美と知

 美術・教育・成長するということを考える
( by HIGASHIURA Tetsuya )

田中忠雄

2006年10月04日 | 勤務校所蔵美術作品紹介

「弟子の足を洗う」80号P(1957年)

田中忠雄は1903年北海道札幌市に牧師の息子として生まれました。11歳の時神戸に移住し、神戸第二中学校(現兵庫高校)在学中に、小磯良平と出会い絵を始めたとされます。当時、神戸の原田の森の関西学院の建物等をよく描いていたといわれます。京都高等工芸学校卒業後、上京し、前田寛治写実研究所に学び、1930年協会、二科展などに出品。1930-32渡仏。1945年行動美術協会創立会員として作品を発表。1969-74武蔵野美術大学教授。聖書の主題にテーマを求め作品を数多く生み出していきました。1995年没。

学院には本作品以外にも、中学部に「空の鳥を見よ」、社会学部に「よきサマリア人」、商学部に「クレネシモンの行い」などの所蔵作品があります。


「弟子の足を洗う」は、主イエスが弟子の足を洗うという、洗足の場面です。
この洗足は、イエスが十字架にかけられる直前の最後の晩餐の席で行われたものです。
イエスは、自身がこの世を去る時、最後まで弟子達を愛したということが、聖書のヨハネによる福音書に示されています。
これが最後の晩餐と走らない弟子たち。
普段と変わらない夕食の席で、イエスが弟子達の足を洗いました。
ひとりまたひとりと、順番に弟子達すべての足を洗います。
足を洗うという行為は当時最も身分の低い奴隷のする行為でした。
その僕(しもべ)の姿となったイエスは、そのことによって神様の愛を現しておられるのでしょうか。
神様によって罪を洗い清められた私達は、綺麗に洗われたこの足で道をまっすぐに、歩んでいかなければならない・・・・
田中忠雄氏の深い信仰に導かれた作品は、静かに、でも力強く、私たちに語りかけてくれます。


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