エンライト株式会社|林朋子のESノート 

=職場改善とメンタルヘルス向上を支援する、ESコンサルティング=
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少数意見の取扱い

2013年07月26日 | 組織風土
報道によると、カネボウの美白化粧品問題は、未だに終息する気配はなく、同社には問合せが絶えないようです。
「なぜもっと早く、問題を把握できなかったのか」と、結果論からみて外野が言うことは簡単ですが、この問題は、企業のお客様相談室に寄せられる顧客の声に対する、企業全体の意識が、問題の根底にあると思っています。
カネボウは、花王の顧客対応システムを導入しているそうです。これは、私も、実際に見せていただいたことがありますが、顧客の声を企業活動に活かすためのシステムとしては、これ以上の素晴らしいシステムはないのではないかと思うくらい、良くできているものでした。
私に色々教えてくださった、当時の花王のお客様相談室長は「我が社は、お客様の声に耳を傾けるためのシステムだけでなく、少数のお客様の声にも徹底的に向かい合うという社風があるんです。」と、お話されていました。
今回のカネボウの美白化粧品問題は、花王の優れたシステムは導入していたが、「件数としては少ないが、お客様相談室に寄せられた顧客の声に、どう向き合うか」という、社風の違いが表れた結果ではないかと思います。

これを、ES(Employee Satisfaction)に置き換えてみると、会社の中で発生する「従業員の声」にも全く同じことが言えると思います。
まずは、従業員が、不満や不安を、言いやすくしてあげることが重要です。
匿名のES調査等に加え、いつでも、安心して不満や不安を話せる場所を作ってあげる環境整備は、いざという時に駆け込める場所があるというだけでも従業員にとっては安心材料になります。
これは、お客様相談室、にあたるものです。

しかし、お客様相談室に相当する環境だけ作っても、そこに寄せられる従業員の声を、企業として、どう向き合っていくのか、が、その企業の社風になっていくのだと思います。
特に、耳の痛い声が上がってきた時、それを少数意見だからと握りつぶしてしまう会社と、耳を傾け続けて、必要であればきとんと手を当てている会社とでは、明らかに社内の空気が違います。

部下の強みを見つけるということ

2013年07月24日 | 人材育成
1年近くコーチングさせていただいている、某メーカーご勤務の管理職(部長職)の方が、先日お話してくださったことです。

その方とのコーチングを始めた頃は、ご自分の部下への不満を話すことが多かったです。
「Aはこういう奴で、ここがダメなんだ。何度いっても直らない。」
「Bは、Aよリ、まだマシだが、時間がかかり過ぎる。」
「Cは、仕事中、何をやっているのか、さっぱりわからない。報告もない。」
という具合でした。

そして、その部長は私に「自分はついていない」「もっと出来のいい部下が欲しい」と嘆いていました。

部下A,B,Cの方々ともお話してみましたが、部下は部下で、その上司への不満をお持ちでした。

その部長に、部下の強みを見つけることを提案した時は、「あいつらに強みなどない」ときっぱり言っていましたが、その後、数ケ月間かけて、根気強く部下との対話や観察を行い、全員の強みを見つけていきました。

あれから約1年経過した今、その方のチームの営業成績は昨年比130%に伸びたそうです。

そのことを、私に嬉しそうに話しながら「このチームには、天才は1人もいないけど、このメンバーで仕事してきて良かった」と、言っていました。

1年前、部下への不満しか口から出てこなかった方が、部下への見方を変えたことがきっかけで、チームの雰囲気が徐々に変化している様をコーチングセッションを通じて私も体験させていただいたわけですが、「相手への心からの興味・関心を持つこと」は、マネジメントのハウツー本では決して得られない効果があるという事を目の前でみせていただきました。

叱るときは「やり方」に焦点をあてる

2013年07月08日 | 人材育成
叱り方のコツは?と質問されることが時々あります。

叱られた相手が「なるほど、ごもっとも」と納得できるような叱り方をすることではないかと思います。

そのためには、どこがいけなかったのか、どのように直せば良いのかを「注意する」のが、叱り方のコツではないかと私は思っています。
何故、そうなのか、を注意に付け加えて説明し、相手が「ごもっとも」と納得してくれなければ、また同じことの繰り返しになります。

しかし、職場の中でよく見かけるのは、「既に起きた結果」を、くどくどネチネチと叱っている光景や、大声を張り上げてヒステリックに叱っている光景です。部下にしてみれば、上司のストレス発散のようにしか見えないような叱り方で、これでは、部下にとっては「叱られた」という嫌な感情しか頭の中に残りません。

叱る目的は、次はどうすればいいのか、を理解させ、次に良い結果を生み出すためなので、「やった結果」に焦点をあてるより「やり方」に焦点をあてた「前向きな注意」をすることです。
これができれば、相手は自分の行動を反省し「次はこうしよう」と自ら考えることもできます。

相手にこのように思わせるための効果的な手法としては、「先ほめ、後注意」というものがあります。
例えば「君は良く頑張ってくれた。しかし、この点は○○すべきだった。」という具合に、先に褒めて、その後、注意する、ことで、叱られた相手が、こちらの注意の言葉を、納得して聞き入れやすくなる効果もあります。