エンライト株式会社|林朋子のESノート 

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パワハラ防止対策の検討会報告書より

2018年05月14日 | パワハラ・セクハラ
厚生労働省から「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会(座長:佐藤 博樹 中央大学大学院戦略経営研究科教授)」の結果が3月30日に公表されました。

この検討会が実施された背景には、都道府県労働局への職場のいじめ・嫌がらせに関する相談が増加傾向にあり、平成24年度以降は相談の中でパワハラ関連がトップを維持していることや、厚労省が行なった企業に対する実態調査結果でもパワハラ相談が32.4%と最も多い結果であったこと等がありました。

これを受けて、有識者と労使関係者による検討会議が計10回昨年から行われていました。私が最も注目していたのは「セクハラ同様に、パワハラも企業に対する雇用管理上の措置義務化となっていくのか否か」でした。
(セクハラは2007年から男女雇用機会均等法 第11条で措置義務化されています。)

結論は、今回は措置義務化には至りませんでしたが、「事業主に対して職場のパワハラ防止のための雇用管理上の措置を義務付け、違反があった場合の行政機関による指導について法律に規定する検討を進めることが望ましい、という意見が多くみられた」と報告書に記載されていることからも、時代の流れとしては、パワハラについても、事業主に対して措置義務化されていく方向性になってきていることは間違いないと思います。

また、今後はパワハラ防止対策の強化として、以下5つの規定の創設や施策の実施が必要であると示されています。
①行為者の刑事責任、民事責任
②事業主に対する損害賠償請求の根拠の規定
③事業主に対する措置義務
④事業主による一定の対応措置をガイドラインで明示
⑤社会機運の醸成

事業主としての適切な対応が今以上に求められていくことになります。

また、今回新たに問題提起された項目に「顧客や取引先からの著しい迷惑行為」(暴力や悪質なクレーム等)がありました。特に、流通業界や介護業界、鉄道業界では、労働者に大きなストレ スを与える悪質なものがあり、無視できない状況にあるという問題が提起され、顧客や取引先からの著しい迷惑行為についても、今後は何らかの対応が必要であるという見解が示されたとのことです。この問題は事業主に対応を求めるのみならず、社会全体で機運を醸成してくことが必要であるという考えから、例えば「カスタマーハラスメント」や「クレーマーハラスメント」など特定の名前を浸透させることも一案ではないかという意見も示されたそうです。

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