FBITニュースアーカイブス2006-3

ITニュースの保管箱

ウォークマン ケータイはどこまで“ウォークマン”か

2006-05-23 18:36:03 | Weblog
KDDIが5月21日に発表した新モデルの中でも、ひときわ異彩を放っているのが、ソニー・エリクソン製の「W42S」。音楽再生機能を前面に押し出し、国内では初めて“ウォークマン ケータイ”を名乗る携帯電話だ。



 どこまで“ウォークマン”なのか、音楽再生機能についてスティックタイプのフラッシュメモリウォークマン(NW-A607)と比較してみた。

●主な操作は「ミュージックシャトル」で、アルバム切り替えはメニューから

 W42Sの外観で最も人目を引くのが、「ミュージックシャトル」と名付けられた操作ツマミだ。搭載する音楽再生ソフト「シャトルプレーヤー」の操作がここから可能で、シャトルを押すと再生ソフトの起動と再生/停止、左回しで曲の頭出し、右回しで次曲の頭出し、左長回しで早戻し、右長回しで早送りが行える。

 NW-A607にもミュージックシャトルと似た形状のツマミ「ジョグレバー」が設けられており、左右へのヒネリと2段階に手前へ引き出すアクションを組み合わせることによって、曲単位、あるいはアルバム/プレイリスト単位のスキップが行える。再生/停止については独立したボタンで操作するインタフェースが採用されている。

製品名   ツマミ押す   ツマミ左回し   ツマミ右回し   ツマミ左長回し   ツマミ右長回し
W42S   再生/停止   頭出し   次曲頭出し   早送り   早戻し
NW-A607(ツマミ1段階引き出す)   ――   頭出し   次曲頭出し   早送り   早戻し
NW-A607(ツマミ2段階引き出す)   ――   アルバム/プレイリスト送り   アルバム/プレイリスト戻し   アルバム/プレイリスト送り   アルバム/プレイリスト戻し
 
 ミュージックシャトルを利用する際には本体を横位置にし、シャトルを右手で操作するのが基本的なスタイルになる。操作に対する反応も機敏で、ストレスを感じることはないが、アルバム/プレイリストを切り替えるには、いったんメニュー画面を開き、au共通プレーヤーソフト「au Music Player」から操作する必要がある。

 au Music Player自体はW4xシリーズから搭載され、au携帯の標準プレーヤーに位置づけられているが、本製品はau Music Playerの上に本体メモリの楽曲を管理/再生する「au Music ライブラリ」、メモリースティックの楽曲を管理/再生する「M.S.Music ライブラリ」が位置し、さらにその上にシャトルプレーヤーが用意されるという複雑な構造になっているからだ。

 アルバム/プレイリストの操作について言えば、W42Sが本体十字キーからau Music Playerを操作しなければならないのに対し、NW-A607はジョグレバーの操作だけで完結する。切り替え操作が迅速に行えるかどうかという点ではウォークマンに軍配が上がる。なお、音量については、双方ともシャトル/レバーの左右にあるボタンで調整可能となっており、素早い操作が可能だ。

 付属リモコンの形状は「W31S」のそれによく似ている。長方形の本体に十字キーとボタンが配置されており、十字キーの上下で音量調整、左右で早送り/早戻しの操作が行える。

●楽曲入手とW42Sへの転送――本体メモリにPCのMP3は保存不可

 W42Sで音楽を聴く場合、入手方法は大きく分けて3つに分けられる。「着うたフル」としてダウンロード購入するか、付属PCソフト「au Music Port」「Sonic Stage CP」を利用してCDからリッピングするか、もしくは楽曲配信サイト「LISMO Music Store」からダウンロード購入するかだ。

 au Music Portはこちらの記事でも紹介しているよう、楽曲ファイルのインポートには対応していない。PCのHDDに収納されたMP3やWMA、AAC、ATRACなどの楽曲を転送するにはSonicStage CPを利用する。携帯電話でもあるポータブルプレーヤーをフル活用するためとはいえ、2つのライブラリソフトを使い分けなければならないのは少々煩わしい。

 搭載する内蔵メモリは1Gバイトと大容量だ。この1Gバイトは楽曲データ専用として確保されており、着うたフルならば最大で約630曲が収納できる(1曲 1.5Mバイトで計算)。外部スロットを利用してメモリースティック PRO Duo(4Gバイトまでの製品に対応)への楽曲保存も可能だ。

 なお、着うたフルをメモリースティック PRO Duoへ保存することも可能で(一端本体のデータフォルダに保存した後に移動させる必要がある)、au Music Portから転送した楽曲を本体メモリに保存することもできるが、Sonic Stage CPから転送した楽曲を本体メモリに保存することはできない。PCのHDDに保存されているMP3やAAC形式の楽曲を本製品で楽しむにはメモリースティックの利用が必須条件となるわけだ。

●やや複雑な楽曲管理――楽曲保存場所でソフトの切り替えが必要

 着うたフル/CD(au Music Port、Sonic Stage CP)/LISMO Music Storeいずれから入手した楽曲についても、W42S上での管理はau Music Playerで行う。

 しかし、前述のように本製品はau Music Playerの上に本体メモリの楽曲を管理/再生する「au Music ライブラリ」、メモリースティックの楽曲を管理/再生する「M.S.Music ライブラリ」が位置する構造となっており、音楽再生機能を利用する際には、再生したい楽曲がどちらのメモリに保存されているかを確認した上で、au Music ライブラリかM.S.Music ライブラリから再生したい曲やアルバムを選択しなくてはならない。

 再生を開始してしまえば、基本的な再生操作についてはシャトルプレーヤーから可能となり、停止した後もレジューム機能によって再生位置は保持される。ただ、シャトルプレーヤーから、au Music ライブラリ/M.S.Music ライブラリを切り替えることはできず、本体キーを操作してau Music Playerから操作する必要がある。

 本体でプレイリストを作成するか、メニューから「全曲再生」を選択すれば、本体メモリ/メモリースティックいずれに含まれている楽曲もシームレスに再生できるが、2つのプレーヤーソフトを切り替える機会もたびたびあるはず。2つのメモリを完全にシームレスに扱えないところが、W42Sの使い勝手を語る際に最大の弱点になるかもしれない。

●再生時間は?音質調整の幅は?

 W42Sは新開発の音楽再生用チップ「モバイルエンハンサー」を搭載し、最大30時間の音楽再生時間を確保している。同じくスライドボディの音楽ケータイ「W31S」が最大6.5時間であったことから考えるとかなりの延長だ。

 しかし、再生可能時間はソースの種類と収納場所(内蔵メモリ/メモリースティック PRO Duo)で若干変動する。メモリースティック PRO Duoから着うたフル/au Music Portからインポートした楽曲を再生するとその再生時間は約10時間と短くなってしまう。

楽曲種類   内蔵メモリ   メモリースティック PRO Duo
着うたフル   約30時間   約10時間
au Music Portからインポートした楽曲   約30時間   約10時間
Sonic Stage CPからインポートした楽曲   保存不可   約28時間
NW-A607(参考)   約50時間   ――
 
 搭載する音質調整機能は4種類のイコライザ、2段階の低音強調、バーチャルサラウンドのほか、圧縮音源に対して高音域を補完する「harmonic tune」、音漏れ防止機能の「AVLS」を備える。NW-A607はAVLSを備えるほか、低音と高音をそれぞれ-4~+3の範囲で調整可能だが、プリセットイコライザなどは備えない。音質調整の幅で言えば、W42Sの方が広範囲に調整可能といえる。


(2006.5.23/+D LifeStyle)

日本のPCソフト違法コピー率は28%、前年と変わらず

2006-05-23 18:33:46 | Weblog


 MicrosoftやAdobe Systemsら世界の大手ソフト会社で構成するBusiness Software Alliance(BSA)は5月22日、2005年の日本のPCソフトウェア違法コピー率は前年と同じ28%で、損害額は16.21億ドル(約1800億円)だったと発表した。

 2004年の損害額・17億8700万ドルからは減少した。BSAの今泉寛アジア兼日本担当事務局長は「損害額に若干の減少があったものの、違法コピー率には変動がなかった。結果に甘んじることなく、引き続き違法コピーを予防するための取り組みを積極化する」とコメントしている。

 世界全体の違法コピー率は35%、損害額は340億ドル(約3兆8000億円)だった。違法コピー率は前年と同じだが、高率だった中国やロシア、インドなどの新興国、中・東欧、中東、アフリカなどで低下。中国とロシアは4ポイント減少するなど、顕著だった。

・高違法コピー率上位

国   率
ベトナム   90%
ジンバブエ   90%
インドネシア   87%
中国   86%
パキスタン   86%
カザフスタン   85%
ウクライナ   85%
カメルーン   84%
ロシア   83%
ボリビア   83%
 
・低違法コピー率上位

国   率
米国   21%
ニュージーランド   23%
オーストラリア   26%
フィンランド   26%
デンマーク   27%
ドイツ   27%
スウェーデン   27%
スイス   27%
イギリス   27%
日本   28%
 
・高違法コピー損害額上位

国   金額(単位:100万ドル)
米国   6895
中国   3884
フランス   3191
ドイツ   1920
イギリス   1802
ロシア   1625
日本   1621
イタリア   1564
カナダ   779
ブラジル   766
 
 調査はハイテク調査会社のIDCに委託して実施した。38カ国のアナリストが参加し、違法コピー状況を確認するために、ソフトとハードの出荷数に関する独自の統計データを使用し、5600件の調査を実施したという。

(2006.5.23/ITmediaニュース)