、神から特別に、存在の最初の瞬間から、あらゆる罪から守られた。マリアが神(=イエス)の母であることにももとづく。そしてこれはしみもしわも汚れもない聖なる教会(エフェ5:27)の前表とされる。
1869年 第1バチカン公会議開会。この中で教皇不可謬性を宣言
1941年 マレー作戦・真珠湾攻撃(日本時間)。日本が米英に宣戦布告。
1965年 第2バチカン公会議閉幕
1980年 ジョン・レノンが、ニューヨークの自宅前でファンに射殺される。


W今日の言葉   母と母の姉妹、クロパの妻マリアとマグダラのマリアとが立っていた
 「マグダラのマリア、ヤコブとヨセフの母マリア、ゼベダイの子らの母がいた(マタ27:56)」。「マグダラのマリア、小ヤコブとヨセフの母マリア、そしてサロメがいた(マコ15:40)」。
   使徒小ヤコブとヨセフ(イエスの従兄弟にあたる)の母マリア。 ゼベダイの子ら(使徒ヨハネと使徒大ヤコブ)の母マリア・サロメ
 マリアたちは、十字架のイエスの元でしっかり立って最期を見届ける。けっして泣き崩れて、しゃがみこんだりしない。
 その姿(スターバト・マーテル Stabat Mater;母は立っていた)はさまざま作曲されている。
 ジョスカン・デ・プレ(16世紀)、パレストリーナ(1590年)、ヴィヴァルディ(1715)、スカルラッティ(1724)、ペルゴレージ(1736)、ハイドン(1767)、シューベルト(1815-6)、ロッシーニ(1837)、グノー(1867)、ドヴォルザーク(1877)、ヴェルディ(1898)、シマノフスキ(1926)、プーランク(1950)、ペンデレツキ(1962)、アルヴォ・ペルト(1985年)


Pワンポイント
 アダムとエヴァの罪以降、すべての人間は原罪を負うようになった。これを滅ぼしたのはイエスの十字架の贖いの業によってのみである。マリアの場合はこのイエスの贖いの業を、前もって受け、原罪からマリアを守ったのである。
 古代教父(リヨンのエイレナイオス、4世紀エルサレムのキュリロス、、ヒッポのアウグスティヌスやアンティオキアのアタナシオス)が第二のエヴァとしてのマリア、至聖なるマリアについて触れていた。カトリック教会ではすでに7世紀からこの祝日が知られていた。
 無原罪のマリアについて、これを認めるドン・スコトゥス(1264-1308年)らフランシスコ会とそれに反対するアクィナスらドミニコ会との間で、12,13世紀から長い論争が続いた。ピウス9世は教皇は、あらかじめ世界の司教から意見を聴取し、賛同を受けた上で、この長い論争に決着をつけ、信仰箇条として宣言した。


今日の祈り

キリスト教歳時記343  12月9日
B今日の福音
 マタ27:45-47【イエスの死(マコ15:33ー41、ルカ23:44ー49、ヨハ19:28ー30)】さて、昼の十二時に、全地は暗くなり、それが三時まで続いた。三時ごろ、イエスは大声で叫ばれた。「エリ、エリ、レマ、サバクタニ。」これは、「わが神、わが神、なぜわたしをお見捨てになったのですか」という意味である。そこに居合わせた人々のうちには、これを聞いて、「この人はエリヤを呼んでいる」と言う者もいた。
 ヨハ19:28-30 この後、イエスは、すべてのことが今や成し遂げられたのを知り、「渇く」と言われた。こうして、聖書の言葉が実現した。そこには、酸いぶどう酒を満たした器が置いてあった。人々は、このぶどう酒をいっぱい含ませた海綿をヒソプに付け、イエスの口もとに差し出した。イエスは、このぶどう酒を受けると、「成し遂げられた」と言い、頭を垂れて息を引き取られた。


C今日の暦
1531年 メキシコ・グアダルーペのインディオ、フアン・ディエゴの前に聖母が現れた。聖母は、司教に聖母の大聖堂を建設する願いを伝えるよう求めた。病気の親類の助けを求めていこうとしていたディエゴがふりきって去ろうとすると、聖母は彼を制止し、親類の回復を告げ、実際癒されていた。聖母から「司教へしるしとして花を持っていくよう」いわれたディエゴは、花をマントに包み、司教館に運んだ。司教館に花を届けた際、マントには聖母の姿が映し出されていた。これを機に六百万の先住民をが洗礼を受けた。
 フランスのルルド、ポルトガルのファティマと並ぶ公認された聖母の出現の出来事(→2月13日P 聖母の出現)。
1867年 ジラール神父帰天。パリ外国宣教会のフランス人宣教師。沖縄で日本語を学び、初代フランスの通訳を務めた。
1916年 夏目漱石(1867年-)。小説家。近代人の孤独や不安、エゴイズムを追及。晩年は則天去私の境地を求めた。
  『吾輩は猫である』『坊っちゃん』『三四郎』『それから』『こころ』『明暗』


W今日の言葉
※三時   過越の祭りの前日の金曜午後三時は、神殿で、小羊が祭司によりほふられる時でもある
※わが神、わが神、なぜわたしをお見捨てになったのですか     「わたしの神よ、わたしの神よ、なぜわたしをお見捨てになるのか。なぜわたしを遠く離れ、救おうとせず、呻きも言葉を聞いてくださらないのか(詩編22:2)」。
※暗くなり  ニサンの月の満月だったから日食のような自然現象でなく、奇跡によるもの。
 闇は苦悩の象徴(哀歌3:2)で、罪人に対する呪いと罰の意味が含まれる。
  「災いだ、主の日を待ち望む者は。主の日はお前たちにとって何か。それは闇であって、光ではない(アモ5:18)」。
※(酸い)ぶどう酒をいっぱい含ませた海綿をヒソプに付け、イエスの口もとに差し出した。
  「人はわたしに苦いものを食べさせようとし、渇くわたしに酢を飲ませようとします(詩編69:22)」。
※成し遂げられた    請求書で完済されたときに使う商売用語


Pワンポイント   詩編22
「わたしの神よ、わたしの神よ、なぜわたしをお見捨てになるのか。なぜわたしを遠く離れ、救おうとせず、呻きも言葉も聞いてくださらないのか。わたしの神よ、昼は、呼び求めても答えてくださらない。夜も、黙ることをお許しにならない。 」(2-3)
「わたしは虫けら、とても人とはいえない。人間の屑、民の恥。 わたしを見る人は皆、わたしを嘲笑い、唇を突き出し、頭を振る。『主に頼んで救ってもらうがよい。主が愛しておられるなら、助けてくださるだろう。』」(7-9)
 「雄牛が群がってわたしを囲み、バシャンの猛牛がわたしに迫る。餌食を前にした獅子のようにうなり、牙をむいてわたしに襲いかかる者がいる。」(13-14)
「わたしは水となって注ぎ出され、骨はことごとくはずれ、心は胸の中で蝋のように溶ける。…骨が数えられる程になったわたしのからだを、彼らはさらしものにして眺め、わたしの着物を分け、衣を取ろうとしてくじを引く。」(15-19)
 「主よ、あなただけは、わたしを遠く離れないでください。わたしの力の神よ、今すぐにわたしを助けてください。 」(20)
 「わたしは兄弟たちに御名を語り伝え、集会の中であなたを賛美します。 主を畏れる人々よ、主を賛美せよ。ヤコブの子孫は皆、主に栄光を帰せよ。イスラエルの子孫は皆、主を恐れよ。」(23ー24節)
 「主は貧しい人の苦しみを、決して侮らず、さげすまれません。御顔を隠すことなく、助けを求める叫びを聞いてくださいます 」(25)


今日の祈り

キリスト教歳時記344  12月10日
B今日の福音
ルカ23:46 イエスは大声で叫ばれた。「父よ、わたしの霊を御手にゆだねます。」こう言って息を引き取られた。
 マタ27:51-56 そのとき、神殿の垂れ幕が上から下まで真っ二つに裂け、地震が起こり、岩が裂け、墓が開いて、眠りについていた多くの聖なる者たちの体が生き返った。そして、イエスの復活の後、墓から出て来て、聖なる都に入り、多くの人々に現れた。百人隊長や一緒にイエスの見張りをしていた人たちは、地震やいろいろの出来事を見て、非常に恐れ、「本当に、この人は神の子だった」と言った。またそこでは、大勢の婦人たちが遠くから見守っていた。この婦人たちは、ガリラヤからイエスに従って来て世話をしていた人々である。その中には、マグダラのマリア、ヤコブとヨセフの母マリア、ゼベダイの子らの母がいた。


C今日の暦
1520年 ルターが、自説を撤回しなければ破門するとの教皇レオ10世による警告文書を焼く。
1901年 田中正造が足尾銅山の鉱毒事件について明治天皇に直訴。
1948年 国連総会で「世界人権宣言」を採択。これを記念し、1950年から世界人権デーと定められる。
1968年 カール・バルト(1886年-)。スイスの神学者。その思想は弁証法神学や危機神学、あるいは新正統主義と呼ばれ、20世紀のキリスト教神学に大きな影響を与えた(バルト自身は自らの神学を「神の言葉の神学」と呼んでいる)。1934年、ナチス・ドイツの政策に従うドイツ福音主義教会に対して、告白教会の理論的指導者となり、バルメン宣言を起草した(→4月30日P ヒトラーとキリスト教)。


W今日の言葉
※父よ、わたしの霊を御手にゆだねます
  アダムはエデンの園で神に逆らい死をもたらした。イエスはゴルゴダで神に従いきって命をもたらした
  「まことの神、主よ、御手にわたしの霊をゆだねます。わたしを贖ってください(詩編31:6)」。
※垂れ幕が上から下まで真っ二つに裂け
 神殿には2つの垂れ幕があった。一つは至聖所の入り口、一つは聖所の入り口にあった。
 すべての人間が、イエスの犠牲に、神と和解し、至聖所に近づくことができるようになったこと。あるいは大祭司しか入れなかった至聖所に、これからは誰もが入り神に近づくことができることを意味する(ヘブ9:6-14、ヘブ10:19-20)。
※多くの聖なる者たちの体が生き返った   イザ26:19、ダニ12:2、エゼ37
※本当に、この人は神の子だった(→2月22日P イエスの正体)
  ここは異邦人の告白あり、「神そのものだった」「人間以上のものだった」「正しい人だった」「イエスのほうが正しかった」。いずれに取ることも可能だろう。
  「百人隊長はこの出来事を見て、『本当に、この人は正しい人だった』と言って、神を賛美した(ルカ23:47)」。


Pワンポイント   墓
 世界は聖なる神の領域と俗なる人間の領域の緊張からなると思われた。そしてこの領域の中間である砂漠、川、山、荒野、墓場に悪霊が住むと考えられた。


今日の祈り

キリスト教歳時記345  12月11日
B今日の福音
 ヨハ19:31-37【イエスのわき腹を槍で突く】その日は準備の日で、翌日は特別の安息日であったので、ユダヤ人たちは、安息日に遺体を十字架の上に残しておかないために、足を折って取り降ろすように、ピラトに願い出た。そこで、兵士たちが来て、イエスと一緒に十字架につけられた最初の男と、もう一人の男との足を折った。イエスのところに来てみると、既に死んでおられたので、その足は折らなかった。しかし、兵士の一人が槍でイエスのわき腹を刺した。すると、すぐ血と水とが流れ出た。それを目撃した者が証ししており、その証しは真実である。その者は、あなたがたにも信じさせるために、自分が真実を語っていることを知っている。これらのことが起こったのは、「その骨は一つも砕かれない」という聖書の言葉を実現するためであった。また、聖書の別の所に、「彼らは、自分たちの突き刺した者を見る」とも書いてある。


C今日の暦
1637年 島原の乱始まる(-1638年) 原城陥落をもって終結(原城は元和の一国一城令で廃城となっていた)。
 島原藩主は島原城建設による財政逼迫により苛政を敷いた。年貢を納められない農民や改宗を拒んだキリシタンを拷問・処刑。これに対し農民一揆が起こった。島原半島から天草に飛び火、島原城・富岡城を襲撃した。天草と合流約3万7千人が原城に立て籠もった。小西行長の家臣の子孫、天草四郎を総大将に、組織だった籠城戦を展開し、幕府軍と戦闘。3か月に及ぶ籠城は補給もなく、弾薬・兵糧が尽き壊滅。皆殺しにされ、原城は徹底的に破壊された(この際一揆軍はイエズス会と縁の深いカトリック国ポルトガルの援軍を期待したと考える研究者もいる)。 島原藩主も苛政により乱を引き起こした責任から、大名として前例ない斬首にされた。
 単なる宗教弾圧に対する抵抗運動ではなく、また武器を持って戦っているので、これに加わったキリスト者は殉教者とはみなされない。
1946年 国際連合児童基金(ユニセフ)発足。児童への援助、食事提供、結核予防、栄養知識の普及など保健活動を行う。
1983年 教皇ヨハネ・パウロ2世、歴代教皇としてはじめてローマにあるルーテル教会を訪問。


W今日の言葉
※準備の日  安息日(土曜夜から始まる)の前で、安息日のためにすべての準備をしなければいけない日(→2月24日W 日が暮れると)。
※遺体を十字架の上に残しておかないため    ローマの習慣では、十字架に架けられた罪人の体はそのままさらされていた。しかし請願があれば死体は引き渡された。またユダヤの律法では、十字架上にさらしておくことはできなかった。
 「ある人が死刑に当たる罪を犯して処刑され、あなたがその人を木にかけるならば、死体を木にかけたまま夜を過ごすことなく、必ずその日のうちに埋めねばならない。木にかけられた死体は、神に呪われたものだからである。あなたは、あなたの神、主が嗣業として与えられる土地を汚してはならない(申命21:22-23)。」
※足を折って    死を早めるためにそうした
※死んでおられたので、その足は折らなかった
  イエスは旧約の過越の小羊に代わる新約の過越の羊。「キリストが、わたしたちの過越の小羊として屠られたからです(Iコリ5:7)」。
  それで「その(過越の犠牲の羊)骨を折ってはならない(出エジ12:46)」の規定が結果として守られた。
※血と水    洗礼と聖体を象徴する
※その者    著者とされるヨハネ
※彼らは、自分たちの突き刺した者を見る  「彼らは、彼ら自らが刺し貫いた者であるわたしを見つめ、独り子を失ったように嘆き、初子の死を悲しむように悲しむ(ゼカ12:10)」。



今日の祈り

キリスト教歳時記346  12月12日
B今日の福音
 マコ15:42-45【墓に葬られる(マタ27:57ー61、ルカ23:50ー56、ヨハ19:38-42)】既に夕方になった。その日は準備の日、すなわち安息日の前日であったので、アリマタヤ出身で身分の高い議員ヨセフが来て、勇気を出してピラトのところへ行き、イエスの遺体を渡してくれるようにと願い出た。この人も神の国を待ち望んでいたのである。ピラトは、イエスがもう死んでしまったのかと不思議に思い、百人隊長を呼び寄せて、既に死んだかどうかを尋ねた。そして、百人隊長に確かめたうえ、遺体をヨセフに下げ渡した。
ヨハ19:39 そこへ、かつてある夜、イエスのもとに来たことのあるニコデモも、没薬と沈香を混ぜた物を百リトラばかり持って来た。
マコ15:46 ヨセフは亜麻布を買い、イエスを十字架から降ろしてその布で巻き、岩を掘って作った墓の中に納め、墓の入り口には石を転がしておいた。
ルカ23:55-56 イエスと一緒にガリラヤから来た婦人たちは、ヨセフの後について行き、墓と、イエスの遺体が納められている有様とを見届け、家に帰って、香料と香油を準備した。婦人たちは、安息日には掟に従って休んだ。


C今日の暦
1901年 マルコーニがイギリス・カナダ間(3400キロ)の大西洋横断無線通信を成功させる。
1956年 日本の国連加盟が安保理の全会一致で決定。
1988年 岩波書店が絵本『ちびくろサンボ』を絶版とする。


W今日の言葉
※アリマタヤのヨセフ   身分が高く、金持ち(マタ27:57)で善良な正しい人(ルカ23:50-51)。ニコデモと共に、議員としてイエスの裁判にて「同僚の決議や行動に同意しなかった(ルカ23:50f)」。最期にあたり勇気を出して、公に信仰を言い表した。
※ニコデモ(→6月24日W)
※布でまき   通常死体は洗い清められ、没薬や香料を塗って、亜麻布に包んで葬られた(→8月25日W 布)。イエスの場合は日没には安息日が始まるので、ていねいに洗い清める暇がなかった。とりあえず没薬と香料と共に亜麻布に包んで葬った。トリノに保存された聖骸布はこの亜麻布と言われる。
※沈香  香料の一種
※百リトラ  30キログラム。
※墓   ヨセフが自分のため岩を掘って作った横穴式のもの。刑場に近かった(ヨハ19:42)。入口は大きな石一つでふさいだ。これは腐敗臭が漏れたり、動物によって遺体が荒らされないようにするためである。(→8月23日W 墓)


Pワンポイント  トリノの聖骸布
 縦4.36m、横1.1m。象牙色の布の上に、痩せた男性の全身像がネガ状に転写されているように見える。裏には当て布があてられ、はがすと人物の姿は見られず、血の染みのみが見られる。布上に残された全身像の痕跡から、頭を中心に縦に二つ折りにして遺骸を包んだと見られ、頭部、手首、足、脇腹部分には血痕が残っている。 真偽について決着はついていない。


今日の祈り

キリスト教歳時記347  12月13日
B今日の福音
 マタ27:62-66【番兵、墓を見張る】明くる日、すなわち、準備の日の翌日、祭司長たちとファリサイ派の人々は、ピラトのところに集まって、こう言った。「閣下、人を惑わすあの者がまだ生きていたとき、『自分は三日後に復活する』と言っていたのを、わたしたちは思い出しました。ですから、三日目まで墓を見張るように命令してください。そうでないと、弟子たちが来て死体を盗み出し、『イエスは死者の中から復活した』などと民衆に言いふらすかもしれません。そうなると、人々は前よりもひどく惑わされることになります。」ピラトは言った。「あなたたちには、番兵がいるはずだ。行って、しっかりと見張らせるがよい。」そこで、彼らは行って墓の石に封印をし、番兵をおいた。


C今日の暦
○聖ルチアおとめ殉教者(4世紀)。ディオクレチアヌス帝のキリスト教迫害の時代に、シチリア島で殉教。
 母と二人で裕福に暮らすが、病気の母のため聖アガサの墓に巡礼したところ、癒された。そこでルチアは自身を神にささげる決心をするが、婚約者にキリスト者と密告されとらわれた。拷問で目をえぐられた。  ナポリの港サンタルチアの名称はこの聖人に由来。
1294年 教皇ケレスティヌス5世が半年で自ら教皇を退位(以後自らの意志で退位したのは719年後のベネディクト16世のみ)。  2年間紛糾のため教皇座空位が続き、不本意ながら教皇に選出された。次期教皇を狙っていたカエターニが、部下に教皇の寝室に伝声管を引かせ、毎晩「ただちに教皇職を辞し、隠者の生活に戻れ」と言わせ、神経衰弱に陥れられたとされる。
1901年 中江兆民(1847年-)。思想家、ジャーナリスト、政治家(衆議院議員)。フランス、ジャン=ジャック・ルソーを日本へ紹介し自由民権運動の理論的指導者となった。
1937年 日本軍が南京を陥落させ、南京攻略戦が終結。
1545年 トリエント公会議開始
1988年 日本司教協議会臨時総会で、典礼書および司教団文書の「イエス」表記を決議。それまでカトリックでは「イエズス」を使っていた。


W今日の言葉   封印
 墓をふさぐ岩に綱を張って端にろうそくをたらし、そのロウの上に印を彫刻した。


Pワンポイント   番兵がいるはずだ
 「番人がいるから(口語訳)」、「番兵を出してやるから(新改訳)」、「番兵を与える(フランシスコ会訳)」
 ユダヤ人には下役たちがいた(→6月21日W)。さらにピラトがすでにユダヤ人のために貸し与えているローマ兵を、そのために使用してもいいと許可を与えたとも解釈できる。


今日の祈り

キリスト教歳時記348  12月14日
B今日の福音
 マタ28:1-4【復活する(マコ16:1ー8、ルカ24:1ー12、ヨハ20:1ー10)】さて、安息日が終わって、週の初めの日の明け方に、マグダラのマリアともう一人のマリアが、墓を見に行った。すると、大きな地震が起こった。主の天使が天から降って近寄り、石をわきへ転がし、その上に座ったのである。その姿は稲妻のように輝き、衣は雪のように白かった。番兵たちは、恐ろしさのあまり震え上がり、死人のようになった。


C今日の暦
○聖ヨハネ(十字架の)司祭教会博士(1542-1591年)。スペインで生まれる。21歳でカルメル会入会。女子修道会の改革を始めていたアビラの聖テレジアと協力し、1568年男子カルメル会の改革に着手。改革に反対する人々により9ヶ月牢に入れられた。なお改革を進め、最後は意見の違いから役職を解かれ、一修道士として帰天した。
1799年 ジョージ・ワシントン没(1732年-)。アメリカの軍人、政治家、黒人奴隷農場主、初代大統領。対英国との独立革命を勝利に導き、連邦政府の基礎を確立した。
1987年 ハマース(イスラム抵抗運動)設立。イスラーム主義を掲げるパレスチナの政党。ムスリム同胞団のパレスチナ支部を母体として創設された。パレスチナ占領地で半イスラエル闘争を続けるイスラエル原理主義組織。 全パレスチナの解放を目指し、武装ゲリラ活動、爆弾テロ、砲撃を行う。中東和平交渉に反対、パレスチナ解放機構とも対立。2007年ガザ地区を武力制圧し、イスラム教に基づく福祉、教育、医療活動を行い、ガザ地区を初め、多くのパレスチナ人から支持を得ている。
1973年  豊川信用金庫事件(短期間に約26億円もの預貯金が引き出された)。そこに就職が決まった女子高生に友達が「(強盗が来る心配があるから)危ない」とからかったのが発端だった。
2006年 教皇ベネディクト16世、ギリシャ正教会の指導者クリストドゥロス・アテネ全ギリシャ大主教と完全な一致に向けて共同宣言。


W今日の言葉
※週の初めの日
 ユダヤ人にとり、1週間は安息日である土曜日で終わった。 日曜日は週の初めの日と呼ばれた。
 キリスト教はやがて、このイエスが復活した日曜日を「主の日(黙示1:10)」として大切にするようになり、土曜の安息日の代わりに守るようになった。
  「週の初めの日、わたしたちがパンを裂くために集まっていると(使徒20:7)」
※石をわきへ転がし   復活した栄光の体を持つイエスは、墓をふさぐ石によって妨げられることはない(ヨハ20:26)。むしろ女たちや弟子たちが、墓を確認できるようにした。


Pワンポイント 復活①
 聖書は、イエスを葬った墓が空となったこと。天使が証言したこと。イエスが弟子たちに出現したことをもって、イエスの復活を描く。



今日の祈り

キリスト教歳時記349  12月15日
B今日の福音
 マコ16:1-4 安息日が終わると、マグダラのマリア、ヤコブの母マリア、サロメは、イエスに油を塗りに行くために香料を買った。そして、週の初めの日の朝ごく早く、日が出るとすぐ墓に行った。彼女たちは、「だれが墓の入り口からあの石を転がしてくれるでしょうか」と話し合っていた。ところが、目を上げて見ると、石は既にわきへ転がしてあった。石は非常に大きかったのである。
ヨハ20:2,そこで、シモン・ペトロのところへ、また、イエスが愛しておられたもう一人の弟子のところへ走って行って彼らに告げた。「主が墓から取り去られました。どこに置かれているのか、わたしたちには分かりません。」


C今日の暦
1898年 アトンメントのフランシスコ女子修道会、アメリカ(ニューヨーク)で聖公会修道会として創立
     ハイチャーチ(カトリックに近い立場でローチャーチと区別される)の神学を信奉していた聖公会ワトソン神父による。聖公会とカトリック教会との一致を願って活動を始めた。当時の聖公会では受け入れられず、活動の場も段々と狭められていった。ついにワトソン神父はカトリックに帰属することを決意し、1909年にカトリック教会に受け入れられ、カトリックの修道会として再出発することになる。
1945年 GHQが神道指令を発令、神道と国家が分離され国家神道が廃止される。
1889年の勅令によって全ての学校での宗教教育が禁止され、「宗教ではない」とされた国家神道は宗教を超越した教育の基礎とされた。翌1890年教育勅語が発布され、国民道徳の基本が示され、国家神道は宗教・政治・教育を一体のものとした。
1989年 国連総会で死刑廃止条約が採択される。


W今日の言葉
※サロメ(→12月8日W)
※イエスが愛しておられたもう一人の弟子   ヨハネのこと(→11月19日W もう一人の弟子)


Pワンポイント   復活②
 最初にイエス様の復活を確信できた人。それは弟子、側近の人にもまったくいなかった。
 最初に復活したイエスが現れたとされるマグダラのマリア。彼女も墓から遺体がなくなっているのを見て、「遺体が盗まれた」としか考えられなかった。
 弟子は「イエス様が復活した」と証言する婦人たちを嘲笑って、自分たちの目の前に現れるまで信じなかった。復活を初めから確信していた強い弟子などではなく、皆、復活のイエスに実際に会うまで、すっかり落胆し、絶望し、部屋に鍵を掛けて閉じこもるだけだった。弟子の一人トマスにいたっては、残りの使徒たちが「イエスは確かに復活した」といっても、自分に現れていなかったため、最後まで否定し続けていた。



今日の祈り


11/16-11/30

2014年10月24日 | キリスト教
キリスト教歳時記320  11月16日
B今日の福音
 マコ14:50 弟子たちは皆、イエスを見捨てて逃げてしまった。
 マコ14:51-52【一人の若者、逃げる】一人の若者が、素肌に亜麻布をまとってイエスについて来ていた。人々が捕らえようとすると、亜麻布を捨てて裸で逃げてしまった。
 ヨハ18:12-14【イエス、大祭司のもとに連行される(マタ26:57ー58、マコ14:53ー54、ルカ22:54)】そこで一隊の兵士と千人隊長、およびユダヤ人の下役たちは、イエスを捕らえて縛り、まず、アンナスのところへ連れて行った。彼が、その年の大祭司カイアファのしゅうとだったからである。一人の人間が民の代わりに死ぬ方が好都合だと、ユダヤ人たちに助言したのは、このカイアファであった。


C今日の暦
1849年 ドストエフスキーに死刑判決(1821-1881年)。ロシアの作家。 後に執行直前に特赦によりシベリア流刑に減刑。
     理想主義者的な社会主義者だったが、流刑を経て、キリスト教的人道主義者となり、キリスト教による魂の救済を訴える。
近代社会は宗教を失うことで道徳を失い、人間は知的な野獣になった。美が世界を救う
      『貧しき人びと』『罪と罰』『白痴』『悪霊』『カラマーゾフの兄弟』
     日本に正教を伝え、日本ハリストス正教会の基を築いた大主教ニコライ・カサートキンに会うのを楽しみにし、また会話した。
1876年 東京・神田に日本初の官立幼稚園である東京女子師範学校附属幼稚園(現在のお茶の水女子大学附属幼稚園)が開園。
1934年 イエズス会ホイヴェルス神父作舞踏劇『細川ガラシア』日比谷公会堂で上演。
1990年 創価学会会長・池田大作、日蓮正宗宗門批判を開始
2001年 マイクロソフトのOSソフト・Windows XP発売(2014年サポート終了)。Xの上にPを重ねた形はイエス・キリストχριστοsの象徴


W今日の言葉  大祭司アンナス(ルカ3:2、使徒4:6)
 カイアファのしゅうと。6-15年まで大祭司。
 15年ローマ総督バレリウス・グラトスにより更迭されたが、アンナの娘がカイアファに嫁いだこともあり、以後も重大な事柄に対して相談に応じ、結果、大祭司の称号と権威を保持していた。
※カイアファ(在位18-36年)。アンナスの後4代目の大祭司(10月11日W)。


Pワンポイント   この後の裁判の流れ①(→11月26日②)
まず真夜中に大祭司アンナスのもとで非公式な予審が行われ、つづいてカイアファ率いるユダヤの最高法院でイエスは訴えられた。しかしローマの属州となっているため、死刑を下す権限はローマのユダヤ総督に保留されていた(ヨハ18:31)。
 そこで夜が開けると、ローマ総督ピラトのもとに、ローマへの反逆罪で訴える。そこにはもしもイエスが仮にメシアだったとしても、イエスを殺したのはローマであると言い訳もできるという思惑があったかもしれない。
 しかしピラトはイエスに死刑に値する罪を見いだせない。ただのユダヤの国内問題(冒とく罪)に過ぎないと、ガリラヤを支配している領主ヘロデのもとに送る(ルカ23:7)。


今日の祈り

キリスト教歳時記321  11月17日
B今日の福音
 ヨハ18:19-24【大祭司、イエスを尋問する(マタ26:59ー66、マコ14:55ー64、ルカ22:66ー71)】大祭司はイエスに弟子のことや教えについて尋ねた。イエスは答えられた。「わたしは、世に向かって公然と話した。わたしはいつも、ユダヤ人が皆集まる会堂や神殿の境内で教えた。ひそかに話したことは何もない。なぜ、わたしを尋問するのか。わたしが何を話したかは、それを聞いた人々に尋ねるがよい。その人々がわたしの話したことを知っている」。イエスがこう言われると、そばにいた下役の一人が、「大祭司に向かって、そんな返事のしかたがあるか」と言って、イエスを平手で打った。イエスは答えられた。「何か悪いことをわたしが言ったのなら、その悪いところを証明しなさい。正しいことを言ったのなら、なぜわたしを打つのか。」アンナスは、イエスを縛ったまま、大祭司カイアファのもとに送った。


C今日の暦
○聖エリザベト(ハンガリー)修道女(1207-1231年)。 ハンガリー王の娘。4歳でドイツの伯爵ルードヴィヒ(6歳上)と婚約、婚約者と一緒に育てられる。幼いころから友だちに祈るよう誘ったり、貧しい子どもに食事を与えたりした。エリザベト14歳の時結婚。飢饉があると城にあるすべてを貧者に与え、夫も妻の愛徳の行為を支えた。結婚して6年後夫が帰天、エリザベトは城から追い出され、豚小屋で暮らした。その後、在世フランシスコ会に入り、病院を建て、自ら看病し、24歳で帰天した。
1869年 スエズ運河が開通。地中海から紅海まで167キロを結ぶ。フランス人レセップスが計画、フランス・イギリスの経営を経て、1882年にはイギリスが基地化し、植民支配に重要な役割を果たした。1956年スエズ動乱が起こり、エジプト・ナセル大統領が国有化を宣言。1967年中東戦争のため封鎖されたが、75年開通。
1917年 ロダン帰天(1840年-)、フランスの彫刻家。美術学校に3度挑むが入れず。姉の死のため美術を捨て修道院に入るも、院長に勧められ1年後に還俗。ミケランジェロから影響を受け、精神的表現を試みた。『地獄の門』『考える人』。


W今日の言葉     世に向かって公然と話した。……ひそかに話したことは何もない
 イエスはユダヤ人のみでなく、すべての人に向かって公然と話してきた。
  「まるで強盗にでも向かうように、剣や棒を持って捕らえに来たのか。わたしは毎日、神殿の境内に座って教えていたのに、あなたたちはわたしを捕らえなかった(マタ26:55)」。
  「わたしは隠れた所で、地の闇の所で語ったことはない(イザ45:19)」。


Pワンポイント  在世フランシスコ会
 第三会とも言われていた(第一が男子の、第二が女子の修道会)。フランシスコに従いたいと思う人は多かった。しかし清貧、貞潔、従順を守って集団で生活する、そのような修道生活まですることはできない。しかしフランシスコにならいたいという人がいた(たとえばすでに結婚して、家庭を守るべき人たちなど)。そのような人たちのためにフランシスコは在世会を用意した。ここではフランシスコにならう誓約を立てるが、信者として世俗の生活に留まりながら、フランシスコの模範にならって福音的生活に励むことになる。つまり結婚生活を営み、財産も所有できる。
 ミケランジェロ、ラファエロ、作曲家のリスト、日本26聖人の中の17人が、そして現代ではヨハネ・パウロ2世が在世会員だった。
 このようなものではカルメル山在世の会などがある。




今日の祈り


キリスト教歳時記322  11月18日
B今日の福音
 マタ26:59-66 さて、祭司長たちと最高法院の全員は、死刑にしようとしてイエスにとって不利な偽証を求めた。偽証人は何人も現れたが、証拠は得られなかった。最後に二人の者が来て、「この男は、『神の神殿を打ち倒し、三日あれば建てることができる』と言いました」と告げた。そこで、大祭司は立ち上がり、イエスに言った。「何も答えないのか、この者たちがお前に不利な証言をしているが、どうなのか。」イエスは黙り続けておられた。大祭司は言った。「生ける神に誓って我々に答えよ。お前は神の子、メシアなのか。」イエスは言われた。「それは、あなたが言ったことです。しかし、わたしは言っておく。あなたたちはやがて、人の子が全能の神の右に座り、天の雲に乗って来るのを見る。」そこで、大祭司は服を引き裂きながら言った。「神を冒涜した。これでもまだ証人が必要だろうか。諸君は今、冒涜の言葉を聞いた。どう思うか。」人々は、「死刑にすべきだ」と答えた。


C今日の暦
1884年 キリスト教徒の葬儀・埋葬・転宗自由となる。
1922年 プルースト没(1871年-)。フランスの作家。母はユダヤ人。30代から死の直前まで大作『失われた時を求めて』を書き続けた。
     同作は人間の潜在意識を掘り下げて、さまざまな人間の性格を細やかに描く。
1930年 牧口常三郎と戸田城聖が、創価学会の母体である創価教育学会を設立。
1978年 ガイアナで、新興宗教「人民寺院」(キリスト教系カルト)の教祖ジム・ジョーンズとその信者が集団自殺。914人が死亡。


W今日の言葉   最高法院  サンヘドリン
 70年以前ユダヤ教の最高自治機関で行政と司法の権限を持つ議会。71人からなる。議長が大祭司1。議員は祭司長24、長老24(貴族の利害を代表する与党勢力)、律法学者22(野党的存在)。宗教生活を監督し、罰金、鞭打ち刑を科した。ただし死刑の権限はなく、ローマに与えられていた。神殿の中庭の南西にあった。
※神殿を打ち倒し     エレミアも神殿の破壊を預言したため、殺されそうになった(エレ26:1-19)。ただ「イエスの言われる神殿とは、御自分の体のことだった(ヨハ2:21)」。つまり死んでも3日後に復活する。


Pワンポイント  メシアなのか       
 イエスは現世的な権能を持たず、貧しく、見捨てられた者のようだった。ユダヤ人の当時のメシア像は、現世的なものとなっていたため、イエスはメシアと自称するのを避けていた。しかし、今はためららずに、はっきりと自分がきたるべきメシアと告げる。ただしそれは本来の神的、霊的なメシアだった。 (→1月29日W メシア)
 次の発言により自分が昔から預言されたものと明言した。
 「天の雲に乗って来る」……「『人の子』のような者が天の雲に乗り『日の老いたる者』の前に来て、そのもとに進み(ダニ7:13)」
 「神の右に座り」……………「わたしの右の座に就くがよい。わたしはあなたの敵をあなたの足台としよう(詩編110:1)」。
 まちがった現世的なメシア観を持っていた大祭司は、あわれな姿をしたイエスがこのようにいったので、冒とくの罪として取りあげた。冒とく罪は石殺しの刑に相当した(レビ24:14)。それで衆議会はイエスに死刑の判決を下した。


今日の祈り

キリスト教歳時記323  11月19日
B今日の福音
 マタ26:67-68 そして、イエスの顔に唾を吐きかけ、こぶしで殴り、ある者は平手で打ちながら、「メシア、お前を殴ったのはだれか。言い当ててみろ」と言った。
 ヨハ18:15-18【ペトロ、イエスを知らないと言う(マタ26:69ー70、マコ14:66ー68、ルカ22:55ー57)】シモン・ペトロともう一人の弟子は、イエスに従った。この弟子は大祭司の知り合いだったので、イエスと一緒に大祭司の屋敷の中庭に入ったが、ペトロは門の外に立っていた。大祭司の知り合いである、そのもう一人の弟子は、出て来て門番の女に話し、ペトロを中に入れた。門番の女中はペトロに言った。「あなたも、あの人の弟子の一人ではありませんか。」ペトロは、「違う」と言った。僕や下役たちは、寒かったので炭火をおこし、そこに立って火にあたっていた。ペトロも彼らと一緒に立って、火にあたっていた。


C今日の暦
1095年 クレルモン教会会議。教皇ウルバヌス2世が招集し、十字軍宣言をし、東方のキリスト教国(東ローマ帝国)の苦難と異教徒に対する聖戦が必要で、十字軍へ参加した者は罪が許されると訴えた。
1828年 シューベルト(1797年-)。オーストリアの作曲家。ドイツ「歌曲の王」と呼ばれる。『野ばら』『魔王』『未完成交響曲』『弦楽四重奏曲・死と少女』『歌曲集冬の旅』、ミサ曲など。
1863年 リンカーン、ゲティスバーグで演説。「人民の、人民による、人民のための政治」。
1977年 エジプト、サダト大統領アラブ指導者として初めてイスラエルを訪問し、ベギンと会談。


W今日の言葉   もう一人の弟子
 ヨハネ福音書の著者とされるイエスの愛した弟子ヨハネ。ヨハネ福音書では名を明記しない「愛する弟子」がたびたび登場しており、これらはヨハネとされる。
 「イエスのすぐ隣には、弟子たちの一人で、イエスの愛しておられた者が食事の席に着いていた(ヨハ13:23)」。
「イエスは、母とそのそばにいる愛する弟子とを見て、母に、『婦人よ、御覧なさい。あなたの子です』と言われた。それから弟子に言われた。『見なさい。あなたの母です。』そのときから、この弟子はイエスの母を自分の家に引き取った(ヨハ19:26-27)。


ひとやすみ    日曜学校の教え
 小さい男の子が日曜学校に来ました。 神がアダムの脇腹の一部分で、妻エヴァをどんな風に作られたかを学びました。
彼は大急ぎで家に帰って、青ざめた顔で、辛そうでした。 お母さんは彼を見て、心配して訊ねました。
 「調子がわるいの? ポ-ル?」
  彼は答えました。「うんあまり良くない。脇腹が痛いの。僕はもうちょっとしたら、多分、妻をもらうと思う」


キリスト教歳時記324  11月20日
B今日の福音
 ヨハ18:25-27【ペトロ、重ねてイエスを知らないと言う(マタ26:71ー75、マコ14:69ー72、ルカ22:58ー62)】シモン・ペトロは立って火にあたっていた。人々が、「お前もあの男の弟子の一人ではないのか」と言うと、ペトロは打ち消して、「違う」と言った。大祭司の僕の一人で、ペトロに片方の耳を切り落とされた人の身内の者が言った。「園であの男と一緒にいるのを、わたしに見られたではないか。」ペトロは、再び打ち消した。するとすぐ、鶏が鳴いた。
ルカ22:61-62 主は振り向いてペトロを見つめられた。ペトロは、「今日、鶏が鳴く前に、あなたは三度わたしを知らないと言うだろう」と言われた主の言葉を思い出した。そして外に出て、激しく泣いた。


C今日の暦
1551年 ザビエル、豊後を出航しインドに向かう
1910年 トルストイ帰天(1828年-)。ロシアの小説家(ドストエフスキーと共に19世紀ロシア文学を代表)。
 伯爵家に生まれ、幼くして両親をなくす。大学中退後農民の生活改革を試みるが失敗。文学に目覚め、1857年西欧旅行中、文明に懐疑を抱く。宗教的思想に内面の矛盾からの救いを求めるようになった。私有財産を否定、非戦論、非暴力主義を唱える。現実的な妻とはうまくいかず、家を出て、駅長官舎で肺炎で帰天。『戦争と平和』『アンナ・カレーニナ』『イワンのばか』『民話集(人にはどれほどの土地がいるか、など)』
1947年 教皇ピオ12世 回勅『メディアトル・デイ』発表。典礼はキリストの祭司職の実践で、教会の典礼はキリスト神秘体(頭と肢体)との公的礼拝。典礼理解の出発点はキリスト自身で、典礼は既にキリストにより制定された礼拝を絶え間なく継続すること。
1987年 NICE(第1回福音宣教推進全国会議)京都で開催。14項目の答申を日本司教団に提出(生涯養成、ミッション校の再検討、離婚者への司牧的配慮、職能別グループ、文化に根ざした典礼、女性の地位向上、教会間ネットワークの確立など)。
 日本の教会が一つとなって分かち合いを重ね、教会が直面している課題とこれからの方向性を確認した。そこでは「私たちの信仰と生活の遊離」「教会と社会の遊離」が指摘された。つまり信仰を持っていても現実の生活の中で活かされていない、教会の存在が社会から切り離されてしまっている、そのような分析が、真摯な分かち合いの中で示された。


Pワンポイント 見つめられた
 イエスの目は深い悲しみに覆われていただろう。だがそこには慈しみもあり、イエスを否定したペトロの回心を待つ目でもあっただろう。


ひとやすみ  天国のサッカー
 二人はサッカーのアマチュア選手。何年も、試合をしない日曜日はありませんでした。よく天国でもサッカーができるんだろうかと、話し合っていました。
 一人に、悲しい運命(ありふれた自動車事故)が襲い掛かりました。しばらく経って、生きている友に、亡霊の姿で友が現れました。
 「天国でもサッカーをしているのか?」と尋ねようとした時、亡霊は言いました。「君に良いニュースと悪いニュースがある。良いニュースは、君の言うとおり、天国でもサッカーをしている。悪いニュースは、今日の午後、天国で君もサッカーをすることになる!」


キリスト教歳時記325  11月21日
B今日の福音
 ルカ22:66-71【最高法院で裁判を受ける(マタ26:59ー66、マコ14:55ー64、ヨハ18:19ー24)】夜が明けると、民の長老会、祭司長たちや律法学者たちが集まった。そして、イエスを最高法院に連れ出して、「お前がメシアなら、そうだと言うがよい」と言った。イエスは言われた。「わたしが言っても、あなたたちは決して信じないだろう。わたしが尋ねても、決して答えないだろう。しかし、今から後、人の子は全能の神の右に座る。」そこで皆の者が、「では、お前は神の子か」と言うと、イエスは言われた。「わたしがそうだとは、あなたたちが言っている。」人々は、「これでもまだ証言が必要だろうか。我々は本人の口から聞いたのだ」と言った。
マタ27:2 そして、イエスを縛って引いて行き、総督ピラトに渡した。


C今日の暦
○聖マリアの奉献  マリアが生涯を神に自身をささげぬいたことを祝う。 2世紀半ばの「ヤコブ原始福音書(外典)」では、マリアは3歳の時両親により神殿にささげられ、12歳まで天使に養われ育ったとある(→7月26日C 聖マリアの両親 聖ヨアキムと聖アンナ)。
 「わたしは主のはしためです。お言葉どおり、この身に成りますように(ルカ1:38)」。
1481年(文明13年) 一休没(1394年-)。臨済宗の僧で詩人。 後小松天皇のことされる。生涯定住せず、各地を巡り、貴賎の区別なく不況。天性洒脱で、奇行逸時に富み、仏教の権威や形骸化を批判・風刺し仏教の伝統化や風化に警鐘を鳴らした。


W今日の言葉    わたしが尋ねても、決して答えない
 イエスがメシアとは何かと尋ねても、彼らのメシア像はこの世の権力を帯びたもので、イエスのものとはあまり違うので、答えないだろう。
※最高法院(→11月18日W)
※神の右に座る(→11月18日P メシアなのか)


Pワンポイント イエスへの訴状(こんなものもあり?)
 「訴状。この男は、出生のときから問題を抱えていました。夫婦はそのために、一度公に認められた婚約を破棄する直前までいったことがありました。その男はまだ12歳のとき、すでに家出をし、散々親を困らせ、やっと探し当てた親に皮肉な言葉を投げかけるなどして、明らかに親子関係に大きな問題を抱え続けていました。このような家庭の問題からか、権力への不信は、成人になってから、破壊的なところにまでいたりました。つまりまったく親や親戚の言うことを聞かず、勝手な行動を取り始めたのです。国や宗教の伝統に背いて、自分を神と並べ立て始めました。支持者として、身分の低いものから弟子として集めては先生気取りをし、また多くの不満を抱えた犯罪者や病人や女を集めては、自分の仲間にしていきました。そしてついには、悪魔の力を借りたとしか思えないような、悪魔祓いのようなことをしてみせたり、こうして多くの人を惑わし、驚かし、扇動するようになりました。ついには私を食べれば永遠に生きるなど、狂気に取り付かれたような恐ろしいことを言い始めました。今もなお、パンを増やして見せるなどのトリックを行っては、多くの群集をひきつけています。こうして着々とわが国や宗教の伝統、さらにはローマ帝国への反逆を進めています。このようなことのためにこの男を死刑囚として、訴えることとします」。

今日の祈り

キリスト教歳時記326  11月22日
B今日の福音
 マタ27:3-10【ユダ、自殺する(使徒1:18ー19)】そのころ、イエスを裏切ったユダは、イエスに有罪の判決が下ったのを知って後悔し、銀貨三十枚を祭司長たちや長老たちに返そうとして、「わたしは罪のない人の血を売り渡し、罪を犯しました」と言った。しかし彼らは、「我々の知ったことではない。お前の問題だ」と言った。そこで、ユダは銀貨を神殿に投げ込んで立ち去り、首をつって死んだ。祭司長たちは銀貨を拾い上げて、「これは血の代金だから、神殿の収入にするわけにはいかない」と言い、相談のうえ、その金で「陶器職人の畑」を買い、外国人の墓地にすることにした。このため、この畑は今日まで「血の畑」と言われている。こうして、預言者エレミヤを通して言われていたことが実現した。「彼らは銀貨三十枚を取った。それは、値踏みされた者、すなわち、イスラエルの子らが値踏みした者の価である。主がわたしにお命じになったように、彼らはこの金で陶器職人の畑を買い取った。」


C今日の暦
○聖セシリアおとめ殉教者(3世紀)。貴族出身。夫とその兄弟を信仰に導く。信者であるがゆえに夫が訴えられたが棄教を拒否し、死刑にされる。セシリアも財産を貧しい人に分け、自分の土地にカタコンブを建設し、自宅を聖堂とした。セシリアも棄教を拒否し、殉教した。1599年セシリアの建てたカタコンブで、腐敗していない彼女の遺体が発見された。
1869年 アンドレ・ジッド(ジイド)出生。フランス小説家。『背徳者』『狭き門』『田園交響楽』(見えなかったのであれば罪はなかったであろう;ヨハ9:41)
1963年 ケネディ大統領、テキサスのダラスを遊説中に、暗殺される。
1974年 国際連合総会でPLOにオブザーバー資格が与えられる。
1974年 解放同盟系の活動家が兵庫県立八鹿高等学校の教職員の下校を阻止し、13時間にわたり糾弾。教師48名が負傷、29名が重傷、1名が危篤となった(八鹿高校事件)。


W今日の言葉
※後悔   ユダは自分のしたことに後悔はした。しかし神の愛に立ち戻って、神のゆるしを得て、新たに生きようとする回心には及ばなかった。ここが同じ裏切りをしたペトロとの分かれ目となる。
※血の畑  罪のないイエスの血の値で買い取られた畑であり、またユダがそこで血を流した畑でもある。赤い良質の粘土があったのだろう。
※外国人の墓地  「身寄りのない者の墓地(フランシスコ会訳)」「旅人たちの墓地(新改訳)」。 エルサレムに巡礼に来ている間に神だ離散ユダヤ人のためのものか。エルサレムの南、ヒンノムの谷の反対斜面にあるとされる。


Pワンポイント  ユダの自殺
 「ところで、このユダは不正を働いて得た報酬で土地を買ったのですが、その地面にまっさかさまに落ちて、体が真ん中から裂け、はらわたがみな出てしまいました。このことはエルサレムに住むすべての人に知れ渡り、その土地は彼らの言葉で『アケルダマ』、つまり、『血の土地』と呼ばれるようになりました(使徒1:18-19)」。
 「行って、陶器の壷を買い、民の長老と、長老格の祭司を幾人か連れて、陶片の門を出たところにある、ベン・ヒノムの谷へ出て行き、そこでわたしがあなたに語る言葉を呼ばわって(エレ19:1-2)」。
 「『それを鋳物師に投げ与えよ。わたしが彼らによって値をつけられた見事な金額を。』わたしはその銀三十シェケルを取って、主の神殿で鋳物師に投げ与えた(ゼカ11:13)」。
 なおユダが首をくくった枝から、キクラゲが生じたとの伝説があり、キクラゲのことを「ユダの耳」と呼ぶ。形と柔らかさが耳に似ている。



今日の祈り

キリスト教歳時記327  11月23日
B今日の福音
 ヨハ18:28-32【ピラトから尋問される(マタ27:1ー2、11ー14、マコ15:1-5、ルカ23:1ー5)】人々は、イエスをカイアファのところから総督官邸に連れて行った。明け方であった。しかし、彼らは自分では官邸に入らなかった。汚れないで過越の食事をするためである。そこで、ピラトが彼らのところへ出て来て、「どういう罪でこの男を訴えるのか」と言った。彼らは答えて、「この男が悪いことをしていなかったら、あなたに引き渡しはしなかったでしょう」と言った。ピラトが、「あなたたちが引き取って、自分たちの律法に従って裁け」と言うと、ユダヤ人たちは、「わたしたちには、人を死刑にする権限がありません」と言った。それは、御自分がどのような死を遂げるかを示そうとして、イエスの言われた言葉が実現するためであった。
ルカ23:2 そして、イエスをこう訴え始めた。「この男はわが民族を惑わし、皇帝に税を納めるのを禁じ、また、自分が王たるメシアだと言っていることが分かりました。」


C今日の暦
1585年 トマス・タリス(1505年頃-)。イングランド王国の作曲家、オルガン奏者。『エレミアの哀歌』『4声のためのミサ曲』。
1963年 初の日米間テレビ宇宙中継受信実験。流れてきたのはケネディ暗殺を知らせるニュースだった
2006年 灰谷健次郎没(1934年-)。児童文学作家。小学校教師だったが、1967年長兄の自殺、1968年母の死を体験、1971年退職。沖縄やアジア各地を放浪。1974年『兎の眼』で児童文壇にデビュー。『太陽の子』。


W今日の言葉   官邸
 ローマ総督ピラトは通常、カイサリアに住んでいた。しかし過越祭には、エルサレムで不穏な動きがないか見張るために、神殿そばのアントニオ城に来ていた。


Pワンポイント
 死刑にする権限はユダヤ人にはなかった。冒とく罪はローマの法律では無効なので、イエスをローマヘの反逆罪で訴えようとした。
  ①民族を惑わす        政治的な曲解
  ②皇帝に税を治めるのを禁じる 単なる中傷(マタ22:15-22;→9月18日B)
  ③自分が王たるメシアという  政治的な曲解
 ユダヤの律法では、死罪に対しては、石打ちによる処刑があった(使徒7:58)。しかしローマの法律によってきちんと執行されることによってイエスが自らについて預言していた、十字架による処刑が実現していくことになる。


今日の祈り

キリスト教歳時記328  11月24日
B今日の福音
 ヨハ18:33-38 そこで、ピラトはもう一度官邸に入り、イエスを呼び出して、「お前がユダヤ人の王なのか」と言った。イエスはお答えになった。「あなたは自分の考えで、そう言うのですか。それとも、ほかの者がわたしについて、あなたにそう言ったのですか。」ピラトは言い返した。「わたしはユダヤ人なのか。お前の同胞や祭司長たちが、お前をわたしに引き渡したのだ。いったい何をしたのか。」イエスはお答えになった。「わたしの国は、この世には属していない。もし、わたしの国がこの世に属していれば、わたしがユダヤ人に引き渡されないように、部下が戦ったことだろう。しかし、実際、わたしの国はこの世には属していない。」そこでピラトが、「それでは、やはり王なのか」と言うと、イエスはお答えになった。「わたしが王だとは、あなたが言っていることです。わたしは真理について証しをするために生まれ、そのためにこの世に来た。真理に属する人は皆、わたしの声を聞く。」ピラトは言った。「真理とは何か。」ピラトは、こう言ってからもう一度、ユダヤ人たちの前に出て来て言った。「わたしはあの男に何の罪も見いだせない」。


C今日の暦
○聖アンデレ・ジュン・ラク司祭と同志殉教者。17-19世紀にわたりベトナムで迫害された殉教者117名を祝う。8人の司教、50人の司祭、59名の信者が含まれる。アンデレ・ジュン・ラク司祭は1823年に叙階され、1839年斬首刑にされた。
1859年 ダーウィンがイギリスで『種の起源』を出版(2月12日C)。


W今日の言葉   真理  アレーテイア
 神、イエスの関係において語られる用語。
 ヘブル語エメスの意味は、神と人間との正しさを指し、神の意志の表れである神の言葉、律法が真理と同じである。
  「主の律法は完全で、魂を生き返らせ、主の定めは真実で、無知な人に知恵を与える(詩編19:8)」。
 ギリシア語の本来の意味は、隠されたものが露呈されること。
 真理は神の義と結び付き、神の真実にこそ由来する。神の言葉であるイエスは真理そのものである。
  「わたしは道であり、真理であり、命である。わたしを通らなければ、だれも父のもとに行くことができない。あなたがたがわたしを知っているなら、わたしの父をも知ることになる。今から、あなたがたは父を知る。いや、既に父を見ている(ヨハ14:6-7)」。


Pワンポイント    わたしの国はこの世には属していない
 ユダヤ人はローマに訴えるにあたって、自分が王であると自称していることをひとつの理由とした。ピラトはこのことをイエスに確認する。それに対するイエスの答え。
 イエスには戦う部下などいない。ユダヤ人のこの世的な王というのはピラトや人々がいうこと。イエスはあくまで人々の霊的な救いのための王、メシアである。



今日の祈り

キリスト教歳時記329  11月25日
B今日の福音
 マコ15:3-5【衆議会の訴え(マタ27:12-14、ヨハ18:38)】そこで祭司長たちが、いろいろとイエスを訴えた。ピラトが再び尋問した。「何も答えないのか。彼らがあのようにお前を訴えているのに。」しかし、イエスがもはや何もお答えにならなかったので、ピラトは不思議に思った。
ルカ23:4-5 ピラトは祭司長たちと群衆に、「わたしはこの男に何の罪も見いだせない」と言った。しかし彼らは、「この男は、ガリラヤから始めてこの都に至るまで、ユダヤ全土で教えながら、民衆を扇動しているのです」と言い張った。
ルカ23:6-7【ヘロデから尋問される】これを聞いたピラトは、この人はガリラヤ人かと尋ね、ヘロデの支配下にあることを知ると、イエスをヘロデのもとに送った。ヘロデも当時、エルサレムに滞在していたのである。


C今日の暦
1960年 ドミニカ共和国で反独裁政権運動家のミラバル姉妹が殺害される。父親は成功した事業者だったが当時の政権により財産を失い、反独裁運動に身を投じた。
1970年 三島由紀夫(1925年-)が市ヶ谷の自衛隊に乱入。自衛隊員に再軍備の必要性を演説、決起を求めたが果たせず、割腹自決した。
『仮面の告白』で成功。不道徳、退廃とされるものを描き、唯美主義から古典的均整を求めて行った。『金閣寺』『豊饒の海』。
     憂国的心情を持ち『憂国』『英霊の声』を発表。1968年憲法改正を求める楯の会を組織し、事件を起こした。


W今日の言葉   ガリラヤから始めて
 ガリラヤは前8世紀、アッシリア、シャルマネセル5世の時代以降、多くの異邦人が住むところとなった(異邦人のガリラヤ;マタ4:15)。そのためガリラヤ人は粗野と思われていた。 特に、6年ローマの税制に反対し、熱心党の始まりとなったガリラヤのユダの反乱をピラトに連想させようとした(→1月16日P 当時の税制)。

Pワンポイント
 ピラトはローマの法律に照らして、無罪といったん認めた。そこでガリラヤに対して裁判権をもっていた領主ヘロデ・アンティパス(前4-39年統治;→1月26日W ヘロデの跡)に裁判をまかせた。ヘロデも、ユダヤ人の宗教への理解を示すために、エルサレムに滞在していたからである。


今日の祈り

キリスト教歳時記330  11月26日
B今日の福音
 ルカ23:8-12 彼はイエスを見ると、非常に喜んだ。というのは、イエスのうわさを聞いて、ずっと以前から会いたいと思っていたし、イエスが何かしるしを行うのを見たいと望んでいたからである。それで、いろいろと尋問したが、イエスは何もお答えにならなかった。祭司長たちと律法学者たちはそこにいて、イエスを激しく訴えた。ヘロデも自分の兵士たちと一緒にイエスをあざけり、侮辱したあげく、派手な衣を着せてピラトに送り返した。この日、ヘロデとピラトは仲がよくなった。それまでは互いに敵対していたのである。


C今日の暦
1935年 日本ペンクラブが発足。言論の自由、表現の自由、出版の自由の擁護と、文化の国際的交流の増進を目的。
    初代会長は島崎藤村。Pは詩人と劇作家、Eは評論家、編集者、Nは小説家の英語の頭文字による。
1998年 ブレアイギリス首相が、首相として初めてアイルランド議会で演説。


W今日の言葉   ヘロデとピラトは仲がよくなった
 領主ヘロデとローマ総督ピラトが敵対していたのは、ピラトが、ヘロデ配下のガリラヤ人を神殿で殺害したことがあったことも一つの要因かもしれない(→7月27日W ガリラヤ人の血を彼らのいけにえに混ぜた)。
ともかくヘロデも何も答えない無力なイエスに特別な罪を見いだせず、裁判を行わない。かと言えユダヤ人を黙らせるためには力が足りない。そこでわざと派手な衣を着せ、再びピラトのもとに送る。


Pワンポイント   この後の裁判の流れ②(←11月16日①)
 ヘロデも、大祭司や律法学者に押されて、なぶりものにするが、イエスに罪を見いだせない。そこで再びピラトのもとでローマの裁判を受けさせることにした(ルカ23:11)。
 ピラトは、ユダヤ人を満足させ、同情を引き起こそうと、懲らしめとして鞭打ちを行い、その後、祭りの慣例に従って、釈放するといったん宣言した。
 しかしユダヤ人はイエスが鞭打ちを受けても満足しようとしない。かえって十字架につけよとますますわめきたてた。
 ピラトはユダヤ人の間で騒動が起き、反乱が起きたように伝わることを恐れた。そこでピラトは私の責任ではないと、責任の所在をあいまいにしたまま十字架刑をするように決めた。


ひとやすみ    感謝
 教会から帰る途中、男は眠くなって、野原でひと休みしていました。その時一羽の鳩が飛んできて、彼の綺麗な背広に糞の塊を落としました。目覚めた時、彼はしみを見つけて、すぐに、深く霊的に感動して、神に向かって言いました。
 「主よ、ありがとうございます」「なぜ私に感謝するのかね?」
 「わが神よ、あなたが 牛に翼を与えなかったことを感謝します」。


今日の祈り

キリスト教歳時記331  11月27日
B今日の福音
 ルカ23:13-16【死刑の判決を受ける(マタ27:15ー26、マコ15:6ー15、ヨハ18:39ー19:16)】ピラトは、祭司長たちと議員たちと民衆とを呼び集めて、言った。「あなたたちは、この男を民衆を惑わす者としてわたしのところに連れて来た。わたしはあなたたちの前で取り調べたが、訴えているような犯罪はこの男には何も見つからなかった。ヘロデとても同じであった。それで、我々のもとに送り返してきたのだが、この男は死刑に当たるようなことは何もしていない。だから、鞭で懲らしめて釈放しよう。」
 マタ27:15-16【死刑の判決を受ける(マコ15:6ー15、ルカ23:13ー25、ヨハ18:39ー19:16)】ところで、祭りの度ごとに、総督は民衆の希望する囚人を一人釈放することにしていた。そのころ、バラバ・イエスという評判の囚人がいた。


C今日の暦
1095年 クレルモン教会会議の最終日に教皇ウルバヌス2世が第1回十字軍の実施を宣言。
1714年 シドッチ神父、江戸切支丹屋敷で殉教(1668年-)。イタリア人。日本での殉教録を読み日本に行きたいと願い、江戸時代中期、鹿児島に潜入。捕らえられ、江戸で幽閉された。時の幕政の実力者、新井白石はシドッティとの対話をもとに『西洋紀聞』など著した。好待遇を受けていたが、監視役に洗礼を授けた件が発覚し、地下牢に移され衰弱死。
1831年 聖女カタリーナ・ラブレに聖母が出現。メダイを示され、それ(不思議のメダイ)を広めた。
1895年 ノーベル(1833-1896年)がノーベル賞設立のもととなる遺言状に署名。ダイナマイトなどの火薬を発明し財産を得たが、結果、戦争の悲惨が拡大した。「財産をスウェーデン科学院に寄付し、利子を人類の平和と進歩に尽くした人に賞金を贈るよう」遺した。
1958年 宮内庁が皇太子・明仁親王と正田美智子の婚約を発表。皇族・華族以外の一般人から皇后として選ばれた。聖心女子高、大学出身。


W今日の言葉 祭りの度ごとに、総督は民衆の希望する囚人を一人釈放することにしていた
 ミシュナ法典に、過越の祭りに、一人または数人の囚人を釈放する慣習が、エルサレムにあったという記事がある。


Pワンポイント バラバ・イエス(マタ27:16)   < バル・アッバー(父の子)
 都で暴動を起こし、その際、殺人もしたため投獄されていた(ルカ23:19)。強盗とも呼ばれる(ヨハ18:40)、評判の囚人(マタ27:16)。
 群衆は指導者にそそのかされて、民族の自由のために戦った英雄のように見なした。


ひとやすみ   教皇か法王か
 カトリック教会では現在「教皇」を使う。法王には「仏法の王」の意味があるため、1981年2月ヨハネ・パウロ2世の来日を機に、「教皇」に統一した。「教える」という字のほうが、教皇の職務をよく表わすからである。その時以来、マスコミに「ローマ教皇という名称を使ってください」と願っているが、実現していない。
 ところで東京都千代田区三番町にある駐日バチカン大使館は「ローマ法王庁大使館」という。日本とバチカン(ローマ法王庁、つまりローマ教皇庁)が外交関係を樹立した当時の定訳が「法王」だったため、ローマ教皇庁がその名称で日本政府に申請した。そのまま「法王庁大使館」になっている。日本政府に登録した国名は、実際に政変が起きて国名が変わるなどしない限り、変更できないこととなっている。
 こうしていまも「法王」と「教皇」が混用されるが、教会では「教皇」を使う。





今日の祈り

キリスト教歳時記332  11月28日
B今日の福音
 マタ27:17-23 ピラトは、人々が集まって来たときに言った。「どちらを釈放してほしいのか。バラバ・イエスか。それともメシアといわれるイエスか。」人々がイエスを引き渡したのは、ねたみのためだと分かっていたからである。一方、ピラトが裁判の席に着いているときに、妻から伝言があった。「あの正しい人に関係しないでください。その人のことで、わたしは昨夜、夢で随分苦しめられました。」しかし、祭司長たちや長老たちは、バラバを釈放して、イエスを死刑に処してもらうようにと群衆を説得した。そこで、総督が、「二人のうち、どちらを釈放してほしいのか」と言うと、人々は、「バラバを」と言った。ピラトが、「では、メシアといわれているイエスの方は、どうしたらよいか」と言うと、皆は、「十字架につけろ」と言った。ピラトは、「いったいどんな悪事を働いたというのか」と言ったが、群衆はますます激しく、「十字架につけろ」と叫び続けた。


C今日の暦
1263年(弘長2年) 親鸞没(1173年-) 浄土真宗、『顕浄土真実教行証文類(教行信証)』 『歎異抄(唯円編)』
1991年 創価学会が日蓮正宗から破門される。(魂の独立記念日)


W今日の言葉 ピラトの妻
 名はプロクラとされる。


Pワンポイント  親鸞
 景教(→1月11日P)の書物を読み、キリスト教の影響を受けた可能性もある(景教の伝道士がすでに奈良時代(8世紀)、来日を果たしている)。
○悪人正機説 善人なほもて往生をとぐ、いはんや悪人をや。しかるを世の人つねにいはく、悪人なほ往生す、いかにいはんや善人をや。 マタ9:11-13「ファリサイ派の人々はこれを見て、弟子たちに、『なぜ、あなたたちの先生は徴税人や罪人と一緒に食事をするのか』と言った。イエスはこれを聞いて言われた。『医者を必要とするのは、丈夫な人ではなく病人である。“わたしが求めるのは憐れみであって、いけにえではない”とはどういう意味か、行って学びなさい。わたしが来たのは、正しい人を招くためではなく、罪人を招くためである。」
○自然法爾 すべて阿弥陀仏のはからい。「南無阿弥陀仏」と唱えることも、仏によって言わされている。
  詩編139:1-6「主よ、あなたはわたしを極め、私を知っておられる。座るのも立つのも知り、遠くからわたしの計らいを悟っておられる。歩くのも伏すのも見分け、わたしの道にことごとく通じておられる。わたしの舌がまだひと言も語らぬさきに、主よ、あなたはすべてを知っておられる。前からも後ろからもわたしを囲み、御手をわたしの上に置いてくださる。その驚くべき知識はわたしを越え、あまりにも高くて到達できない。
 プロテスタントの「恩恵のみ」の思想に近いところがある。


今日の祈り

キリスト教歳時記333  11月29日
B今日の福音
 ヨハ19:1 そこで、ピラトはイエスを捕らえ、鞭で打たせた。
 マタ27:27-30【兵士から侮辱される(マコ15:16ー20、ヨハ19:2ー3)】それから、総督の兵士たちは、イエスを総督官邸に連れて行き、部隊の全員をイエスの周りに集めた。そして、イエスの着ている物をはぎ取り、赤い外套を着せ、茨で冠を編んで頭に載せ、また、右手に葦の棒を持たせて、その前にひざまずき、「ユダヤ人の王、万歳」と言って、侮辱した。また、唾を吐きかけ、葦の棒を取り上げて頭をたたき続けた。
ヨハ19:4-7 ピラトはまた出て来て、言った。「見よ、あの男をあなたたちのところへ引き出そう。そうすれば、わたしが彼に何の罪を見いだせないわけが分かるだろう。」イエスは茨の冠をかぶり、紫の服を着けて出て来られた。ピラトは、「見よ、この男だ」と言った。祭司長たちや下役たちは、イエスを見ると、「十字架につけろ。十字架につけろ」と叫んだ。ピラトは言った。「あなたたちが引き取って、十字架につけるがよい。わたしはこの男に罪を見いだせない。」ユダヤ人たちは答えた。「わたしたちには律法があります。律法によれば、この男は死罪に当ります。神の子と自称したからです。」


C今日の暦
1924年 プッチーニ(1858年-)。イタリアの作曲家。劇的な題材と優美な宣立によるオペラで知られる。『トスカ』『蝶々夫人』『ラ・ボエーム』
1979年 教皇ヨハネ・パウロ2世、トルコ訪問、東方正教会と歴史的共同声明を発表


W今日の言葉   わたしはあの男に何の罪も見いだせない
 ヨハ18:38(11月24日B)、ルカ23:15(11月27日B)に続き、ここでもピラトはイエスの罪を見出せないと宣言する。
 しかしそれにもかかわらず、ユダヤ人に流されていく。
 ユダヤ人はピラトに責任を負わせ、ピラトはユダヤ人に責任を負わせ、こうして誰も責任を取らないまま、イエスは十字架への道を歩んでいくことになる。


Pワンポイント   律法によれば
 「神の子」と自称した罪を犯し、死罪にあたるとされる。
 「主の御名を呪う者は死刑に処せられる。共同体全体が彼を石で打ち殺す。神の御名を呪うならば、寄留する者も土地に生まれた者も同じく、死刑に処せられる(レビ24:16)」。


ひとやすみ
   無神論
 一人の無神論者が一人の司祭と議論していました。
 無神論者 「ヨナが3日3晩、鯨の腹の中で過ごしたと、正直に言って信じていますか?」
 司祭   「私は知りませんが、天の国へ行ったとき、ヨナに尋ねましょう。」
 無神論者 「ヨナは天の国にいないかも、とは思いませんか?」
 司祭   「じゃ、その時には、あなたが彼に聞いてください」

今日の祈り

キリスト教歳時記334  11月30日
B今日の福音
 ヨハ19:8-11 ピラトは、この言葉を聞いてますます恐れ、再び総督官邸の中に入って、「お前はどこから来たのか」とイエスに言った。しかし、イエスは答えようとされなかった。そこで、ピラトは言った。「わたしに答えないのか。お前を釈放する権限も、十字架につける権限も、このわたしにあることを知らないのか。」イエスは答えられた。「神から与えられていなければ、わたしに対して何の権限もないはずだ。だから、わたしをあなたに引き渡した者の罪はもっと重い。」


C今日の暦
○聖アンデレ使徒  ガリラヤ、ベトサイダの出身の漁師でペトロと兄弟(ヨハ1:44)。 洗礼者ヨハネの弟子だったが、洗者がイエスを「神の小羊」と呼んだのを聞き、ヨハネと共にイエスの後を追い、一晩共に過ごす(ヨハ1:35-42)。その後ペトロと共に網を捨てイエスの弟子となる(マタ4:18-20)。
 聖霊降臨後、各地で宣教して回り、ギリシア南部、アカイアでX字型の十字架につけられたとされる。
 スコットランドの国王が、戦いの前祈りの時、X字型の十字架の雲を見、勝利を収めた。このことからアンデレを守護の聖人とし、青地に白のX字のスコットランドの旗も、アンデレ十字に由来する。スコットランドにはセント・アンドルースの町がありゴルフ場や大学で知られる。
1872年 史上初のサッカー公式国際試合となるイングランド対スコットランドの試合を開催。
1835年 トウェーン出生(-1910年)。アメリカの小説家。貧しい開拓民の出身。『赤毛布外遊記』『トム・ソーヤの冒険』などのびやかでユーモアに富む長編を発表し、最もアメリカ的な小説家と呼ばれる。しかし晩年は暗い人生観を示す。『人間とは何か?』
1993年 オランダで、世界初の安楽死を認める法律(改正埋葬法)が成立。


W今日の言葉  どこから来たのか
 ピラトはすでにイエスがガリラヤ出身であることは把握していた。
   「ピラトは、この人はガリラヤ人かと尋ね、ヘロデの支配下にあることを知ると、イエスをヘロデのもとに送った(ルカ23:6-7)」。
神の子と自称したというイエスの起源をピラトは尋ねる。しかしイエスは何も答えない。権限を持ちながらもそれを行使できないピラトをイエスは見抜いていた。
 「イエスは、父がすべてを御自分の手にゆだねられたこと、また、御自分が神のもとから来て、神のもとに帰ろうとしていることを悟り(ヨハ13:3)」。
 「苦役を課せられて、かがみ込み、彼は口を開かなかった。屠り場に引かれる小羊のように、毛を切る者の前に物を言わない羊のように、彼は口を開かなかった(イザ53:7)」。


Pワンポイント  わたしをあなたに引き渡した者の罪
 イエスを処刑することができるのは、結局は、神のゆるしがあるからである。このイエスの犠牲をもって人類は罪から解放されることになる。
 イエスをピラトに引き渡したものは、最高法院を率いる大祭司カイヤファであり、またイエスへの裏切りをもって手引きしたユダである。


今日の祈り


10/26-10/31 総まとめ

2014年10月24日 | キリスト教
キリスト教歳時記299  10月26日
B今日の福音
 ヨハ14:12-14 はっきり言っておく。わたしを信じる者は、わたしが行う業を行い、また、もっと大きな業を行うようになる。わたしが父のもとへ行くからである。わたしの名によって願うことは、何でもかなえてあげよう。こうして、父は子によって栄光をお受けになる。わたしの名によって何かを願うならば、わたしがかなえてあげよう。」
 ヨハ14:15-17【聖霊を与える約束】「あなたがたは、わたしを愛しているならば、わたしの掟を守る。わたしは父にお願いしよう。父は別の弁護者を遣わして、永遠にあなたと一緒にいるようにしてくださる。この方は、真理の霊である。世は、この霊を見ようとも知ろうともしないので、受け入れることができない。しかし、あなたがたはこの霊を知っている。この霊があなたがたと共におり、これからも、あなたがたの内にいるからである。


C今日の暦
1909年 伊藤博文が哈爾浜で安重根に暗殺される(→9月2日C)。
1911年 マヘリア・ジャクソン(-1972年)出生。アフリカ系アメリカ人の女性歌手。ゴスペル、スピリチュアル(霊歌)をうたう。
1956年 日本が国際原子力機関 (IAEA) に加盟。
1963年 茨城県東海村の日本原子力研究所の動力試験炉(JPDR)が日本で初めて原子力による発電に成功。
1979年 朴正煕・韓国5代大統領が、宴席に同席していた部下、大韓民国中央情報部(KCIA)部長・金載圭により射殺。娘が18代大統領朴槿恵。
     日本の陸軍士官学校で学び、関東軍に配属された。1961年軍事クーデターを指導。1973年金大中拉致事件を起こした(8月8日C)。政治的抑圧は大きかったが、一大工業国に変貌させ民主化の基盤を作った。
2006年 濱尾実帰天(1925年-)。現皇太子明仁親王の東宮侍従を務めた後、カトリック教育界で活躍した。弟は濱尾文郎(ローマ法王庁枢機卿)。


W今日の言葉     もっと大きな業  ペトロは生まれながら足の不自由な男を歩けるようにし(使徒3:7-8)、タビタを死からよみがえらせた(使徒9:41)。使徒の奇跡は、ユダヤ人のみならず、異邦人に対し行われ、異邦人の回心にさえ導いた。


Pワンポイント  ゴスペル(福音、福音書。 キリスト教プロテスタント系の宗教音楽)
 奴隷として北アメリカに連行されたアフリカ人は独自の言語・宗教をいっさい剥奪された。多くが南部州プランテーション(綿花畑)で働かされた。その労働の間にも黒人は次々と亡くなり、仲間の葬式で連れて行かされた教会などで彼らが歌い始めます。名も無き歌でしたが、それが「スピリチュアル(黒人霊歌)」のルーツとなった。
1730年代キリスト教大衆化運動が起こり、キリストを信じる黒人が大勢増え、多くの黒人霊歌が18世紀半ばから後半にかけて歌われた。彼らは奴隷主に教会に連れて行かされ、そこで礼拝を経験した。しかし真の意味で魂の解放を得たのは、一日の苦役を終えた後、夜遅くに仲間と秘密に集まる場所でだった。白人の家から離れた所に自分たちだけの礼拝をもって神に祈り、歌って踊った。見つかってはいけない、「見えない教会」で、大きな危険もあった。それでも集まった。楽器はなく、誰か歌を作り始めた者がリードし、皆が掛け合いで、時に一晩中、神に祈り、叫び、また踊りも使って神を讃美していた。
 アフリカ特有の跳躍するリズム、ブルー・ノート・スケールとヨーロッパ賛美歌など音楽的・詩的感性が融合して、ゴスペルの基調となる音楽が生まれた。また黒人は逃げる時に河を渡った。奴隷主は奴隷を追う時に犬を使うが、その犬の鼻が水に入ると効かなくなるので、なるべく河に入って匂いを消したのである。奴隷は今夜河を渡ると逃亡を手助けしてくれる人にゴスペルを歌って伝えた。
 「漕げよマイケル」「アメイジング・グレイス(→5月10日C,P)」「聖者の行進」「ジェリコの戦い」「鐘の音よ安らかに」
 「深き河」(深い川よ、私の故郷はヨルダンのかなたにある。 深い川よ、私はお前を越えて、仲間たちの元へと帰りたい。 おお、お前もあの福音の宴に行ってみたいとは思わないか? そこでは、すべてのものが平和であることが約束されているという)。
 また歌詞の中にも秘密が込められている。
  「エジプトで捕囚されたヘブライ(ユダヤ)人」→「奴隷として囚われた黒人」
  「約束の地カナン(イスラエル)」→「奴隷制の無いアメリカ北部」
  「ヨルダン川」→「奴隷州と自由州を隔てるミシシッピ川」  「イエスの元へ」→「逃亡を企てる秘密の集会をする」
  「モーセ」→「アブラハムと言い替えリンカーン」      「ファラオ」→「南部連合国大統領ジェファソン・デイヴィス」

今日の祈り

キリスト教歳時記300  10月27日
B今日の福音
 ヨハ14:18-24 わたしは、あなたがたをみなしごにはしておかない。あなたがたのところに戻って来る。しばらくすると、世はもうわたしを見なくなるが、あなたがたはわたしを見る。わたしが生きているので、あなたがたも生きることになる。かの日には、わたしが父の内におり、あなたがたがわたしの内におり、わたしもあなたがたの内にいることが、あなたがたに分かる。わたしの掟を受け入れ、それを守る人は、わたしを愛する者である。わたしを愛する人は、わたしの父に愛される。わたしもその人を愛して、その人にわたし自身を現す。」イスカリオテでない方のユダが、「主よ、わたしたちには御自分を現そうとなさるのに、世にはそうなさらないのは、なぜでしょうか」と言った。イエスはこう答えて言われた。「わたしを愛する人は、わたしの言葉を守る。わたしの父はその人を愛され、父とわたしとはその人のところに行き、一緒に住む。わたしを愛さない者は、わたしの言葉を守らない。あなたがたが聞いている言葉はわたしのものではなく、わたしをお遣わしになった父のものである。


C今日の暦
1466年 エラスムス生まれる(-1536年)ネーデルラントの人文主義者。カトリック司祭、神学者。「キリスト者の一致と平和」をテーマとし、カトリック教会の諸問題を批判しつつも中道を標榜し、教会に忠実だった。『ユートピア』のトマス・モアとと親交し、自由意志に関するマルティン・ルターとの論争でも知られる。『痴愚神礼賛』『エンキリディオン』『平和の訴え』
1986年 ヨハネパウロ2世、アシジに世界の宗教指導者を招き、平和を祈る


W今日の言葉   一緒に住む
 「わたしのための聖なる所を彼らに造らせなさい。わたしは彼らの中に住むであろう(出エジ25:8)」。
 「わたしはあなたたちのただ中にわたしの住まいを置き、あなたたちを退けることはない。わたしはあなたたちのうちを巡り歩き、あなたたちの神となり、あなたたちはわたしの民となる(レビ26:11-12)」。
 「娘シオンよ、声をあげて喜べ。わたしは来て、あなたのただ中に住まう、と主は言われる(ゼカ2:14)」。


Pワンポイント   わたしたちには御自分を現そうとなさる
 人々はメシアの華々しい出現と王としての支配を期待した。しかしイエスはそのようにして姿を現すメシアではない。かえって人々の罪を代わりに負ってくださる。ついに復活し、死に勝利してさえも、自身の出現は信じる人のみに限られた。
 「神はこのイエスを三日目に復活させ、人々の前に現してくださいました。しかし、それは民全体に対してではなく、前もって神に選ばれた証人、つまり、イエスが死者の中から復活した後、御一緒に食事をしたわたしたちに対してです(使徒10:40-41)」。
 それはイエスを愛し、イエスの言葉を守ることで、父なる神からも愛され、神が共に住んでくださるから。
 「神の掟を守る人は、神の内にいつもとどまり、神もその人の内にとどまってくださいます。神がわたしたちの内にとどまってくださることは、神が与えてくださった“霊”によって分かります(Iヨハ3:24)」。
 人間の信仰と愛に答え、神が恵みをあらわして下さるのである。


今日の祈り

キリスト教歳時記301  10月28日
B今日の福音
 ヨハ14:25-31 わたしは、あなたがたといたときに、これらのことを話した。しかし、弁護者、すなわち、父がわたしの名によってお遣わしになる聖霊が、あなたがたにすべてのことを教え、わたしが話したことをことごとく思い起こさせてくださる。わたしは、平和をあなたがたに残し、わたしの平和を与える。わたしはこれを、世が与えるように与えるのではない。心を騒がせるな。おびえるな。『わたしは去って行くが、また、あなたがたのところへ戻って来る』と言ったのをあなたがたは聞いた。わたしを愛しているなら、わたしが父のもとに行くのを喜んでくれるはずだ。父はわたしよりも偉大な方だからである。事が起こったときに、あなたがたが信じるようにと、今、その事の起こる前に話しておく。もはや、あなたがたと多くを語るまい。世の支配者が来るからである。だが、彼はわたしをどうすることもできない。わたしが父を愛し、父がお命じになったとおりに行っていることを、世は知るべきである。さあ、立て。ここから出かけよう。」


C今日の暦
○聖シモン 聖ユダ使徒(→3月4日W 使徒)
 シモンは熱心党に入っていた(マタ10:4)。 シモンはヘブライ語でシメオン(神は開かれた)。
 ユダはタダイ(タデオ)とも呼ばれ、アルファイの子(マタ10:3)。イエスの従兄弟で小ヤコブと兄弟(ユダ1:1)。『ユダの手紙』の著者?
 ふたりともにペルシアで宣教し、そこで殉教したとも伝えられる。
1627年 イエズス会司祭コンファロニエリ、禁教令のためにマカオに追放され、帰天
1633年 ヴァレンテ、日本の司教に任じられたが、来日できず帰天
1585年 コルネリウス・ヤンセン出生(-1638年)。ネーデルラントのカトリック神学者(イノセント10世によりその説は排斥される)
 人間の自由意志は道徳的善をなに一つ行うことが出来ない。人間の全ての行動は、情欲から生じる現世的望みか恩恵によって作り出される天上の望みのいずれかによる。この双方が人間の意志に強い影響を及ぼし、人間の意志は自由がないため、いっそう強い方の望みの圧力に従う結果となる。
1962年 ソ連指導者ルシチョフがキューバからのミサイル撤去を発表


W今日の言葉
※弁護者(→10月26日W)
※世の支配者   悪魔(→3月29日W 悪霊、悪魔)。


Pワンポイント        平和 シャローム
 イスラエルでは別れの時などに使う日常の挨拶の言葉。「あなたがたに平和があるように(ルカ24:36)」。
 かけたところのない状態で、繁栄、幸福、無事、満足の意味を持つ。内的な、神により与えられるものであり、すべての人が神の恵みに満たされるところに実現する状態。 たとえば放蕩息子のたとえで、父が兄息子にかけた言葉に言い表されている。「子よ、お前はいつもわたしと一緒にいる。わたしのものは全部お前のものだ(ルカ15:31)」。
 「前に話していた、年をとった父上は元気(シャローム)か。まだ生きておられるか(創世43:27)」。
 「主が御顔をあなたに向けてあなたに平安を賜るように(民数6:26)」。
 「平和のうちに身を横たえ、わたしは眠ります。主よ、あなただけが、確かにわたしをここに住まわせてくださるのです(詩編4:9)」。
 「堅固な思いを、あなたは平和に守られる、あなたに信頼するゆえに、平和に(イザ26:3)」。



今日の祈り

キリスト教歳時記302  10月29日
B今日の福音
 ヨハ15:1-7【イエスはまことのぶどうの木】「わたしはまことのぶどうの木、わたしの父は農夫である。わたしにつながっていながら、実を結ばない枝はみな、父が取り除かれる。しかし、実を結ぶものはみな、いよいよ豊かに実を結ぶように手入れをなさる。わたしの話した言葉によって、あなたがたは既に清くなっている。わたしにつながっていなさい。わたしもあなたがたにつながっている。ぶどうの枝が、木につながっていなければ、自分では実を結ぶことができないように、あなたがたも、わたしにつながっていなければ、実を結ぶことができない。わたしはぶどうの木、あなたがたはその枝である。人がわたしにつながっており、わたしもその人につながっていれば、その人は豊かに実を結ぶ。わたしを離れては、あなたがたは何もできないからである。わたしにつながっていない人がいれば、枝のように外に投げ捨てられて枯れる。そして、集められ、火に投げ入れられて焼かれてしまう。あなたがたがわたしにつながっており、わたしの言葉があなたがたの内にいつもあるならば、望むものは何でも願いなさい。そうすればかなえられる。


C今日の暦
1956年 第二次中東戦争(スエズ戦争)が勃発。エジプトとイスラエル、イギリス、フランスがスエズ運河を巡って起こした戦争(→3月26日P中東戦争)


W今日の言葉
※ぶどうの木   イスラエルの民。「あなたはぶどうの木をエジプトから移し、多くの民を追い出して、これを植えられました(詩編 80:9)」。
※まことのぶどうの木  イエスにおいてのみ、イスラエルに与えられた神の約束は、成就する。
   「わたしはあなたを、甘いぶどうを実らせる確かな種として植えたのに、どうして、わたしに背いて、悪い野ぶどうに変わり果てたのか(エレ2:21)。(→9月16日P ぶどう園の歌)
※手入れをなさる、清くなっている   原語で同じ語根を持つ言葉。試練によって、そして神の言葉によって清くされたキリスト者は、豊かに実を結ぶ。
※実を結ぶ   「苦難は忍耐を、忍耐は練達を、練達は希望を生む(ロマ5:3-4)」。
        「霊の結ぶ実は愛であり、喜び、平和、寛容、親切、善意、誠実、柔和、節制です(ガラ5:22-23)」。
※火 (→6月2日W 地獄))


Pかなえられる
 イエスとつながり、イエスの言葉がいつもあることが重視される。
 信仰は何より大切である。(→8月13日P 信仰)
 「からし種一粒ほどの信仰があれば、この山に向かって、『ここから、あそこに移れ』と命じても、そのとおりになる。あなたがたにできないことは何もない(マタ17:20)。」
 「だから、言っておく。祈り求めるものはすべて既に得られたと信じなさい。そうすれば、そのとおりになる(マコ11:24)」。



キリスト教歳時記303  10月30日
B今日の福音
 ヨハ15:8-15 あなたがたが豊かに実を結び、わたしの弟子となるなら、それによって、わたしの父は栄光をお受けになる。父がわたしを愛されたように、わたしもあなたがたを愛してきた。わたしの愛にとどまりなさい。わたしが父の掟を守り、その愛にとどまっているように、あなたがたも、わたしの掟を守るなら、わたしの愛にとどまっていることになる。
 これらのことを話したのは、わたしの喜びがあなたがたの内にあり、あなたがたの喜びが満たされるためである。わたしがあなたがたを愛したように、互いに愛し合いなさい。これがわたしの掟である。友のために自分の命を捨てること、これ以上に大きな愛はない。わたしの命じることを行うならば、あなたがたはわたしの友である。もはや、わたしはあなたがたを僕とは呼ばない。僕は主人が何をしているか知らないからである。


C今日の暦
1890年 「教育ニ関スル勅語」(教育勅語)発布。家族国家観に立ち、忠君愛国を国民至高の道徳とし、全国の学校で、拝礼・奉読が義務付けられた(1948年失効)。
1909年 聖公会修道会のアトンメントのフランシスコ女子修道会(NY)、カトリック教会に共同体全員が受け入れられる。
2005年 第二次大戦中のドレスデン爆撃(戦争末期の無差別爆撃。軍事施設はなく、バロック様式の美しい街並みと数多くの文化財で知られていた)により崩壊した聖母教会が、東独政府により再建され、聖別される。「世界最大のジグソーパズル」と再建工事は呼ばれた。


W今日の言葉  わたしの愛にとどまりなさい
 いつもイエスの愛を受けるにふさわしいものであり続けなさい。そしてイエスのみを愛し続けなさい。
 そのためには、イエスが父の掟を守って愛にとどまるように、イエスの愛の掟を守ることが大切である。
 「神の言葉を守るなら、まことにその人の内には神の愛が実現しています。これによって、わたしたちが神の内にいることが分かります(Iヨハ2:5)」。
 「神を愛するとは、神の掟を守ることです。神の掟は難しいものではありません(Iヨハ5:3)」。


Pワンポイント   わたしの喜び
①父なる神に、死に至るまで、それも十字架に死に至るまで従順であり続けることから来る喜び。それに弟子もあずかる。
  「わたしを愛しているなら、わたしが父のもとに行くのを喜んでくれるはずだ。父はわたしよりも偉大な方だからである(ヨハ14:28)」。
「しかし、今、わたしはみもとに参ります。世にいる間に、これらのことを語るのは、わたしの喜びが彼らの内に満ちあふれるようになるためです(ヨハ17:13)」。
②イエスは弟子を愛し、そのために命を捧げる。また弟子もイエスを、そして互いを愛するのを見る、その喜び。


今日の祈り

キリスト教歳時記304  10月31日
B今日の福音
 ヨハ15:15-17 わたしはあなたがたを友と呼ぶ。父から聞いたことをすべてあなたがたに知らせたからである。あなたがたがわたしを選んだのではない。わたしがあなたがたを選んだ。あなたがたが出かけて行って実を結び、その実が残るようにと、また、わたしの名によって父に願うものは何でも与えられるようにと、わたしがあなたがたを任命したのである。互いに愛し合いなさい。これがわたしの命令である。」
 ヨハ15:18-22【迫害の予告】「世があなたがたを憎むなら、あなたがたを憎む前にわたしを憎んでいたことを覚えなさい。
「あなたがたが世に属していたなら、世はあなたがたを身内として愛したはずである。だが、あなたがたは世に属していない。わたしがあなたがたを世から選び出した。だから、世はあなたがたを憎むのである。『僕は主人にまさりはしない』と、わたしが言った言葉を思い出しなさい。人々がわたしを迫害したのであれば、あなたがたをも迫害するだろう。わたしの言葉を守ったのであれば、あなたがたの言葉をも守るだろう。しかし人々は、わたしの名のゆえに、これらのことをみな、あなたがたにするようになる。わたしをお遣わしになった方を知らないからである。わたしが来て彼らに話さなかったなら、彼らに罪はなかったであろう。だが、今は、彼らは自分の罪について弁解の余地がない。


C今日の暦
○ハローウィーン All Hallows'eve → Hallows eve → Halloween(諸聖人の前夜)
 ハロウィーンには、異教的風習や幽霊などの衣装があり、教会として容認することがあっても、教会の行事ではけっしてない。
 ケルト人が、自然崇拝からカトリックに改宗する過程で、ケルトの収穫祭に合わせ行われる民間行事で、ドルイド教に起源。
 ケルト民族にとり新年は11月1日から始まり、その前日にあたる。11月1日は、神々の世界が人間に見え、神々が人間に様々な悪戯を仕掛けると考えられた。その前夜は、先祖の霊が地上に戻り、魔女や悪霊の力が最大となる。それを寄せ付けないようにかがり火がたかれた。
 お菓子を子どもが求めるのは19世紀後半アイルランドの若者の悪戯に由来し、かぼちゃはランタンとしてアメリカで使い始めたものが広まった(スコットランドではかぶ)。
1517年 ルター、ヴィッテンベルク大学の聖堂の扉に「95カ条の論代」を提示。プロテスタント教会で宗教改革記念日として祝われる(→11月10日P)。
1984年 インドのインディラ・ガンジー首相がシーク教徒の警護警官により暗殺される
1992年 教皇ヨハネ・パウロ2世が、ガリレオ・ガリレイに対する裁判の誤りを認め、破門を解く。ガリレオの死後350年目
1997年 教皇ヨハネ・パウロ2世、反ユダヤ主義の一端がキリスト教にあることを認める。


W今日の言葉    友
 神に従いわが子を捧げようとしたアブラハムは、「神の友」とまで呼ばれるまでになった。
   「あなたの友アブラハムの子孫(II歴代20:7)」「わたしの愛する友アブラハムの末よ(イザ41:8)」。
 イエスの弟子も、イエスの命じることを行う時に、友、つまりは神の友と呼ばれる。


Pワンポイント   世
 イエスと敵対する人々。
「わたしは彼らに御言葉を伝えましたが、世は彼らを憎みました。わたしが世に属していないように、彼らも世に属していないからです(ヨハ17:14)」。
 「だから兄弟たち、世があなたがたを憎んでも、驚くことはありません(Iヨハ3:13)」。
 世は、イエスの業(奇跡)を見ても信じなかった。奇跡は神がイエスと共にいることのしるしであった。


10/25

2014年10月24日 | キリスト教
キリスト教歳時記298  10月25日
B今日の福音
 ヨハ14:5-11 トマスが言った。「主よ、どこへ行かれるのか、わたしたちには分かりません。どうして、その道を知ることができるでしょうか。」イエスは言われた。「わたしは道であり、真理であり、命である。わたしを通らなければ、だれも父のもとに行くことができない。あなたがたがわたしを知っているなら、わたしの父をも知ることになる。今から、あなたがたは父を知る。いや、既に父を見ている。」フィリポが「主よ、わたしたちに御父をお示しください。そうすれば満足できます」と言うと、イエスは言われた。「フィリポ、こんなに長い間一緒にいるのに、わたしが分かっていないのか。わたしを見た者は、父を見たのだ。なぜ、『わたしたちに御父をお示しください』と言うのか。わたしが父の内におり、父がわたしの内におられることを、信じないのか。わたしがあなたがたに言う言葉は、自分から話しているのではない。わたしの内におられる父が、その業を行っておられるのである。わたしが父の内におり、父がわたしの内におられると、わたしが言うのを信じなさい。もしそれを信じないなら、業そのものによって信じなさい。


C今日の暦
1858年 外国人の信仰の自由が認められ、外国人居留民地内に聖堂建築が許可される
1868年(明治元) 徳冨蘆花出生(-1927年)。日本の小説家。熊本バンド(明治時代のプロテスタントの3の源流の一、会衆派)の1人として同志社英学校で学びぶ。キリスト教の影響を受け、トルストイに傾倒。後年、トルストイも会見。キリスト者として求道的生涯を送った。『不如帰』『思出の記』『黒潮』
1992年 カトリック中央協議会、『差別の克服をめざして』発行
1994年 バチカン、PLO(→5月28日C)と公式関係を樹立


W今日の言葉
※道、真理、命  イエスは人間を天国、神に導く道。また真理そのものであるからイエスの言うことは真理である。そして永遠の命への道を開いた。
※父を見た    父と子は同一本質であり、父の内に子が、子のうちに父がいる。したがってイエスを見たものは神を見たと言える。実際父のみ心は、イエスによって明確に真理としてあらわにされた。
※業       イエスの内に神の業が働くことを示すために、これまでたくさんの奇跡がなされてきた。


Pワンポイント   PLO パレスチナ解放機構
 イスラエル支配によりパレスチナを追われたパレスチナ人(アラブ人)の解放を目的とする統合機関。
 1964年アラブ連盟の決定により設立。 1974年アラブ首脳会議で、パレスチナ人の唯一の正統代表として認められ、国連がオブザーバーとして承認。
 最高指導者はアラファート。意思決定機関(議会)がパレスチナ民族評議会。亡命政府の役割を果たし、当初武装闘争による解放を目指した。やがて主流派ファタハは外交重視の現実路線へ転換した。
 1988年パレスチナ国家の独立を宣言するとともに、イスラエルと相互承認し、武装闘争を放棄した。
 1990年湾岸戦争でイラク寄りの姿勢を取り、イラクと対立する湾岸産油国の援助を失った。
 1993年アラファート議長がラビン首相とオスロ合意に達し、パレスチナ暫定自治を進めた。
 1995年ラビン首相は暗殺され、「和平粉砕」を掲げるハマースが1993年から自爆テロを開始、難民や貧困層の支持を広げた。
 2004年アラファート死去の後、後任として穏健派のアッバスが継いだ。

10/24

2014年10月23日 | キリスト教
キリスト教歳時記297  10月24日
B今日の福音
 ヨハ14:1-4【イエスは父に至る道】「心を騒がせるな。神を信じなさい。そして、わたしをも信じなさい。わたしの父の家には住む所がたくさんある。もしなければ、あなたがたのために場所を用意しに行くと言ったであろうか。行ってあなたがたのために場所を用意したら、戻って来て、あなたがたをわたしのもとに迎える。こうして、わたしのいる所に、あなたがたもいることになる。わたしがどこへ行くのか、その道をあなたがたは知っている。」


C今日の暦
1725年 スカルラッティ帰天(1660年-)。イタリアの作曲家。ナポリ王室礼拝堂学長。オペラ作曲家。急緩急の3部からなるシンフォニア形式で知られる。『生写しの人』
1929年 暗黒の木曜日。ニューヨーク株式市場が大暴落し、世界恐慌が始まる。1300万株が売られ、以後4年回復しなかった。工業生産は止まり、失業者はあふれ、全世界に影響が波及した。
1931年 アル・カポネがクック郡刑務所に入所。イタリアからの移民で、禁酒法のもと酒の密売で財を得て、シカゴ暗黒街に君臨。
1945年 ソ連の批准により、発効に必要な20国の批准が得られ、国際連合憲章が発効。国際連合が発足。


W今日の言葉
※父の家に住まい  天国では多くの人の住まいが用意され、それは永遠に続く。
※わたしのいる所に、あなたがたもいる
  それぞれの信者の死(「わたしたちは、心強い。そして、体を離れて、主のもとに住むことをむしろ望んでいます(IIコリ5:8)」、
  もしくは再臨のときに(Iテサ4:14-17、Iコリ4:5、Iヨハ2:28)


Pワンポイント  禁酒法(1920年)
 アメリカでピューリタニズムの道徳思想の影響のもと禁酒運動が広まった。初めは節酒運動だったが、アルコール飲料反対の政治運動となった。産業社会初期の労働者の貧困も、飲酒癖によるものとされた。
 1826年節酒促進協会設立。1869年国民禁酒党が組織。1974年婦人キリスト教節酒連盟発足。1890年代6州が禁酒法を定め憲法修正を要求。1906年以降、国家的規模で禁酒法導入の要求が高まった。第1次大戦後の排外主義、赤狩り、ファンダメンタリズムの運動と結びつき、プロテスタント的感情をてこに、1920年憲法が修正され、アルコール飲料の製造・販売・運搬・輸出入を禁止することとなった。
 しかしギャングによる密造・密売が続出し、それに伴う犯罪も増加した。1933年に廃止。

10/23

2014年10月22日 | キリスト教
キリスト教歳時記296  10月23日
B今日の福音
 ルカ22:31-38 「シモン、シモン、サタンはあなたがたを、小麦のようにふるいにかけることを神に願って聞き入れられた。しかし、わたしはあなたのために、信仰が無くならないように祈った。だから、あなたは立ち直ったら、兄弟たちを力づけてやりなさい。」するとシモンは、「主よ、御一緒になら、牢に入っても死んでもよいと覚悟しております」と言った。イエスは言われた。「ペトロ、言っておくが、あなたは今日、鶏が鳴くまでに、三度わたしを知らないと言うだろう。」
ルカ22:35-38【財布と袋と剣】それから、イエスは使徒たちに言われた。「財布も袋も履物も持たせずにあなたがたを遣わしたとき、何か不足したものがあったか。」彼らが、「いいえ、何もありませんでした」と言うと、イエスは言われた。「しかし今は、財布のある者は、それを持って行きなさい。袋も同じようにしなさい。剣のない者は、服を売ってそれを買いなさい。言っておくが、『その人は犯罪人の一人に数えられた』と書かれていることは、わたしの身に必ず実現する。わたしにかかわることは実現するからである。」そこで彼らが、「主よ、剣なら、このとおりここに二振りあります」と言うと、イエスは、「それでよい」と言われた。


C今日の暦
1962年 天正遣欧使節の原マルチノ神父、マカオで帰天(→2月20日C)
1996年 教皇ヨハネ・パウロ2世、ダーウィンの進化論について表明。「カトリックの教えと矛盾しない、進化論は仮説以上のもので、肉体の進化論は認めるが、人間の魂は神に創造されたもの」。(→2月12日P 進化論の評価)
 「人体の起源を、すでに生存していた物質から発達したものとして探求するだけであれば、教会の教導職は進化論の教えを禁じない。霊魂が神から直接に創られたものであるということは、カトリックの信仰箇条である(DS3896)」。


W今日の言葉
※サタンの願いを神が聞き入れる   サタンは神のゆるしの中でのみ、活動が許される。「主はサタンに言われた。『それでは、彼のものを一切、お前のいいようにしてみるがよい。ただし彼には、手を出すな。』サタンは主のもとから出て行った(ヨブ1:12)」。
※小麦のようにふるいをかける   麦と殻を振り分ける。使徒が受ける試みも大きなもので、人間の本性がむき出しにされる。
※財布も袋も履物も持たせずにあなたがたを遣わした 「財布も袋も履物も持って行くな。途中でだれにも挨拶をするな(ルカ10:4)」。
※犯罪人の一人に数えられた  「それゆえ、わたしは多くの人を彼の取り分とし、彼は戦利品としておびただしい人を受ける。彼が自らをなげうち、死んで、罪人のひとりに数えられたからだ。多くの人の過ちを担い、背いた者のために執り成しをしたのは、この人であった(イザ53:12)」とある。イザヤが主の僕の苦難について預言したものの一つ。


Pワンポイント 二振りの剣
 教皇ゲラシウス1世(-496年)は、教皇の権威と世俗の権威のこと(両剣論)とし、いずれも神に由来するとした。教皇は霊的な権威を持ち、王は地上の権力を持つ。
 中世になると相反する解釈が行われた。
 教皇ボニファティウス8世は、フィリピ4世との争いに関し、回勅「ウナム・サンクタム」を発布した。教会は両権力を神から受け、国家の権力は国王、皇帝に貸してあるだけで、教会のため用いられるべきとした。(→9月7日C)
 一方皇帝側からは、国家の権力は神から直接皇帝に与えられているとした。歴史的には、11世紀には、教皇の叙任さえ、神聖ローマ皇帝が神の代理として掌握していた。(→5月25日P グレゴリオス7世の教会改革)

10/22

2014年10月21日 | キリスト教
キリスト教歳時記295  10月22日
B今日の福音
 マタ26:31-34 そのとき、イエスは弟子たちに言われた。「今夜、あなたがたは皆わたしにつまずく。『わたしは羊飼いを打つ。すると、羊の群れは散ってしまう』と書いてあるからだ。しかし、わたしは復活した後、あなたがたより先にガリラヤへ行く。」するとペトロが、「たとえ、みんながあなたにつまずいても、わたしは決してつまずきません」と言った。イエスは言われた。「はっきり言っておく。あなたは今夜、鶏が鳴く前に、三度わたしのことを知らないと言うだろう。」


C今日の暦
○聖ヨハネ・パウロ2世(1920年-2005年)。ポーランド人。ナチス占領下、地下組織の神学校で哲学・神学を学び、戦後司祭になる。神学と哲学の2つの博士号をもつ。455年ぶりの非イタリア人教皇、史上最初のスラヴ系教皇。20世紀中最年少58歳で着座。84歳で帰天。
1962年 ケネディ米大統領、キューバにソ連がミサイル基地を建設中と発表し、海上封鎖を表明した。


W今日の言葉  『わたしは羊飼いを打つ。すると、羊の群れは散ってしまう』と書いてある
 「剣よ、起きよ、わたしの羊飼いに立ち向かえ、わたしの同僚であった男に立ち向かえと、万軍の主は言われる。羊飼いを撃て、羊の群れは散らされるがよい。わたしは、また手を返して小さいものを撃つ(ゼカ13:7)」。


Pワンポイント  聖ヨハネ・パウロ2世
・対外的に「開かれた教会」を目指し、改革に着手。他宗教と協調を図る柔軟路線へ転換し「宗教的寛容」を体現、他文化との対話を呼びかけた(1月25日C)。カトリックと11世紀に分裂した東方教会(正教)、16世紀に分かれたプロテスタント諸派と対話を重ね、和解や「異なる宗教との対話」を促進した。
 1979年共産主義体制で戒厳令下の母国ポーランドへ戻り、弾圧されていた反体制自主管理労組「連帯」を支持、「モラルの勝利になる」と励ました。共産主義政権への抵抗運動の精神的な支えとなり、ソ連・東欧の民主化、冷戦終焉の立役者の一人として足跡を残した。1981年にはKGBが絡むと噂される銃弾2発を受けた(→2月13日C)。
 世界平和と戦争反対を呼びかけ(1981年広島平和アピール、2月25日P)、1986年ローマのシナゴーク(ユダヤ教会堂)を教皇として初めて訪問。94年6月にバチカンとイスラエルの国交樹立を実現。2000年エルサレムを訪れ、ユダヤ教、イスラム教の聖地にまで足を運んだ。
 1991年の湾岸戦争、パレスチナ紛争などでは「暴力と武器は問題を解決しない」と繰り返し、強く反対。2003年イラク戦争前に特使をイラクやホワイトハウスへ送り込み、戦争回避の説得を続けた(→3月20日P)。
 2000年は、キリスト生誕二千年を祝う「大聖年」を主宰し、ユダヤ教徒への接し方、キリスト教会の分裂や異端審問、地動説を唱えて宗教裁判で有罪となったガリレオの名誉回復、19世紀から20世紀初めの中国での布教活動にまで言及しつつ罪を認め、神にゆるしを求めた。
・教義的には保守的と言われた。同性間の結婚、エイズ予防のためコンドーム使用や司祭の結婚に反対。生命倫理の分野で、妊娠中絶や安楽死は死の文化と呼び、キリスト教的道徳観の再提示を行った
 在位中、歴代最多の104回の外遊で130カ国以上を訪問した。東方教会内で最大勢力のロシア正教会はカトリックの教勢拡大を恐れ、教皇のモスクワ訪問を拒んだ。また、カトリック教会の活動を規制する中国に対し、外交関係の樹立を働きかけたが、かなわなかった。
 晩年は銃撃の後遺症やパーキンソン症候群など肉体的な苦しみを味わいつつ教皇職を全う。在位は26年を超え、在位年数がはっきりしない初代ペトロを除けば歴代2位の長さとなる。 2013年聖人になる条件の二つ目の奇跡が認定され(3月24日P)、2014年4月27日列聖。死後9年25日での列聖は近年では最速。

10・21

2014年10月20日 | キリスト教
キリスト教歳時記294  10月21日
B今日の福音
 ヨハ13:31-35【新しい掟】さて、ユダが出て行くと、イエスは言われた。「今や、人の子は栄光を受けた。神も人の子によって栄光をお受けになった。神が人の子によって栄光をお受けになったのであれば、神も御自身によって人の子に栄光をお与えになる。しかも、すぐにお与えになる。子たちよ、いましばらく、わたしはあなたがたと共にいる。あなたがたはわたしを捜すだろう。『わたしが行く所にあなたたちは来ることができない』とユダヤ人たちに言ったように、今、あなたがたにも同じことを言っておく。あなたがたに新しい掟を与える。互いに愛し合いなさい。わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい。互いに愛し合うならば、それによってあなたがたがわたしの弟子であることを、皆が知るようになる。」
 ヨハ13:36-38【ペトロの離反を予告する(マコ14:27ー31)】シモン・ペトロがイエスに言った。「主よ、どこへ行かれるのですか。」イエスが答えられた。「わたしの行く所に、あなたは今ついて来ることはできないが、後でついて来ることになる。」ペトロは言った。「主よ、なぜ今ついて行けないのですか。あなたのためなら命を捨てます。」イエスは答えられた。「わたしのために命を捨てると言うのか。はっきり言っておく。鶏が鳴くまでに、あなたは、三度わたしのことを知らないと言うだろう。」


C今日の暦
1633年 中浦ジュリアン神父(イエズス会、遣欧少年使節の一人)、長崎・西坂で穴吊りの刑で殉教(2月20日C)。
     同時に処せられたフェレイラは棄教。
1879年 エジソン、電球完成(日本の竹の繊維を使ったフィラメントによる)。
1943年 学徒出陣壮行会(明治神宮外苑競技場)
1901年 フォン・ラート出生(-1971年)。ドイツの神学者、聖書学者。六書(モーセ五書+ヨシュア記)の編集史研究
  フォン・ラートは「最高の美」は神の自己放棄という。愛するに値しないものを極みまで愛する神の愛。
 「わが民はかたくなにわたしに背いている。たとえ彼らが天に向かって叫んでも 助け起こされることは決してない。ああ、エフライムよ お前を見捨てることができようか。イスラエルよ お前を引き渡すことができようか。…わたしは激しく心を動かされ 憐れみに胸を焼かれる。わたしは、もはや怒りに燃えることなく エフライムを再び滅ぼすことはしない。わたしは神であり、人間ではない。お前たちのうちにあって聖なる者。怒りをもって臨みはしない(ホセ11:7-9)」。旧約聖書以来語られていたこのことは、イエスにおいて現実のものになった。


W今日の言葉
※「『わたしが行く所にあなたたちは来ることができない』とユダヤ人たちに言った」   ヨハ7:34、ヨハ8:21
※「あなたのためなら命を捨てます」
 「良い羊飼いは羊のために命を捨てる」(ヨハ10:11)。イエスは十字架でその通り実行したが、ペトロはすぐにはできず、十字架のイエスを見捨てた。
※後でついて来ることになる   ペトロはかつて漁師を捨てイエスに従った。しかしそれさえ「行きたいところへ行っていた」だけのこと。
「『はっきり言っておく。あなたは、若いときは、自分で帯を締めて、行きたいところへ行っていた。しかし、年をとると、両手を伸ばして、他の人に帯を締められ、行きたくないところへ連れて行かれる。』ペトロがどのような死に方で、神の栄光を現すようになるかを示そうとして、イエスはこう言われたのである。このように話してから、ペトロに、『わたしに従いなさい』と言われた(ヨハ21:18-19)」。

Pワンポイント  新しい掟
 旧約でも愛し合うようにとの掟はある。「復讐してはならない。民の人々に恨みを抱いてはならない。自分自身を愛するように隣人を愛しなさい。わたしは主である(レビ19:18)」。
 父がイエスを愛するように、イエスは父の愛の心に従い抜く。そこで人々を愛し抜き、自分をすべて与え、捧げた。そのイエスの愛にこそ基礎を置いて、新約の時代は愛し合うことになる。ここに新しさ示される。