25時間目  日々を哲学する

著者 本木周一 小説、詩、音楽 映画、ドラマ、経済、日々を哲学する

万引き家族をみた

2019年07月25日 | 映画
 遅ればせながら映画「万引き家族」を見た。リリー・フランキー、安藤サクラ、松岡茉優、樹木希林/俳優として冴えわたる人物でこの映画はできていた。小悪人風の男がよく合うリリー・フランキー。やさぐれているけど優しい安藤サクラ。こっそり悪いことをしている樹木希林。よいとこのお嬢さんで家が嫌いな家出の松岡茉優の不埒なアルバイト仕事。
 こういう疑似家族がいるのは創作だとしてもありそうな話で、社会上よさそうに見える夫婦が子供を虐待したり、メンツばっかり重んじたりする人というのはゴマンといる。そういうゴマンといる家族からこぼれ落ちて集まったのが「万引き家族」である。
 この映画を作ったからと言って、この問題の本質が解けるわけではない。ああ、とため息をつくばかりだ。
 家族関係が崩壊していると言われ出してから20年や30年経つ。
 地方から出てきて大手企業の労働者となり、家庭を築けあげてきた一家の主婦は息子が大学進学することを夢見ていた。この息子が酒鬼薔薇聖斗だった。1997年のあの事件以降、家庭内に犯罪の原因があるような事件頻発するようになった。
 また祖母が死んだら年金が入らなくなると、死亡届けをださないという事件も続いた。

 現代のなかになにか歪みが生じている。非正規社員の増加。正規社員の減少。見えない老年期の姿。見えない明日。見えない夢。夢がきえるとは命が消えるより残酷なことだ。
 是枝監督はこういう人間たちの処方箋は書いてないが、「落ちこぼれることは避けたい」と思わせ、じつは「刑務所にいくニセ母親」の方が「世間体ではまともにみえる本当の母」より優しい、と思わせたのだった。賞をもらったには刑務所内の扉を開けて面接者らにむける微妙な笑顔である。
  


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