※今日の一枚:今年3月、名鉄市ノ坪駅にて。600型電車は、その特異な外見ゆえ口の悪いファンから「馬ヅラ電車」と呼ばれていたらしい。1970(昭和45)年、美濃町線電車の新岐阜(現・名鉄岐阜)乗り入れ用として誕生、優れた車両に贈られる「ローレル賞」に選ばれたこともあったが、2000(平成12)年に新型車が投入された後は画像の606号を除いて廃車された。揖斐線・美濃町線・岐阜市内線の最期を見届けた同車は転用先もなく、引退と相成った模様だ。
「視聴率男」が視聴率に泣かされた・・・「久米宏復帰作」という鳴り物入りで始まった日曜夜8時台(放送開始は夜7時57分から)の日テレ情報番組「A」は、今月26日の放送を以って打ち切りが決まったようです。アジア各地の話題を紹介し、ネット中継も交えるという意欲的な構成でゴールデンタイムに挑んだものの、初回から視聴率は芳しくなかったそうで、今月18日の時点で久米氏が降板を意思表示していたとも言われています。もともと久米氏は、番組開始前から「面白くなかったら(番組を)辞める」と宣言していたそうで、打ち切りはある意味「公約を守った」ということかもしれません。しかし、あの「ニュースステーション」でさえ開始当初は視聴率があまり高くなかったと言われており、開始から三ヶ月足らずで白旗を掲げるというのは、いささか性急に見えなくもありません。「視聴率に裏切られた」視聴率男・久米宏。再起のチャンスは与えられるのか。
「A」は先月15日に一度見ました(その日の放送は唯一、視聴率が10%を超えたらしい)。最初に思ったのは「オセロと夏木マリがレギュラーというのは、NHKに対する当てつけ?」ということでした。夏木マリは「義経」に丹後局役で出演中だし、松嶋尚美も亀の前として出演、さらに中島知子も千鳥役で出演しました。両番組とも事前録画だから同じ時間帯のバッティングも可能なわけですが「Aが振るわなかったのは事前録画のせい」という見方もあるようです。確かにNステや「ザ・ベストテン」など、久米氏は生放送が主な活動の場でした。
番組自体の着目点は悪くなかったと思うし、松浦亜弥、若槻千夏、山口智充といった若手レギュラー陣も無難だったと思います。少し気になったのはナレーション。「ガチンコ!」でお馴染みの垂木勉氏と「伊東家の食卓」のP子役の雨蘭咲木子女史(NHKのダーマ&グレッグでも活躍)のコンビは少し騒々しく感じました。
私が初めて久米宏氏をテレビで見たのはTBSの「ぴったしカン・カン」だったと思います。火曜夜7時半からの放映で、当時彼はTBS局アナでした。出題時の「ホニャララ」「ペケペケ」「恒例、一枚の写真!」という彼のセリフは今も憶えています。1978(昭和53)年から始まった「ザ・ベストテン」でも司会を務め、同年に退社・独立します。その後は日テレへも活動範囲を広げ「おしゃれ」「TVスクランブル」を経て1985(昭和60)年秋からテレ朝「ニュースステーション」が始まると、「一張羅オジサン」は「硬派キャスター」に転身しました。
TVスクランブルは日曜夜8時から放映されていた番組でした。一度見たことがありますが、横山やすし師匠と日テレの福富達アナが共演していました(やっさんは後に降ろされたらしい)。久しぶりの日テレ、それも馴染みのある日曜夜8時台ということで、久米氏は「A」に期するものがあったと思われますが・・・
ぴったしカン・カンが始まった頃、日曜夜7時台は日テレの「すばらしい世界旅行」を時々見ることがありました。私は当時、番組最後のクレジットに映った「ナレーター 久米明」の文字を見て「ぴったしカン・カンの司会者がナレーターだったのか」と早とちりしてしまったものです。ところが実際「世間では久米宏と久米明が混同されることが少なくなかった」と、宏氏が何かの番組で打ち明けていたらしいという話をどこかで聞きました(昔の話なので思い違いもあるかもしれない)。それを逆手に取ったかどうか知りませんが、ザ・ベストテンで久米明氏が司会を務めたことがあったようです。黒柳徹子サマの助けを借りて「え~、こ、今週の第○位・・・」と彼が紹介する場面を、私は見た憶えがあります。それがいつ頃の出来事だったかは覚えていませんが。
久米明氏はテレビ放送開始以前から活動している俳優ですが、「すばらしい世界旅行」のナレーターを二十年以上続けるなど、声優としてのキャリアも詰まれています。昨年4月から6月までNHK総合で放映されたアニメ「火の鳥」(奇しくも「すばらしい世界旅行」と同じ日曜夜7時半からの三十分番組だった)でもナレーターを務めました。私としては、彼のナレーションは少し重苦しい感じで今一つ馴染めないのですが。正直言って「火の鳥」のナレーションも、他に適任者がいるのではと思ったものです(だったら見るなと言われそうだが)。
なお、私の親によれば「久米明は、昔のドラマでは悪役を演じることが多かった」そうな。
ちなみに久米明氏のご子息、久米大作氏は音楽の道へ進み、現在も精力的に活動中です。そして彼の奥さんは、かつて「異邦人」の大ヒットで知られた久保田早紀(現・久米小百合)さんです。