1967年に制作された「日本の一番長い日」を息子がDVDで持ってきて、それを見た。ひと昔前見たことがある。二時間半もある長いドラマだった。
今の歳になって映画を再びみると、見方も違ってくる。前に見たときはきっと「昭和史」もおぼろげにしか知らなかったのだと思う。
阿南陸軍大臣の苦悩と若手陸軍将校のクーデター決行が主な物語となっている。閣議はポツダム宣言受諾も決められず、結局天皇陛下に聖断を仰ぐ。情けない話である。
僕はこの8月15日に「明治という時代」が終わったのだと思った。外国からの侵略を阻止するべく江戸幕府を倒し、中央集権により西洋式近代化を図った。天皇に大権を与えた。統帥権なるものもあった。軍は文民統制ではなかった。軍部は肥大化、強権化した。軍部の大臣が辞任すると内閣が解散せざるをえなくなった。この制度が昭和20年の8月15日で終わった。この馬鹿らしい制度を連合軍が解体してくれた。日本人であるならできなかったであろう農地解放、財閥解体も行った。戦犯も特定された。
本土決戦を叫ぶ青年将校の気分はおそらく今の極右の思想に流れ込んでいるにちがいない。天皇を元首として大権を与え、国民は臣下となる。明治憲法に戻そうと唱える元生長の家原理主義の人たちは一度アメリカが押し付けた憲法を否定して、いったん明治憲法に戻し、新たな憲法を作ると考えているようだ。生長の家の創始者谷口雅春の思想はウィキペディアでもわかる。この谷口正春に心酔した人たちによる「生長の家本流運動」の人物たちは学生運動で左翼から学生自治会を取り戻すことに成功した長崎大学、それに影響された若者たちが今も運動をコツコツとこまめに戦略的に行っている。安倍昭恵のような何もわからない不勉強な女性が籠池の小学校の名誉園長などに名を連ねたのである。籠池夫妻もこの生長の家本流運動家である。
僕に言わせれば、谷口は戦犯である。戦争を煽り、戦争協力に邁進し、多くの人を死なせ、データの分析もできず、精神論だけで太平洋戦争に突入してしまった陰の重要人物である。
もうひとつ思ったことはこの8月15日以降、近衛文麿の自殺によって実質的に藤原氏が終わったことである。脈々と天皇のそばで生きてきた藤原氏は終わったと言える。2015年版の「日本の一番長い日」はどんな風に作られているのだろう。コツコトと運動を重ねる生長の家本流運動の影響がなければよいが、と思う。
稲田朋美の辞任の様はなんだ、と思う。これでは極右も天下はとれない。安倍を担いで、今が精一杯ということだろう。
日本は憲法問題などが喫緊の課題なのではない。「未来の年表を見ればわかる。そこには戦後の大衆の流れ(動き)がはっきりと示されている。
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