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ドクトル アインスの小部屋

関東エリアの某病院の勤務医です。大学病院のいろいろや医療の事、日常の事を気ままに書かせて下さい。

今週の症例2 答え編

2006年04月01日 | 専門領域の事

 

今週の症例2  答え編

問題1:診断のために次にする事は?  

  もちろん、症状を確認する事はもっとも大事です。我々が、依頼医にコメントするべき事は、「CTを撮像して、nidus を発見してください。」です。

 

問題2 :予測される症状は? 

  前回のヒントで出してしまった「夜間に増強する疼痛と腫脹」です。 

  また、痛みは痛み止め(アスピリン)投薬で30分以内には改善すると言われます。

問題3:疑われる診断は?   

  Osteoid Osteoma 類骨骨種です。

  画像的には限局性骨皮質病変という観点から鑑別します。

  鑑別診断は、次の3つ

   1. 類骨骨種 Osteoid Osteoma

   2. 疲労骨折 Stress fracture

   3. 感染、膿瘍 Infection, abscess

  診断のポイントは、CTで骨皮質が限局性に肥厚して硬化している骨皮質の中にX線透過のいいnidusを発見する事です。

  臨床的には、10-35歳と若い年齢に生じます。

  やや男性に多い傾向。2対1。良性病変で、悪性化はありません。

  治療は、症状のないものは放置。また、痛み止めでコントロール可能ならそうする。だめなら、切除。切除する場合は、このnidusをきちんと切除する事が重要です。

注意:MRIは診断体系に基本的には入りません。無駄な検査になりますのでご注意ください。もし、予約に入っていた場合は、こっそりCTに変えてください。あ、冗談です。依頼医に変更していただくように連絡しましょう。                                                    ああ、勉強になったなあと思われる方はポチットお願いします。


今週の症例2

2006年03月26日 | 専門領域の事

23才男性です。

写真のみ提示します。 提示写真は、単純写真と骨シンチ。

 

問題1:診断のために次にする事は?

問題2 :予測される症状は?

問題3:疑われる診断は?

注:症状を記載しないのはおかしいと思われるかもしれませんが、写真から診断をアプローチをしていく作業は、大事なのです。症状からアプローチをするのは依頼する先生側ですので同じ視点になってしまう傾向が出てきます。ですので、敢えて、写真のみから考えてくださいね。by ドクトルアインス                                        次の回の症例提示を見たい方は、ポチット押してくださると幸いです。


21歳男性。呼吸困難。発熱。

2006年03月12日 | 専門領域の事

3月7日、8日に問題を出した21歳男性例の答え。

1. 喫煙

2.急性好酸球性肺炎 でした。

 彼の病歴を振り返ると、ある月の20日に乾性咳が出始め、3日後に発熱37.3度となり、近医を受診しています。そこでは、抗生物質を投与されましたが、改善なく、某病院受診。そのときは、禁煙中との回答でした。白血球は12000と上昇。このときは、血液中の好酸球はあまり上昇していませんでした。このときは、臨床医はこの疾患名を考えていたかどうかは不明です。しかし、放射線科医にとっては、画像の知識さえあれば(専門医試験をパスしていれば)極めて容易に診断名に到達できました。結局、診断したのはまだ、専門医を通っていない医者でしたが、一度診ると忘れない画像所見です。よくよく患者様に問いただすと、禁煙していたのですが、発症5日前くらいに久しぶりに喫煙してしまっていたようでした。これで、診断はほぼ決まりです。後は、血液データで好酸球が上昇していればばっちりです。受診2日後には好酸球の上昇が判明しています(7.6%)。診断がついて、抗生剤投与は中止し、様子を見ていたところ改善し、軽快退院されました。

 急性好酸球性肺炎は、1989年にAllenらが提唱した疾患概念で、時に人工呼吸器による換気を要する急性の呼吸困難、発熱を呈する重症の急性肺疾患です。

胸部単純X線上の所見 

1.カーリーのA, B, Cラインの出現 

2.種々の程度のスリガラス陰影 

3.肺血管影の増強 

4.胸水

高解像度胸部CT(HRCT)の所見  

1.小葉間隔壁や気管支血管束の肥厚 

2.両側の斑状のスリガラス陰影(GGO) 

3.両側胸水 

4.リンパ節腫大

 

鑑別は、成人呼吸急迫症候群(ARDS)、急性間質性肺炎、びまん性肺胞出血、広範な感染症、Hypereosinophilic syndrome, Churg-Strauss syndrome(画像似てますが、喘息が先行して認められます) などです。   

ポイントは、喫煙です。実は、この患者さまは、未成年です。 未成年で禁煙だとー。吸っちゃいけないんじゃないの??

初めての喫煙や禁煙していたのに再開という方に発症するといわれています。

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胸部CT供覧

2006年03月08日 | 専門領域の事

やっと今日の仕事が終わったので、昨日の症例の続きをアップします。

21歳男性例。 何らかの症状をうったえて呼吸器内科を受診しました。

 昨日の胸部単純写真のあと、内科医は胸部CTをオーダーする事となりました。その画像は、放射線科医に緊急で読影してほしいと依頼が来ました。 その画像の一部を今日は供覧させていただきます。

高解像度CTの肺野条件

 

 

縦隔条件

 

問題は

1.今回の病気のきっかけとなったある事とは?

2.診断名は?

回答は、来週の日曜か月曜日に予定しています。

#注:この画像は、患者様からご提供いただいた貴重な生きた教材です。無断転載はご遠慮ください。

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今週の症例第一回の1

2006年03月08日 | 専門領域の事

ついに念願だった今週の症例をスタートします。

典型症例から、非典型、学生さんでも解ける症例のさまざまをアップしていくので楽しみにしていてください。

記念すべき第一例目

21歳男性

今回の単純写真

 

と健康時の単純写真

 

をお見せします。 よーく比較しながら今回のエピソードはなんなのかを想像してください。 放射線科医は、写真だけからある程度鑑別を考えますので、主訴や検査データは一応、今日は記載しません。 明日は、ヒント画像が出ますが、それは、どんな画像(たとえば、胃透視、CT, MRIなど)がよいかも考えてくださいね。

#注意:なお、患者様の貴重な資料であり、画像の無断転載・コピーはご遠慮ください。

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おわび

2006年02月24日 | 専門領域の事

  今週は、試験があるので、もしかしたら、ドクトルアインスの腹部単純写真講座は、

お休みになるかもしれません。 日曜日の夜に出来れば、アップしようとは思っていま

す。 試験に合格すればですが。 あと、保険点数の改定があった事。も話したいのです

が。 また、いずれ。

 

では、2日間の勉強づけと、試験にいってきまーーーーっす。

 

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