25時間目  日々を哲学する

著者 本木周一 小説、詩、音楽 映画、ドラマ、経済、日々を哲学する

プリンスルパート 姉妹都市

2019年01月15日 | 日記
スピーチというのは難しいものである。頭の中であれこれと話すことを思い描いていたが、いくつか結構大事なことを言い忘れてしまう。知らない人ばかりならまだしも、知っている人でもいれば、照れくささも出て来て、神経も過敏になる。つまり緊張する。
 スピーチ2番目だと言われていたので、1時半から始まるそのサロンでは、せいぜい二時にはぼくの役も終わるだろうと思っていた。そしたら、いつになるやら、ぼくは最後の最後であった。だから二時間というものはまんじりもしなかった。
 なにかしらいいことでも言わないととも思うし、そんな感情や心理も嫌なことだし、モッサンに頼まれたのでしかたなかったのであるが、やはりなるべくこういうスピーチたるものはお断りしようと思うのだった。結婚式のスピーチも嫌なものだ。
 というわけで、会そのものはみなさんの努力でいいものになっていたが、ぼく個人はまんじりとしないふわついた時間を過ごすことになった。
 尾鷲小学時代、特に印象に残っている同級生たちと会うことになり、それは嬉しかった。一人は高校のとき音楽のクラブを作った創業メンバーの一人で今は教育長をしているFちゃん。この会を紹介してくれたモッサン、第一スピーカーのはずだったTちゃん。普段の付き合いは今はもうないが、会えば、親しく話す。それぞれに生きる世界が違っている。もっさんとは読書会で月に一度会う。
 尾鷲市役所を退職された方々ともお会いした。近況を伝えあった。

 プリンスルパートはカナダ西部、太平洋岸の北にある。バンクーバーから飛行機で1時間くらい北上する。プリンスルパートの100キロほど先はアラスカ州となる。フィヨルドの海岸がシアトルからプリンスルパートまで続いている。ダンジリン蟹、キングサーモン、木材、石炭の集積地で、港、空港、高速、鉄道、バスがあり、市内は計画されて設計されているようである。産業地域と住宅地域、商業地域が明確に区分されている。自然に渾然と形成されていくような日本の町とは違っている。
 興味深いのはその人口の低さである。約13000人。そしてさらに驚くもは十代、二十代、三十代の多さである。75歳以上は500人くらいしかいない。平均年齢は確か35くらいだった。これはどういうことなのだろう。高齢者用の施設も充実していた。ある時期になると人は移動してしまうのだろうか。ゴルフ場がある。ミュージックホールもある。総合病院もある。ストリップ劇場まである。大きなショッピングモールもあった。1910年に設立された市である。高齢者の数が少なく働き盛りの人口が多いのは市や州の計画の結果なのだろうか。早めに死ぬ人が多いのだろうか。
 市役所は経済政策をする権限はない。ゴミ収集や図書館、市の施設の管理をするだけである。
 
 今であればこんな疑問も湧くのだが、当時、そのような問題意識はなかった。ぼんやりしていたことを後悔する。
 


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