日々・戯言の叫び

感じた事とか色々、表に出せない事を吐き出す独り善がりで嘘つきな日記

買い物に出かけて

2022-01-15 21:43:18 | 小ネタ
財布は持って行ってたんですが、中身がなかった…。
しまった。使ってから補充しとくの忘れた。カードはあるけど使いたくない!!
いつもの二次創作。

お財布にお金があるとなんだかんだ使っちゃうので、無いほうがいいんですよ。
本当に全く無いとそれはそれで困るけどな!!


ですまーく。
新作の発売は遅延になった。9月か。
怪我だらけのおじさんと割と麻痺してる周囲。

キズモノサラシ 後

「へぇ、美味しそうだなぁ」
スーパー銭湯内のお食事処。
メインのそれなりに凝った和食のほか、子供向けのメニューや女性向けのデザート、酒類とつまみも揃っている。
湯上りのさっぱりした体。目の前にはほかほかと湯気の立つランチ。
黒いトレイに行儀良く収まっているのは魚フライの餡掛け定食。箸でさくりとフライを割れば白い断面に餡がとろりと絡んで食欲をそそる。
「食事が売りの一つらしいな」
真下は豚カツを一切れつまみながら、ビールが飲みたいと呟いた。
「ははは、明るいうちからは流石にな」
苦笑で返して、味噌汁をすする。
薄揚げと大根に味が染みていて、いい感じだ。
「確かにここなら一日過ごせそうだなぁ」
「暇人め」
「違うぞ」
「ふん、まぁいい。貴様はもう少し外に出て俗なものに触れろ」
その言葉に眉を下げて、そうだなと曖昧に頷いた。

「ねね、おじさん知ってる?」
はしゃいだ声と同じトーンでソファの上で跳ねる細い体。
ネタを求めて九条館に顔を出した萌は、茶請けのサブレに手を伸ばしながら言った。
「あのね、ちょっと遠いけど大きな道沿いにある…」
口にしたのは以前真下と共に訪れたスーパー銭湯。
「ああ、そこなら知ってる。前に行ったことがある」
「そうなんだ」
「あそこがどうかしたのか?」
明るい雰囲気で、萌が好みそうな陰はなかったように思う。
そもそもあの施設は出来てまだ一年ほどだと記憶している。怪談話が生まれるには年季が足りない。
コーヒーで口を湿らせ、先を促す。
「うんとね、怪談とか都市伝説ってほどじゃないんだけどね」
そこで言葉を切って、もう一つサブレを齧り、シュガーとミルクたっぷりのコーヒーを一口。
「傷だらけの男が徘徊してるとかなんとか、そういう噂があるの」
「傷だらけの男?」
「そう、全身すごい傷らだけなんだって! 男湯に出るらしいけど。おじさん、何か知らない?」
好奇心に目を輝かせる萌には悪いが、あいにくと心当たりはなかった。
「いや、特に何もなかったな。行ったのは昼間だったし」
「そっかぁ、それじゃあガセかなあ」
残念!とため息をつく素直な少女に苦笑を零す。
「まぁ真下にも聞いていみるよ」
「うん、お願いねおじさん!」
猫のように目を細める萌に笑い、自分もサブレを食べようと手を伸ばして。
「い、いたたっ」
「えっ、どうしたのおじさん?」
「いやこの前調査に行ったときに少し…」
「また怪我したの? 駄目だよ、気を付けないと」
「ああ、うん。まぁ大したことはないんだ。大門にも診てもらったし」
「おじさんの自己申告は信用できないからなぁ」
そんなことは、と。
十以上も年下の少女にじとりとした視線を向けられ、反論にもならない音は結局舌の上には載らなかった。
似たようなことを大門にも言われた。彼の場合はため息交じりであったが。
誤魔化す様にコーヒーに口をつけた。
それから軽い世間話をして。
手を振る萌を見送り、うんと伸びをする。
とたんに背中を走るぴしりとした痛み。
「うぅ…」
指先でシャツの上から背中をさすると、微妙ながらも感触の違いが何となく分かる。
以前に出会った怪異によってつけられた傷。火傷に近く、肌に多少の引き攣れが残った。
怪異を相手にしてこの程度で済んだのは運が良かったと思っている。
真下には凄い顔で怒られたが。
なぜ舌打ちだけであそこまで人の恐怖を煽れるのか。
その時の情景を思い出し、唸った。
「傷だらけの男か」
ううん?と首を傾げ、おそらく見間違いか何かだろう。だがまぁ確認のためにもう一度あそこに行くのも悪くない。
そんな風に考える。
こきりと首を鳴らし、少しだけ楽しみだなと呟いた。


風呂を沸かして入りましょ! 要らないものはどんどん流して忘れてしまえ!!

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