月を見ることも、少なくなってしまった。たまにその存在を
思い出して、夜空の光を仰ぎみてもオレンジ色に汚れている。
人は月に進出できるのだろうか~永続的な基地の建設と居住
するということ~疑問に思う。現在の技術レベルで可能では
あるだろうが、地球上でのごたごたを解決しない限り無理だ。
(図書館を利用)
………
『第六大陸~1,2』
著者: 小川一水 出版:早川書房
発行:2003.06,08(文個本)図書館を利用
出版社の内容紹介:2025年。サハラ、南極、ヒマラヤ~
極限環境下での建設事業で、類例のない実績を誇る御鳥羽
総合建設は新たな計画を受注した。依頼主は巨大レジャー
企業会長・桃園寺。工期は10年予算1500億、建設地は月。
機動建設部の青峰は桃園寺の孫娘・妙を伴い、月面の中国
基地へ現場調査に赴く。だが彼が目にしたのは、想像を絶
する苛酷な環境だった~第1巻。
天竜ギャラクシートランスが開発した新型エンジンを得て、
月面結婚式場「第六大陸」建設計画はついに始動。2029年、
月の南極に達した無人探査機が永久凍土に水の存在を確認、
もはや計画を阻むものは存在しないかに思われたが、再起
を賭したNASAが月面都市建設を発表。さらには国際法上
の障壁などにより「第六大陸」は窮地に追いやられる。
計画の命運は? そして妙が秘めた真の目的とは~第2巻。
民間企業による月面開発計画「第六大陸」全2巻着工。
プロジェクトX的な~事業推進の記録と考えれば面白い作品。
だがSF的には不満足。終盤で思わぬ展開を見せてくれるかも
しれないと期待していたが、どこでも読めそうな地球外文明
の存在を示唆するだけで終了。話を膨らませる必要はないが、
とってつけたような展開はイヤだ。また不満なのは~読者の
年代の相違が大きいだろう~ヒロインの造形不足ぎみな個性。
現実味のないその存在が~落ちつけなかった。とはいえ先日、
読んだ同じ著者の『復活の地』には及ばないものの、充分に
楽しめる作品ではあった。
………
『ダイヤモンド・エイジ~上下』
著者:ニール・スティーヴンスン 翻訳:日暮雅通
出版:早川書房 発行:2006.03(文個本)
出版社の内容紹介:近未来、ナノテクの発達で文明社会は
大きく変貌していた。世界は国家ごとではなく人種、宗教、
主義、趣味などを共有する者の集まりからなる多種多様な
国家都市に細分化されている。ある貴族が孫娘の教育用に
ナノテクの枠を極めた初等読本の作製を依頼するが…。
ダイヤモンドをはじめすべてをナノテクで作りだせるよう
になった近未来を描く、ヒューゴー賞・ローカス賞受賞作。
登場人物にはそれなりに魅力があった。しかし近未来の国家
都市の背景や「若き淑女のための絵入り初等読本」も着想は
悪くないが発展できていない~幼稚すぎる。古くさく表面的
な東洋趣味も情けない。ストーリーも破綻している。こんな
作品がSF賞をW受賞していることも信じられない。
それにしても造語の洪水に悩まされた。巻末に用語集を掲載
すべきだったのではないか。出版社と翻訳者の怠慢だ。
どんな終わり方をするのか知りたくて最後まで読んでみたが、
話を拡げ過ぎて収束ができていなかった。下手なパロディを
読まされた気分。この作家はもう読むことはないだろう。
………
もうしばらくSFを読みたい。