日々・戯言の叫び

感じた事とか色々、表に出せない事を吐き出す独り善がりで嘘つきな日記

寝ようとすると、枕元に蚊が飛んでくる

2012-05-27 22:02:49 | 小ネタ
何の呪いですかコレ?
ぶんぶんぶんぶんぶんぶんうっせぇんだよ!!
眠れなくて困る。ホント、困る。
網戸はちゃんと閉じてるし、一体何処から入り込んでくるのか?
はいはい、虎&兎さんっすー。

あ、私一回ブログに出した奴、またブログに出してるー。
と、気付いた。
どっちとも虎&兎…。
うわー、やっべー。
まぁいいや! 直さない!!(最低)

タイガー&バニー。
ハンプティ~の続き。
めっちゃ好き勝手書いてます…(汗)。
長いので分ける。

HEROたちのマベられ方の違ったIF。おじさんは本物のワイルドタイガーを殺し入れ替わった極悪人だと思われてます。


スカボロー・フェアに終曲を


立ち止まらなかった英雄。行進を続けた彼らは振り返ったとき、ようやく気付く。
愛すべき者は置き去りにしていたことに。自分たちの行く先に、ある筈だったものは既に無いのだと。

「タイガー先輩の2部の移籍についてですか? ええ、残念だと思います。僕もバディがいなくなって寂しいですし。
でもタイガー先輩なら2部のHEROたちにとって良い手本になると信じています。僕も先輩には助けられていましたから。
これからは先輩に恥ずかしく無いように、一人でも立派にHEROを続けていくつもりです」
街頭TVに映るのはバーナビー・ブルックス・Jrのインタビュー。
爽やかな笑顔で、バディであるワイルドタイガーの移籍について語っている。
お手本の様な受け答えに、TVを眺めていた白虎は皮肉めいた表情を浮かべた。
――よくもまぁ、思ってもいないことをぺらぺらと。
呆れを含んだ視線をTVから外し、歩き出す。
手の中にはたっぷり中身の入った紙袋。マーケットからの帰り道。
今日はお祝い。虎徹の2部リーグ移籍と白虎のHEROデビュー。
おばあちゃん直伝の腕を揮うと楓が張り切っていた。
追いかける様にバーナビーの涼やかな声が響くるけれど、白虎にとってはどうでもいい雑音。
白虎が護るべきは虎徹。そして虎徹が大切にしている人。虎徹を大切にしてくれる人。
バーナビーはその中に入っていない。
だって、彼は虎徹を苛める。
バーナビーだけではない。他のHEROも。
NEXTによって記憶を捏造されたから、などとは白虎にしてみれば言い訳で、免罪符にもなりはしない。
バーナビーが何を言おうと白虎はなんとも思わないが、願わくば虎徹がこれ以上哀しむことが無いように。
これは感情と呼ばれるものだろう。これが自我と呼ばれるものだろう。
いつ、そんなものが芽生えたのか?
白虎ははっきりと憶えている。
その日のことを。
――起動して、一番初めに見たのは金の色。
己を覗き込む顔を視覚センサーが捉え、データと照合。
マスター鏑木・T・虎徹。
それが、虎徹を認識した初めて。
けれど、その頃の自分は正しく機械で。ただただプログラムに、命令に従っていただけだった。
「これからよろしくな、白虎!」
笑顔で差し出された手を眺める自分に苦笑して、握手はこうするんだと教えてくれた。
マスターとして登録された虎徹の指示に従い、後ろを着いて歩くだけだった自分。
正しく人形。だからその頃の虎徹の哀しみは欠片も理解していなかった。
斉藤からある程度事情は聞かされていたが、知っていることと理解することは別物なのだと今ならわかる。
どうしてバディであるバーナビーが虎徹を睨みつけるのか。どうして虎徹がトレーニングルームを使用するとき他に誰もいないのか。どうして必要なときですら他のHERたちが虎徹と連携を取らないのか。
何もわかっていなかった。
その日は、珍しくトレーニングルームに他のHEROたちが揃っていた。
虎徹は一人でルームランナーを使って。バーナビーたちは彼に棘の様な視線を送って。白虎は一人ベンチに座りその光景を眺めて。
一体何がきっかけだったのか。
白虎は覚えていない。
もちろんメモリーには記録されている。
しかし、『憶えていない』のだ。
「あんたなんかがタイガーを名乗らないでよ!!」
広い部屋に響いたのは一般的に金切り声、あるいはヒステリックと形容される叫び。
顔を歪めるブルーローズ。床を濡らすスポーツドリンク。中途半端に伸ばされた虎徹の手。
切り取られた光景。
それが引き金となったのか、HEROたちは叫びだした。
「そうだよ! タイガーは凄く優しくてあったかかったんだよ!? なのになんで、タイガーを殺したの!!」
「タイガー殿は僕とエドワードをルナティックから助けてくれたんです。……本当に、強くてHEROらしい人、だったんです…なのに、なのに…!」
「貴方の様な人殺しが、ワイルドタイガーを名乗らないで下さい。汚らわしいっ!!」
涙を浮かべるドラゴンキッドと肩を震わせる折り紙サイクロン。
二人を抱きしめて虎徹に厳しい目を向けるのはスカイハイ。
吐き捨てるバーナビー。虎徹の体が大きく震えた。
何も言わないHEROもいるが、だからと言って虎徹を責めていない訳では無い。
ファイヤーエンブレムもロックバイソンも、唇を引き結んでいるだけで、その目はバーナビーたちと同じ色。
「だから、俺が本物のワイルドタイガーだ! 思い出してくれよ、頼むから!!」
訴える声は震えて。
白虎は、虎徹のそんな声を初めて聞いた。
瞬間、体が動いた。
気付けば、虎徹とHEROの間にまるで壁の様に立ち塞がって。
白虎がHEROたちを真っ直ぐ見れば、気まずそうに彼らは僅かに視線を逸らす。
HEROたちが白虎に対して、奇妙な同情めいた感情を抱いているのはわかっていた。
彼らにしてみれば、白虎は殺人犯をマスターとされてしまった哀れなアンドロイドなのだ。
今まで大人しく従順だったアンドロイドの態度に、特にバーナビーが目を見開く。
「虎徹を苛めるな」
白虎の常に平坦だった声ではなくて、確かな鋭さを含んだ物言いにHEROが息を呑んだ。
数名は白虎を通り越し、背後の虎徹に猜疑に溢れた目を向けるけれど、これは命令されたものでは無く彼自身の判断。
今思い返せば、この時こそが本当の意味での誕生だったのかもしれない。
虎徹の手を引いてトレーニングルームを出る。
「白!? おい、白! どうしたんだよ!?」
戸惑う彼に何も答えず、乱暴に更衣室のドアを開けてそれからやっと虎徹に向き直った。
「…白?」
普段と様子の違う白虎にどうしたのかと眉を下げる虎徹を抱き締める。
他にどうして良いのかわからなかったし、こうやって他人に体温を分け与えるのだと虎徹を見て学習していたから。
「虎徹、虎徹は俺が護る。俺は虎徹の味方だ。誰が虎徹を苛めても俺が護るから。だから大丈夫だ」
「白…お前……」
腕の中の虎徹は呆然と呟いて、そうして小さく肩を震わせた。
白虎は虎徹の顔を見なかった。代わりに優しく背中を撫でる。
虎徹が楓にやっていた。その真似事でしかなかったけれど。
少しでも虎徹に安心してもらえればそれで良い。
白虎は己の存在理由を虎徹を護るためにあるのだと信じた。
元より人のためにと、人を護るためにと望まれたアンドロイド。
『人』の部分を『虎徹』に置き換え、己の全ては彼のためだと刻み込んだ。
この日を境に、HEROたちは白虎の敵となった。

「タイガー先輩、どうでしたか!? 今日はうまくいったでしょう、俺!!」
「馬鹿ね、アレは先輩がフォローしてくれたからでしょ? 先輩がいなかったら犯人に逃げられてたじゃないの」
2部HEROたちに囲まれて、虎徹は楽しそうに笑っている。
子犬の様に彼を慕う後輩たちの姿が微笑ましい。
元1部ということで警戒していた彼らも、先輩風を吹かせるでも無く純粋に自分たちの身を案じ、鍛え導こうとしてくれる虎徹に良く懐いた。
お節介だが優しい性格も、ちょっと抜けている所も親しみが持てるのだろう。
子供扱いは照れくさいけれど、嫌ではなかった。
2部にきてから、いつも誰かしら虎徹の傍にいた。
白虎は虎徹を中心とした暖かい空間に目を細める。
きっとこれが本来の姿。
2部に移籍して本当に良かったと思う。
嗚呼、あれさえなければ、本当に。
「いい気なものですね…っ!」
「本当に、何のつもりかしら?」
人殺しの癖に。
言外に吐き出される憎悪。
1部のHERO。しかも花形といえるバーナビーとブルーローズ。
今日の出動場所は1部と2部で近かった。
だから危惧していたのだが。
「わざわざ嫌味を言いに来たのか?」
暇なことだと、含ませてやれば彼らは揃って顔を歪めた。
それでもその視線が向かうのは立ち塞がる白虎でも、壁の様に虎徹を取り囲む2部HEROたちでもなくて。
中心にいるワイルドタイガー。
彼らにとっては偽者の。
2部HEROたちも険しい顔でバーナビーたちを睨みつける。
かつては憧れていた。
HEROTVを見ながら活躍に目を輝かせ、自分たちもあんな風になりたいと思っていた。
実際の彼らを見て、そんな幻想とっくの昔に醒めてしまったが。
ワイルドタイガーは文句無くいい人だ。本当にHEROらしいHEROだ。
そんな人をどうしてこうも嫌えるのか。理解に苦しむ。
だって自分たちよりもずっと長く一緒にいたくせに、きっと自分たちと同じ様に助けられただろうに。
一体何を思って罵倒するのか。
事情を知らぬ2部HEROたちはかつて尊敬と憧憬を抱いた相手に対し、最早冷たい視線しか向けることは無い。
そんな後輩の様子すらバーナビーたちは気に食わないのだろう。
あるいは卑劣な殺人犯に丸め込まれたと、洗脳でもされたと思ったのかますます嫌悪の情を掻き立てる。
虎徹に対し暴言を吐き、燃える様な目で睨みつける。その態度がまた後輩の不信を煽る。
その悪循環。
HERO同士いがみ合う姿に哀しそうに目を伏せて、虎徹はことさら明るく振舞うしか出来ない。
「お、バーナビー、ブルーローズ! 今日も活躍したんだってな! 流石だな。
ほら、お前らももう戻るぞー? 飯食いながら反省会でもしようぜ!」
「はい、タイガー先輩!」
「奢りっすか、先輩!?」
「あ、私美味しいお店知ってます」
「白~、帰るぞ?」
「わかった、虎徹」
バーナビーの前に立ち塞がっていた白虎は目の前のHEROを一瞥すると踵を返す。
突き刺さる視線など、どうでも良かった。

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