教育のとびら

教育の未来を提言 since 2007
presented by 福島 毅

学力テストの結果公開ーメリットとデメリット

2008-12-17 | 教育事情(国内・脳科学・心理)
全国学力調査の情報公開(市町村毎、学校毎)については賛否両論に割れています。

この賛否を問う前に、それぞれのメリット・デメリットを論じなくてはいけないと思います。

メリット
自治体単位あるいは学校単位での学力増進に関する取り組みを比較し、良い点を抽出することができる。
 ⇒例えば学力が高い秋田県では低学力層が出ないように補習を行う、補助教員を充てるなどして学力の底上げを狙っていること。テスト結果が奮わなかった沖縄県は秋田県の実践を学ぶといった取り組みを行うことができる。

デメリット
市町村あるいは学校毎の点数のみによる序列化が起きる。これにより学校間の格差が広がる。
⇒親は学力が高い学校に子供を通わせようとすることから人気に格差が広がる。不人気校の人員配置や予算などで不利な条件になるなど。

学力調査はPISAの成績上位のフィンランドでも行われていますが、結果は教育委員会から校長に知らされ、校長は学校経営にその結果を生かしていきます。(フィンランド教育に関わる書籍より)。  日本人はランキングすることが好きな民族なので、順位にのみ、こだわりがちです。またマスメディアの報道もその傾向があるように思います。そのような土壌で結果比較だけが先行するのであれば、特に学校毎の成績結果公表は生徒にとってのデメリットの方が大きいのではないでしょうか。「我が子だけはなんとか良い(成績の高い)学校へ」という親の意識が強い状態での情報公開は教育格差を広げ、結果的には国全体の資質が下がることになると思われます。

私は、国民の教育に関する関心や意識を高くし、日本の生徒全体が底上げできるような、良い作用をもたらすテスト結果の使い方という観点で公開・非公開、活用の仕方を議論していくべきだと思っています。
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