・アミノ酸の摂取の仕方How to take amino acids/Amino acid intake あみのさんのせっしゅのしかた
人体を構成するアミノ酸は、20種程度で、アミノ酸には食事から摂取する必要がある9種類の「必須アミノ酸」と、それ以外の体で作ることができる「非必須アミノ酸」があります。それぞれのアミノ酸には、それぞれの特有の性質があり食材を組み合わせて摂取することが大切です。
ヒトだけでなく、細菌やウイルスを含めたさまざまな生き物のタンパク質は、20種類のアミノ酸で構成しているのです。反対に、20種類のアミノ酸が1つでも欠けるとタンパク質を合成できません。
1]イソロイシン
欠乏により貧血、低蛋白血症。筋力に働く・神経機能調整、苦みがある。バリン、ロイシンとともに分岐鎖アミノ酸といわれる。
まぐろ赤身、とり胸肉皮なし、プロセスチーズなどの食品に多く含む。
2]ロイシン
欠乏により低蛋白血症。筋力に働き苦みがある。
赤身の蓄肉、魚肉、チーズ、卵、大豆製品に多く含む。
3]リジン(リシン)
欠乏により貧血、突然死。疲労回復・免疫力強化・体脂肪の燃焼に働き苦みがある。
動物性蛋白質に2~10%と多く含まれ植物性食品に少なく、穀類中心の食生活で不足、欠乏しやすい。
4〕メチオニン
欠乏により貧血、低蛋白血症、脱毛、出血性腎、脂肪肝、肝硬変。
体脂肪の燃焼・肝機能強化に働き、味は苦い。穀類、動物性食品に多く含む。
5]フェニルアラニン
欠乏は不明。脳の活性化に関与する。味は微かな苦味を感じる。
多くの食材の蛋白質中に存在する。
6]スレオニン(トレオニン)
欠乏により浮腫。甘みがあり動物性タンパク質に多く含まれる。精白米に不足の必須アミノ酸としリジンとともにスレオニンの2種がある。
7]トリプトファン
欠乏により白内症、脱毛、歯牙(しが)発育不良。とうもろこしを主食とする民族に見られたペラグラ(皮膚炎・胃腸障害・精神神経症状)は、トリプトファンが不足して、ナイアシン(ニコチン酸)の生成ができなかったことによるものといわれる。神経機能調整に働く。苦みがありおよそ動物性タンパク質に1.4%、植物性タンパク質に1.0%含むとして計算している。
8]バリン
欠乏により運動機能不全。筋力に働く分岐鎖アミノ酸のひとつ。少しの苦味と甘味があり。
殆ど全ての食品に含まれ、動物性食品、米ではアミノ酸バランスがよく含む。
9]ヒスチジン(準必須アミノ酸)
欠乏により白内症。血流改善・食欲抑制作用・エネルギー代謝に関与する。グルタミン酸より供給できる。乳幼児では、窒素平衡が保てなく必須アミノ酸としている。
かすかな苦味、酸味を感じる白身魚に少なく赤身(かつお、まぐろ、さばなど)の表層回遊魚に多くなっている。
10]アルギニン(準必須アミノ酸)
欠乏は不明。筋力に働く・疲労回復・体脂肪の燃焼に関与している。成人の体内でグルタミン酸から合成されるが乳幼児では十分に合成できない。
乳幼児では、窒素平衡が保てなく必須アミノ酸としている。旨みのある微かに苦味を感じられ魚の白子、穀類に多く含まれる。
非必須アミノ酸
11]アラニン:生体内ではピルビン酸にアラニントランスアミナーゼの作用を受けて グルタミン酸よりアミノ基が転移されて生合成する。肝機能改善・糖質代謝・体脂肪の燃焼に関与、甘味があるアミノ酸。
12]アスパラギン酸:生体内では炭素連鎖は糖の代謝生成物に起源を持つ。 オキザロ酢酸にグルタミン酸よりアミノ基が転移されて生合成される。疲労回復によく発芽植物に多い。少し旨みがある。
13]アスパラギン:エネルギー生産に関与1806年アスパラガスより発見している。1932年麻の実のタンパク質より分離の無味のアミノ酸。
14]グルタミン:生体内では炭素連鎖は糖の代謝生成物に起源を持つ。 グルタミン酸とアンモニアからなりグルタミナーゼによる分解(脱アミド)によりグルタミンよりグルタミン酸を生成する。人体に最も多く存在する非必須アミノ酸で血液中に放出され筋肉(アミノ酸の約60%)のタンパク質合成の促進、胃や小腸などの消化器の機能維持や構造を保つための主要なエネルギー源となる。
非必須アミノ酸のなかで最も成長効果が大きく、発芽植物、肉(牛・豚・鶏など)や、魚、卵などに多く含み旨みがあるが、加熱、酢など酸を加えると変成する。
アラニン、ヒスチジン、アルギニンなどの数種のアミノ酸の生成に関係している。
15]グリシン:スレオニンから供給できる。保湿・体脂肪の燃焼・睡眠の質の改善に関与する甘みが感じられる。
16]セリン:スレオニンから供給される。脳の活性化・免疫機能の強化に働く微かに甘みのあるアミノ酸。
17]シスチン(システィン):メチオニンからイソクエン酸より生ずるグリオキザール酸から、イオウ部分はメチオニンから供給される含硫アミノ酸。シスチンは水に溶けにくく、システィンは水に溶けやすく酸化によりシスチンとなる。
有害物質の排泄・酵素、ホルモンを活性化させる。
18]チロシン:フェニールアラニンに由来する。脳の活性化・神経機能調整にはたらき、味は微かに苦味があり無味に近い。
19]グルタミン酸:ドイツで1866年小麦のグルテンから分離されたアミノ酸で、種子からの発芽植物に多く見られ、小麦、とうもろこし、大豆のタンパク質にグルタミンの形でほとんどすべての動植物食品に存在する。
加水分解で旨みのあるグルタミン酸を生じ必須アミノ酸以外のアミノ酸は、体内で摂取された食物より合成するがそのときに多くがグルタミン酸が必要であり大切な位置を占める。
小麦、トウモロコシなど、さらにでん粉とアンモニアを原料として大量生産している。昆布、醤油の旨み成分でもありいわゆる旨み調味料として出回る。神経伝達物質として知られる。
20]プロリン:グルタミン酸より供給され体脂肪の燃焼に関与している甘味があるアミノ酸(イミノ酸)として存在する。
米のたんぱく質はリジンという必須アミノ酸が少なく、アミノ酸スコアは、精白米65、大豆100、豚肉100で、ほとんどの動物性食品(肉・魚・卵)は、必須アミノ酸の割合を満たしています。
献立において日本の古くからの食生活で米と大豆を組み合わせて食べ、ご飯と納豆、豆腐、味噌汁といった組み合わせは、アミノ酸のバランスからみて、理想的であったのです。
納豆100g中でエネルギー200kcal、水分59.5g、
タンパク質16.5g(イソロイシン760mg・ロイシン1300mg・リシン1100mg・含硫アミノ酸【メチオニン260mg・シスチン320mg】・芳香族アミノ酸【フェニルアラニン870mg・チロシン680mg】・トレオニン620mg・トリプトファン240mg・バリン830mg・ヒスチジン480mg・アルギニン940mg・
アラニン680mg・アスパラギン酸1800mg・グルタミン酸3200mg・グリシン680mg・プロリン900mg・セリン720mg・ヒドロキシプロリン-・アミノ酸合計16000mg・アンモニア450mg)、
脂質10.0g、炭水化物12.1g、灰分1.9g、ナトリウム2mg、カリウム660mg、カルシウム90mg、マグネシウム100mg、リン190mg、鉄3.3mg、亜鉛1.9mg、銅0.61mg、マンガン-mg、ビタミンA効力:(0)μg、ビタミンD:(0)μg、ビタミンE:1.1mg、ビタミンK:600μg、ビタミンB1:0.07mg、ビタミンB2:0.56mg、ナイアシン5.2mg、ビタミンB6:0.24mg、ビタミンB12:Trμg、葉酸120μg、パントテン酸3.60mg、ビタミンCtrmg 食物繊維6.7gを含む。
黄大豆水煮缶詰100g中でエネルギー140kcal、水分71.7g、
タンパク質12.9g(イソロイシン650mg・ロイシン1100mg・リシン870mg・含硫アミノ酸【メチオニン190mg・シスチン210mg】・芳香族アミノ酸【フェニルアラニン740mg・チロシン530mg】・トレオニン580mg・トリプトファン190mg・バリン690mg・ヒスチジン380mg・アルギニン1000mg・
アラニン600mg・アスパラギン酸1700mg・グルタミン酸2500mg・グリシン600mg・プロリン750mg・セリン760mg・ヒドロキシプロリン-・アミノ酸合計14000mg・アンモニア290mg)、
脂質6.7g、炭水化物7.7g、灰分1.0g、ナトリウム210mg、カリウム250mg、カルシウム100mg、マグネシウム55mg、リン170mg、鉄1.8mg、亜鉛1.1mg、銅0.28mg、マンガン0.84mg、ビタミンA効力:(0)μg、ビタミンD:(0)μg、ビタミンE:1.1mg、ビタミンK:5μg、ビタミンB1:0.01mg、ビタミンB2:0.02mg、ナイアシン0.1mg、ビタミンB6:0.01mg、ビタミンB12:(0)μg、葉酸11μg、パントテン酸0mg、ビタミンCTrmg 食物繊維6.8gを含む。
食材は、それぞれ異なるバランスのアミノ酸の種類を持っています。食品の種類によりアミノ酸のバランスが異なり、卵、乳・乳製品、魚、豆・豆製品、蓄鶏肉といった違う食材を様々に食卓に取り入れることが大切です。
たんぱく質を生合成する時には、素材となるアミノ酸が同時にすべて存在することが必要であり、3~4時間後に欠けていた必須アミノ酸を補ってもあまり役立たないことが知られています。
さらに炭水化物(糖質)を体内で使い切るには大豆製品などに多いビタミンB1が、脂質の代謝には乳製品などに多く含まれるビタミンB2が、たんぱく質の代謝にはビタミンB6が欠かせません。
ビタミンB6はささみやサケ、マグロ、青魚類などに多く含まれているので、これらを意識して食べていれば通常はほとんど不足することはありませんが、食事の際はさまざまな食材を取り入れられるように工夫してみましょう。
高齢期におけるこの筋肉の減少は、「サルコペニア」と呼ばれ、外出する頻度が低くなったり、転倒や骨折のリスクが増えることなどにつながりやすくなります。
サルコペニアは、QOL(クオリティオブライフ;生活の質)の低下を防ぐという点からも、重要視しています。高齢者においても動物性のタ ンパク質を摂るほうがよいのです。
魚類のタンパク質には、筋肉のうち速筋を増 強する作用があるという報告があります。大豆タンパクや小麦タンパクは、血中コレステロールを低下 させるという研究報告があります。
一般に多くの植物では、不可欠アミノ酸のリジンの含有量が少なく、米は小麦に比べリジンを多く含みます。リジンは豆類に多く、ふるくからのご飯と味噌汁(大豆製品)の食事は、良かったことになります。
大豆、卵、鶏肉、鮭、牛乳などのアミノ酸スコアは100です。主食の米は82、小麦は50です。穀類は必須アミノ酸のリジンが不足していますが、動物性食品などと一緒にとることで、アミノ酸スコアを高められます。
グルタミンは筋肉の約60%程度を占めるアミノ酸です。たんぱく質は、そのままでは体内で吸収できず、消化酵素の働きにより約3~4時間かけてアミノ酸に分解された後、腸で吸収されます。
2015年より食事摂取基準からコレステロールの上限の目標量がなくなって、個々のタンパク質の健康作用のみならず、食事のタンパク質摂取量と筋肉、骨の強さに相関があるとの報告です。
BCAA(Branched Chain Amino Acid:分岐鎖アミノ酸)を、 運動の後に摂取することで疲労抑制作用があることが知られています。BCAA(バリン2~4、ロイシン1、イソロイシン1)は筋肉に多く含む成分で、動物性食品・赤身の肉とマグロの赤身・大豆食品を米と共に摂るのことにより筋肉のたんぱく質を作り出しやすく、持続する働きがあるといいます。サルコペニアを防ぐ上で有用性を明らかにしています。
筋肉の働きを助けるカルノシン(アラニン・ヒスチジン)、運動能力を増強するカルニチン(メチオニン・リジン)もありました。アミノ酸(タンパク質)は筋肉の材料と共に、エネルギー源でもあります。
アミノ酸単体で摂るよりも様々な栄養素と一緒に、バランス良く身体に入れてあげることが大切です。とくに果物等に多く含まれるビタミンCと一緒に摂ると、コラーゲンの生成を促進します。かぼちゃやアーモンド等に多く含まれるビタミンEと一緒に摂ると、血行促進効果が期待できるとしています。毎日の食事は偏りすぎるのではなく、バランスが大切ですね。
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