eternalturquoiseblue

日本人として日々の暮らしの中で思うこと、知りたかったこと

「日本人シュメール起源説」とは

2019-03-29 14:52:27 | 日本人論
2018/11/14(水) 午前 7:05

堺屋太一内閣官房参与(注1)が代表を務める一般社団法人「外国人雇用協議会」(2016年4月設立)なる「開国派」組織が、安倍内閣の今回の「外国人材50万人受け入れ」を推進しているといわれていますが、これについては実質的な「移民」ではないかなどの反対意見も。



今、世界中の先進国では「移民」に対する警戒感が強まっている。「移民」とはどのように定義されているかといえば、多くの専門家は、「移住の理由や法的地位に関係なく、本来の居住国(国籍国)を変更した人々を国際移民とみなす」ことに同意している、とある。


21世紀の現代において、世界地図で領土が確定していない場所は殆どなく(不法占拠などはあるものの)本来の国籍国を離れ日本に来て生活していても、その人々はあくまでも長期滞在者であり、外国人である以上帰化しない限り選挙権はない。その子孫も同様。外国人に地方参政権を付与すべきという声もあるが、それは社会と国土の分裂を生む可能性もあり反対意見が主流である。


日本は国籍において「出生地主義」ではなく「血統主義」をとっており、とりわけ「難民審査の厳しい国」で、世界に類を見ないほどの均質性の高い国であり、それが日本の強みであることも事実なのである。


元々の居住国(他の国籍国)をもつ人々は「血統の異なる人々」であり、日本が均質性を保ってきたのも国籍認定が「血統主義」であること、「永住許可」を与えても「国籍付与」にはならないから、「日本人」と「外国人」の区別が厳密にあり、これを「差別」と呼ぶ人々もいるわけですが。


では何故、「出生地主義」ではなく「血統主義」をとっているかといえば、それは日本という国の成り立ちが天皇家を「核」とする「ヤマト民族」の国家であるという考え方が根幹だから。


日本という国はアフリカに起源をもつ人類が移動して日本列島に辿り着いて作られた国であり、原初の日本人が日本という国家の「核」の役割を担ってきたこと、そしてその民族を「ヤマト民族」と呼び、その中心がまさに「天皇家」。


「ヤマト民族」の起原の研究は戦前盛んに行われており、その骨格を簡単にいえば、「人類文明発祥の地である西の豊葦原の瑞穂(とよあしはらのみずほ)の国(メソポタミア=古代バビロニア)から、「日出ずる豊葦原の瑞穂の国(日本=葦原之中津国)に移り住んだ」というもの。


ここでいう「メソポタミア=古代バビロニア」とは、世界最古の文明とされる「シュメール文明」のことで、つまりシュメール(スメラ)人こそが天皇(スメラミコト)の先祖で「ヤマト民族」の原初だったのでは、という説が戦後GHQによって禁書とされた「日本人シュメール起源説」。


世界最古の文字とされる「シュメール文字」を持つ「シュメール文明」は、現在の歴史学上「世界最古の文明」とされている。


ご存知の通り、日本の天皇家は(現在125代天皇)6世紀以降王朝が交代した証拠がなく、少なくとも1500年以上続く「世界最古の王家」。しかもその長い歴史において唯一「万世一系」(注2)を貫いているとされます。


因みに2番目は8~10世紀が始まりで欧州で最も古いとされるデンマーク王家(リュクスボー朝5代女王)。3番目はグレートブリテン及び北アイルランド連合女王(ウィンザー朝4代女王/42代イングランド女王)。つまり英王室のことで、英王室は1066年にフランスから上陸したノルマンディー公ウイリアムがノルマン王国を創始してから原型が作られたといわれている。英王家では当初仏語が話されており、英語が使われ始めたのは1272年即位のエドワード1世からだとか。欧米の言語は近接性が高いのが特徴。


参考までに、4番目はスペイン王家(17代国王)、5番目はスウェーデン王家(17代国王)、6番目がタイ王家(10代国王)、7番目がバーレーン王家、8番目オランダ王家、9番目ベルギー王家、10番目トンガ王家。


本題の「日本人シュメール起源説」ですが、そもそもこの説を最初に唱えたのは日本人ではなく、1690年(元禄3年)長崎の出島に医師としてやってきたドイツ系オランダ人の歴史学者(博物学者)であるエンゲルベルト・ケンペルという人物だそう。ケンぺルは日本の様々な情報を「廻国奇観」という著作で紹介し、没後に出版された「日本誌」という著作の中で集大成し、この著作は当時のヨーロッパの知識人の間に広く流布して、シーボルトにも影響を与えたとされている。


そしてケンぺルの「日本人シュメール起源説」を1919年(大正7年)に原田敬吾という人物が、自らが設立した「バビロン学会」で発表したことからこの説が日本国内でも広く知れ渡ることになった。これが日本における「オリエント学研究」の黎明期。


つまり、この説は約300年前に日本に来たオランダ人学者によって唱えられたのが始まりで、今から100年前に再び注目され、戦後はGHQによって禁書とされてきた。公にこの説を唱える学者はいなくなった。


では何故再び注目されるようになったのかといえば、それはG7国家で世界有数の先進国日本において平成時代の幕開けとなった1990年(平成2年)11月行われた今上天皇の「即位の礼」に伴う「大嘗祭」の儀式を世界の歴史学者が注目したことからのようだ。


欧米の研究者によれば「大嘗祭」は古代呪術社会特有の「聖婚儀礼」の流れを汲むものという見解で「聖婚儀礼」は6000年前のシュメールに始まるものであり、王統の一貫性において世界最古の天皇家の「大嘗祭」が「聖婚儀礼」であるならば、「天皇家」はシュメール人の流れを汲んでいるのではないかという「仮説」。


再びケンぺルに戻りますが、彼は日本文化に深く興味を持ちながら「言語とその特性が民族の起原を知る手がかりとなる」という考えの下、日本語の構造に注目した。そして彼は「日本語は隣接する諸国の言語との(構造的な)関連性が見いだせない」ということに注目。


中国語と日本語は構造が全く異なる。日本語には中国の言葉は数多く溶け込んでいるがそれはポルトガル語の「パン」や「ボタン」「トタン」が使われることに等しい(つまり外来語に過ぎない)中国の書物を読むとき日本人は「書き下し文」に直して読むわけで、つまり文法が全く異なるわけだ。同様に朝鮮半島など隣接国の言語とも異なっており、日本人は独自の原種をもつ民族であるとしたのだ。そして彼が注目したのがシュメール人だった、ということらしい。


20世紀なって、欧米考古学者、言語学者、オリエント史学者にのって解読され始めたシュメール人の文字と言語は、次のようなことが明らかになっている。

1.シュメールの楔形文字は漢字の形成とほぼ同じ過程を経て成立した。
2.シュメール文字は現代日本語の漢字かなまじりと同じ構造をもつ。
3.シュメール文字は子音のみならず母音を記す(シュメール周辺のセム系言語の文字は子音のみを表記する)
4.シュメール語は膠着語である。

一方、日本人は漢字仮名なじり文章で生活しており、日本語の文法は膠着語(てにをはの接着語によって単語がぺったりとくっつくさまを示す)系統に属す。更に、日本語は母音が非常に強調される特色がある。

シュメール人は遥かな古代、どこからともなくこの世に姿を現し、何の手本もなしに独力で人類初の文明を築きあげ、今から4000年前に突然その姿を消してしまったとされている。これは「シュメール問題」と呼ばれ、謎とされてきたようだ。

シュメール文明に関して
 参考:https://blogs.yahoo.co.jp/ymhkobayasis/35809047.html


注1:「団塊の世代」の名付け親として知られ、経済評論家で作家の堺屋太一(さかいや・たいち、本名・池口小太郎=いけぐち・こたろう)さんは今年2月8日に83歳で死去されました。堺屋さんは官僚時代の昭和45年、大阪万博開催に携わり、その後作家としても活躍。経済企画庁長官を務めたほか、現在の安倍晋三首相の成長戦略のブレーンとして内閣官房参与も務めた。

注2:万世一系については拙ブログの「Y染色体」にも書いておりますので、よかったらご参照下さい。
https://ameblo.jp/ymhkobayasis/entry-12444109314.html?frm=theme


引用:
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%83%AB

https://books.google.co.jp/books?id=i5JUDwAAQBAJ&pg=PA44&lpg=PA44&dq=%E3%82%B1%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%AB+%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BA%BA%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%83%AB%E8%B5%B7%E6%BA%90%E8%AA%AC&source=bl&ots=53YH0k1RLx&sig=NFkrUPEKVloCgxDdACiMBqCcViY&hl=ja&sa=X&ved=2ahUKEwj7g5KFnNLeAhUBV7wKHatQDHUQ6AEwBnoECAUQAQ#v=onepage&q=%E3%82%B1%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%AB%20%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BA%BA%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%83%AB%E8%B5%B7%E6%BA%90%E8%AA%AC&f=false

http://inri.client.jp/hexagon/floorA3F_hb/a3fhb301.html

https://latte.la/column/89206006

https://kotobank.jp/word/%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%83%AB%E5%95%8F%E9%A1%8C-1337650

 http://www.iomjapan.org/information/migrant_definition.html



コメント

kamakuraboyさんは現在の韓国と日本のことだけではなくて、遥か昔の古代バビロニアや遠いメソポタミアのことにまで造詣がおありなんですね。

でも、人類発祥の地である西の豊葦原の瑞穂の国(メソポタミア=古代バビロニア)から「日出ずる豊葦原の瑞穂の国(日本=葦原之中津国)に移り住んだ」ということがにわかには信じられません。

わたしは、昔、学校で習ったように、人類の起源はアフリカにあって、そこからメソポタミア→インド→中国→日本と移ってきたって単純に思ってきていました。

そして、中国での戦いに敗れた人たちが朝鮮半島に逃れ、そこでの戦に負けた人たちが日本まで逃げてきたのだろうって想像していましたから…
2018/11/14(水) 午前 8:28 [ weeping_reddish_ogre(泣いた赤鬼) ]


> weeping_reddish_ogre(泣いた赤鬼)さん
おはようございます。コメントをありがとうございます。ご縁があって数年前に某大学病院の臨床遺伝学教室に約1年間お世話になりました。「臨床遺伝学」「人類遺伝学」などの講義を医学部の学生に混じって勉強し直しまして、しきりに当時言われていた「Y染色体ハプロタイプからみる日本人起源説」など、「日本人が同じアジアの中で非常に珍しい種族である」ことが事実で、「その起源が他のアジア諸国の人々よりも遠く実は原種に近いらしい」ということ、更に国立遺伝学研究所のグループが「縄文人遺伝子」の分析研究を発表したことで、「日本人研究」への興味が非常に湧きました。

その後(弥生時代などと称される時代に)大陸から日本に渡ってきた人々もいたことは事実で、現代日本人のルーツは系統的には無論単一ではあり得ない。

ただ、我々日本人にとって一番最初に日本の骨格を作った人々を「ヤマト民族」と呼び、そこに我々日本人の共通の意識があるからこそいざというときに団結できるということも事実なのだと思います。
2018/11/14(水) 午前 9:11 kamakuraboy


> weeping_reddish_ogre(泣いた赤鬼)さん
「古代バビロニアやメソポタミアに造詣」などはありません。高校のとき、理系なのに「世界史オタク」でしたが。これはネットで調べながら書いております。興味があることは、いくらでも調べる気があれば調べられますし。でも本当の核心部分はネットだけでは調べられませんが。 削除
2018/11/14(水) 午前 9:43 kamakuraboy



日本文明とシュメール文明の相似点に関する問題提起、とても面白いです。ケンペルがその様な事を書き残して居るのですね。先ずシュメール文明とはなにか?を学んでみたいと思います。興味深い提案有難う御座います。(魯鈍斎)
2018/11/18(日) 午前 1:27 [ 井頭山人(魯鈍斎) ]


> 井頭山人(魯鈍斎)さん
おはようございます。コメントをありがとうございます。「シュメール文明」のことは、拙ブログでも少し前「『世界最古の文字」を作り出したシュメール人の都市国家」という記事の中でさわりとしてとりあげてみましたが、考古学や歴史学者の間では「シュメール問題」という大きなテーマらしいです。

また「日本人論」というのは世界の考古学者の間で大きなテーマのようですね。人類の発展の歴史を知る上での大きな鍵になる可能性があるようです。
2018/11/18(日) 午前 5:50 kamakuraboy


> 井頭山人(魯鈍斎)さん
「日本文明とシュメール文明の相似点に関する問題提起」の歴史は戦前、というより江戸期からだったことを私も今回初めて知りました。

戦後はGHQが「皇国史観」を断つために禁書にしたそうですが「ケンぺルー原田」説や三島敦雄の「天孫人種六千年史の研究」などがあるらしいです。昭和天皇の弟の三笠宮さまの研究テーマも「オリエント学」だったそうです。

明治時代までは天皇のことを「スメラ命」と呼んでいたそうで、「スメラの語源=シュメール」と思われている、「近隣言語と近接性がない日本語がシュメール語の構造に似ているのは何故か」「世界最古の土器」である縄文土器が日本からのみ発掘されていることなどともからめて「日本人の祖先=シュメール人説」が最近再び注目されているようです。
2018/11/18(日) 午前 6:08 kamakuraboy


「大嘗祭」に関連して一言。
先日、皇位継承の重要儀式「大嘗祭」が憲法が定める政教分離と国民主権の原則に反するとして宗教関係者が東京地裁に提訴しました。

そんなことを考えるのは彼らだけであり、大多数の国民はこの提訴に大いに怒りや疑問をもっていると思いますよ。
彼らは、日本の大切なものにケチをつけています。

大嘗祭は古来からある神事です。
世界が憧れる日本の最古の皇室、その重要儀式について提訴するなどとはなんと恐れ多い宗教関係者でしょう。彼らの心根は日本人ではありません。そうした日本を貶める宗教関係者・宗教団体は、厳格に対処すべきです。

神事に難癖を付ける彼らは、まったく日本の神道やその伝統・歴史を知らないばかりではなく、得体のしれない素性の者たちです。

神道は宗教ではありません。
神道は、その名のとおり「教え」ではなく「道」なのです。
2018/11/18(日) 午後 8:21 泉城


> 石田泉城さん
こんばんは。このニュースですね。(2018年11月8日東京新聞より)
「来年催される新天皇の「即位の礼」や皇位継承の重要儀式「大嘗祭」などは、憲法が定める政教分離と国民主権の原則に反するとして、全国の少なくとも約120人が、国に儀式への公金支出の差し止めを求め、東京地裁に提訴することが8日、関係者への取材で分かった。提訴は12月上旬を目指している。

昭和から平成の代替わり儀式を巡っても、違憲性を問う訴訟が各地で相次いだが、原告側の代理人によると、来年の天皇代替わりに伴う儀式を巡る違憲訴訟は、今回が初めてとみられる。

原告は、安倍晋三首相の靖国神社参拝などの違憲訴訟に関わってきた市民やキリスト教、仏教などの宗教関係者ら」

明らかにこのような愚かな裁判を起こそうとする人々のメンタリティは「ヤマト民族」ではない「なりすまし」ですね。日本の成り立ちというものがまるで理解できていない馬鹿ですね。
2018/11/18(日) 午後 9:14 kamakuraboy


東京新聞は、中日新聞東京本社が発行している新聞です。

中日新聞が10年ほど前に朝日新聞と相互委託印刷の提携をしてから、おかしな記事が目立つようになった気がします。

この記事で「関係者への取材で分かった」とする関係者は、提訴した張本人の宗教関係者等でしょう。中日新聞・東京新聞は彼らとべったりくっついている気がします。

一般的には提訴した記事を掲載するものですが、12月に提訴する予定の記事を掲載するとはプロパガンダそのものです。まともな報道機関なら記事に取り上げないでしょう。

さて中国語と日本語は構造が全く違いますね。現代中国語の元となる漢文(古文)は返り点を付けないと読めませんから当然文法が違います。
ところが、この漢文について、現代中国人は読めません。
それは中国の王朝が何度も交代し紀元前後400年続いた漢と、現在の中国とは違うことが影響していると思います。いずれにしても中国語と日本語は全く違いますね。
2018/11/18(日) 午後 10:32 泉城


> 石田泉城さん
中国語、朝鮮語(韓国語)その他の日本の近隣国と日本とは言語の構造に系統的関連性がないようですね。そのことは前にこのブログの「日本語の起原に関する議論と縄文人の言葉」という記事のところでも書きましたが、「我々が使っている「日本語」という言語は系統関係の不明な「孤立した言語」のひとつであり、他の言語との系統関係が未だ明らかになっていない。」

300年前江戸時代にオランダ人のケンペルが指摘していたように「言語とその特性が民族の起原を知る手がかりとなる」という考えに立てば「日本人は独自の原種をもつ民族である」ということ。その原種が最古の文明と最古の文字をもつシュメール人ではないかというのが「日本人シュメール起源説」ですね。
2018/11/18(日) 午後 10:56 kamakuraboy

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。