
当時は、Leica M3が発売されたころ.1950年代のなかば.「Argus C44」は、
角張ったフォルムの「C3」で有名な Cシリーズの最上位機種.レンズ交換が
可能な35mmレンジファインダーカメラ.アルミダイキャスト製のボディは
仕上げも精緻でアメリカ製とは思えないほど.私には珍しく新鮮なひとつ目
の二重像合致式、MX切換のシンクロ接点他、最新のスペックを誇っていた.
入手できた私の個体.外観は経年の劣化が進んでいる.だがそれはしっかり
使い込まれ、手入れもされ、長い年月、愛用されてきた.そんな印象なのだ.
アルミ製のボディはくすんで傷つきさびてはいるが、いまだに確実な動作を
している.油が切れかけて、ぎすぎすした動きではあるが、アメリカ製ゆえ、
堅牢なイメージも.巻き上げの操作は冷酷なほど固く有無をいわせない動作.
もともとそうだったのか.指が痛むほどの固い動き.そして残念なことに…、
レンズまわりとボディ上部近くの独特の円形部品の操作によるピントリング
の動きとファインダー内部の二重像がまったくシンクロしていない.ゆえに、
ピント調節は目測になってしまう.レンズのヘリコイドはしっかり動作して
いるので、焦点は、被写体の距離に応じて目測で設定をすれば、合うはずだ.
シャッター速度や絞りなどの、撮影のための他の動作に異常は感じられない.



Argus C44
●レンジファインダー:ひとつ目式二重像合致
●ピント合わせ:ギアによるヘリコイドで合わせる
●フィルム:135 35mm標準
●レンズ:Argus 50mm/F2.8 Coated Cintagon
●絞り:F3.5~22 ●ホットシュー: MX切り替え接点
●シャッター速度:自社製内蔵型
B.1/10.1/25.1/50.1/100.1/200.1/300秒
●ファインダー:逆ガリレイ式 ●撮影最短距離:3フィート
●サイズ:142×80×80mm 660 ●製造年:1956~57年
●メーカー:アメリカ ARGUS,INC.(Michigan & Chicago Illinois)
●交換レンズ:35mm F4.5 Coated Cintagon
35mm F4.5 Enna Lithagon
50mm/F3.5 Coated Cintar
100mm F3.5 Coared Cintagon
100mm F4.5 Tele Enna Lithagon
135mm F3.5 Coated Cinter
*米国製カメラの交換レンズだが、 Cintagon 45mm/F35 はドイツ製.
あるいは時代の流れとスペックの不一致など、ややちぐはぐな印象の
アメリカのカメラメーカー.アーガス社は戦前から、数々のカメラを
生産して現在に至っている.主に35mmカメラの製造販売が中心だが、
一時期はアルゴフレックスなどの廉価版二眼レフなども.そしてこの
C44はわずか2年ほどで製造が打ち切りになったらしい.事情は不明.
6本の交換レンズとビューファインダーが用意されていた.ビハインド
形式のリーフシャッター.高級指向のカメラでありながらシャッター
スピードは初級機なみの、B.1/8 ~ 1/300秒のみ.セルフコッキング、
レンズ交換式、レバー巻上げ・クランク巻戻しとなったモデルも.
*フィルター径 36mmカブセ(標準)、44mmネジコミ(望遠)
*巻き上げノブを持ち上げると、巻き戻しの操作が可能に.
*レンズの交換方法:レンズを外す時、レンズ下部の矢印を押しながら、
反時計方向にレンズを回す.レンズを装着時は、ヘリコイドとレンズ
マウントの赤点を合わせ、そこにレンズの赤点を合わせて落とし込み、
そのまま時計方向に回せばよい.
*一部のモデルでは? シャッターボタンは撮影の後に、押し込まれた
ままの状態に.巻き上げ操作とともに次第にせり上がって、チャージ
が完了して、元に戻ってまたシャッターが切れるように.巻き戻しも、
そのためのレバーやボタンもない.巻き上げノブを引っ張り上げる.
(ネット上にあった仕様などのわずかな情報を転載してリライト)