トッド・ヘインズ監督「キャロル」(2016年)はケイト・ブランシェット主演の恋愛映画。ただその恋は女性同士というもので珍しい。
舞台は1950年代ニューヨークで、ブランシェットの相手役ルーニー・マーラほか女優たち、街、ホテル、料理、風景などあらゆるものが美しい。わたしたちが憧れていた美しいアメリカがたっぷり溢れている。
カンヌで女優賞をとったのはマーラのほうだが、しかし何といってもこれはブランシェットの映画だ。美しく優雅で気品があるがどこか物憂く複雑でセクシー、クールだけど激情する。こんな不思議で魅力的な女性はブランシェットにしか演じられない。
ストーリーよりも美しいブランシェットと古き良き時代のアメリカを堪能した。