2018/5/20(日) 午前 9:32
国際法の中で、特に「戦時国際法」の法規は、「明示的に表現しない限り、様々な兵器の禁止は有効でない」という原則があるそうです。
1907年にオランダのハーグ万国平和会議で締結された陸戦法規の第23条に、「特別の条約をもって定めたる禁止の他、特に禁止するもの左の如し」として、「毒または毒を施したる兵器の使用」とあるものの、この時点では毒薬など、液体に近いものを想定しており、「毒ガス」と「明示」されていないために、「毒ガス兵器の禁止」とまでは解釈されなかったし、また、法的拘束力がなかった。
そのため1914年に始まった第一次世界大戦のとき、ドイツが連合軍との戦闘の中で初めて、1915年に毒ガスの塩素ガスを使用。このときは一日で連合国軍に5000人の死者が出たそうです。その後、毒ガスは更に毒性の強いイペリットやホスゲンなどが作られるようになり、仏軍も使用、独軍と連合軍両者で100万人の死者を出した。しかし、これを国際法違反だと訴えた国は一国もなかった。これが国際法の解釈の仕方の大原則なのだそうだ。
毒ガスの使用は1925年の「ジュネーブ協定」で改めて「毒ガス・細菌兵器」を禁止した。このとき、日米は協定に批准しなかった。しかし第二次大戦中にイタリアはエチオピア併合時に毒ガスを使用。日本は日中戦争の中で嘔吐ガスや致死性の催涙ガスを使用。ドイツが強制収容所で毒ガスの「サイクロンB」を使用してユダヤ人を大量に殺害したことは有名。
戦後の軍事裁判である「東京裁判」で、日本の毒ガス使用に関して米軍は追及しなかった。何故かといえば、日本は連合軍に毒カスは使用しなかったから。むしろ、米国の方がイタリア戦線でマスタードガスを積んだ輸送船が命中弾を受けて毒ガスを流出させ一般人を含む多数の死傷者を出しており(ジョン・ハーベイ号事件)、戦争末期の上陸作戦で日本への大規模な毒ガス攻撃を計画準備していたためであったとされる。
現代の「大量破壊兵器」である「核兵器」を、日本は第二次世界大戦前から理化学研究所と東大で核に関する実験を始め、米英で論文として発表している。(日本は第一次大戦時は連合国側だった)第二次大戦中、日米独はそれぞれ核開発を進め、その中の米国がロスアラモス研究所で進めた計画によって完成させ、1945年8月広島にウラン型の「リトルボーイ」が、長崎にプルトニウム型の「ファットマン」が世界初の実戦での「核兵器の使用」であった。
現在、①世界のNPT批准の「核保有国」は米国、ロシア、英、仏、中国(全て国連の常任理事国のみ)②NPT非批准の「核保有国」は、インド、パキスタン、③「核保有の疑いのある国」イスラエル。
かつてはスイスやスウェーデンが「武装中立」の立場から、アルゼンチンとブラジルが両国の対立から核開発を表明し、後で、それぞれ放棄。
リビアも2003年に核開発を放棄、これがいわゆる「リビア方式」といわれる核放棄の方法で、カダフィ大佐は米英との秘密交渉の後に、「即時かつ無条件」に核放棄することを表明、IAEA(国際原子力機関)の査察受け入れ、核兵器開発に関する機材や文書を米国に引き渡したことで経済制裁を解除され、半年後に米国との国交を回復。(2011年、41年間独裁政権にあったカダフィ大佐は民兵によって殺害)
つまり「核放棄の実行後に制裁解除などの見返りを与える」というのが「リビア方式」でこのとき当時のブッシュ政権の「軍事管理問題担当国務次官」として携わったのが、現在トランプ政権で「国家安全保障問題担当大統領補佐官」(長い!)のボルトン氏であった。
現在②のカテゴリー中に入りつつあるのが北朝鮮で、「テロ支援国家」認定されている北朝鮮の核保有は国連、特に「テロとの戦い」を続ける米国が認めることはないわけで、現在の状況に至っているのである。
しかし、世界の主要国は現在でも化学兵器である「毒ガス」を生産し、保有しているのが現実で、その理由は、戦時法規には"reprisal" 即ち、「復仇」という法理があり、敵方が国際法違反の行為をした場合、それを理由にそれと同様の行為をしてもよいという法理があるため。
4 月7日、シリア政府軍が首都ダマスカス近郊で反政府軍に「毒ガスのサリン」使用したとされ、直ちに「国連軍」である米英仏が、シリア側の化学兵器関連施設へのミサイル攻撃に踏み切ったという状況。
日本の核保有は国際法上認められるかといえば、原則的には認められないであろうし、仮に日本が密かに核開発して、北朝鮮が日本に対して核攻撃をしてきた場合に即座に報復攻撃を加えて、これを「憲法9条の『自衛権』にあたり、戦時法規の『復仇』にあたるものである」と主張すれば、それは「原則論」としては戦時国際法上は正当といえる。仮に、北朝鮮の核保有が認められるのであれば、日本が「戦略核」を保有することは検討の余地がでてくることは否定できない。
しかし現実には「被爆国」である日本の国民感情としては、80年代まで国是のように言われていた「非核三原則」に当然反しており、現在も公式の場で議論することは微妙な問題が含まれている。
トランプ大統領は、大統領候補時代の2年前の2016年3月26日、ニューヨーク・タイムスとのインタビューの中で「日韓の核保有」容認や、「在日米軍撤退」などを示唆する発言をしていた。北朝鮮や中国、ロシアなどと軍事バランスのため「日本は核武装するべき」という内容の発言。これは彼が政治家出身でなく「素人」であったが故の発言であって、現在の米国の国際戦略での立場では「日韓の核保有」は、これらの同盟国が米国の「核の傘」からはずれることを意味し、米国の安保上の価値の低下を招くことになるため容認する立場ではない。
つまり、北朝鮮が②のカテゴリーに入ることは38度線で対峙している韓国、中距離ミサイルで全土を射程圏内に攻撃可能にいずれなってしまう日本の立場では断じて容認できない。
6月8日~9日にカナダで開かれるG7で、トランプ大統領が「米朝首脳会談」を前に、北朝鮮の非核化に向けた方針を説明し、具体的な措置とその後の対応について日米や欧州諸国が共通認識をつくる場となるもよう。
引用:「日本の死活問題」(Good Books)
http://thefact.jp/2016/1595/
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A0%B8%E5%85%B5%E5%99%A8%E3%81%AE%E6%AD%B4%E5%8F%B2
国際法の中で、特に「戦時国際法」の法規は、「明示的に表現しない限り、様々な兵器の禁止は有効でない」という原則があるそうです。
1907年にオランダのハーグ万国平和会議で締結された陸戦法規の第23条に、「特別の条約をもって定めたる禁止の他、特に禁止するもの左の如し」として、「毒または毒を施したる兵器の使用」とあるものの、この時点では毒薬など、液体に近いものを想定しており、「毒ガス」と「明示」されていないために、「毒ガス兵器の禁止」とまでは解釈されなかったし、また、法的拘束力がなかった。
そのため1914年に始まった第一次世界大戦のとき、ドイツが連合軍との戦闘の中で初めて、1915年に毒ガスの塩素ガスを使用。このときは一日で連合国軍に5000人の死者が出たそうです。その後、毒ガスは更に毒性の強いイペリットやホスゲンなどが作られるようになり、仏軍も使用、独軍と連合軍両者で100万人の死者を出した。しかし、これを国際法違反だと訴えた国は一国もなかった。これが国際法の解釈の仕方の大原則なのだそうだ。
毒ガスの使用は1925年の「ジュネーブ協定」で改めて「毒ガス・細菌兵器」を禁止した。このとき、日米は協定に批准しなかった。しかし第二次大戦中にイタリアはエチオピア併合時に毒ガスを使用。日本は日中戦争の中で嘔吐ガスや致死性の催涙ガスを使用。ドイツが強制収容所で毒ガスの「サイクロンB」を使用してユダヤ人を大量に殺害したことは有名。
戦後の軍事裁判である「東京裁判」で、日本の毒ガス使用に関して米軍は追及しなかった。何故かといえば、日本は連合軍に毒カスは使用しなかったから。むしろ、米国の方がイタリア戦線でマスタードガスを積んだ輸送船が命中弾を受けて毒ガスを流出させ一般人を含む多数の死傷者を出しており(ジョン・ハーベイ号事件)、戦争末期の上陸作戦で日本への大規模な毒ガス攻撃を計画準備していたためであったとされる。
現代の「大量破壊兵器」である「核兵器」を、日本は第二次世界大戦前から理化学研究所と東大で核に関する実験を始め、米英で論文として発表している。(日本は第一次大戦時は連合国側だった)第二次大戦中、日米独はそれぞれ核開発を進め、その中の米国がロスアラモス研究所で進めた計画によって完成させ、1945年8月広島にウラン型の「リトルボーイ」が、長崎にプルトニウム型の「ファットマン」が世界初の実戦での「核兵器の使用」であった。
現在、①世界のNPT批准の「核保有国」は米国、ロシア、英、仏、中国(全て国連の常任理事国のみ)②NPT非批准の「核保有国」は、インド、パキスタン、③「核保有の疑いのある国」イスラエル。
かつてはスイスやスウェーデンが「武装中立」の立場から、アルゼンチンとブラジルが両国の対立から核開発を表明し、後で、それぞれ放棄。
リビアも2003年に核開発を放棄、これがいわゆる「リビア方式」といわれる核放棄の方法で、カダフィ大佐は米英との秘密交渉の後に、「即時かつ無条件」に核放棄することを表明、IAEA(国際原子力機関)の査察受け入れ、核兵器開発に関する機材や文書を米国に引き渡したことで経済制裁を解除され、半年後に米国との国交を回復。(2011年、41年間独裁政権にあったカダフィ大佐は民兵によって殺害)
つまり「核放棄の実行後に制裁解除などの見返りを与える」というのが「リビア方式」でこのとき当時のブッシュ政権の「軍事管理問題担当国務次官」として携わったのが、現在トランプ政権で「国家安全保障問題担当大統領補佐官」(長い!)のボルトン氏であった。
現在②のカテゴリー中に入りつつあるのが北朝鮮で、「テロ支援国家」認定されている北朝鮮の核保有は国連、特に「テロとの戦い」を続ける米国が認めることはないわけで、現在の状況に至っているのである。
しかし、世界の主要国は現在でも化学兵器である「毒ガス」を生産し、保有しているのが現実で、その理由は、戦時法規には"reprisal" 即ち、「復仇」という法理があり、敵方が国際法違反の行為をした場合、それを理由にそれと同様の行為をしてもよいという法理があるため。
4 月7日、シリア政府軍が首都ダマスカス近郊で反政府軍に「毒ガスのサリン」使用したとされ、直ちに「国連軍」である米英仏が、シリア側の化学兵器関連施設へのミサイル攻撃に踏み切ったという状況。
日本の核保有は国際法上認められるかといえば、原則的には認められないであろうし、仮に日本が密かに核開発して、北朝鮮が日本に対して核攻撃をしてきた場合に即座に報復攻撃を加えて、これを「憲法9条の『自衛権』にあたり、戦時法規の『復仇』にあたるものである」と主張すれば、それは「原則論」としては戦時国際法上は正当といえる。仮に、北朝鮮の核保有が認められるのであれば、日本が「戦略核」を保有することは検討の余地がでてくることは否定できない。
しかし現実には「被爆国」である日本の国民感情としては、80年代まで国是のように言われていた「非核三原則」に当然反しており、現在も公式の場で議論することは微妙な問題が含まれている。
トランプ大統領は、大統領候補時代の2年前の2016年3月26日、ニューヨーク・タイムスとのインタビューの中で「日韓の核保有」容認や、「在日米軍撤退」などを示唆する発言をしていた。北朝鮮や中国、ロシアなどと軍事バランスのため「日本は核武装するべき」という内容の発言。これは彼が政治家出身でなく「素人」であったが故の発言であって、現在の米国の国際戦略での立場では「日韓の核保有」は、これらの同盟国が米国の「核の傘」からはずれることを意味し、米国の安保上の価値の低下を招くことになるため容認する立場ではない。
つまり、北朝鮮が②のカテゴリーに入ることは38度線で対峙している韓国、中距離ミサイルで全土を射程圏内に攻撃可能にいずれなってしまう日本の立場では断じて容認できない。
6月8日~9日にカナダで開かれるG7で、トランプ大統領が「米朝首脳会談」を前に、北朝鮮の非核化に向けた方針を説明し、具体的な措置とその後の対応について日米や欧州諸国が共通認識をつくる場となるもよう。
引用:「日本の死活問題」(Good Books)
http://thefact.jp/2016/1595/
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A0%B8%E5%85%B5%E5%99%A8%E3%81%AE%E6%AD%B4%E5%8F%B2