花楸樹つづり

漫画の感想、日々の出来事など。
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D.Gray-man 第193夜「friend」

2010-04-07 21:13:16 | D.Gray-man
アルマの目覚めは次回へ持ち越しのようです。
Dグレ193夜感想、ネタバレ注意!







―真っ暗
―なんて心地いい、闇…



闇に一条の光。


「見たいなぁ」


いつか見た蓮畑。


「一面に咲きほこってるところ」


今は、咲いていない。


「いつかふたりで、一緒に見ることができたら…」
「ホントに? おじいさんとおばあさんになっちゃってもよ?」



あの人の、眩しい笑顔。


「…待ってるね。ずっと、待ってる…」




ついにあの人の顔が。
ついでにユウの本体の顔(の一部)も。

純な笑顔が可愛い。
てかユウ本体は東洋系じゃなさそうだな…。いや、これだけじゃまだわからないけど。



苦痛が戻ってきた。
目を覚ましてしまった。


―どうして。どうして起き上がる。

―顔も朧げで名も判らない。思い出せない。
―俺の記憶はもう壊れてる。

―なのに、どうして


ユウ「どうして…っ、会いたい気持ちが捨てられねぇんだよ」



その叫びに応えるように、保管室にあるイノセンスの1体が光を放つ。
そしてユウの元に、いびつな柄を持つ刀が現れる。


ユウ(イノセンス!)


皮肉な運命。


ユウ(クソが…! なんでここで出てくる!!)

―これがあれば助かる。

ユウ(こんな物の適合者だった為に、俺は…)

―「あの人」に会いたい。

ユウ(もう嫌だ!!




周りに誰もいないところを見ると、一度目を閉じてからしばらく時間が経っているようです。

記憶が壊れてても「あの人」への想いが強く残ってるのはやっぱ、最期に想ったのがあの人のことだったからかなぁ…。
いやまあ単純にそれだけ強い想いだったってのもあるんだろうけど。



封印を力ずくで破り、扉を破壊したユウ。
とんだバカだと自嘲しながら、イノセンスの刀を担いでいる。


―どうするこれから。
―研究所(ここ)の奴ら全員、殺してやろうか。



そんなことを考えながら、ふと聞こえてきた機械音に振り返ると、見覚えのあるエクソシストが寝かされていた。マリだった。
彼も計画の実験体にされようとしているのではないかと気づくユウ。

その時、ユウの手から落ちた血がマリの頭部の傷に入り込み、彼の体に変化を起こす。なんと傷が塞がり、意識も戻ったのだ。
驚愕するユウ。




Σ(゜Д゜;)
ユウの血は傷薬にもなるんかい。
治る瞬間にちょっとだけ梵字が浮き出てるな…。
これだけのことをやっていた教団だ、ユウに対し負い目があろうとも、こんな効力を持つ血を利用しないはずはない。
教団がこのことを知らないか、あるいは何らかの理由で効力が失われたか、はたまたリスクが高すぎて使えないか。効力の発動条件が厳しすぎて使えないってパターンもあるな。



マリ「その…すまないな坊や。これくらいのケガ…、聖人ノ詩篇(イノセンス)を外されてなければ自分の体くらい運べるんだが」


マリも連れて行くことにしたユウは、回復しきっていない彼を引きずりながら通気孔の中を這って進んでいた。
ユウはまだ小さく、マリとはかなりの体格差がある。
その力に感心するマリだったが、ユウは「ワケありの体でな」と流す。


ユウ「あと俺を坊やって呼ぶのヤメロ」
マリ「じゃあ何て呼べばいい? 私はマリだ」



「ユウ」と名乗ることに複雑な思いを抱き、黙り込むユウ。




通気孔にネズミがいるー(*´∀`)ノ

神田が「ユウ」呼びを嫌がる理由はそれほど重いものじゃないだろうと思ってたんだけど、ここに来て名乗りを躊躇するところを見ると…やはり実験体としての名前に抵抗があるということなんだろうか。
というか、やっぱ「ユウ」は本体の名前ではなさそう。
本体の恋人であるあの人恋しさに封印を破って目覚めるぐらいだから、本体の名を拒むとも思えないので…。
そういえば「神田」はどっから来た名前なんだろう。



ユウ「……落ち着いてんだな、アンタ」
マリ「エクソシストの人造化のことか?全然…。怒りで気が変になりそうだ」



マリの手は小刻みに震えていた。


マリ「それでもなんとか正気でいるのは、キミの…おかげかな。キミがそばにいてくれてるからだよ。独りだったら、どうなってたかわからない」


アルマのことを思い浮かべるユウ。
最初は鬱陶しかった。
でも仲良くなって。
記憶を取り戻しかけて魘されて目が覚めた自分を、気遣ってくれて。
凍結されそうになった自分を逃そうとしてくれて。

アルマの笑顔が浮かぶ。


―アルマ…。


涙が滲む。


―あいつを連れて、ここから逃げよう。

―教団も戦争もどうでもいい。
―怒りも怨みも、全部飲み込んでやる。



通気孔を抜けて進むと、胎中室に着いた。


―あいつと一緒だったら


水槽から立ち上る白い靄の向こうに、アルマが見えた。




2巻冒頭で神田と揉めてたファインダーとか、サード(特にトクサ)とかがこの記憶見てたら何を思うんだろうな…。
彼らだったら、もし自分が適合者で、致命傷を負ったときに被験体にされたらどう思うんだろう。
それで敵を倒し世界を救えるならと、身をさしだすんだろうか。

アルマのこと思い浮かべたユウが落ち着いたことに、なんかホッとした。
以前マリが「あいつは私を救ってくれたのにな」って言ってたけど、今回のマリの言葉にユウも少しは救われてるんじゃないかな、と思ったり。…だといいな。

……直後に悲劇が待ってるけどさorz



アルマ「ユウ、無事だったんだね!」


涙を滲ませ、笑顔を見せるアルマ。
ユウも思わず笑顔になる。


ユウ「アル…」


だがふと気がつくと、アルマの周囲は赤で満ちていた。

仲間の眠っていた水槽から溢れた赤。
周囲に倒れた大勢の鴉や研究員達とその肉片、そして床を染める赤。
アルマの右腕の刃に貫かれたエドガー…赤。

彼らの返り血を浴びたアルマ…赤。


アルマ「ユウ、会えて嬉しいんだけど」


哀しく微笑むアルマ。


アルマ「ぼくキミを殺さなきゃ」




ああああああ…
orz
エドガー…。トゥイ…サーリンズ…。
その他大勢… ←待て;
こうなるのはわかってたけどさ…。

あ、そういえばレニーどうやって助かったんだろ。
支部の方にユウ封印終了の報告でもしに行ってたのかな?
あーいや、保管室の事件聞いて知らせに走ったのか。



攻撃してくるアルマに戸惑いながら、マリを背負ったまま必死で躱すユウ。


ユウ「アルマ!?」


ついに攻撃を食らったユウは階段からたたき落とされ、マリとイノセンスを落としてしまう。
なんとか左手でイノセンスを掴むが、右腕を切り落とされた。


アルマ「へぇ、ユウもイノセンスとシンクロしたんだ」


そのまま壁に叩きつけられたユウ。


マリ「坊や?」


目の見えないマリは状況を把握しきれず、激しい戦闘音とユウの悲鳴に戸惑っている。


ユウ「なんで…っ」




最後に見たのは「逃げて」って笑ってる姿だったもんな。
その後どうなったかなんて知らんもんな。
そりゃ戸惑うよな…。



アルマ「毎日毎日…」


階段を降りながら語るアルマ。


アルマ「ひとりで仲間が目覚めるのを待ちながらずっと思ってた。なんでみんな目覚めないのかなって」


自嘲の笑みを浮かべ、涙を零すアルマ。


アルマ「はっ…、目覚めるわけないよね。目覚めたいわけないよね~~」


赤く染まった水槽の主達はもう、目覚めることはない。


アルマ「あーあ、なのに毎日しゃべりかけちゃってさぁ。ぼくって超ウザかったろーなぁーー、ほら、ぼく声大きいしさ。話のネタがつきないように本とか読んじゃったりしてもーーうわーー」




アルマ…(つдT)



ユウ「おまえ…まさか、昔の記憶を…」


その言葉に応えるかのようにこちらを見下ろした顔は、別人のように荒んでいた。
衝撃を受けるユウ。


ユウ「だから殺したのか? エドガーも…、まさか研究所全員…?」


哀しげに顔を歪めるアルマ。


アルマ「とんだお笑い草だよね。これじゃまるで、AKUMA…」


自分を刺し貫くアルマ。


ユウ「アルマ!?」


思わず駆け寄ろうとするユウ。


アルマ「…止められなかった。何回破壊しても」

―怒りが

アルマ「体が再生してきて……っ」



泣きながら訴えるその間にも、傷はどんどん回復していく。
ユウの目にも涙が滲む。


―憎悪が

アルマ「止められないよユウっ!!」



そう叫んだ瞬間、アルマの刃がマリを壁に叩きつけて壁を破壊し、そのままユウごとアルマを貫いて串刺しにした。




アルマが最後に殺したり、ユウが唯一名前を挙げたりしてるあたり、エドガーは彼らにとって良くも悪くも一番近くにいた存在だったんだろうな…。

てかユウも封印破った後(ここの奴ら全員――)とか思ってたけど、怒りも怨みも飲み込んでやる、って決意したんだよな。そんなものはどうでもいいから、アルマ(とマリ)連れて逃げよう、って。
でもその直後にこんなことに…悲惨過ぎる。

こういう時、いくら傷ついても回復する体ってキツイなぁ…。
憎悪にかられて人を殺してしまったこと自体相当な苦痛だろうに…。



―悪くない。
―お前は何も悪くねェよアルマ…。

アルマ「ユウ……、キミならわかってくれるよね? 一緒に死のう」


―何故こうなった。


アルマ「ぼくらが生きてる限り、人間共は悔い改めない」


―みんな、世界を守りたいんだろ。


アルマ「聖戦に勝つ為、永劫奴らの道具にされ続けるんだ」


―好きな奴を



狂気を宿したその目からは、絶えず涙が流れている。


―守りたかっただけだろ。


アルマ「守るべきものはもう何もなくなった」




うん、アルマは悪くないよ…。

ユユユユウが教団フォロー!?Σ(゜Д゜;)
モノローグとはいえ意外なぐらい優しいフォロー…。

うん、そうなんだよな。
教団の行為は残酷で人道に悖りまくりで、被験者が憤るのも当然な所業なんだけど、では悪かというとそれも違う。
彼らには彼らの、研究にかける思いがあった。
それがどれだけ人を踏みにじる行為であっても、そのために自分や他人が汚れ傷ついても、そうせずにいられない思いが。

そんでもやっぱ、勝手に被験者にされた者からすりゃフザけた話けどね。

世界を救いたくて、誰かを守りたくて。
願いそのものはそういう純粋な思いからくるものだったはずなのに、その願いが倫理の壁を破って残酷な犠牲を生み、願いと犠牲が絡み合い縺れ合い、さらなる悲劇を呼ぶ。

起きてしまったことは、もう元には戻せない。
教団の非道な行いも、アルマとユウの受けたあらゆる苦痛も、研究所の人間の死も、なかったことにはできない。
ホント、「何故こうなった」んだろうな…。



仰向けに倒れたまま呆然としていたユウの目に、突如蓮の花の幻が飛び込んできた。
目を見開くユウ。

あの人の笑顔が浮かぶ。


目をぎゅっと瞑り、歯を食いしばるユウ。


アルマ「一緒に…」


一閃。


アルマ「ユウ……?」


ユウはそのイノセンスで、アルマの体を両断した。


―アルマ

ユウ「ごめん…、俺は生きたい」

―俺の

ユウ「お前を破壊してでも……!

―たったひとりの……。






ユウは唯一の友を、動かなくなるまで斬り続けた。




ああ…

これは確かに「あの人をみつけるまで、死ぬわけにはいかない」な。
あの人に会うためにたったひとりの友を斬ったんだもの。



これで過去編はほぼ終了かな?
アルマとユウはむごいな…。
アルマが起きたら本当にどうなるんだろう。
イノセンスはさすがに隔離してるだろうから9年前みたいなことにはならんとしても、ノア達がメモリーの転生先を自在に決められるとしたら、アルマが怒のノアになることもあり得る。
今の状況で彼が戦闘可能になったら、何が起きるかは想像に難くない。
そしておそらく、神田とも再び戦うことになるだろう。

どんなことになったとしても、アルマに(神田にも)何かしらの救いがあるといいな…。
哀れなアルマに魂の救済を(T人T)



追記(4月9日・金):
よくよく考えたら、アルマはサードの第一母胎なんでしたっけ。
アクマの卵の欠片を移植されてる訳だから、目覚めた後の変化はやっぱ不確定か…。

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