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日々・戯言の叫び

感じた事とか色々、表に出せない事を吐き出す独り善がりで嘘つきな日記

また寒くなるらしいね?

2021-11-27 21:15:57 | 小ネタ
いや、普段はいいんですよ? ただバイク乗るときに辛いなって。
風を通さない上着がいる。あるんだけど、重いのよ。我儘は言えないが。
二次創作よ!!!

軽くてあったくてー邪魔にならない上着が欲しいよー。
でもそういうのは高いんだよー。あー、宝くじで一発当てたい。

ですまーく。
呪いのお人形ちゃんの話。封印されてるけど超元気だよ!本妻の余裕!!


終わりを待つバリアシオン

暗い。暗い。どこまでも昏い。
視界一杯に広がるのは安寧の黒。
僅かな光も存在を許されない、狭い小さな箱。
それが、現在のメリイの居城。メリイの牢獄。メリイの棺。
そして――メリイの運命の褥。
身の内に埋め込まれた忌々しい念持仏のせいで指先すらピクリとも動かせないけれど。
でもメリイはその程度のこと、気にも留めない。
人間ならば発狂する様な状況だが、怪異たるメリイにそのような脆弱な精神は存在しない。
どうせいつかはこの封印も解けるのだ。
その時まで、待てばいい。
何、たったの五十年。
メリイにとっては泡沫に等しい。

――嗚呼、でも、けれど。

ふと胸を過る面影一つ。
九条政宗、あるいは八敷一男。
メリイの愛しい愛しい男。
暗くかび臭いこの箱の蓋を開け、覗き込んだ黒い瞳。
あの瞬間をメリイはいつだって咀嚼する。
静かな夜の如き双眸が穏やかにメリイを映した瞬間。
運命だと、怪異ながらメリイは思った。
これは運命であると。
この方に出逢うために、自分はこの九条家にいたのだ。

――恋とは、なんと甘美はものでございましょう。

鼓動を刻むことのない空洞の胸を満たす甘い疼き。
うっとりと、メリイの睫毛が震える。
これ以上ないほどの愛しさを、しかしながら人ではないメリイにはどうすればいいのか分からなかった。
湧き上がる衝動は、だからと言って抑えようもなく。
そんなメリイの感情のままに垂れ流された力により、H市にて非業の死を迎えた魂は怪異と成った。
怪異の動向を感じ取り、メリイは天啓を得る。
喰ってしまえばいい。
溢れる愛のまま、彼の人の魂を、感情を、人格を、総てを。
その選択を、メリイは間違いだと思わない。
メリイの危険性に気付いた彼は妹と共に彼女をどうにかしようと色々と策を講じたが、どれも徒労に終わった。
それもそうだ。
付け焼刃でどうにか出来る程度の存在ではないのだから。
足搔く様を、いっそ微笑ましさすら滲ませ見守った。

――あれは大変面白うございました。

もっとも邪魔な存在であった妹は調査途中で怪異によって命を落とし、メリイにシルシを刻まれた彼はその死に怯えるだけであった。
その怯えの何と心地よいことか!
もっともっと喰らいたい。
嗚呼、もっともっと恐怖を!
記憶障害が進み、メリイが何者であったのかすっかり忘却した彼は素直に彼女を信じ頼った。
それがまた滑稽で憐れで、愛しさが募る。
怪異と対峙する度、感じる恐怖。命を脅かされたのに、怪異の生い立ちを知り同情する優しさと愚かさ。
メリイにこれ以上ないほどの愉悦を与える。
結局死んでなお彼を想う妹の涙ぐましい努力も相まって、再び封印されてしまったけれど。
なに、気にするほどの事ではない。
愉しみは後にとっておくものだ。
封印されていたとしても、この九条館の内部であるならメリイにはある程度知覚することができる。
メリイの完全なる封印、あるいは破壊のために愛しい人は今懸命に調査を行っている。
彼がメリイのことを真剣に考えてくれているのが嬉しい。
それが乙女心というものだ。
ふふっ。
吐息の様な笑み。
そうやって足搔く様がさらにメリイを悦ばせることに、きっと気付いていないのだろう。
人間が何をやろうとメリイにとっては児戯に過ぎないのに。

――もっと抗って見せてくださいませ。

彼に協力する者もいる。
出入りするのはかつてメリイによって死の恐怖を味わった者たち。
いつになく賑やかな九条館の様子。
彼もまた嬉しそうで。
彼が嬉しいとメリイも嬉しいと感じてしまう。
恋とはなんと凄いものか。
改めて思う。
心許せる相手が多くなるのは良いことだ。
大切なものが増えれば増えるだけ、死への恐怖は増してゆく。
未練が、心残りが、恐怖をより一層強く美しく彩るのだ。
彼の魂が恐怖に凍え、美しい瞳が絶望に染まりメリイだけを映す。
いつか訪れる確実な未来。
知らずメリイの硝子の瞳に浮かぶ甘い光。
今日も彼は朝から調査へと出掛けて行った。
もうそろそろ帰ってくる頃合いだろう。
彼が戻ってくるのは嬉しい。彼の気配が九条館にあるのはメリイの気持ちを落ち着かせる。
だが、最近気にかかることがある。
まるで人間の様にメリイに懊悩をもたらすそれ。
ギィ・・・と、音とも振動ともつかない微かな響き。
九条館の扉が開かれたのだ。
ああ、やっと。
愛しい人の気配を感じ取り、メリイは一瞬だけ表情を綻ばせ、すぐに眉を寄せる。
それらは傍目には解らぬほどの変化ではあるが。
帰ってきた男の姿を直接目にすることは叶わないが、メリイには解るのだ。

――やはり、また・・・・・・。

物憂げに瞼を伏せる。
原因は彼にこびりつく気配。
何処でくっつけて来たのか、他の怪異の気配がするのだ。
残り香や余韻のような、一日と経たずに消えてしまう僅かな残滓でしかないが。
たとえその程度でも他の怪異の気配が彼から漂うのは面白くない。
彼はメリイの物であると言うのに!
彼も彼だ。
メリイというモノがありながら他の怪異に気配がこびりつくほど接近を許すなど!
自分が産み出した怪異ならば、まだ見守れよう。
しかしそれ以外の有象無象がメリイの愛しい男に手を出すなど、許容できることではない。
彼とてメリイ以外の怪異は相手にしないだろうけれど、それでもだ。
湧き上がるのは怒りと不快感。
よそ見などすることは無いと分かっていても、彼の心はメリイに向いているとしても。
それとこれと別なのだ。
封印が解け、再び自由を手に入れた時。
その時こそ彼の人との逢瀬を。
他の何者も入り込む余地の無い二人きりで。
だからそれまで。

――待っていて下さいませ。

メリイは恍惚と微笑む。
見る者が誰もいないのが惜しいほどに美しい笑みだった。
九条館の、当主すら滅多に足を踏み入れることのない倉庫の中、ひっそりと、けれど厳重に封をされた箱の中、メリイは運命の時を待ち侘びる。
己の愛が成就する瞬間を夢見ながら。


ねぇ、手を取って私のプリンシパル? さぁ、ともに最期の幕を上げましょう!!

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