Even 言い分

風の向くまま、気の向くままに、今日は何を書こうかな~。

Vol.13 偶然のいたずら

2006年05月29日 | 連載『Carry on』
こんなことが起こる時が来るとは思いもしなかった・・・。

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僕はすぐに携帯電話を開き、届いたメールを見ることにした。
するとそこには・・・

「おかげさまで優勝することができました。昨日は大阪まで応援に来てくださり、本当にありがとうございました。」

このメールを読んだ時、驚きと喜びが同時に押し寄せてきた感じだった。
最後のインカレで高橋君は有言実行し、優勝したのだ。
ここまで辿り着くまで、彼は数多くの苦労や悔しさを味わったであろう。
しかし、それらがあったからこそ、最後の大会で優勝することが出来たのかもしれない・・・。

僕はその前日の帰り際に高橋君とある約束を交わしていた。
もし優勝したら、お祝いも兼ねて好きなものをご馳走すると。
高橋君は迷わずこう答えた。
「ありがとうございます。優勝したら焼肉に連れて行ってください。」

インカレは8月の終わりに行われたのだが、高橋君はその後、教育実習や国体を控えていたため、この約束は年が明けた、2003年1月に果たすことになった。
しかし、この時果たす約束は焼肉だけではなかった。

彼は以前から東京で上演されているある舞台を一度観てみたいと思っていた。
しかし、周りには舞台に興味を示す子がおらず、この舞台を見に行くことを諦めかけていたらしい。
この話を聞き、舞台を観るのが好きな僕は「それなら一緒に見に行ってみようか?」と尋ねると、「是非お願いします。」ということになった。

高橋君が見てみたいと思っていた舞台は、なんとM君が出ている作品だった。
といっても、彼はM君のことは全然知らないし、僕達が見に行く日の公演にM君が出ているかどうかは公演日の直前まで分からない。
これが偶然のいたずらと言うものなのだろうか。

僕は高橋君に舞台で頑張るM君の姿を見てもらいたかった。
そうすれば舞台がすごく身近なものに感じられ、楽しんでもらえると思ったからだ。
しかし、こればかりは僕の力でどうすることも出来ない。M君が出ることを祈るばかりだった。

こうして当日を迎えた。
劇場に着き、その日の出演者をチェックしてみると、そこにはM君の名前があった・・・。

【次回へつづく】

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