黒いボディの美しいカメラが眼にとまり、私は魅いられてしまった。
30年前に製造された、35mmのフィルムを使用するストロボ内蔵の
レンジファインダーカメラ。Canon A35 Datelux という名前。
使用する電池が、現在では製造されておらず代替品になる。動作に
不具合があっても電子部品などは入手が困難で交換できず、修理が
ほぼ無理なタイプ。今も完動品であったとしても、いつ故障しても
おかしくない、そんな、わがままで不自由だが、美しいカメラ。
調べてみたらオークション以外でも、数こそ少ないが、各地の中古
カメラ店でも販売されていた。だが高額だ。欲しい。我が家の来月
の支出を再確認したうえで、なんとか生活は可能だとの憶測のもと、
昨夜、オークションに参加～入札してみることにした。
出品数が少ないのにジャンク品が多い中、今でも動作する～撮影が
可能なカメラに値をつけてみた。その出品物～商品には出品者への
質問が３件もあり～出品者は丁寧に応えていた、ライバルの存在が
予想された。ところが、オークションの終了間際になっても入札者
は私ひとり。そのまま何の展開もなく終了。開始時の価格のままに、
なんとなく私が落札してしまっていた。送料込みの３千円で。
出品者への複数の評価はいいものばかりで「今も動作するカメラ」
だというコメントは信じてもよさそうだ。そして古いカメラなので
「すべての動作は保証しかねる」という説明にも納得できる。昨夜
のうちにお互いの連絡が済んで、代金の送金は25日～私の来月分の
収入がある日だから。レンズキャップとフィルターは付属しており、
おまけで電池が無償でもらえることになった。フィルムだけを準備
していたら、カメラが届いたらすぐに撮影～試写ができる。
写真は出品者が撮影したもの。本当はもっと美しい。ネットで多く
の画像を見たらとても上品な姿をしている。この美女が私のものに。
３千円の出費なら自分でも納得できるし許されるはず。このカメラ
が私の日々を彩ってくれるだろう。これはだいじなことだから。