教育のとびら

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presented by 福島 毅

袖ヶ浦高校情報コミュニケーション科訪問

2014-01-27 | 教育事情(国内・脳科学・心理)
2014年1月24日 袖ヶ浦高校情報コミュニケーション科の公開授業に参加してきました。
当校は、iPadを使ったICT教育が高く評価され、2013年度の日本e-learning大賞を受賞しています。

〇内容としては、

 ・校長先生の挨拶と情報コミュニケーション設立経緯や概要
 ・公開授業(情報コミュニケーション 1年生)
 ・永野先生(学科長)から、情報コミュニケーション科のICT利用についての講演と
  質疑応答

〇授業見学
情報コミュニケーションの授業では、著作権などの問題について、グループごとに予め調べた内容(各グループによりテーマは異なる)をプレゼンするというもの。
公開授業に参加した大人(他校の学校の先生や通信業者)たちも、グループに各2名程度入り、生徒のプレゼンを聴きフィードバックするという試みでした。

プレゼン発表は練習時間5分、本番3分、振り返り5分程度で、役割分担もスライド作成・発表原稿作成・発表・スライド操作などを班の中できちんと決めてこなしていました。
高校1年生ということですが、授業でのプレゼンは何度もしてきているせいか、資料まとめや発表などは堂々としたものでした。内容も情報の教科書レベルよりやや踏み込んだものや日常生活に絡めた高校生目線のものでした。

フィードバック後は、生徒のプレゼンの評価(〇か×の2択)を生徒のiPadを使って見学した大人が行い、前のプロジェクターにすぐさま投影するというアクティビティもありました。

最後は、ednityという教育関連SNSを使って授業の感想や気づきを各自が実名でログインして書き込みます。全先生や情報コミュニケーション科生徒は相互に閲覧できるという仕組みになっています。(それ以外の外部には読めない仕組み)

授業態度はまじめかつ活発で、iPadの操作についても文具の一つのように手慣れた手つきで行っていました。

〇ICT利用に関する講演と質疑応答
永野先生より、情報コミュニケーション科ができた目的・背景や今日までの移り変わりについて、情報コミュニケーション科の教育課程や設備面のテクニカルなことなど多彩なお話がありました。
要点をいくつか書いておきたいと思います。
・情報コミュニケーション科は平成23年からスタート(今年、現1~3年がそろう)
・授業で必要に応じてICTを気軽に使える形態を目指している。電子教材の作成・配布などがメインではなく、教科書・ノートは紙媒体のものも併用。マルチメディア教材やインターネット接続により授業で必要な時にピンポイントで使うという使い方。
・主体的に情報社会に参画することも目的としており、情報被害者・加害者になることなく、また危険があるから使わせないという遠ざけ方ではなく、経験を積みながら実践的に情報モラルなども学んでいく。
・クラウドストレージやSNS利用により、クラス内だけでなく、多学年生徒や時には外部の人々と学習教材の共有や意見交換をしている。
・生徒は入学前にiPadを自費購入(BYOD)。一度学校に預け、無線設定のみをして生徒に返却。AppleID設定やアプリのインストールも生徒各自が行う。
・教員、生徒の教材、レポートなどはクラウドストレージ(Dropbox、Drivee)に保存。
・ユーザ管理については、端末IPアドレスを固定運用し、記録。
・セキュリティ対策ソフトはiPadにないため、特に入れていない。本体は鍵付きの個人ロッカーを各個人が管理。本体にはカバーをかけるよう指導。これにより画面の割れなどはおとんどなくなった。
・webの有害情報フィルタリングはしているが、機能制限はかけていない。生徒は各自で必要なソフトをインストールすることができる。しかし、ゲーム用途で授業中に使うといったことがあれば、それが適切かどうかを考えさせ自律できるよう指導している。
・しかしながら、パズドラとLINEについてはあまりにも利用が多かったので、フィルタカットし、校内LANからアクセスできないようにしている。
・教員の活用場面では、教材提示・教材配布・レポート課題の回収・Twitterによるクラスの連絡、職員間の行事予定の共有(Googleカレンダー)、電子メール
・AppleTVを何台か導入し、教員端末だけでなく生徒端末も提示して共有できたり、どの教室からも任意の画面に音声つきでワイヤレスで出力することができる環境。

高度なプログラミングができる専門家を養成する目的の学校ではなく、ICTを教育で日常的に使い、豊かな学習環境、双方向のコミュニケーションのある10年後の普通高校の姿をイメージして日々、工夫された実践を積み重ねている学校ということでした。

なお、同校の取り組みは、TEDーNagoyaUでも永野先生がプレゼンしており、動画をみることができます。こちらです。

感想:永野先生とは、千葉県の情報科研究員でご一緒したこともあり、顔なじみでよく情報交換などもさせていただいた方です。情報や情報機器をどのように扱うことが生徒の教育活動に活きるか、活かせるかということを常に考え、先端のテクノロジーなども研究された成果が今、結実しているなぁと感じました。iPadを使った生徒の学習活動は、まだまだ伸びしろがあり、今後の同校の発展、実践がますます楽しみに感じました。何より生徒が生き生きした学習活動するのをみさせていただき、こちらも幸せな気持ちになりました。ありがとうございました。



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