◎李・酢桃Plum すもも
バラ科スモモ属・サクラ属、中国原産で、日本でも古くから見られます。弥生時代に中国より渡来していたと考えられ、古事記(712年)、万葉集((8C:奈良時代)に「李」としてその名が見られます。 大伴家持が750年ごろの春苑桃李の歌の記載があるようです。
当時は観賞用だったものが、江戸時代には食用としても盛んになり、明治以降になってから栽培が始まっています。耐寒、耐暑性があり日当たりが良くて風通しの良い場所で家庭でも育てやすいといわれていますが、スモモ品種によって多くは1本では結実にくい性質で、受粉樹(じゅふんじゅ)を必要としています。
収穫には、3~4年ほどで樹高3mほどの落葉樹、早春に白い花を咲かせ、6~8月に果実が実り旬です。ボタンキョウ(在来種)、ソルダム、プラム、ビューティ、フォーモーサ、サンタローザなどがあります。そのなかでプラムは、酸が比較的少なく甘みが強いといわれます。
すっぱいもも(酸桃)に由来し名前がつけられたということのようです。
日本のスモモ産地の35%を山梨県で主産地とし他に和歌山、長野、山形などで栽培しています。形は、桃に似ていますが直径3~6cm、重さ30~120g、果皮、果肉の色は半透明で赤紫、黄緑、深紅色とさまざまにあります。日持ちがしないことから最近は減少傾向です。
スモモは真夏の果実ですが、主な品種は早生種の「大石早生」、皮は青くて果肉が赤い「ソルダム」、皮が真紅な「太陽」、桃と同じくらいの大きさがある「貴陽」などがあり、種類によって10月初旬まで収穫しています。
木で完熟して、色の濃いものでは、甘味がありますが、市場に出回るものでは青いうちにもぎ取られているので、酸味が感じられますので、追熟させてから食用にします。
栽培品種の果皮の赤いニホンスモモが、19世紀にはアメリカに渡り品種改良がおこなわれ日本への逆輸入で濃い紫色のプラム(西洋スモモ)と呼ばれています。
スモモは、主に生食していますがペクチンを多く含みジャム、ゼリーに、他缶詰、果実酒、ジュースの加工にも利用しています。糖分は10%~17%、酸はリンゴ酸2%内外を含みます。
◇にほんすももの100g中でエネルギー44kcal、水分88.6g、たんぱく質0.6g、脂質1.0g、炭水化物9.4g、灰分0.4g、ナトリウム1mg、カリウム150mg、カルシウム5mg、マグネシウム5mg、リン14mg、鉄0.2mg、亜鉛0.1mg、銅0.03mg、マンガン0.07mg、ヨウ素0μg、セレン0μg、クロム1μg、モリブデン1μg、ビタミンA:7μg、ビタミンD:(0)μg、ビタミンE:0.6mg、ビタミンK:(0)μg、ビタミンB1:0.02mg、ビタミンB2:0.02mg、ナイアシン0.3mg、ビタミンB6:0.04mg、ビタミンB12:(0)μg、葉酸37μg、パントテン酸0.14mg、ビタミンC4mg、食物繊維1.6g
◇西洋スモモの100g中でエネルギー49kcal、水分86.2g、たんぱく質0.7g、脂質0.1g、炭水化物12.6g、灰分0.4g、ナトリウム1mg、カリウム220mg、カルシウム6mg、マグネシウム7mg、リン14mg、鉄0.2mg、亜鉛0.1mg、銅0.06mg、マンガン0.09mg、ヨウ素-、セレン-、クロム-、モリブデン-、ビタミンA:40μg、ビタミンD:(0)μg、ビタミンE:1.3mg、ビタミンK:(0)μg、ビタミンB1:0.03mg、ビタミンB2:0.03mg、ナイアシン(0.7)mg、ビタミンB6:0.06mg、ビタミンB12:(0)μg、葉酸35μg、パントテン酸0.22mg、ビタミンC4mg、食物繊維1.9g
◇プルーン(乾)の100g中でエネルギー235kcal、水分33.3g、たんぱく質2.5g、脂質0.2g、炭水化物62.4g、灰分1.6g、ナトリウム1mg、カリウム480mg、カルシウム39mg、マグネシウム40mg、リン45mg、鉄1.0mg、亜鉛0.5mg、銅0.30mg、マンガン0.36mg、ヨウ素-μg、セレン-μg、クロム-μg、モリブデン-μg、ビタミンA:110μg、ビタミンD:(0)μg、ビタミンE:1.5mg、ビタミンK:(0)μg、ビタミンB1:0.07mg、ビタミンB2:0.07mg、ナイアシン(2.7)mg、ビタミンB6:0.34mg、ビタミンB12:(0)μg、葉酸3μg、パントテン酸0.32mg、ビタミンC0mg、食物繊維7.2g
を含みます。
カリフォルニアで、「日本スモモ」と「西洋スモモ」の交配もおこなわれ、世界へと拡がりを見せています。「ソルダム」、「サンタローザ」、「ビューティー」など品種改良によって誕生したスモモは再び日本に逆輸入です。酸味、甘味、果皮の色、サイズもいろいろに品種を増やしています。
プラムを乾燥させたプルーン(主にプラム[西洋スモモ]の乾燥品)は、欧州、カルフォルニアを主産地としヘルシーフルーツとしビタミンA、E、ミネラル、食物繊維を多く含み注目度が高いドライフルーツといえるでしょう。日本では最近になってプラムは、健康果実として生食での利用の消費がふえています。色素は、シアニジン系(赤色・アントシアニン)、カロテンによるものです。
プルーンPrune発祥の地は、西アジアの黒海とカスピ海にはさまれたコーカサス地方といわれ、プルーンになる原種プラムは西洋スモモの一種としています。
原種のプルーンの木は、高さが3~8mの落葉樹、花は白い花で、4月の上旬頃咲き、果実は6月下旬から7月上旬にかけて熟します。 植樹してから4~6年で実がなり始め、 8年から12年で成熟します。その後30年間は良質の果実を生み続けるという、大地の恵みのような果物です。
果実は直径3cm、肉質が蜜で、乾果に適した品種として原種で別名ヨーロッパスモモ、西洋すももともいわれ栽培しています。定義から、プルーンは乾燥したプラムをいいます。プルーンはプラムからできるが、プラムすべてプルーンにはならないのです。乾燥させても腐敗しない、発酵しないプラムだけがプルーンとなるといわれています。
乾燥プルーンが隊商の携帯食として西に渡り、南ヨーロッパ、西ヨーロッパ及びバルカン半島地域に伝わったのが今から2000年ほど前のことといわれています。
プルーンは、ヨーロッパの移民とともに新大陸発見でアメリカ大陸にもたらされたのです。
1856年、フランス人のルイ・ペリエ(1817-1872)がカリフォルニアにプルーンを移植、その後、日本スモモなどと共に品種改良を繰り返してアメリカでの栽培が盛んになります。種が小さく歯ごたえのある、天然の甘味で外皮は紫色で、果肉は琥珀色になります。
近年では、アメリカ合衆国のカリフォルニアプルーンは、全世界では2018年 現在で、プルーン生産量の41%を占めています。
日本にプルーン(西洋スモモの乾燥品)が伝えられたのは、明治(1868年~1912年)初期でプルーンにできるのプラム木は多雨な日本では生育が難しく、6~7月の収穫期に梅雨を迎える日本においては不向きでした。日本ではごく一部の地域のみで主に生食用で60~70%が長野県、他に青森県、北海道栽培、加工しています。
プルーンの世界の生産量の多くがアメリカで産出量の80%を占めるといわれカリフォルニアプルーンは南フランスを原産地とし熟した時は、外皮は綺麗な紫色、果肉は琥珀色になります。殆どが乾燥果実とし加工に向けられます。プルーンにできるプラムなのですが日本では主に長野県で栽培し多くが生食用として市場に出荷しています。5月に白い花を咲かせ、7月下旬より9月頃まで50gほどになり収穫し旬です。多汁で甘みと酸味が程よく生食、乾果のほか、ジャム、濃縮エキス、ジュースなどにも利用しています。果皮表面の白い粉は、ブルーム(果粉:かふん)といい新鮮さを保つ働きをする。
ビタミンA効力(生40μg/100g中、乾110μg/100g中:可食量20~30g)、ビタミンE(生1.3mg/100g中、乾1.5mg/100g中)、ミネラル、食物繊維(生1.9g・乾7.2g/100g中)を多く取ることができます。鉄分は(生0.2mg・乾1.0mg/100g中)でレーズン2.3mg/100g中)、なつめ(デーツ:乾1.5gm/100g中)より少ない傾向です。ソルビトール(甘味度砂糖の60%)の多いフルーツとしてよく知られます。
バラ科Rosaceae ばらか
APG分類体系Ⅲ(2009年公表)/目・科名一覧. APG(Angiosperm Phylogeny Group)により植物学的に分類すると植物界Plantae、被子植物Angiosperms、真正双子葉類Eudicots、バラ類Rosids、バラ目 Rosales(9科:バラ科、クロウメモドキ科、グミ科、ニレ科、アサ科、くわ科、イラクサ科、バルベヤ科、ディラクマ科)、バラ科 Rosaceae(90属2520種ほど)としています。
形態的特徴による旧分類(新エングラー体系、クロンキスト体系)と分子系統学に基づくAPG植物分類体系とで内容が異なる植物としているものがあるようです。
北半球の温帯を中心に、ほぼ世界中に分布し草本・木本の低木から高木まで露地ものの開花期3月~4月、収穫期6月~7月、収穫時期4月~10月と幅広くあります。
食用に、梅、杏、枇杷、さくらんぼ、すもも、梨、木苺類(ナワシロイチゴ、カジイチゴ、ベニバナイチゴ、ラズベリー、ブラックベリー)、マルメロ、桃、りんご、アーモンド、飲用とする甜茶などです。
プルーンエキスとした製品が宇宙日本食「プルーンエキストラクト」として、宇宙食としても活躍しているようです。
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