日々・戯言の叫び

感じた事とか色々、表に出せない事を吐き出す独り善がりで嘘つきな日記

お昼頃、ちょっと外出したら

2012-05-29 14:03:52 | 小ネタ
もの凄い勢いで雨が降りやがりました。
ペットボトルを捨てに行って、ついでに百均に寄ったんです。
で、外に出たら豪雨。
出かけるんじゃなかった!! ええ、濡れて帰りましたよ、畜生!!
前回の続きの虎&兎でっす!

しかも帰宅して三十分もしないうちに晴れるとか…。
何の恨みがあるんですか、ホントに。


タイガー&バニー。

長いので、もう一回続きます。


スカボロー・フェアに終曲を


「お帰りー、お父さん、白ちゃん!」
「ただいま、楓~」
扉を開けて出迎える娘の姿に、虎徹は相好を崩す。
「楓の顔を見ると疲れも吹き飛ぶなぁ」
嬉しそうな父に楓も仕方ないと呟いて、にこりと笑い返してやる。
今日のご飯はカレーライス。
「おお、懐かしいなー。この味、母ちゃんの味だな」
「うん、おばあちゃんに教えてもらったの」
「楓は立派なお嫁さんになれるな」
「白ちゃんたら、私まだ十歳だよ」
「楓はお嫁になんてやりません!!」
「お父さん、恥ずかしい」
白虎は一緒に食事は出来ないけれど、こうやって同じテーブルを囲んでおしゃべりするのは好きだった。
虎徹が笑ってくれるのが嬉しかった。楓との何気ない会話は楽しかった
彼の笑顔を見ると胸が温かくなる。存在しない心臓が高鳴るような錯覚さえした。
初めは故障かバグかと焦ったが、斉藤に言えば心が成長した証拠だと微笑まれた。
父の目を盗み、こっそりと楓と白虎は話す。
「ねぇ、お父さん大丈夫なの?」
「2部の皆は虎徹が好き。だから大丈夫」
「……バーナビーたちは?」
「相変わらず」
「そっか。あの人たちにとって、お父さんなんてどうでもいい存在だったんだね」
「楓………」
醒めた表情で呟く楓に、白虎はかける言葉が見付けられない。
白虎のデータの中にはたくさんの言葉があるけれど、状況に応じてそれらを適切に組み合わせるということがまだ巧く出来なった。
よって多少たどたどしく子供っぽい言葉遣いとなり、結果的に彼の印象を幼いものに変えてしまう。
その中身は、確かに育っているというのに。
「あのね、おばあちゃんから電話があったの」
「安寿から? なんて?」
「うん、ロックバイソン――アントニオさんのご両親が謝りに来たんだって。馬鹿息子が申し訳ないって。土下座までしたって…」
「土下座…」
「やっぱり全然思い出さないみたい。親友って口先だけだね。
凄く怒ってて、もう縁切るって、あんな奴息子でも何でもないって言ってたって」
「そうか。でも、虎徹の所為にならないか?」
「そのときは自業自得だって言ってやればいいよ。なんでもかんでもお父さんの所為にされたら迷惑だし」
「そうだな。もしそうなって俺が虎徹を護る」
「うん、お願いね白ちゃん。お父さんを護ってね?」
「ああ、約束だ」
「うん、約束ね!」
小指を絡め、秘密めいた約束に小さく笑いあった。

それは唐突に。
何の前触れも無く。
「虎徹さん虎徹さん虎徹さん! ごめんなさい、僕、僕…なんてことを!!」
嗚呼…っ!
悲痛に染まる声を上げ虎徹と白虎しかいないHERO事業部分室に飛び込んできたバーナビーは、悲劇の主人公の如く崩れ落ちた。
「バーナビー? おい、しっかりしろよ? どうしたんだ?」
「虎徹、駄目だ! 下がれ」
慌てて駆け寄ろうとした虎徹を制したのは白虎。
例え1パーセントでも虎徹を傷つける可能性のある相手の元へ、無防備に近付ける訳にはいかない。
「…思い出したんです。全部、思い出したんです」
崩れ落ちたままのバーナビーはか細い声でそう零す。
記憶が戻り己の言動を思い出したのだろう彼は、死にそうな顔色で床を眺めている。
このまま石にでもなってしまうのではないかと思いたくなるほど動かない彼に、虎徹はやれやれと肩を竦めた。
庇うために突き出された白虎の腕を下ろさせ、一歩進みでる。
「バーナビー…そうか、思い出したのか」
透明な笑みを浮かべて、虎徹は呟く。
「虎徹…?」
初めて見る表情に、白虎は思わず様子を窺ってしまう。
バーナビーに歩み寄った虎徹は、膝をついて視線あわせ静かに微笑む。
「ほら、立てよバーナビー。あーあ、鼻水出てんぞ? ハンサムが台無しだな」
「こてつ、さん…」
弱々しく虎徹を見返すバーナビーの頭を慣れた様子でぽんぽんと叩いてやる。
「そんな顔すんなよ、思い出してくれたらそれで良いんだ。KOHが情け無い顔すんなって、ファンががっかりするぞ?」
「はい、はい! 虎徹さん! ごめんなさい、本当にごめんなさい」
泣き縋るバーナビーに、虎徹は困ったように笑うだけで彼の腕を振り払うことはせず。
ただされるがままに受け入れていた。
受け入れるだけで、決して虎徹の腕は彼の背中に回され無かったことに誰が気付いていただろうか。

コメントを投稿