えーと。
なんだかいろいろ忘れてました。
とにかく杖を鍛えるったら鍛えるのです!!
蓮さんが持久ランカーになっててびっくりした!5位だって!すごーい!!
・・・あ、あんまし見た目はゴッツく見えないんだけど・・・
根性とかガッツとかそんなカンジ?なんでしょうか。
それから。
投票「イエロー」に一票入れてくださった方、ありがとうございました。
PMなのかもしれないけどよくわからないです。
コメント口調がそのまんまわたしの口調でドキドキです。
愛?
あ、わたしはカレーのおにーさんに一票入れました。
珍しくじっちゃんが電話かけてきてね、その人に入れてくれって言ってた!
昔、じっちゃんもカレーコミュに入ってたんだって!
どーでもいいはなしなんですが、
前回投票からの色シリーズの1位のかたを集めて戦隊をつくると、
今んとこ女性にかたよってると思います。
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一方その頃、どっかの異世界で。
『world fabrication、あるいは宝積寺敦士の日記』
今日は外仕事。といっても地上ではなく『隔壁の外』という意味で。新設されるE’区域のシェルター拡張工事の現場で、鉱物サンプル採取。
久々に広い空間を見た。
光源が足りないと、こんなにも暗いものだったのか。
工事現場にWSTVの取材が来ていた。
一向に好転しない外交情勢の打開のために、積極的に情報公開していこうという上の方針なのだろうか?とも思ったが、
取材バスがGランクだったのでそれは無いようだ。
課長はこっちへの取材も応じてたが、食料プラント等の当たり障りの無い内容だけで終わらせたようである。
当然、先日偵察衛星に捕捉されちまって衛星会議で話題を独占している地上緑化プロジェクトについても質問してきたが、課長は
「担当は自分たちではないので詳細はわかりません」
と、大嘘ついてスルーしていた。
当然の対応。
デスクに戻って日報を書こうとしたら、
私の席に突っ伏して寝ている奴がいた。その私服に見覚えはなかったが、後ろ頭だけで誰なのか解った。
即、ファイルケースでたたき起こした。
同期のバルド。
元々は保安部員だったが、特殊能力を買われて製品開発部に転属したというおかしな経歴の男。
現在は私の故郷にあるラボに飛ばされているのだが、珍しく帰ってきたようだ。
バルドをどかしつつ用件を問うと
「呑みに行こう」
スルーした。
「息子さんから手紙預かってきましたけど~?」
スルーできなかった。
明日も仕事だし金欠なので軽く、という約束で駅前へ向かうことに。
私服に着替え、ロックを外してセキュリティ区画から出ると、活気も色もない路地と愛想のない天井が続く。
ぼんやりとどこか遠くから(たぶん駅前から)、覇気の薄い人権活動家の演説とまばらな拍手が、何重にも反射しながら聞こえてくる。
どれも、いつものことだ。ほかにやるこたぁないのか。
・・・無いんだろう。難民として受け入れた人々は特にそうらしい。
バルドは駅近くの安酒屋で、かなりの量のフリークーポンを使って、個室を取ろうとした。
他に客が多いわけでもないので、止めさせようとしたが
「支給されるのはいいが、滅多に帰れないんでかなり貯まってる。帰った時にはパーっと使うことにしてるんで気にしないでくれ。ちょっと話し込みそうな気もするし」
同期とはいえ年下に奢ってもらうのは気が引けるが、本気で手持ちの少なかった俺は従うことにした。
迅士の手紙とやらは気になるが、どうもなかなか出そうとしない。
「待ってる家族がいるとか、いいっすよねぇ~」
などと、ラムコークをちびちびやりながらのらりくらりとしている。
何が話したいんだか。
お前だってちょいと前に扶養家族拾ってきただろが。あんまり無駄遣いしないほうがいいんじゃないか?
「ダニーは今んとこは寮生活だしな。確かに、俺には負担が少ないんで助かってる」
コピーワイン(間違いなく安物)を、息を止めつつ一気に空けてから、軽く説教してみる。
いいかげん長期的な将来のこととか考えたほうがいいとか、
そんなに一家団欒とか生涯の伴侶とかが欲しかったら、とっととおまえんとこの上司・・・ドナだっけ?でも口説けとか。
何故か、バルドは驚いた顔をした。
「…1つ訊く手間が省けた、オッケー」
何の話だかさっぱり判らんぞ、と問い詰めたが、パスタの大皿が届いたので一旦話は途切れた。
ウェイトレスが去り、味の薄いトマトのパスタを取り分けながら、先にバルドに口を開かれてしまった。
「ところで、そっちのプロジェクトの調子はどうよ?」表情から察するに、本題はこれのようだ。
私が環境課のDレベルプロジェクトのセキュリティに就いてることは、バルドも知っている筈。
パスタに粉チーズをかけながら
「守秘義務という言葉を辞書で引け」
と言ってやった。
「知ってる」
そう言ってバルドは、ジャケットのポケットから黒いライターのようなものを取り出して私の目の前に示し、すぐまたポケットへしまった。
保安部情報課でしか支給されない筈の、盗聴対策用のジャマー。
それがあれば、街頭の防犯カメラにすらログを取られないというスグレモノだ。
が、そもそも開発部の研究員が持っていていいものではない。
白い目で見てやる。
「あれ、誤解されてる?いや俺、ちゃんと今も保安部に籍あるし、変なことは何もしてないっすよ?」
はあ?
「だいたい、保安部に籍なかったら、保安部内のあんたの席に座ってるとかありえない」
…言われてみれば、そうだ。部外者は立ち入り禁止だ。
素でボケていた。
IDチップを見せられる。
役職欄のサイドにスクロールバーが出ている。こんなのは初めて見た。
パッと見は製品開発部環境課の平社員だが、指先でスクロールさせると
「保安部第10警備課002支援係」
アリなのか、こんなの。
「俺ら『異邦人』は意外とワガママがきくみたいっすよ。宝積寺さんも必要な時にはちょっとゴネてみるといいかもしんねっすよ?」
ゴネる用事とか、普通は無い。
「これは俺の保安部員としての監査業務の一環なんで、宝積寺さんには喋ってもらわないと、俺が困っちゃうんですよね~」
念のため、監査レベルを問う。
IDチップの業務タグを開けて俺に見せながら
「Cなのでどう見ても俺の勝ちだと思いまーす」
…どうやって貰ってきたんだ、そんなとんでもない許可。役員クラスにツッコミができるじゃねぇか。
「ちょっとゴネた☆」
無茶しやがって。
「あー、恐ろしく順調だ。
現在は40強のエルタ産の歩行雑草が地上で生き残って自活している。若干ではあるが、自力で株を増やすことにも成功している。
もちろん原産地に比べれば量は圧倒的に少ないし、風雨を避けられるだけの岩陰などがなければ無理だが。
ファーデン課長は、歩行雑草によって地上の再緑化の実現に向けた足がかりを築くことは可能である、と判断している」この星は、地上が完全に死んでいる。
環境の悪化と天災が重なり、まっとうな草木は全く生えていない。
元々は俺やバルドの故郷のように、空と海は青く動植物も住んでいたそうだが…
「いいねぇ~、素晴らしく期待通りだ、オッケ。ありがとう。手札は揃ったかな。
これで内部告発ができそうだ、ウチの蜜柑のほうの」
は?
内部告発?
ウチのほうの監査とかじゃないのか?
「なんでお前んとこの監査を俺がやるんだよ。同じ課の人間がやるなんて無理にきまってんだろ」
・・・。
「で、ワガママいって悪いんだけどさ、できれば宝積寺さんの顔でファーデン課長にアポ取ってくんねかな~。俺、開発部からはあと2日しか休暇取ってないんでさ、その間になんとか」
おい。
「俺、ずっと飛ばされてたりして全然面識ないからさー。できれば30分くらい」
無茶言うな。
「一応、開発部環境課の人間としては、事前に課長には話通しといたほうがいいと思ってさ?」
告発とかしなきゃいかんほど、問題があるのか?
「山積してる。
そもそも元の計画の立ち上げ理由からして阿呆くさすぎるし」
・・・そうなのか。
「最大の問題は、これ以上続行しても会社にとって何の益も出ないって事が判り切ってるってことっすねー。
歩行雑草が外バレしただけでこんだけ全世界から批判の声が集まってたら、外部取引商品としての需要が見込めないのも容易に想像がつくしー。
環境改善目的も一応はあったみたいだけど、雑草のほうがけっこううまいこといってるんだったら、なおさら欠陥品にしがみつく理由は無ぇしー。
確かに食料供給の面からすれば一理はあるかもしれないっすけど、現状じゃリターンがなさすぎだしさ。
それでリーダーは亡くなって久しいわ後継者はいないわ、どうすんのこれ?
つぅか、なんでこのプロジェクト復活したの?
なんか聞いてねっすか、宝積寺さん」
いや・・・そっちの話題はほとんどこっちじゃ出ないし。
『ゲート』越しだとそもそも通信不能だし、詳細不明でもしょうがないんじゃないか?
「課長にも全然情報いってない、ってわけないっしょ~?管理する立場のはずだし」
少なくとも俺は全く知らなかった。
「ふーん?ま、課長に直接訊きたいね、そのあたりは」
口調は世間話だが、内容はけっこう酷い話になっていた。
結局は、バルドの愚痴につきあわされただけのような気がした。
迅士の手紙には、運送業への就職が決まったと書いてあった。