Feel Free ! アナログ・フォト・ライフ Diary

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ブログ・リニューアルのお知らせ

2005-10-31 18:48:24 | 写真全般
 ……またまた更新が遅れてました。叱咤激励して下さった皆様、ありがとう!!(っつうか「激励」より「叱咤」の方が多かったような)。

 というわけで、今回から「ストリートスナップ通信」は装いも新たにリニューアル・オープンすることになった。実はしばらく前から内容とブログ・タイトルが一致してないんじゃないの、という実に的を射た指摘があり、ブログ・タイトル変更の必要性を痛感していたのだ。では、なぜ内容とタイトルがだんだんとずれてきてしまったのかと言えば、理由ははっきりしている。それは、ブログ開設後ほどなくして自分が撮る写真が「ストリートスナップ」とは180度違った方向性へ進んでしまったからである。

 そもそもぼくが本格的に写真を始めようと思ったのは、エルスケン、ロバート・フランク、クラインなど、モノクロ写真全盛期の写真家たちが撮ったストリート・スナップに憧れたことがきっかけだった。ぼくにとって、ストリート・スナップとはすなわちモノクロの世界に他ならず、カラーでストリート・スナップを撮ることなど考えられなかった。

 だが、そこへ降って湧いてきたのが写真と同時代性という問題だった。写真は時代と共にあり、時代に受け入れられた写真がマスター・ピースとして写真史に残ってゆくという事実。写真を始めたばかりのぼくが、その事実を受け入れるまでには若干時間を要したが、早晩この問題をきちんと考えて見なければならなくなることは分かっていた。

 そもそも、昔から同時代性という言葉は大嫌いだったし、今でもまだこの言葉を使うには強い抵抗感がある。なぜなら、同時代と言う言葉にはあらゆる国は共通の時代性でくくることができるという、先進国特有の思い上がりが見え隠れするからだ。モンゴルの片田舎に住む牧民と、常に時代に乗り遅れまいとあくせくする日本人の間に共通して語れる感性の場など、どだいあるはずはないのだ。

 だがしかし、グローバリゼーションによる世界市場経済にあって、常にその中心部分に居続けている極めて限られた国々の話として考えるならば、確かに「同時代性」というものは存在するし、写真も日用品と同じ「商品」の一種であるとするなら、そこで受け入れられるためにはどうしても「同時代性」というものは必要になってくるだろう。

 そう気がついた時、もはやカラー全盛期にあって、モノクロでストリート・スナップを撮り続ける意味がぼくには無くなってしまった。もちろん、カラーでストリート・スナップを撮る、という選択肢はあったけれど、ぼくの気持ちの中ではストリート・スナップはモノクロで、という思いが依然として強いのだ。そうである以上、残された選択肢は時代性を無視してモノクロでストリート・スナップを撮り続けるか、ストリート・スナップではない、別のタイプの写真をカラーで撮るか、しかあり得ない。そして、その結果、ぼくは後者の道を選ぶことにした。

 だが、形としては同時代性を優先したことになったとしても、デジタルではなく、アナログには拘りたい。別にデジタルを否定するわけでは決してないけれど、商業写真家ではないぼくにとって、デジタルを使う利便性がまったく感じられないし、何よりもフィルムからネガを経てプリントへと到るその「間」のあり方が、自分の写真を纏め上げる中でとても大きな意味合いを持っているからだ。

 さて、そんなわけで、ブログ・タイトルも、あくせくする世の中でせめて写真を撮っている間だけは自由を感じたいという意味をこめて、「Feel Free ! アナログ・フォト・ライフ」とした。リニューアル後も、引き続きご愛読頂ければ幸いである。

(このサイトにリンクして下さっている方々、お手数ですがタイトルの変更をお願い致します)

個展とパーティー

2005-10-08 18:33:12 | 写真集・写真展
いま、神楽坂で橋本達也写真展「人」をやっている。昨日はそのオープニングパーティーに参加するため神楽坂まで行って来た。

橋本さんは2Bワークショップの修了生で、ぼくにとっては写真仲間のひとりである。その彼のオープニング・パーティーに師匠の渡部さとる氏を始め、ほんとに沢山の「仲間」たちが集まってきた。

そういえばだいぶ前に、個展をやるメリットは何ですかと師匠に聞いたことがある。師匠は「そりゃ、パーティーだよ、パーティー」と即答だった。要するに、その日だけは自分が主役になれる、という訳である。

その師匠の言葉通りというべきか、本日の主役、橋本さんは本当に楽しそうだった。彼は普段から笑顔を絶やさない人だけれど、その日の笑顔はまた一段と柔和で、自分のすべてを出し切った人だけが醸し出すことのできる、ある充実感を漂わせていたように思う。

もちろん、そんな彼の表情が如実に物語っているように、展示作品の方もとても充実した内容だ。ローライやハッセルで撮られたモノクロのポートレートばかりが25点。彼の撮ったカラー・ポートレートの方は暗室開放の際に見せて頂いたことがあるのだが、カラーよりもモノクロの方が断然いい。恐らくここまで纏め上げるのに相当苦労もしたのだろうが、そんな苦労を微塵も感じさせない彼の飄々とした表情がまたたまらなかった。彼はぼくよりも20年近く人生の先輩ということになるが、それだけの年の差を感じさせるいぶし銀の作品群と言えば良いだろうか。

会場で、多くの女性たちに囲まれての記念撮影にご満悦だった橋本さん。それもまた、20年先輩の男にだけ許される特権なのかも知れませんね。