
人間である以上、どんな偉人や英雄にも欠点や弱点は付き物です(稀に「完全無欠な聖人君子」も存在するかもしれないが)。そんな人間が作る機械や道具に欠陥や弱点があっても、何ら不思議ではありません。むしろ完全無欠な機械・道具こそ「有り得ない」。それらの欠陥なり弱点なりは、時として人間に不利益をもたらすことさえあります。それでも人間は機械を求め、使いたがることが多い。それは、その機械を持つことで欠陥や弱点を補って余りある利益を享受できるからに他ならないと思います。
今や生活必需品となりつつある感じの携帯電話ですが、それとても欠陥や弱点と無縁ではいられません。「携帯を持つ上での不安」を認識するユーザーも少なくないようです。定額制や各種割引制度の普及で、ひと頃ほど騒がれなくなったとはいえ、子供の通話料請求に苦慮する親御さんの話を今も耳にすることがあります。また列車内での使用ルールも「遵守されている」とは言いがたいようです。優先座席に堂々と腰掛けた若者が携帯をチェックしている姿を時々見かけます。一昨年あたりから各鉄道会社では「優先座席付近では携帯の電源を切る」ことを周知しているはずなのですが。
私の携帯はメール交換が主たる目的になっており、インターネットに若干使用、カメラとして若干使用(デジカメがバッテリー切れを起こした時などは結構助かる)、通話は緊急時以外殆ど使いません(というより、殆ど誰も掛けてこない?)。それでも稀に、運転中に電話が掛かってきて、近くに駐車スペースがないかと慌てることもあります。一番良いのは電源を切ることですが、これでは何のための携帯か。
あと迷惑メールも厄介です。驚いたのは新機種を契約して間もなく、得体の知れないメールが立て続けに送られてきたこと。メール送信業者?は一体どこからアドレスを仕入れるのでしょうか。「まさか電話会社が・・・」と根拠もなく疑ってしまいそうです。アドレスは限られた範囲にしか教えないのに。
確かに使用ルール違反や得体の知れないメールも不安ですが、もっと大きな不安というか欠陥が以前から問題になっているはずです。携帯電話から発せられる電磁波の人体への影響です。これなどは電話会社がCMで「あなたの健康を害する恐れがあります。携帯の使いすぎに注意しましょう」と呼びかけても良さそうなものですが、変に不安を煽るようなことは言いたくないのでしょう。
もっとも、今でこそ「健康増進法」などで公共施設からは目の敵にされているタバコだって、少し前までは「タバコと肺がんの因果関係が証明されたのか」と、タバコ害悪説に反発する声が少なくなかったようです。携帯電話が普及したといっても、たかだか十数年。携帯の電磁波が人体に及ぼす影響についての研究は途上であり「携帯の人体への害悪が完全に実証される」のは、まだ当分先のことでしょう。
七、八年ぐらい前になりますが、私の先輩で携帯用のイヤホンを買った人がいました。「運転時の着信に備える」という目的だったようですが、他に「電磁波対策」も考慮していたかもしれません。同じ頃、勤め先で後輩が「携帯使うと脳みそがチーン状態(=加熱されて茹で上がる?)になるんだってね」と話したこともありました。チーンといえば電子レンジの電磁波も「危険だ」と言われて久しいようです。
私自身は、携帯での通話をなるべく避けています(携帯を持つ意味ないだろ、と言われそうだが)。着信は数えるほどだし、外から電話を掛ける時はまず公衆電話を使います。もっとも最近は公衆電話自体が少なくなっており、やむを得ず携帯で通話することもありますが。
携帯の電磁波についてまとめたサイト(ケータイ電磁波レポート)の中で「イギリス政府は16歳以下の子供への携帯電話使用を控えるように指導しているそうではないか」とありましたが、わが国では高校生の携帯所持は当たり前、小中学生の携帯所持も珍しくなくなりつつあるようです。彼らにしてみれば、体を壊すことより「仲間外れになること」が怖いのでしょうか。しかし昨今のように子供が狙われる事件が多発すれば、むしろ親が子に「万一に備え」携帯を持たせる風潮が顕著になるかもしれません。