Little Tree

日々のいとなみのなかで感じた子どものこと、季節の移ろいやこころに映る風景

稲穂、実る・・・

2008-08-21 13:28:50 | 表現すること
一昨日の朝、kirikouがキャンプに出かけてから
気がつくと…あっという間に、3日目を迎えてしまいました。

アレコレと気になっていることをノンビリと片付けてから、PCの前に座って

セミの声にひとしきり耳を傾けて
ところどころに水色が透けている雲が多めの空を眺めてから…

ようやく、キーボードに向かいます。


(kirikouのお迎えは4時頃なので、その前に図書館に寄っていくとすると…
などと残り時間を算段しつつ、お話の糸口を探しています。)


まずは、昨日のお話からいたしましょうね。


(路線検索で調べたとおりに)湘南新宿ラインに乗って
大宮経由で桶川駅まで向かいました。

車中で読んでいたのは…須賀敦子著「時のかけらたち」です。

(このところ、手元にある雑誌の記事やら文庫本を読み返しておりますので
またいずれ…そのお話ができる時がありますように。

その本の中の表現に感ずるところがあったのでしょうか
人前にもかかわらず、不意に涙が溢れ出してしまい)

慌てて大宮駅で、一旦下車しましたが、どうやらそのままの列車で良かったらしく

「まぁ、そんなに急ぐわけでもないし…ノンビリ行こう!」と開き直って

さいたま文学館まで、向かいました。

駅からショッピングセンターを抜けて
けやき並木でしょうか、公園の前を歩いていくと、建物が見えてきます。

中も近代的な広々とした作りになっていて
展示室へ下りていく階段の脇に埼玉にちなんだ「万葉の歌」が展示してあります。

その中から一首をご紹介いたしますと

  『埼玉の津に居る船の風を疾み綱は絶ゆとも言な絶えそね』

意味はおぼろげだったとしても…
思わず声に出して読んでみるのも、楽しいものデス。

地下一階に下りると、左手に埼玉にゆかりのある文学者の方々のコーナーがありますので
まずは、そちらからゆっくり見せていただきました。

武者小路実篤、永井荷風…作家や詩人、歌人、俳人などなど
たくさんの方々の足跡を知ることができました。

若き宮沢賢治が訪れた際に、友人に当てた葉書の展示もありました。

そして、テーマ展は「石井桃子とピーターラビット―海外の児童文学を子どもたちへ―」 です。


児童書の翻訳のきっかけになったA.A.ミルン著「プー横丁にたった家」の
原書が展示されていました。

(書庫の整理で訪れていた犬養邸で、
子どもたちのクリスマスプレゼントにと西園寺公一氏から贈られた本を
石井さんが読んでくれとせがまれたとのこと。)

我が家にもあって、読んだはずの「クマのプーさん」は

どの出版社からの本だったのかしら?なんて思いつつ
遠い日の記憶を辿りながら、展示を見せていただきました。

私が、石井桃子さんの作品で一番印象に残っているのは

やはり、あのきれいな水色の装丁の「ノンちゃん雲に乗る」でしょうか?

その本は、1967年に出ているとのことですので
私が10歳前後の頃に、きっと母が買ってくれたのでしょう。

いただいてきた「石井桃子100歳記念フェア」の小冊子によると(以下引用)

『石井さんが戦争中の閉塞感からのがれようとして、本にすることなどいっさい考えずに書き続けた作品です。(中略)石井さんご自身がいちばん愛着を持っている作品でもあります。』とのこと。(引用ここまで)

私が読んだその本は、おそらく今は妹の家の姪の本棚か…実家の物置にしまってあるはずです。

今度探しだして、読み直してみたいなぁと想いました。

さてもうひとつのお目当ては、「ピーターラビットとの出会い」にまつわるコーナーです。

戦争中にポターの作品と出会っていたそうですが、その時はあまり『吸引力を感じなかった』とのこと。

「アメリカ留学中にポターの一連の本についての批評を書く宿題に取り組んだのが
ポターの作品を再認識するきっかけとなった」そうです。

翻訳に当って、集めた資料や
イギリスに旅した際に湖水地方を訪れた際の写真なども展示されています。

昨年、日本で公開された映画「ミス・ポター」も大変に興味深く観ましたが

先程の小冊子の中にも(以下引用)

『石井さんはビアトリクス・ポターについて「ひとすじなわではいかない人です」と言うようなことをおっしゃっていたことがあります.(中略)たしかにポターという人は無邪気な子どもの本の書き手というより,かなり辛らつな目をもった,大人の文学の書き手という面を持っていたように思われます.』(引用ここまで)とあるように

可愛らしい絵本の向こう側に、モノゴトの本質を深く捉えるような視線が隠されていることに
石井先生は、お気づきになったのでしょうね。

もっともっと、読んでみたい「本の世界」が広がっていくような気がしました。


高坂の大東文化大学キャンパスに隣接した子ども動物自然園内に
ビアトリクス・ポター資料館もあるそうです!
機会がありましたら…是非、訪れてみたいです。


そして…お土産にピーターラビットの絵葉書を買って

受付の方に、ジョン・レノンミュージアムのある「さいたま新都心駅」や

(ちょうど置いてあったチラシの)「ぐりとぐらとなかまたち 山脇百合子絵本原画展を開催している
うらわ美術館のある「浦和駅」と埼玉県立近代美術館のある「北浦和駅」の位置関係を伺って
親切にメモに書いてくださったのを頼りに、桶川駅に戻りました。


…というところで、ソロソロ時間切れになりました。


2泊3日のキャンプの間、電話が鳴ると…
「もしや、何かあったのかしら?」なんて思いつつも

どうにか無事に過ごしていたのでしょう。


きっと、いつものように疲れてヘロヘロになりながら

どこかしら「彼なりに頑張って過ごしてきたお土産を携えて」帰って来ることと思います。


家の前のイネも、お日さまの光をたっぷりと浴びて

気がつくと稲穂が黄色く色づき始めて、ずいぶんと重みを増してきました。



名残の夏を惜しみつつ、季節の足音に耳を澄ませながら…


皆様も、お健やかな佳き一日をお過ごしくださいネ!!


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7 コメント

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はじめまして。 (izumi)
2008-08-21 23:43:08
はじめまして。私も、横浜に住んでいます。
横浜市の特別支援教育について書いておられるお母さんのブログを初めて見つけて・・・やっと辿り着いた!と言う気がしています。目を皿のようにして読ませていただきました。
不登校についての記事を書いていらっしゃる精神科医の先生のブログからのリンク⇒リンク・・・で、こちらにたどり着きました。
今、中1の息子ですが小6の秋から五月雨登校状態です。
もともと学校には合わないタイプの子だとは思ってはいたのですが。。。小学校がとてもアットホームな学校で、先生方がとてもステキな先生方でしたので・・・息子は5年半もの間、普通に通えていたのでは?と思い、出身小学校には本当に感謝しています。
公立中学に入学させるのは不安で(小学校卒業後はフリースクールも検討しよう。)と思い、そのデータ作りのために・・・と、
養総センターに連れて行ったところ、ハンディがあると言われました。親にとっても学校の先生方にとっても青天の霹靂でした。

センターと小学校の校長先生と担任から、
「息子さんのためには、個別支援級をオススメします」といわれ、私も(そのほうが、息子のためになるかも?ハードルが下がったら学校に行くようになるか?)と思って思い切って個別級に入れたのですが。。。
入学してみると・・・お子さんそれぞれのハンディの様子が全く違っていて、息子は軽度なので、結局息子には個別級が合わなくて、夏休み前は週に1回の登校がやっと・・・でした。
二人の担任のうちの片方の先生からは、普通学級へ行くことを勧められ、また、息子には高等特別支援学校や特別支援学校高等部は、合わないといわれました。芸術家タイプで、型に嵌るのが苦手なタイプなので、合わないのだそうです。
私は担任の先生方に「今、各所で提唱されている「特別支援教育」で対応していただきたい」とお願いしたのですが・・・
先生方からは『うちの学校ではその対応ができません。
「一般級or個別」しかないので、転校していただくかフリースクールに行っていただくかです』といわれました。
国の方針や、市教委のホームページなどに書かれている内容と全く違っているので・・・驚くと同時に、親子で今、本当に路頭に迷っている状態です。
担任の先生方は、「できない、できない」の一点張り。
この春~夏にかけて、色んな人に相談するたびに「校長先生にお願いして動いていただいては?」と言われ・・・
かろうじて夏休み前に校長先生とお話できました。
夏休み明け、学校側からの何らかの方針が示されると思います。
夏休み明けに、学校の先生方と交渉・・と思うと、胃が痛みます。
Little Treeさんは、色んなことをとてもよく勉強されていて、仲間作りもしっかりなさっていて、情報も集めておられ・・・
こちらのブログを拝見して・・・(私、弱音を吐いている場合じゃないな。まだまだできることはあるはず。)と、とても勇気付けられました。
これから時々、伺わせていただきます。どうか宜しくお願い致します。

返信する
こちらこそ、どうぞよろしくお願いします! (風待人)
2008-08-22 08:12:44
izumi さま

はじめまして。同じ、横浜にお住まいなんですね。

小学校から中学へ、その環境の変化もさることながら
お子さん自身も、大きく成長する時期でしょうし・・・

いろいろなことが一度に表面化してきて、
きっと今はとても大変な時を、お過ごしでいらっしゃるのかもしれませんね・・・

お子さんは、芸術家タイプでいらっしゃるんですね・・・

きっと、とても素敵なところをたくさんもっていらっしゃると思います。

その持っているものを、さらに育てていくためには
「適切な環境を、整えたい」と思う気持は、親ならば当たり前に思えます。

ただ、今目の前にあるものは、十分というには程遠いものに
思えることも確かですけれど・・・

その中でも、子どもは現在進行形で育っていくしかないので
試行錯誤をしつつ、何か少しでも良い工夫はないかしらと
私自身も、いろいろなところでお話を伺ったり
情報を得たりしながら、手立てを探している最中です。

実際の毎日のことは・・・まだまだ上手くいかないことだらけですし・・・

ただ幸いなことに、「私、一人じゃない」って思える
心強い友人に、たくさん巡り会えたことで
どうにかこうにか、これまでやってこれたと思っています。

おっしゃっているとおり  『まだまだできることはあるはず』です!!

すぐにでも、どうにかしなくっちゃ・・・と、
思わずにはいられないお母さまのお気持も、よくわかります。

いろいろな方にご相談しながら、
お子さんや親御さんご自身のの思いやお気持を、
少しずつでも整理したり言葉にして発信していくことで

何かしら、良い方向性が見つかりますように!!

コチラは、ささやかなブログのおしゃべりの空間なので
「これだ!」と言うような答えは、見つけられないかもしれませんが
よろしかったら、少しでもお気持を楽にして、ホッとしていただけたら
私も、とてもうれしいです!
返信する
追伸 (風待人)
2008-08-22 11:29:20
izumi さま

今年の4月からひと月に1回、鶴ヶ峰駅近くでおしゃべり会を開いています。

参加してくださる方のお子さんの様子も年齢も抱えている課題など
ほんとうにそれぞれですが、みんなでゆったりとした中でお話しすることで

少しだけでも、お母さんの気持が楽になったり
元気を取り戻せたらいいなぁと思っています。

もし、気が向いて参加しみたいなぁという気になられたら・・・
連絡方法を考えて、詳しいお知らせをいたします。

(普段、こちらは個人的なブログなので、そちらのリンクを貼っていないのですが
期間限定で・・・繋げてもいいかなぁと思っております。)

とりあえず、お知らせまで。
返信する
ありがとうございます!! (izumi)
2008-08-22 13:01:02
昨夜、思い切ってコメントを記入してよかったです!
これまでのところ担任の先生方からも学校からも、特別支援対応の情報は一切いただけていません。
が、夏休みに入ってから読み始めた’某特別支援教育コーディネーターの先生’のブログを読むと・・・
ウチような場合は、明らかに特別支援対応の範疇に入っているようです。
特別支援についての情報を収集して感じた事なのですが・・・
担任の先生方について・・・
若い方の先生は前進的なお考え。
他方、キャリア30年の先生のお考えは古典的なのではないかな?と思うようになりました。その方が無難でラクなのかもしれません。
でも息子は国からの手当て等は全くの対象外なので、将来はどうしても、一般社会で人に揉まれながら逞しく生きていってもらわねばなりません。
かといって、中学校の普通学級に出た場合・・・もし何の配慮も無ければ・・・息子は社会で生きていく自信を無くしてしまいます。
そのあたりが、ウチの課題です。

さっそくお誘いくださって、とてもありがたく思います!!
鶴ヶ峰と伺い、鳥肌が立ちました。同じ沿線です。
ぜひ、お仲間に入れていただければ・・・と思います。
私は今、ブログはSNS方式の所にしか入っていませんが、
これからのためには、どこかでブログを立ち上げた方がよいかと思うようになりました。
これからもどうぞ宜しくお願い致します。
返信する
S鉄沿線でいらしたんですね!! (風待人)
2008-08-23 07:46:53
izumi さま

ほんとうに、偶然ですね!

izumi さまが、いろいろと情報収集なさって
すでにお分かりのとおり・・・

文科省の打ち出した方針に従って、自治体ごとに特別支援教育の体制を
整えている段階にあると思います。

横浜市も
(数は、まだまだ不足していると思いますが)
通級指導教室は、早くから整備されておりますし
指導もしっかりしていますので、その点では素晴らしいと思います。

ただ…公立の小学校だけで300校
(中学は、いくつでしたっけ?)100校以上あるとして

その先生方全員が、『特別支援教育についての視点を持った
ある程度の見取りや指導をしてくださる』という段階に至るには
おそらく、もう少し(?)時間がかかるように思われます。

けれど、学校内の限られた人的な資源の中でも
個別的な視点を持って「子どもをしっかり見守りながら」
一人ひとりのお子さんの指導を心がけていいる学校や先生がいらっしゃれば

お子さんにとって、少しでも居心地のよい環境を用意することは
可能なのではないでしょうか?

おそらく、お子さんが通っていらした小学校のように。

おしゃべり会にいらしている皆さんそれぞれに
『大きな壁にぶつかっているように思える』状況が、多々あるのが現状です。

残念ながら、すぐに何とかなるような解決策は、なかなか見えてはきませんが
皆さんで一緒に考えれば・・・何か良い知恵が浮かぶかもしれませんし
何らかのヒントやきっかけが見えてくると良いなぁと思っています。

この次のコメントに、一時「はじめのい~っぽ!」のリンクをお知らせいたしますので
そちらをご覧ください。

無理をせずに、お時間に余裕のあるときに遊びにいらしてくださいね!!
返信する
さっそく、ありがとうございました! (izumi)
2008-08-24 14:25:45
さっそく御案内をいただいてどうもありがとうございました!
9月の後の方の会に参加させていただければと思いますので、
どうぞ宜しくお願いします。
(会場もいつも電車の窓から見えている所なので・・・すぐにわかりました。
風待人さんは、東京方面にもよく出かけておられるのですね。
私も風待人さんの行動力を見習わねば・・・とも思いました。
学校に対しての不満を抱えながら、家でいじけてばかりでは、何の解決にもならない事に気付くことができました。

<BOOK MARK>しておられるHPのいくつかにもアクセスさせていただきましたが・・・
どのHPも内容がとても深くて、たいへん勉強させていただいております。
これからもどうぞ宜しくお願い致します。
返信する
ご都合の良い時に、気楽にいらしてくださいね! (風待人)
2008-08-25 08:45:32
izumi さま

お目にかかって、おしゃべりするのを楽しみにしておりますね!

一人にできることは、ある程度限られていても
いろいろな方々が少しずつ知恵を出しあって、情報を共有することで
かなりの広がりを持つことができるような気がします。

ただ、最終的に判断したり決めていくのは
自分自身やご家族や皆様それぞれなんだと思いますけれど

一人で悩んでいるよりは、何かしらのSOSを発信して
いろいろな方のお力を借りる・・・
その方が、少しでも楽になるように思います。

涼しくなって、ずいぶん過ごしやすくなりました。
お元気で、お過ごしくださいネ!!
返信する

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