blueな日々

( Art で逢いましょう)

脳が泳ぐ

2006年11月08日 | 読書メモ

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プール、泳ぐ、といった言葉で私がすぐに思い出す写真。
前世紀、雑誌で見つけ切り抜き、仕事部屋に飾っていた。
カメラマンは、アメリカ人のエドワード・ウェストンか
アンセル・アダムスだと思うが、記憶はあやふや。

………
『イン・ザ・プール』図書館を利用(文庫本)
著者:奥田英朗 出版:文藝春秋 発行:2006.03

出版社の内容紹介:「いらっしゃーい」~総合病院地下
にある神経科を訪ねた患者たちは甲高い声に迎えられる。
色白で太った精神科医。そこで待ち受ける、前代未聞の
体験。プール依存症、陰茎強直症、妄想癖…訪れる人々
も変だが、治療する医者のほうがもっと変? こいつは
利口か、馬鹿か、名医か、ヤブ医者か。

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………
この作家の『最悪』『邪魔』につづく3冊目の私の読書
~これはミステリィではない。うまい作家である。この
人は将来もっといい小説を書きそうな気もする。楽しみ。

心を病んだ現代人~昔もそうだったと思うが。誰も彼も、
こんな医者に出会いたいのかもしれない。このふざけた
精神科医には反発もおぼえるが、結果的には、いい医療
従事者でもあるのだろうか。私もこの病院でセクシーな
ミステリアスな看護婦さんから注射を打ってもらいたい。

映画化されている。その公式サイトを見たが、映画には
期待できそうもない印象。ただのドタバタ映画のような
雰囲気だった。この原作は、奇妙な味の面白い映像作品
に仕上がる可能性があるのだが。非常に残念である。

………
『変身』古書を購入(文庫本)
著者:東野圭吾 出版:講談社 発行:1994.06

出版社の内容紹介:世界初の脳移植手術を受けた平凡な
男を待ちうけていた過酷な運命の悪戯。自己崩壊の悲劇。
平凡な青年をある日突然、不慮の事故が襲った。そして
彼の頭に世界初の脳移植手術が行われた。それまで画家
を夢見て、優しい恋人を愛していた青年は手術後、徐々
に性格が変わっていくのを、自分ではどうしょうもない。
自己崩壊の恐怖に駆られた純一は自分に移植された悩の
持主~ドナーの正体を突き止めるが。

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………
15年ほど前に単行本で発表された作品。私には、作家の
若書きが目立ってしまった。作家の成長途中の作品との
印象を受けた。悪くはないが中途半端。迫るものがない。

信じられない脳移植。主人公はどの部位にどんな機能の
脳片の移植を受けたのか、物語の前提条件であるだけに、
もっと精密に書くべきであった。小出しに表現はされて
いるが、私は欲求不満がつのったまま。面白い話である
だけに、未熟?なスリラーに終わったことが残念である。

医療側~大学の研究室も、背景の巨悪?も、素人作家が
書いたようなあやふやさがあり、主人公と恋人の恋愛の
経過もうっとおしいだけだった。変身を、わざわざ脳の
移植に求めなくてもいいのに。そんな感想も。

東野圭吾は現在~ここ数年、素晴らしい作品を連発して
いるといった印象が予感がある。私は最近やっと、この
作家の本を読みはじめたばかりだが、知ったばかりでは
あるが。推理から文学に移行~変身しているのではない
のだろうか。もともとそんな素材~人物だったのかも。


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