25時間目  日々を哲学する

著者 本木周一 小説、詩、音楽 映画、ドラマ、経済、日々を哲学する

女子剣道を見た

2017年10月06日 | 日記

 友人で剣道をする岡田さんはたいていは夜の稽古をしてきたはずである。仕事があるのだからしかたのないことだ。この前、テレビで女子の剣道全国大会に臨む女性剣士の様子が取り上げげられていた。その女性は警察に所属し、朝の8時から夕方の5時まで剣道の稽古さえしておればいいのだった。剣道漬けの生活である。美しい剣道を目指していた。美しいというのは、立ち居、打ち込みの姿を言っているらしい。その女性は一回戦で前年優勝者の女性とあたり、延長戦25分を過ぎて負けた。勝った元優勝者も警察の所属である。朝から晩まで剣道をやっているのである。

 警察の剣士が有利なことはわかりきっている。岡田さんらはそこまで時間はとれるはずもない。いわば不利である。

 範士八段の男性剣士が警察の道場で稽古指南をしていた。彼は62歳だった。岡田さんと同い歳である。彼も警察出身のはずだ。岡田さんらのような仕事をもって剣道を続ける者はこのハンディと戦わなければならない。

 考えてみればこれは大きなハンデイである。岡田さんは今七段である。最高位まであとひとつ。すでにこころの内は思い定まり、身体の動きの調子も見定めることもできるだろう。若い頃のような激しい稽古も必要なく、何か自分なりの課題を設けて、昇段試合までに心身を調整するのだろう。僕には未知の世界のことなので、身体感覚はわかりにくい。

 いやまてまて。警察官の剣道稽古も朝から晩まで定年まで続くわけではないことだろう。強化特訓の時期だけかもしれない。剣道の神髄はこころの内と体壁系の瞬時の感覚をイメージのなかで会得し、それをまた稽古でぶつけるというものなのではないか、と思い直し、七段レベルになると、要は剣士の最高位を目指すことは時間の量ではなくて質の量だと思うに至ったのだった。



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