25時間目  日々を哲学する

著者 本木周一 小説、詩、音楽 映画、ドラマ、経済、日々を哲学する

過疎化していく町

2016年07月05日 | 社会・経済・政治

  身体の不自由な人のための車椅子のデザインと機能が大変革を遂げている。想像するに、将来一人乗り用の電気自家用車がもっと小型になれば、身障者の車椅子と健常者の自家用車がほぼ似通ってくるはずだ。

 先日、平野啓一郎の小説「かたちだけの愛」の主人公は好きな人のために、つけてみたくなるような義足のデザインをし、パリコレにその女性を出場させたのだった。車椅子の話を聞いたとき、そのことを思い出した。

 新しい車椅子を開発した男は3人でベンチャー企業を起こした。代表は現在33歳。段差も意に介せず、小回りが利き、砂利でも、砂でも荒地でも動くタイヤの開発はタイヤ開発に従事してきて定年退職をした男性で、現在は68歳。もう一人はデザイナーなのか、営業なのか、経理なのか知らないが、とにかくそれぞれの発想力で新しいことに挑戦した。資金に悩むところだろう。

 僕の知り合いはある大手の化学会社で、蚊の被害から蚊の研究をしていた。蚊の生態もそうだが、蚊を駆除、避けるにはどうすればいいのか、その時、人体に悪い影響のないものは何かを探っていた。尾鷲ポートサービスはひのきの精油を作っており、僕らはその精油からいくつかの商品を作っていて話題にもなったので、彼は精油を扱う会社があることを知り、大阪から尾鷲までやってきたのだ。

 彼の研究は「タンスにゴン」という商品となり、やがて、アフリカのマラリヤ蚊を駆除するベッドの上からかける蚊帳となった。蚊がその蚊帳に触れると死んでしまうのである。これがその地域の住民のマラリヤ被害を減少させた。やがて工場の建設となった。アフリカの人々が働き始めた。二年前この商品は国連国際賞をもらった。彼はすでにその時は退職していた。

 尾鷲の人口が住民票計算で19000人を割った。実質18000人くらいかもしれない。その尾鷲を世代別に均等のある町とするためには、ひとつだけ方法がある。

 それは「シンクタンク」というか、デザイン、マンガ、Webプログラム、写真と動画その編集、企画発案ができるクリエーターの組織を作ることだ。いくら「地場産業」を叫んでも、具体策がないといけない。公金頼みではなにをかいわんや、だ。

 いつも尾鷲市のすることは焦点がズレ、アイデアがない。一番の基礎となる高次産業の人材を養成したり、招聘したりする知恵がなかった。

 何かがあるはずで、その何かは個人からの発想であり、周囲にそんな発想を実現できる人材がそろっていることだ。その大きなものがシリコンバレーである。

 尾鷲から何が生まれるか。おそらく無数にあると思う。

 ひとつの例だが、海洋深層水のひとつ「カルマグ水」は皮膚にとっては理想のカルシウムとマグネシウム割合である。この水は「夢古道の湯」で使われているのかどうか知らないが、この利用方法に「クリエーターグループ」を導入すれば、何かが生まれるのかもしれない。

 誰かがやっていく。尾鷲物産でも玉本さんがやったから、ここまで来ているのだ。



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