教育のとびら

教育の未来を提言 since 2007
presented by 福島 毅

問題を構造で理解する「Nested Theory」

2018-10-07 | マインド、メソッド、ツールなど

問題を構造で理解する「Nested Theory」というのが、大野智久さん(都立国立高校教員)のFacbook投稿でシェアされていたので、これについて触れたいと思います。

以下、大野さんの投稿から
<ーーーここから引用

【「問題」を「構造」で深掘りする】
今日のプログラムに、「Nested Theory」という演習がありました。
以下のようなレイヤーで問題を深掘りしていきます。
 
Personal:個人が抱える問題
Inter-personal:人間関係や相互の影響
Subsystem:組織やコミュニティの性質や習慣
System:社会の構造・文化
 
こうして問題を深掘りしていくと、どのレイヤーで関わるかによって、解決策が変わることがわかります。
例として、「過労死」が取り上げられていました。
 
例)過労死
Personal:睡眠時間が少ない、相談できる人がいない
Inter-personal:上司からの無理な要求、家族と話す時間がない
Subsystem:産業医のサポートがない、行き過ぎた成果主義、慢性的な人手不足
System:長時間労働を美徳とする日本の労働文化、厚労関連の法整備の遅れ
 
これに対して、例えば「カウンセラーをつける」ことで、個人の問題が解決するかもしれませんが、その上のレイヤーにはアプローチできていないということになります。

これをふまえて、自分なりの「問題」を深掘りしてみる時間がありました。
僕も、「練習」と思って、以下のようなことを考えてみました。
 
問題:大学入試に軸足を置く授業
Personal:限定された選択肢(大学入試以外の選択肢の不在)
、今までの慣例、蓄積されたノウハウ、将来への不安、時間の不足、効率化へのニーズ
Inter-personal:「成果」を認め合う文化、入試に向けてのマインドセット
Subsystem:「成果」を求める管理職・教育委員会、「偏差値」や「ランキング」による格付けと生徒募集
System:根強い学歴信奉、根強い学歴フィルター、学歴重視マインド、大学に替わるキャリアパスの不認知
 
ただ、ここで難しいのは、ここで指摘した「問題」は、実は当事者である「教師と生徒」がともに「困っていない」、つまり問題として認識されていないということです。
じゃあ、誰にとって問題かと言えば、「もしかしたら得られるかもしれない経験を得ることができない生徒」や「例えばチェンジメーカーとなるような人材を求める様々な人々」というようなことが考えられます。
ーーー>ここまで引用

これは、いわゆるシステム思考の氷山モデルに近いものがあり、近視眼的な問題発見・解決ではなく、その下に潜んで見えてきていない巨大な氷山の構造を理解する必要があるということです。

あと、大野さんの指摘にあったような、当事者としては問題と思っていないけど、広い世界で言うと問題になっているということも日常でよくある風景です。ものを消費するほど経済が豊かになるというような環境でばかり生活しているとそれに慣れてしまい、巡り巡って安く労働させられている人とか地球環境に負荷を与えてしまっているということに盲目的になってしまうなど・・・

では、どうしたらいいかというと、日常のローカル、マクロな自分の生活の裏には、システムがあり社会があり閉じた地球環境(宇宙船地球号)というものが最終的にはあるという意識なのだと思います。それには、つまり宇宙的な視座で日々を生きるということがあるのではないかと私は考えています。

そして、工業社会の発展を支持する”思想”が教育を方向づけ、それに適合した人を生産し、工業社会を推進してきたけれど、このまま持続可能は不可能だという意識に人類が目覚め始めた。では、その”次の未来社会をつくる思想”は何かを誰かが提案していかなくては未来は気づけないし、どういう方向付けで教育をしたらいいのかというのも見えてこないのです。

福島が、思想に関心をもち、以下の書籍を発行しているのも、そのような背景があるのです。

『超俯瞰思考』
『”ミライ”との対話~30夜物語~』
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