・世界五大健康食品The world's five health foods せかいごだいけんこうしょくひん
世界5大健康食品として2006年3月にアメリカ合衆国の健康専門月刊誌ヘルスによる世界の5大健康食品の発表です。
スペインのオリーブ油、日本の大豆、ギリシャのヨーグルト、インドのダール(豆料理)、大韓民国のキムチの5品目を選出しています。
どのような経緯から選ばれたのでしょうか。
◇スペインのオリーブ油
スペインSpainは、ヨーロッパ南西部のイベリア半島に位置し、半島の大部分を占めています。西にポルトガル、南にイギリス領ジブラルタル、北東にフランスに囲まれた国境を接します。
飛地のセウタ、メリリャが存在し本土以外に、西地中海のバレアレス諸島、大西洋のカナリア諸島、北アフリカのセウタとメリリャ、アルボラン海のアルボラン島を領有して首都はマドリードです。
オリーブ油は、酸化しにくいオレイン酸が多く、固まりにくい性質を持つ不乾性油です。オリーブの語源となる語は、 ギリシャ語「elaifa」やラテン語「oliva」で油を意味し神話に伝わるオリーブの由来としては、平和と結び付けられ海の神ポセイドンと知性の女神アテネの伝説がよく伝わっています。
オリーブの生産量は、2018年でスペインが最も多く、イタリア、モロッコ、トルコ、ギリシャ、シリア、アルジェリア、チュニジアなどと気候の温暖な地中海周辺の地域に集中しています。
これらの地方では単に油といえばオリーブ・オイルをさすことが多いようです。2018年代の収穫量はスペイン9,819,569トン、イタリア1,877,222トン、ギリシャが主産地としてあげられています。
日本では小豆島(しょうどしま)が知られます。
平成29年(2017年)産の特産果樹生産動態等調査で、香川県は514.9tと全国シェアの94.8%を占め1位です。
オリーブ栽培は地中海沿岸で紀元前数前年前よりオリーブ・オイルを絞っていたとみられています。
オリーブのよく育つ環境はワイン用のブドウ(特にシラーやカベルネ種)が育つ環境と非常に似て風土や苗・製造方法、生産者の嗜好などにより、色や味に個性が出るといわれています。
種由来の油(シードオイル)とは異なり、オリーブは果実にオイル分を含みます。
果汁から遠心分離などによって直接得られた油をヴァージン・オイルと呼び、その中でも果汁としての香りが良好で油としての品質も高いものを特にエクストラ・ヴァージン・オイルと呼びます。
オリーブオイルの主成分である一価不飽和脂肪酸オレイン酸が、腸を刺激して排便を促します。オレイン酸が小腸などで消化吸収されにくいという特徴があるためであり、またオリーブオイルによって、便が適度に油分を含むので、便の滑りが良くなることも便秘解消につながっています。
不乾性油で料理ではサラダ、揚げ物、マリネなどに広範囲に利用されています。脂肪酸組成は、オレイン酸70%(不飽和脂肪酸、LDL(悪玉)コレステロール低下作用)、リノール酸10%(必須脂肪酸).パルミチン酸8%.ステアリン酸2%程度を含みます。オレイン酸以外にも天然の成分からの抗酸化作用が認められ香りもよく利用の範囲が広く用いられています。
植物性スクワラン(皮膚への浸透性が高く優れた殺菌力)0.5%、ビタミンA(30μg/100g中)の含有量が多いのです。
オリーブオイル100g中
エネルギー921kcal、タンパク質0g、脂質100g、炭水化物0g、灰分0g、ナトリウムTrmg、カリウム0mg、カルシウムTrmg、マグネシウム0mg、リン0mg、鉄0mg、亜鉛0mg、銅0mg、マンガン0mg、ビタミンA効力:30μg、ビタミンD:(0)μg、ビタミンE:7.6mg、ビタミンK:42μg、ビタミンB1:0mg、ビタミンB2:0mg、ナイアシン0mg、ビタミンB6:(0)mg、ビタミンB12:(0)μg、葉酸(0)μg、パントテン酸(0)mg、ビタミンC(0)mg 食物繊維0gを含んでいます。
◇日本の大豆
大豆の原産地は、中国ですが現在の主産地はアメリカ(タンパク質33.0%,脂質21.7%)で主に油の採取用が多く日本では約95%を輸入に頼っています。温帯地域の夏季高温、湿地に適し、耐霜(たいそう)性が強く、あまり地質を選びません。
日本の主産地は北海道が主で、国産は、脂質(19.0%)が少なくタンパク質(35.3%)が多い傾向にあります。
大豆に含まれるタンパク質の85%内外がグロブリンGlobulin(グリシニンGlycinin75%:抗酸化作用)でありアルカリ性、中性の塩類に溶け、熱で凝固する特長を持つことから大豆の利用範囲が多くなっています。発酵食品の納豆もあります。
欧米人と比較し7~10倍高く、日本人の大豆の摂取量は15g/1日ぐらいでイソフラボン(骨粗しょう症予防)の量は欧米人と比較し高く、20~40mg/1日程度摂取です。
大豆(水煮缶)100g中 エネルギー140kcal 水分71.2g 蛋白質12.9g(イソロイシン650mg・ロイシン1100mg・リシン870mg・含硫アミノ酸【メチオニン190mg・シスチン210mg】・芳香族アミノ酸【フェニルアラニン740mg・チロシン530mg】・トレオニン580mg・トリプトファン190mg・バリン690mg・ヒスチジン380mg・アルギニン1000mg・アラニン600mg・アスパラギン酸1700mg・グルタミン酸2500mg・グリシン600mg・プロリン750mg・セリン760mg・ヒドロキシプロリン-・アミノ酸合計14000mg・アンモニア290mg)、
脂質6.7g 炭水化物7.7g 灰分1.0g Na210mg K250mg Ca100mg Mg55mg P170mg Fe1.8mg Zn1.1mg 銅0.28mg マンガン0.84mg カロテン0μg(V.A効力(0)μg) V.D(0) V.E(αトコフェロール0.5mg) V.K5μg VB1:0.01mg VB2:0.02mg ナイアシン3.3mg VB6:0.01mg V12:(0) 葉酸11μg パントテン酸0mg VC:Tr 食物繊維6.8gを含みます。
まさに大豆製品は、戦後60年の食生活を見直すべき食品として賞賛されるべきでしょう。特に納豆については、
納豆100g中 エネルギー200kcal 水分59.5g 蛋白質16.5g(イソロイシン760mg・ロイシン1300mg・リシン1100mg・含硫アミノ酸【メチオニン260mg・シスチン320mg】・芳香族アミノ酸【フェニルアラニン870mg・チロシン680mg】・トレオニン620mg・トリプトファン240mg・バリン830mg・ヒスチジン480mg・アルギニン940mg・アラニン680mg・アスパラギン酸1800mg・グルタミン酸3200mg・グリシン680mg・プロリン900mg・セリン720mg・ヒドロキシプロリン-・アミノ酸合計16000mg・アンモニア450mg)、
脂質10.0g 炭水化物12.1g 灰分1.9g Na2mg K660mg Ca90mg Mg100mg P190mg Fe3.3mg Zn1.9mg 銅0.61mg マンガン-mg(未収載) カロテン0μg(V.A効力(0)μg) V.D(0) V.E1.2mg V.K870μg VB1:0.07mg VB2:0.56mg ナイアシン1.1mg VB6:0.24mg V12:Tr 葉酸120μg パントテン酸3.60mg VC:Tr 脂肪酸(飽和1.39g 一価不飽和1.74g 多価不飽和5.65g) 食物繊維6.7gを含みます。
高度成長によって欧米型の肉食中心の食事からもたらされた弊害から救ってくれようとしています。
◇ギリシャのヨーグルト
ギリシャは、ヨーロッパの南東、バルカン半島最南端部に位置し半島南部およびエーゲ海を中心に存在する、およそ国の20%にも及ぶ3,000もの島から構成しています。古代文明、近代オリンピック発祥の地でもあり 日本の1/3程度の大きさですがヨーロッパ、アフリカ、アジアの歴史に大きな影響を与えています。
ほぼ全土が地中海性気候に区分し温暖で湿潤な冬季と乾燥し高温の夏季にはっきり分かれています。首都アテネの平均気温は、冬季の1月が10.1℃、夏季の7月で28.0℃です。
年平均降水量は同じ地中海性気候に分類されるローマの約1/2と少なくなっています。なお、最北部は山岳地帯であり、冬季に気温が下がる温暖湿潤気候に分類しています。農業ではオリーブが世界第3位の生産量です。
ヨーグルトYoghurtは、バルカン半島、中近東で紀元前より保存食品として作られ牛、やぎ、羊の乳を発酵させた発酵乳のことです。
ヨーグルトと言うとブルガリアBulgaria(酸味がある)、カスピ海ヨーグルト(酸味がない)のイメージがありますがギリシャも有名です。
ヨーグルトを常用していたギリシアの北部に位置する、ソ連との関係の深かったブルガリアBulgariaに長寿の人が多いことからソ連のメチニコフMechnikovによって20世紀初頭に論じられ世界中でヨーグルトの有用性が認められていくようになりました。
ギリシャヨーグルト(グリークヨーグルトGreek Yogurt)とはヨーグルトを作る時、発酵の過程で伝統の技法で水切りをしているヨーグルトなのだそうです。
ギリシャヨーグルトは、簡単に言うと要はヨーグルトからホエーを取り除いて濃縮したものと考えられます。
牧畜文化に数世紀の伝統があるギリシャ伝来のギリシャヨーグルトがじわじわと日本でも人気を集めている様子です。
日本人のヨーグルト摂取量は1日に平均 20gと欧米諸国では平均80gです。発酵によって乳蛋白質、カルシュウムが吸収されやすい状態となり、乳酸菌がビタミンB群を作りだします。
乳酸菌が腸内の腐敗菌を抑制、整腸作用があることが認められ腸の粘膜を強くし、免疫力を高め花粉症の症状を和らげ、胃潰瘍の原因とされるピロリ菌を減少させ、感染症の予防に役立っています。
全脂無糖100g中でエネルギー62kcal、水分87.7g、タンパク質3.6g、脂質3.0g、炭水化物4.9g、灰分0.8g、ナトリウム48mg、カリウム170mg、カルシウム120mg、マグネシウム12mg、リン100mg、鉄Trmg、亜鉛0.4mg、銅0.01mg、マンガンTrmg、ビタミンA効力:33μg、ビタミンD:0μg、ビタミンE:0.1mg、ビタミンK:1μg、ビタミンB1:0.04mg、ビタミンB2:0.14mg、ナイアシン0.1mg、ビタミンB6:0.04mg、ビタミンB12:0.1μg、葉酸11μg、パントテン酸0.49mg、ビタミンC1mg、コレステロール12mg、食塩相当量0.1gを含みます。
◇インドIndienのダール(豆料理)
ダールはヒンディー語で、緑豆、チャナダール(ひよこまめ)、エンドウマメ、レンズ豆など豆類の総称であり、豆そのものはもちろん、ペースト状、お粥状、スープ状のもの、豆をひき割りにしたものやこれに香辛料を加えて作られています。
ダルカレーともいわれてインド家庭料理の定番で1日3食のうち1食は、必ずチャパティ、白いご飯とともに豆カレーを食べるといいます。
玉ねぎ、人参、トマト、レンズ豆、ニンニク、生姜、ターメリック、唐辛子などの香辛料が使われています。
カレーの本場インドでは各家庭でスパイスをブレンドして、オリジナルのカレーが作られているようです。香辛料をたくさん使ったカレーは、インドの暑い地域でよく食べられており、特有の香りで食欲を増進させています。
そこに使われているスパイス(香辛料)はどのようなものがあるのでしょう。
カレー粉Curry powderのスパイスの代表的なものとしてオールスパイス・ナツメグ(メース)・ローリエ・にんにく・カルダモン・クミン・コショウ(黒、白)・シナモン・ターメリック・フェンネル・コリアンダー(コエンドロ)・スターアニス・カイエン(唐辛子)・クローブなどが使われています。
市販では粉末にしたものがあるようです。
その元気の源となる香辛料には、それぞれに生理作用があり、健康維持に役立っているのです。
◇大韓民国のキムチ
お隣の国、韓国のキムチです。
キムチとは、朝鮮における伝統的漬物のことであり、冷蔵庫の普及で低濃度2%での漬物ができるようになり保存食として、人気があります。
大別するとペチュキムチ系、ムル(トンチミー)系に大別しています。
最も多く作られているのがペチュ(白菜)キムチ系で、塩で浅漬けした白菜の葉の間に野菜(人参、大根、長葱、せりなど)の千切り、ニンニク、生姜、りんごのすりおろし、唐辛子粉、アミの塩辛、いか、えび、かき、ホタテのひもなどをよく塩もみし薬念(やんにょむ)、薬味としはさみ込み魚醤油で漬け込んであります。
晩秋からのは、貯蔵漬けとし乳酸発酵し旨みを増しています。
同様にして他にカクテキ(大根)キムチ、オイ(きゅうり)キムチなどを代表としてさまざまの野菜、魚介類の漬けこみがおこなわれています。
ムル(水)キムチ系は、主に朝鮮冷麺の汁につかわれていてスープキムチといわれ、野菜をキムチ漬けした汁を薄めたものでその野菜も一緒に食べるというものです。暖かいご飯にかけたりもします。
旨さの秘密は、薬念(やんにょむ)の、野菜の千切り、ニンニク、生姜、りんごのすりおろし、唐辛子粉、アミの塩辛、いか、えび、かき、ホタテのひも(タウリン)などが入り、食欲を増進させ発汗、さらに乳酸発酵で疲労回復、抗菌作用をもちそれぞれ体内で有効に作用しています。
オリーブオイルのオレイン酸、日本の大豆のたんぱく質、濃厚なギリシャのヨーグルト、キムチの発酵食品、インドのダールカレーと、どれも現在の食生活で積極的に摂取してほしい食材が、世界五大健康食品としてあげられていました。
世界五大健康食品といえども、五大栄養素(炭水化物・蛋白質・脂質・ミネラル・ビタミン)のバランスは常に意識した食事としましょう。これらは、不足気味の栄養素を補ってくれる食材、料理といえるでしょう。
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