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青葉城恋唄

仙台生まれ、仙台育ちの40代女性。
日々の生活で考えたことを記す雑記帳。

読書じっくり感想「ゴールデンカムイ」★★★★★

2023年03月13日 | ほん
マンガを読むのは読書なんだろうか?



初めてその作品を知ったのはいわゆるパロディネタとして。
当時見ていた朝ドラ「おかえりモネ」の中のエピソードを
「ゴールデンカムイ」のエピソードになぞらえて取り上げられていた。
つまり出会いは2021年8月18日ということになる。
ここしか読んでないので「オソマ」はアイヌ語で「味噌」の意味だと思っていた。

その後も全話無料公開は知っていたけど、デジタルでの読書が苦手だったので読まず。
最近になって職場の同僚から借りて読んだらがっつりはまってしまった。
1周目の後半にはもう最初から読み返したくなってきて、
最終巻読了から2週間、とうとう買ってしまいました。
しかも遅番の夫が出かけるまでの数時間に鈎取のブックオフまで行ってきた。
はまってる。

少年(青年?)マンガってほとんど読んでこなかった。
「モーニング」は毎週立ち読みはしているけど、
読んでいるのは「コウノドリ」や「きのう何食べた?」「宇宙兄弟」など、
どちらかというと女性ファンの多い作品ばかりだった。
夫がはまっている「ワンピース」や「呪術廻戦」「進撃の巨人」などは
全然読んでない。

この作品には何があるんだろう?
この「ゴールデンカムイ」のキャッチフレーズ?は
「冒険・歴史・文化・狩猟グルメ・GAG&LOVE 和風闇鍋ウエスタン」
ということですが、私が惹かれたのはこの3つ。

アイヌ文化の描写
5年前に行った函館で訪れた「北方民族博物館」。
北海道だけではなく、樺太などの民族についての展示もありました。
この作品でも樺太アイヌの生活や文化を描いていてとても興味深い。
「カムイ」の考え方とか死生観とか、読んでいて考えさせられる。

ギャグとシリアスのバランス
青年マンガらしく、エロもグロもあるので直視できないシーンもありますが、
クスッと笑えるシーンもあり、そのバランスが絶妙でぐんぐん読み進められる。
もちろん、金塊をめぐる各陣営の謀略も面白い。
あと、映画やマンガのパロディやオマージュも満載。
その元ネタを知るのも楽しい。
笑いに紛れさせているけどとても重要なことも描かれていて、
1回読んだだけでは理解できないので何回も読み返してしまう。

キャラクターの魅力
主人公コンビの杉元・アシㇼパだけではなく、
彼らと結託したり敵対する脇のキャラクターも個性的。
中にはかなりのサイコパスや変態もいるのですが・・・。
いやほとんど笑?
そして各陣営の対立構造が固定している訳ではなく、
時に同盟を組んだり、行動を共にしたり。
直前まで一緒に鍋を囲んでいた人と次の場面では戦っていたりする。

初登場時にはこんなに重要な役になると思わなかったという人もいて、
終盤にいくにつれて気になるキャラがかなり増えていきました。
特に主人公達と深く関わることになる陸軍第七師団の面々は、
狂気に満ちたキャラクターも多いけど、暗い過去や屈折した思いを抱えていて
その背景を想像するといろんな解釈ができる。
その背景に矛盾しない言動が一貫して描かれているのがすごい。

その中でも特に語りたいキャラについていくつか。

杉元佐一
もちろん主人公なので語ることは多い。
私は梅子との関係性が気になった。
故郷の幼馴染みであり、自分に想いを寄せてくれていた梅ちゃん。
でも杉元の家族が結核にかかり、村の中で孤立したため、
杉元は「連れて行って」という梅子を振り切り逐電。
残された梅子は同じく幼馴染みの寅次と結婚(この辺の経緯も気になる)。
その婚礼の日に戻ってきた杉元は再び村を離れ東京の第一師団へ。
なぜ杉元が軍隊に入ったのかという経緯が最終盤に描かれるのも面白い。

結局、杉元は梅子かアシㇼパか、という選択ではなく、
「寅次から託された梅子の世話」に対する結論と、
「金塊争奪戦が終わったらどうするか」という問題に
それぞれ杉元なりの結論をつけた上でのあのラストなんだと解釈。

梅ちゃんに関してはすでに東京で別の男に嫁ぎ、
さらには手術で目も治っていた(と、杉元が思っただけ?)ことから
自分の役目は金塊を渡したことで終わったと解釈。
「金塊争奪戦後の自分」については、
故郷にも梅ちゃんの隣にも自分の居場所はないと感じ、
さらには金塊争奪戦を経た後の自分を肯定できるようになり、
自分が自分らしくいられる場所として北海道という結論が出たということ?
それが結果としてアシㇼパと共にいるということで、
アシㇼパにとっては寂しい解釈だけど、現時点では恋愛感情はなくても
アシㇼパが大人になったら考えるかもね。

終盤、ビール工場でアシㇼパを海賊に奪われ、
杉元が自分を「役立たず」と言った直後に、
これまで散々杉元に「役立たず」と言われてきた白石が助けに来たのは意味深い。
あの時、杉元はアシㇼパを大事な存在だと自覚したのかも。


鯉登音之進
作中最も成長した人物。一番好きなキャラクター。
彼こそ「初登場時にはこんなに重要な役になると思わなかった」。
そしてこんなに思い入れ深く行く末を見守ることになると思わなかった。

鯉登が鶴見に心酔するきっかけになった「鶴見劇場」は自身の誘拐。
それまでの親子の確執が解消され、助けに来てくれた鶴見を親子共に信頼。
あそこで鯉登パパが息子を見捨てていたら、助けに来るのは鶴見だけになり
音之進は父に捨てられたという絶望から鶴見にさらに心酔していたかも。
すがるのではなく健康的な憧れでいられた。
鯉登が尾形や月島のようにならなかったのはパパのおかげ。
お父さんがまともだった、作中ではとても珍しいキャラ。
だからこそ鯉登が月島を救うことができたんだなと納得できる。

序盤はわがままなボンボン(バルチョーナク)だったのに
最終決戦の列車の中で土方に勝利できるほど、
部下や仲間の想いを背負える男になりました。

月島基
先述の鯉登の部下として、そして教育係として付き従う月島。
鶴見と同じ新潟県の佐渡出身で島では有名な問題児だった。
父親殺しで陸軍の監獄に入っていたところを鶴見に救われる。
そのために想い合った女性との将来を捨てたことで
鶴見に心酔し、そして鶴見の夢のために働くしかなくなった。
月島の人生は鯉登と出会うことで大きく変わっていく。
序盤は「もう少し早く生まれていたら戦争にお供できた」と、
戦争の恐ろしさを知らない鯉登を軽んじていた面もあったけど
物語が進むにつれて成長していく鯉登を信頼し、支えていく存在に。
鯉登を信じてついていったことで明るい未来が開けた人。
きっといご草ちゃんとはもう会えないんだろうな。
でもそっと幸せを祈れるようにはなったかもしれない。

他にも

尾形と鯉登
杉元と白石
白石とキロランケ・海賊
尾形とヴァシリ
杉元と菊田
など、気になる関係性がたくさん。
おいおい書いていきます。
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