内容は同じウィルス疾患としてコロナウィルスを原因菌とするSARS、MERS、新型肺炎と、誰もが知るインフルエンザとの違いなどを簡単に説明しようと思う。
原因菌がコロナウィルスであるのが、SARS(重症急性呼吸器症候群)とMERS(中東呼吸器症候群)と今回の新型肺炎である。では3つは同じ疾患なのか?と言われれば若干違いがある。まず先に知っておきたいのは、ウィルスは変異性であり、時間経過とともに変化する事も多いと言う事。なので流行年が違う同じ病気でも性質が違ったり、薬の効果が変わると言った事はよくあるのだ。
ただ同じコロナウィルスがもたらす疾患なだけに非常に似た性質を持つ。(というか同じだと主張する医学者もいる)具体的に違いを見ていこう。
潜伏期間は2日〜2週間。SARSだけ10日となっている。明確に違うのはその致死率である。今回の新型肺炎はまだ明確なデータがないので現在語られている時点での話である事を先に断っておく。
結論から言えば、MERS>SARS>>>>>新型肺炎くらいの差がある。
MERS:34% SARS:10% 新型肺炎:2%程度
患者数:MERS 約2500人のうち19年11月時点で死者は858名。
SARS およそ8000人のうち774人が死亡と発表されている。
新型肺炎はまだ数字も安定しておらず、大きく変動する可能性がある。が、致死率は現時点では2〜3%で大きく変わってはいない。
原因菌であるコロナウィルスであるが、現在わかっている人に疾患をもたらす種類は7つ、そのうち4つが日常的に原因菌となりうる。が、風邪の原因菌はここでは除外とする。(全く性質が違うので)
それぞれ(SARS-CoV)(MERS-CoV)と命名されているが、新型肺炎は仮名で(2019-CoV)と名付けられている。
大きさ:コロナウィルスは大きさは100ナノメートルとされている。マスクの宣伝文句で「ウィルスカット率95%」とあるのは大きさ200ナノメートルを95%カットする、と言う意味なのでコロナウィルス単体に関しては、マスクにカット能力は事実上ない。
なので媒介を必要とせず空気で感染する空気感染ならばマスクをしても無駄である。
ただ幸い、この3つのうち、空気感染すると言われているのはSARSだけである。
飛沫感染(唾液など媒介を必要とする)ならば、マスクの効果はあると言える。
媒介が必要な感染症は手洗いなどの励行で体内への取り込みを減らす事は可能。
症状:下痢、嘔吐、高熱など。全て肺炎を引き起こすと言われており咳も出る。
治療法:残念ながら全てない。対処療法(熱が出たら熱さましなど状況に合わせて最善策をとる方法)しかない。
新型肺炎の問題点:1番自分が危惧するのは、潜伏期間が長く潜伏中も拡散能力があると言うこと。SARSが8千人で止まったのは、潜伏期間中は拡散しない、と言う性質だったのが大きい。封じ込めが比較的容易だったのだ。
真剣に描くと本が1冊書けてしまうのでインフルエンザに少し触れて最後にする。
インフルエンザにはABCと3つの型がある。このうち最も厄介なのはA型だろう。
1番数が多いのはB型でほぼ毎年流行しています。比較的症状は穏やかで死亡率は0%
に近い。児童と老人以外ではそれほど注意はいらないと思っています。
C型はいったん免疫ができれば体内で一生抗体が出来て罹っても気が付かない程度で終わる、と言われています。
A型は最も劇的な症状が出る。潜伏期間も1日と非常に短い。先のコロナウィルスによる症候群と症状は似ていますが、違う点はコロナウィルスと違い必ずしも肺炎を伴いません。なので致死率はかなり低く、平均して0.1%前後と言われています。ただあくまで日本の数字です。カナダでは1.3%と国によっても数字が違います。これは対処速度の違いだろうと思われます。カナダは病院へ掛かるのに1週間とか言われるくらいなので。欧州もそうです。劇症疾患への対処能力は日本は相当に高い。
コロナウィルスと違う点は他にもあります。筋肉痛や関節痛、脳症、脳炎などの合併症を起こす事があります。またコロナ同様肺炎を起こす事もあります。総合的な危険性、対処法と言う点ではコロナよりも厄介かも知れません。このあたりも致死率の国別の違いに影響していると思います。
ウィルスの大きさ:マスクの性能は先に触れたとおり200ナノメートル=0.2マイクロメートル(μm)を基準に表示されますが、インフルのウィルスの単体の大きさはコロナと同等の0.1μm程度であり、理論上マスクは役に立ちません。が、現実には形態的に1μm程度の大きさで放出されるためマスクで十分カットできるわけです。わかりやすくいえば、くしゃみなどで出てくる際には水分などと結合した状態なので10倍程度に大きくなっている、と言うわけです。
感染者数を見れば世界に1千万人の患者数がいて、致死率が0.1%でも死者1万人となり、圧倒的な死者数になってしまうわけですが、残念ながら封じ込めは事実上不可能に近い。
1つは経済的理由。日本ほど資金を潤沢に使える国は多くありません。また劇症の場合対処が適切に間に合う医療機関の数の問題もあります。欧州など医療機関無償国はどこも病院は満員で、緊急対処が間に合わないという問題がある。
もう一つはウィルスの数でしょう。どこにでも存在し免疫力低下した人に活性化されたウィルスが体内に入れば発症します。これに対しコロナウィルスはSARSは中国やアジアの一部、MERSは中東周辺で動物を媒介(前者はコウモリ、後者はヒトコブラクダ)とするので誰もが感染源になるわけではない。
インフルエンザウィルスは熱に弱く、低温下では活性化します。だから冬に流行し、夏には全く見られないわけです。インフルエンザウィルスは30度の気温では全く活動能力を失なう、とされています。
流石に長文になってしまった・・なるべくわかりやすく書いたつもりですが、特にインフルエンザはとても一言で言い表せるほど簡単ではなく、詳しくする余裕もないので。インフルエンザウィルスが元気になる冬場は特に、マスクとうがいや手洗いに注意くらいです。
発症までが非常に早く拡散能力も初期が圧倒的に強いので、すぐに医療機関へ。
4,5日もすれば拡散能力が10分の1以下になるので、仕事復帰はこの辺りを目安にするといいでしょう。
追記:タイで抗HIV薬を投与した所、急速に改善し2日で完全にウィルスが消えた、と発表されました。恐らくはSARSの際、同様に抗HIV薬投与で改善したケースがあり、それを参考に試したのだと思われます。まだ一例のみであり、今後どうなるかわかりませんが希望が見えたと思います。