[2022年以後] ぼくらの時代、ぼくらの祖国

小説と映画(2)ファーストラブの場合

映画が原作と大きく異なるハナシになることはしばしばあるが、このファーストラブではなかった。
ちょっと違うなと思ったのは、公認心理師・真壁由紀のキャラや人間性。先の読んだ小説の由紀と映画の北川景子ではかなり違って感じられた。北川は好きな女優だしいい演技だった。映画の由紀が小説より劣っていたわけではないが、小説で思い描いていた由紀とは違う女性に思えた。

環奈の二転三転する供述の理由を由紀が解き明かしていくのが本スジなのだが、由紀の方のトラウマもとても気になる。
父親が昔少女を買っていたこと、それを母親が容認していたこと、娘の自分を父親のそういう目で見ていたのではというい耐え難い心理などは、小説の方がぶ厚く描いていた。北川が成人式に向かう車中で母親から聞かされて嘔吐する映画のシーンではかなわないリアリティーがあった。

さてわたしは何が言いたいのだろう。
可視化された登場人物、土地、風景を描く映像の方が、文字の羅列よりも、リアルな訴求力があるとは限らない。
ぶ厚く展開される濃密な文章によって、登場人物たちの心象風景が圧倒的なリアリティーでせまってくることがある。
どちらの方がポテンシャルが高いかなどとは言えない。もちろん、映像の方が圧倒的にリアルだなどとは。










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