専門chで、大沢たかおの「深夜特急」をおまけ含めて全部放送していたので、何日かに分けて視聴した。本編はDVDになっていたが、おまけ部分は見る機会が無かったので、一気に見られる良い機会だった。ただ、今見ると、その当時人気があったであろうキートン山田のナレーションが痛々しく、古いセンスがあふれており、あまり面白く感じられなかったのは残念だが……。撮影時のスタッフとの馴れ合いなど、かつての民放のNG大賞のノリなので、本編と合わせてみるとさらにがっかり感が増すだろう。
さて、本編を見て感じたのは、やはり映像は力を持ってはいるが、陳腐化すると言うこと。沢木耕太郎の「深夜特急」は、もう30年前の作品ではあるが、今読んでも、読者を当時のユーラシア大陸横断旅行に連れて行ってくれる。しかし、映像化された「深夜特急」は、その時点で完成してしまっている。現在視聴すると、単に「古いドラマ」を見ているに過ぎないのだ。
ところで、全く違う話であるが、CG映像にも同じような陳腐化を感じる。CG映像は作られたときは、その時の最高の映像を見せてくれているが、10年も経つと、その最高だった映像が逆に足を引っ張ることになる。逆にCGを使用していない、もしくは使用していても目立たない程度にしか使っていない映画などは、経年の陳腐化を免れている。
ジュラシックパークやマトリックスなど、今見ると陳腐な映像だな、としか思わない。STAR WARSも旧作3部作は模型メインの映像だが、今見ても映像的に陳腐化はしていない。これに対して、CGで役者さえ作っていた新作3部作は目も当てられない。また、明らかにCG化して失敗しているのは、攻殻機動隊(Ghost In The Shell)Ver2.0だろう。CG映像化されていない元の映画は、今見ても面白く見られるが、Ver2では、CG映像が挿入され、当時の最新技術で改善されたはずの映像が、現在のレベルでは非常に稚拙で、作品全体の足を引っ張ってしまっている。極端な例を出すと、昔CG技術を前面に押し出したSF新世紀レンズマン、ポリゴンのみでテクスチャさえ無い時代の作品だが、セル部分は非常に緻密に書かれており、今でも十分通用する映像であるが、CG部分はとんでもないという……。
これらの例を見ると、CGは裏方に徹して映像を作った方が、作品寿命が伸びるということであろうか。それとも、クラークの言葉では無いが、「十分に進んだCG映像は、何十年経っても実写と区別が付かない」となるであろうか。
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