エンライト株式会社|林朋子のESノート 

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「女性昇進バブル」の記事(日経ビジネス)から

2013年09月05日 | 女性活躍
日経ビジネス(8/26号)で「女性昇進バブル」というタイトルの特集を組んでいました。私のブログでも、このテーマは時々書いていますが(直近は8月19日)、大変、興味深く読みました。
1986年に男女雇用機会均等法が施行されてから27年経ちますが、結局のところ、日本企業の未解決課題として残り、これぞという秘策も未だない、というのが同誌の結論でした。

同記事は、様々な角度から書かれていて、なるほど、と思えることが多かったですが、今日は、中でも、私が最も共感を覚えた、DeNA創業者の南場智子氏の言葉を引用させていただきます。

・現政権の方針で示されている「20・30」(2020年までに指導的地位に占める女性比率を30%にする)は、企業の根幹でもある人事に国が介入するのはおかしい。企業も、短絡的に数値目標を掲げたりするべきではない。
・女性を優先的に昇進させる取組は、本当に頑張っている女性に対して失礼である。

全く同感です。あくまでも適材適所で、企業の力を最大限高めるための人事であってほしいと思います。

・女性が育児休暇を取得すると出世が遅れる懸念があると言われているが、1年休めば1年分のハンディがあるのは当然。1年休んだのに「出世が1年遅れるのは耐えがたい」と主張するのはお門違いで、休まずに頑張っている人が報われない。
・大切なのは、1年分を取り戻した後で、他の人と同じようにチャンスが与えられること。

子育てしながら働き続ける環境を作ることは、企業として当然取り組むべきことだと思いますが、評価や昇進はあくまでも、その人のパフォーマンスに照らして行うべきである、と私は思います。
1年休んでパフォーマンスが変わらない、或いは、下がったにもかかわらず、昇進させるなどという人事は、周囲のモチベーションを著しく下げることになると思います。

女性管理職登用の成果への違和感

2013年08月19日 | 女性活躍
今日は、世の中の多数意見とは少し違うのかもしれませんが、私自身は、以前からそう思っているのと、少なくとも自分と近しい人達との間では、同感である、と話題に上ることが多いテーマなので、書いてみることにしました。

8月7日から日経新聞に4回シリーズで「Wの未来」というタイトルで、働く女性を支えるための様々な取り組みと、その成果が紹介されていました。

この記事に限らず、女性活躍の取り組みの中に必ず出てくる事例に、「女性管理職の人数を増やした」というものがあります。
また、その結果の成果として良く出てくる事例に「女性管理職発案で、女性目線のアイデアを商品化した」というものがよくあります。

私は、この手の記事を読む度に、違和感を覚えることがあります。

それは、この手の記事で紹介されている「女性目線のアイデア」というものの多くが、トイレ、洗面所、キッチン等のものや、コスメ系であったり、女性ターゲットの商品であるケースが多いわけですが、そのアイデア自体は、女性社員達の意見を収集すれば十分に出てくるであろうと予想されるものが多いように思うことです。

同じ女性の私にしてみれば「特に目から鱗のようなことでもなく、普通のこと」が、女性を管理職に登用した成果として、大きく取り上げて紹介されていることに、私は違和感を覚えます。

女性の意見を反映するのであれば、プロジェクトチームに女性を入れて意見を取り入れれば済む話で、女性としての普通の感覚や意見を言う発言者が、管理職か否かは関係ないのではないかと思います。

女性を管理職に登用して得られた企業の成果、が、女性であれば普通に思うこと、の域を出ていないことに、「自分を管理職に推薦してくれた期待は、そんな程度なのか」と、物足りなさを感じて、発奮する女性管理職が1人でも増えていくことを願わずにはいられません。

ロールモデル

2013年04月05日 | 女性活躍
社会人になって間もない女性の方から「職場にロールモデルがいない」というお話を時々聞きます。

私が就職した、うん十年前は、女性管理職などいませんでした。形式的には、お一人いらっしゃいましたが、管理職というよりは事務のエキスパート、という感じでした。

そのような状況でしたので、私の場合は、後輩への教え方はAさん、専門知識習得はBさん、営業はCさん、上司とのコミュニケーションの取り方はDさん、論理的な説明はEさん、立ち居振る舞いはFさん、といった具合に、その時々で周囲にいる先輩や上司の中から、お手本にしたいところを細切れにして目標にする人を見つけていました。

管理職を目指す頃になってようやく「○○さんのようになりたい」と目標にする人が出てきて「○○さんならこういう時、どうするだろう」と考えて行動することが増えていきました。

目標とする人は常に「その時の自分より数段上の人」で、学ばせていただきながら、自分の成長と共に、目標とする人のレベルも高くなっていきました。

そして、仕事の進め方やリーダーシップのとり方だけでなく「人としての生き様や、信条としていることが尊敬できる人」が、私にとっての目標とする人になるようになりました。

また「ああはなりたくない」と思う人も、反面教師としての学びになりました。

ロールモデルから学ぶことは、自分が置かれている状況や自分のレベルによって変化しますが、最後は「人としての生き方を学ばせていただく」というところになっていくように、社会人になってうん十年経った今の自分は思います。

更年期障害の体調不良を職場で相談できない女性が多い

2013年01月24日 | 女性活躍
某企業にお勤めの50歳代の女性のお話を伺う機会がありました。
職場を改善するためのヒントを得るため、職場内の課題をお尋ねしていたのですが、その女性の返答は他の社員の方とは異なる視点からのお話でした。
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新入社員の時から長年お世話になってきた会社には何の不満もない。
結婚・出産というライフイベントの時に退職する選択をすることなく今まで続けてくることが出来たことに感謝している。
今の自分の不安は、しばらく前に、突然、貧血気味になり更年期障害と診断され、それ以来、通勤時の不安や、会社内の階段の上り下り、ちょっとしたことでも不安になってしまったことです。
男性が多い職場なので、更年期障害のことは誰にも相談したことがない。
自分がこうなるまで、更年期障害のことは真剣に考えたこともなかったが、急にこんなことになり、自分自身に自信を無くしかけている。
過去、定年前に退職していった女性の先輩数人に電話してみたところ、皆、退職理由は更年期障害で通常勤務がきつくなった、ことだった。

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自分が女性でなくなっていってしまうような不安感や、まさか私が?、という驚きとショック、いつまで続くのかわからないことへの不安、が痛いほど伝わってきました。

この女性の方が話してくれたように、上司が男性の場合、この手の話は「言い難い」と思う心情も、同じ女性としてよくわかります。

女性の活躍推進を考える上で、管理職登用とか、子育て支援とかの方がどうしても話題になりますが、お話を伺い、更年期障害に悩む働く女性達が意外に多いこと、また、それを誰にも相談できずに“退職”を選択していく女性も意外に多いことを教えていただきました。

最近の女性活用ブームについて

2012年12月07日 | 女性活躍
高い顧客満足度を常に維持し続け、尚且つ業績も上げ続けている某企業にお勤めの女性部長とお話する機会がありました。

「最近の女性活用ブームについて」彼女が話していたことは、私も共感するものが多かったです。
女性活用という号令のもとに、女性管理職枠を設けて女性の管理職やマネージャーの数を増やし「我が社は女性活用を積極的に行っています」と世間にアピールしている企業が増えていると感じていて、違和感を覚えるそうです。
女性管理職が増えること自体は良いことだと思うが、女性管理職の数を増やすことが目的のようになっている風潮を感じる、と言うのです。

男性も女性も性別に関係なく、全員を対象にして、能力やパフォーマンスを比較して、公平に登用すれば良いだけのことなのに、世間へのアピールのために女性を管理職に登用するのは、かえって公平さを欠き、組織内にやりにくさを生んでいるケースもあるのではないか、という話でした。

女性活用の名の下に登用された管理職の一部には、以下のようなことが起こりがちで、女性にとっても男性にとっても幸せではない状況が見受けられるというのです。
・女性管理職をどう扱っていいのかわからないため、周囲が必要以上に大事に扱い過ぎてしまう傾向がある。
・その結果、管理職として求められるアウトプットを出していくための指導が、男性管理職に対するものより甘くなりがち。
・役員の推薦で管理職に登用した場合、その女性管理職の能力やパフォーマンスに不満を感じたとしても、推薦した役員の手前、直属の上司が率直なことを言い難い雰囲気がある。

先進国の中で女性管理職比率が低い日本では、女性の活躍の場を広げて、職場における男女格差を解消することが必要ということで、女性活用とか、女性活躍、と言い始めたわけですが、本来の目的である「男女公平活用」が実現できている企業はまだまだ少ないようです。