25時間目  日々を哲学する

著者 本木周一 小説、詩、音楽 映画、ドラマ、経済、日々を哲学する

青葉の季節

2016年04月29日 | 日記

  朝起きると、天気が良すぎるせいか、若葉で溢れる楯ゲ崎を縦断してみようと思っ

た。起伏のある古代の道をこの老いた脚が耐えられるかが、問題である。いつも、突然、日常と違うことすると怪我をする。しかし、一度は、外側だけ眺めるのではなく、縦断して森の中に入り込み、千畳敷のある海岸まで歩いてみたかった。やっとチャンスがきたと思わせたのは、この頃のトレーニングのせいである。

 体が、「楯ゲ崎も歩けよ」と今朝囁いてきたのだ。東尋坊など、ここに比べたら、話にならない。森の道を歩くと、樹齢何千年だろうかと思う樹木がうねっている。クスノキ、ヤブツバキ、ヤマモモ、ウバメガシ、シイ、樹皮が青と茶色の模様になったカゴノキ、ビワノキロ。照葉樹林の葉は光っている。眼下の海は澄みきって、碧色のなかに石や砂が見える。持統天皇が作ったという小さな神社は建て替え中であった。神武天皇が上陸したといわれる千畳敷まで、なんとか脚がもった。大腿四頭筋とふくらはぎの筋肉が断裂してしまうのではないかと、途中で思ったが、帰りには、馴染んだのか、なんなく歩くことができた。

 ジャスミンのような薫りがしてくる。樹木の名を知っていればなあ、とか市民講座のようなもので、樹木を見ながら、名前や、特徴などを教えてもらえればなあ、と思いながら、往復2時間ほどを歩いたのだった。

 するとスマホから、「歩行数最高新記録 です」という知らせが入った。こんないい場所にアオリイカを狙った釣り人以外に歩く人はいない。日本最古の神社である花の窟も十年前にはひっそりとあったが、今は奇妙に観光地化している。楯ゲ崎もひっそりしてもらった方がありがたい。

 爽快感に体が包まれて、青葉の季節を堪能したのだった。



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