■「こんなアメリカに誰がした」
ドキュメンタリー映画「ボウリング・フォー・コロンバイン」
(2002年米国)マイケル・ムーア監督
4年前トランプ大統領誕生を予言した人物にマイケル・ムーア監督が挙げられるが、ドキュメンタリー作品で、2002年に彼が製作した「ボウリング・フォー・コロンバイン」(Bowling for Columbine)という映画はカンヌ映画祭などで55周年記念特別賞を受賞するなど、米国人ムーア監督の米国社会への洞察が非常に印象的な作品。
この映画は1999年4月20日に発生したコロンバイン高校銃乱射事件についてムーア監督の独自の手法であるアポなし突撃取材などが用いられた正真正銘の「ドキュメンタリー映画」だった。
日本公開は2003年1月25日で、映画のキャッチフレーズは「こんなアメリカに誰がした」
ムーア監督はこの映画の中で、「カナダはアメリカ以上に銃の普及率が高いのに、銃犯罪の発生率が低いのはなぜなのか」言い換えれば「なぜアメリカではアメリカ以上に銃の普及率が高いカナダに比べて銃犯罪が多いのか」という核心に迫る疑問に対して彼自身の結論を述べている。
ムーア監督が指摘したのは、アメリカ建国の経緯に大きくまつわる先住民族インディアンの迫害・黒人奴隷強制使役以来、アメリカ国民の大勢を占める白人が彼らからの復讐を未来永劫恐れ続ける一種の狂気の連鎖が銃社会容認の根源にあるという洞察である。
マイケル・ムーア監督
■銃乱射事件が度々起こるアメリカ社会
「コロンバイン高校銃乱射事件」が発生したのはアメリカ合衆国コロラド州ジェファーソン郡コロンバイン(Columbine)のジェファーソン郡立コロンバイン高等学校で1999年4月20日に発生。英語名は「コロンバイン高校の虐殺(Columbine High School massacre)」という呼び方らしい。
同校の生徒だったエリック・ハリス(Eric David Harris)とディラン・クレボルド(Dylan Bennet Klebold)の2名が銃を乱射し、12名の生徒と1名の教師を射殺、重軽傷者は24名。犯人二人は事件直後に自殺。
米国の学校における銃乱射事件としては、犠牲者数において1966年に起きた「テキサスタワー乱射事件」(死亡者15名、負傷者33名)に次いで大規模なものであったそうだ。
事件が起こった直接の背景としてコロンバイン高校の中の犯人の高校生と犠牲となった生徒らの間のいじめの問題など、事件の背景については詳細がWIKIにあるので、それに関してはここでは省略。
その後2007年4月16日に「バージニア工科大学銃乱射事件」が発生し、事件当時はコロンバイン抜いて史上最多の33名が死亡。これは2020年現在でも、史上3番目の犠牲者数なのだそうだ。
米国史上最多の犠牲者を出した銃乱射事件は、「2017年ラスベガス銃乱射事件」(2017 Las Vegas shooting)で、2017年10月1日にネバダ州ラスベガスで容疑者が無差別に銃を乱射し、58人を殺害、546人負傷という事件が記憶に新しいのではないだろうか。
■突撃インタビュー映画「Bowling for Columbine」の内容
映画の中で、ムーア監督はコロンバイン高校銃乱射事件の被害者、犯人が心酔していたハードロック歌手のマリリン・マンソン、全米ライフル協会(NRA)会長(当時)の映画俳優のチャールトン・ヘストンや、ストップモーションアニメ「サウスパーク」の制作者マット・ストーン、コロンバイン市民らなど様々な人々のインタビューを行っている。
この映画がカンヌ映画祭などで高い評価を得るなど、人々の心に強いインパクトを与えたのは、ムーア監督が「米国で銃乱射事件が多いのはそもそも何故なのか」という核心的なテーマに迫っており、米国の根源的な病巣を取り上げている点でドキュメンタリー映画として優れていたのだ。
その手前にある、そもそも何故、警察官でもない一般の市民が銃の所持を認められるのかということで他の国々をみてみることに。
■市民の銃の所持が許されている国
アルバニア、オーストリア、チャド、コンゴ共和国、ホンジュラス、ミクロネシア、ナミビア、ナイジェリア、パキスタン、フィリピン、セネガル、南アフリカ、スイス、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、タンザニア、米国、イエメン、ザンビア、カナダやチェコ共和国など。
傭兵の歴史を持つスイスでは、国民皆兵を国是としており、徴兵制度を採用しており、武装中立と国民皆兵制(徴兵制)を国防の基本に据えているそうなのだ。
EU諸国には強い狩り文化がある国があって、スウェーデでも国民の3分の1が銃を所有しているそうなのだが、銃を所有するには筆記試験と射撃試験に合格し、銃クラブに入会しなければならず、過去に飲酒運転の経歴があると許可が下りないそうだ。そしてスウェーデンでは殆どの会社は勤務中、銃を金庫に預けるよう求めてくるそうだ。
ヨーロッパのこれらの国々で銃の乱射事件発生することは米国に比べれば稀で、一方米国では4人以上が撃たれる銃乱射事件が1日ほぼ1件発生しているらしい。
なぜ、米国では銃による事件が多発するのかと、考えてみると、他のヨーロッパなどの国々は米国ほど多民族国家ではないという違いがある。
■多民族、多人種国家アメリカ
近年の米国の人口構成比は(2014年現在で)、白人が62.2%、ヒスパニックが12.4%、黒人が12.4%、アジア系が5.2%、その他が2.9%なのだそうだ。
統計ではこのままだと、今後この構成比は2060年頃には白人が43.6%と半分以下になり、ヒスパニックが28.6%、黒人が13%、アジア系が9.1%、その他が5.7%などと予想されている。
■カナダとの比較
カナダでは、先住民族以外のエスニック集団で「コーカソイド系白人人種以外の人々」 のことを「ヴィジブル・マイノリティ (visible minorities)」と呼ぶそうで、古いデータであるが、2001年の国勢調査では、400 万人 (全国民の 13%)、が自らをヴィジヴル・マイノリティであると同定している (1981 年の時点では 5%にすぎなかった)
カナダの人口は2011年国勢調査によると、ヨーロッパ系白人が76.7%、黒人2.9%、先住民4.3%、中南米系やアジア系などを含むその他が16.2%。その他の内訳は東アジア系(4.8%)、南アジア系(4.8%)、東南アジア系(2.8%)、西アジア・アラブ系(1.8%)、ラテンアメリカ系(1.2%)、混血(0.5%)、その他(0.3%)となっている。
2019年現在でカナダの人口は3759万人、中国系と南アジア系はそれぞれ 100 万人(それぞれ2%)、662000人の黒人人口は1.7%に過ぎない。
因みにカナダ政府が認定したヴィジヴル・マイノリテ ィには、フィリピン系、アラブ系、南アメリカ系、東南アジア系、韓国系と日系で合計で 120 万人なのだそうだ。
近年、カナダ政府はヴィジヴル・マイノリティに注目しており、その理由としてカナダで 先住民族と非白人系国民への人種主義にもとづく差別が強まっていることが指摘されているそうだ。
■全米ライフル協会(NRA)
日本人の感覚では少し想像しづらい部分なのであるが、ムーア監督が指摘しているように、米国の人々の潜在意識にある人種の異なる人々への潜在的な恐怖によって、米国人は常に個人的に武装しているということ。
米国ではそもそも「銃を所持することは権利」という考え方が根本であり、会員数500万人といわれる「全米ライフル協会」NRAという団体は銃規制に真っ向から反対し、大統領選挙などでも政治力を発揮している団体らしい。
コロンバイン高校の近くにはロッキード・マーティン社のミサイル工場があり、同校の生徒の両親の多くもこのミサイル工場で働いている。事件当日は偶然、コソボ紛争にて米軍がNATO軍とともにコソボへ最大の爆撃を行った日でもあり、当時の大統領、ビル・クリントンは爆撃作戦の成功を伝える会見を開いたわずか1時間後に銃乱射事件について「痛ましい事件が起こった」と会見を開いたのだそうだ。
その一方でこの事件から10日後、皮肉にも全米ライフル協会は、近くのコロラド州デンバーで、銃所持の権利を主張する集会を(以前から予定していた通りに)開いている。
余談であるが、作品中でムーアは、事件の被害者を伴ってアメリカ第2の大手スーパーマーケット・チェーンストアであるKマートの本社を訪れ、交渉の末全ての店舗で銃弾の販売をやめさせることに成功したのだそうだ。
■米国で非白人がマスクを着けたがらなかった理由
新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めをかけるため、米疾病対策センター(CDC)は現在、全ての米国民に対し、公の場でのマスク着用や布製品などで鼻や口を覆う対策の実施を呼びかけていたものの当初、アフリカ系や中南米系などの非白人層からは、こうした勧告への抵抗感を示す声も上がっていたのだそうだ。
米国社会において非白人が顔を覆っていると、犯罪に関連するイメージを持たれやすいというのがその理由だそうだ。
オハイオ州立大学で経済学を研究するトレボン・ローガン教授はCNNの取材に答え、CDCの指針に従うつもりはないと明言。「ただでさえ、黒人であるというだけで犯罪にかかわっているのではないかと思われてしまうケースは枚挙にいとまがない」と指摘した上で、CDCの勧告通りマスクや布製品で顔を覆えば犯罪者のように見られるのは避けられず、とりわけ黒人の場合はそうなるとの認識を示した。
そして新型コロナウイルスの健康への影響が、アメリカでは特に黒人に偏って多いことが統計から明らかになっている。
米政府の公衆医療政策のトップにあたるジェローム・アダムス公衆衛生長官(ご本人も黒人)は以下のように発表した。
米中西部イリノイ州シカゴでは、人口に占める黒人の割合は約30%だが、新型ウイルスによる死者では70%超にもなっている。
黒人住民の比率が高いデトロイトやミルウォーキー、ニューオーリンズ、ニューヨークなどの他州の主要都市でも、新型ウイルスの急激な感染拡大が発生している。
■大気汚染と感染症死亡率の相関性
ハーヴァード大学公衆衛生大学院の研究員によって4月に全米3000郡それぞれの新型コロナウイルス感染症による死亡率と、大気汚染レヴェルを照合する調査が実施された。
そこで明らかになったのは、PM2.5などの汚染物質の大気中濃度と、新型コロナウイルス感染症による死亡率に関連性が見られたことだそうだ。
所得や既往症といったほかの要因の影響を除外しても、結果は同じで、調査報告書には、黒人が多く住む郡は一様に新型コロナウイルス感染症による死亡率が高いことが指摘されていた。
アフリカ系アメリカ人はほかの人種グループに比べ大気中のPM2の濃度が高い郡に多く住んでいたのだ。
この事実も「米国の黒人は新型コロナウイルス感染症による死亡リスクがほかの人種より高いという、以前から報告されている観察結果と符合する」と、報告書は伝えていたそうだ。
このように、新型コロナウイルスのパンデミックによって、米国での人種間の格差が浮き彫りになってしまったのだ。
■黒人社会の怒りが爆発
そして、現在、米国では深刻な人種間の格差や、根強い差別に対する不満が、ミネソタ州ミネアポリス(Minneapolis)で先月、黒人男性のジョージ・フロイド(George Floyd)さんが警察の拘束下で死亡するという 「黒人フロイドさん事件」を契機に、とうとう爆発し、深刻な人種間対立が顕在化した。
火に油を注ぐかのように、12日にはアトランタ州でまたも警官が黒人男性を射殺する事件も発生している。飲酒運転の疑いがあるとして黒人男性を拘束しようとしたところ、容疑者が警官のスタンガンを奪って逃亡し振り返ったため、警官が2発発砲し、死なせてしまうという事件である。
容疑者を逮捕するのに、警官が安易に拳銃を発砲したり、過剰に喉元を抑えつけるのは、(相手も銃を所持しているかもしれない)返り討ちに合うかも、というヒステリーのような恐怖心理が根底にあるのではないだろうか。
相手が白人であったならばこのような逮捕の仕方はしなかったはずでもあり、人種差別意識と、潜在的な人種間の憎悪感情(恐怖反応)が米国社会では非常に根深いということなのだ。
映画「風と共に去りぬ」までがやり玉にあがってしまったそうで、この映画は南北戦争当時の米国社会を非常によく描いている歴史的名作品なのであるが・・
映画が差別を助長するわけでもないし、あそこで描かれている黒人の乳母マミーなどはヒロインにとって決して奴隷ではなく、子供のころから家族のように寄り添う善良で律儀な身近にいる人物として描かれており、そのような人物設定が「美化されている」という批判もあろうが、原作でもその通り描かれていた。
何よりも映画作品としての映像が大変素晴らしく、ヒロインの生き方などは逞しく新しい女性像を描いており、「南北戦争」(黒人解放)を経て今日の米国があるわけで、何よりも米国の歴史の一幕を描いているのであって、歴史とはそうしたもののはずなのだ。
過去は過去としてみつめるべきで、映画で描かれている160年も前の時代を今の時代を基準にして批判するのは馬鹿げている。例えば細かいところで、メラニーの出産の場面で若い黒人娘をスカーレットが叩いて叱る場面など不適切な描写があるならば、そこを編集してカットすればよいし、歴史的な作品としての価値は変わらないと思う。
大河ドラマなどで、士農工商の身分制度があった江戸時代、将軍家の茶壷に庶民がひれ伏す姿をみて「パワハラ」だの「身分差別」だのという人もいないでしょうに。そのような時代やいくつもの時代の紆余曲折を経て、今の日本があるように。
おまけ
■抗うつ薬の副作用としての攻撃性
銃の発砲事件が多発するもうひとつの背景として付け足しておくと、抗うつ薬の副作用で起こる攻撃性の問題も実は指摘されている。
コロンバイン事件の犯人のエリックの遺体を検死したところ、体内から抗うつ薬のフルボキサミン(製品名「ルボックス」)の成分が大量に検出されたそうで、このフルボキサミンをはじめとする抗うつ薬 (SSRI) は、24 歳以下の若年者が服用した場合に攻撃性や衝動性を増長するという副作用が報告されていたため、事件との関連が疑われたのだそうだ。
事件当時18歳であったエリックは精神科医からルボックスを処方されており、大量服用してたことが明らかになったため、事件後に被害者遺族らがルボックスの販売会社(ソルベイ社)を告訴したものの、ルボックスの服用と事件との因果関係は証明されなかった。
但し米国内では裁判を通じてルボックスに対する風当たりが強くなり、売り上げも激減し、2002 年より販売中止となったが、数年後販売が再開された。
日本においても2001年6月8日に大阪教育大学附属池田小事件の犯人の宅間守(事件当時37歳)が 抗うつ薬のSSRI を服用していたことが報道されている。
引用:
親子三代の黒人奴隷の物語『ROOTS』では苦難の歴史ですが、もともとアフリカ系黒人は日本人と同じように大人しいので、強制的に連れてこられても主人に従順的です。現在はその黒人にも白人の血が流れている人がほとんどでしょうから複雑ですね。
やはり映画『風と共に去りぬ』まで影響を受けるのはやり過ぎです。
米国の暗部を事件はさらけ出しましたが、米国では黒人ヘイトや銃による殺人事件は日常的ですから、今回の場合は選挙がらみのプロパガンダの匂いがします。白人には黒人への恐怖心が拭えず、黒人には貧困とともに虐げられている意識から憎しみや恨みが爆発するのを利用されたのでしょう。
人種への配慮か作品への共感を得させるためなのか米国のドラマの配役をみると必ず白人、ヒスパニッシュ、黒人、アジア人など多様な人種が使用されているのに気づかされます。
憎悪は往々にして恐怖の裏返しでもありますが、潜在的な憎悪があることで、相手を潜在的に排除しにかかっているということのようですね。更に負の連鎖になってしまいそうですね。ポリティカルコレクションというのは、むしろ白々しいだけで、その時代の現実を描こうとすると、「風と共に去りぬ」や「ジャイアンツ」のようになるわけでしょうか。ジャイアンツではヒスパニックへの差別が描かれていましたね。あの映画のラストの方で、主人公は自分の中にもある差別意識を相手への怒りに変えて「NO」という意思を示していました。今の白人は差別を「NO」という余裕が実はなくなりつつあるようです。「今回は選挙がらみ」ということですが、大統領の支持を固めるために暴動をむしろある程度容認してやらせているということでしょうか。複雑ですね。
私が注目したのは、白人警察官に拘束され死亡した黒人男性の弟が略奪デモを続ける人々に対して、暴力では解決しないので暴力は辞めて平和にお願いしたい。デモでは変わらないから立候補予定者についてよく勉強して投票するんだと訴えました。心に響きましたね。殺された兄の情報は知りませんが弟はバランスのとれた人物と思います。
配信映像を見るとバイデンの少女への触れ方が異常で人格的には危ない感じがします。
今回の黒人ヘイト殺人事件に対するデモ活動は、人種差別反対、銃規制を主張するバイデンの支持上昇を勢いづけているものと思います。黒人有権者の8割がバイデン氏支持とされ、有権者全体としてもトランプ支持を1割以上引き離しているようです。
また、バイデンは中国寄りと言われるものの、人権、環境の観点からするとウイグル弾圧に関して中国への非難が相当強くなると思います。
一方、今回の事件に関するトランプの強い姿勢はトランプ支持のコア層を固め、また自らを守るための銃が必要とする勢力の支持を得ることでしょう。
トランプは破天荒ではあるもののタカ派のスティーブン・バノンの危機意識に沿った対中政策を実施しており、バイデンも対中政策については同様と思われます。
とにかく、日本は共産国家の配下にならないように、米、英、豪、印などとタッグを組んで行きたいですね。
泉城さんがS・バノン氏のトランプ大統領への影響をコメントされていたので、彼の来歴をwikiで読んできました。トランプ大統領からは現在は距離をおかれてしまっているようですが、確かに今の米国政府に多大な影響を与えたことは事実ですね。TPP離脱や、対北朝鮮、対中国(特に「中国脅威論」などアジアについてのトランプ政権の方向性など。
バノン氏は海軍時代に横須賀にいたことや、ビジネスで香港に3年もいたことなどが大きいように思います。バノン氏は(リップサービスかもしれませんが)安倍総理の個人的なファンだとも言っておられるとか。
したがって、バノンは、既得権者であるエリートたちに対しては批判的であり、米政権を担ってきた共和党の上層部とは意見が合わないために離脱して、政府の外部からトランプ支援にまわったということでしょう。
バノンとトランプは、中国の台頭を許した既得権者が米国をダメにしたと考えており、アンチ・エスタブリッシュメントの点で考えが一致しています。バノンは、労働者・中間層を守る米国第一主義・ナショナリズムを掲げるトランプを支持するのだと思います。
日本のメディアも世界の国々と同じように全体に左翼にシフトしていますので強行な保守派は存在せず、安倍総理も保守派といわれるものの民主的な自由主義者(リベラル)ではないでしょうか。日本ではバノンの考えに安倍総理は近い方でしょう。
実は私も学生時代はずいぶん左巻きでサ-クル連合の執行部で活動していましたからバノンには共感するところがあります。今は、左翼が自称するえせ・リベラルに対して中華思想や共産主義に徹底して反対する本当の意味でのリベラルと思っています。
米国のメディアもご多分に漏れず、CNN始めNewYork Times、WallStreetJournalなど中国寄りに偏向する左翼メディアばかりになっています。今回、黒人差別問題だけを取り上げる米国のメディアは、進行中のウイグルやチベットの弾圧から目をそらすかのように騒ぎ立てており裏で中国がうごめいているように感じます。
これまで人権に消極的であったトランプは、昨日、中国の当局者に制裁を科すようウイグル人権法案に署名しました。覇権主義国家の中国には受けて立つばかりでは全くこたえません。あらゆる手段でつけ込んできますので、強く攻め立てなければならないと思います。なんとかメディアや国連などニュートラルに戻ってほしいです。
日本のメディアが左よりなのは米国が戦後日本にプレスコードを敷いた影響もあったのでしょう。いくつか前のブログでご紹介した海外の方々の日本評の言葉で、米国外交官ジョージ・ケナン氏が日米戦争(太平洋戦争)の帰結として「(米国は)中国 や朝鮮半島における日本の存在を駆逐したが、結局我々は日本が直面し、かつ担ってきた問題と責任を引き継ぐことになった」「戦争をする相手を米国は間違えた」という旨の発言をしていたそうです。
米国が太平洋戦争や戦後の日本支配で倒したのは結局のところ日本の国粋主義、ナショナリズムのようなものだったし、日本人はとても謙虚な民族なので、太平洋戦争の経験が骨の髄まで浸み込んでしまって「2度と武器をもって他の国と戦うのはやめよう、戦うくらいなら、侵略してくるアジアの他の国(主に中国や韓国など)を日本に受け入れて同化しよう」と思っているような感じすらします。
コロナ前の状況が事実上そうでした。東京のコンビニ店員は中国人(留学生?)ばかりという状況で、霞が関の官僚になりたがるのも優秀な生粋の日本人の子弟ではなく、日本語を完璧に話せる中国系帰化系日本人子弟のように思います。
京都など多くの観光地も日本人より外国人(主に中国人韓国人)ばかりでした。
憲法改正に反対している人々というの究極のところ「戦うくらいなら・・」と思っている人々でしょう。危機感なんてもっていないようですから、今後50年間に日本はこのままでいくと中国にのみこまれていまいそうですね。
今の日本の大メディアを支配しているのも中国系、朝鮮系でしょうから、日常的に「(究極は)アジアと同化すべき日本」という潜在的にプロパガンダがあるようです。だからウイグル問題やチベット問題はほぼスルーですね。
根底でアジアに親しみを感じている人々の米国への批判もわからなくはないですが。パレスチナでの偏った外交政策は、米国の支配層に「ユダヤ人」が影響力をっもっているせいだし、(バノンは「ユダヤ人(クシュナー)」によってトランプ政権から追い出されたようですね)それを、おかしいと思っている人々は結構日本の知識層の中に多いと思います。
1%の富裕層が75%の国富を独占している米国の「自由主義」に疑問を感じるのは米国の中にいる人々ばかりではないでしょうし。黒人やヒスパニックに限らず「中間層から脱落した白人」なども麻薬や様々な薬物が蔓延していると聞きます。抗うつ剤なども実のところ合法的なドラッグだと私などは思っています。
ハーバード大ですら薬物汚染がひどいと聞きます。日本の大学生が米国に行かなくなったのも、拳銃社会であること、薬物汚染がひどいことなども原因でしょう。米国のそういう状況への危機感で米国民はトランプ政権を選んだのでしょうし、米国が健全な国に戻ってくれないと困りますね。
泉城さんが「昔は左巻だった」というのは意外ですが、ブログにあったインドにご旅行されておられた若いころのお写真などからなんとなく伝わってきます。
どんな状況でも文化を無視して強制するといい結果を生まないように思います。
ただ、その内容は「報道は絶対に真実に即すること」「公安を害するようなものを掲載してはならない」「筆者の意見は一切加えてはならない」「細目を省略するなどにより内容を歪曲してはならない」など、現代の報道にもぜひ守って欲しいことが記されています。
その一方で米国を批判することを極端に恐れて「連合国への批判」「朝鮮人への批判」「中国への批判」や「ナショナリズムの宣伝」を禁じたところに誤りがあると思います。
そして、現在は30の禁止項目の中で朝鮮人・中国への禁止は受け継がれ「虚偽の報道」の禁止については全く引き継がれていません。このように取捨選択をしているのは、やはり日本のメディアであり、その責任はメディア自体にあります。
GHQは、日本人の謙虚さの度合いを読み間違え、反米にならぬように日本人のナショナリズムをあまりにも強く制止すぎたのではないでしょうか。
その結果、確かにジョージ・ケナンが懸念したように、日本は共産主義者に乗っ取られた状態です。健全な民主的・自由主義が弱体化していますね。
日本では、米国のBLMばかりがプロパガンダされますが、香港において警察官が香港人の首根っこを膝で床にぐいぐい押しつけ弾圧している映像は報道されません。かたや黒人差別、かたや香港人弾圧で、報道される、されないの違いに中華料理の匂いがプンプンします。
トランプの信条はよくわからないところです。トランプ陣営は選挙手法として自らアンチ・エスタブリッシュメントと称して、クリントンやオバマと対比させて、既存体制から脱却したい不満層を旨く支持者に取り込んだのですね。公約を着実にこなしている点は注目され、今後景気回復につれてトランプの支持率は高まると思います。