絵葉書ロマン譚 絵葉書資料館ブログ

絵葉書を通して、古き良き時代にタイムスリップ

加藤まさを~夢とロマンの世界~

2014-07-05 13:41:06 | 企画展
“かわいい”という言葉には可哀想という意味もあるそうです。
小さく儚い様、触れれば
はらはらと崩れてしまいそうな脆いもの。
加藤まさをの描くかわいい世界は、
常にどこか憂いを漂わせております。
まさを始め、多くの叙情画は
少女たちから熱狂的受け入れられました。
未来に対する不安や憧れ、
幸せな女学生時代から大人の階段を悩みながら一歩ずつ進む。
そんな乙女たちの繊細な心を、
挿絵の姿を借りて、たくみに捉えていたからでしょう。





春の夜の夢



大正時代は世情不安から新しい価値観、
思想がもとめられました。
そして女性の権利について進歩的な考えを持つ、
新しい女性たちが登場したのです。
当時は良妻賢母の教育が普及していた時代なので、
男と同じように髪を切り仕事をする女性はとても奇抜な存在。
そのため世間から不良のように扱われました。
モダンガールを振る舞うことは、
それだけ勇気のいることだったのです。





雪だるま


彼女たちは新聞や雑誌に度々特集され、注目の的でした。
少女雑誌の読者たちも、
少なからず衝撃を受けたはずです。
乙女にとって大人の女性になることは
大きな問題だったでしょう。
新しい思想に同調し働くか、
しきたり通り結婚をすべきか…




X'mas Eve


ほとんどの少女は、
女学校卒業後に結婚して家庭に入りました。
自由に友人と語らい、
遊ぶことのできる少女時代はほんの短い間のみです。
悩み多き青春の僅かな時間は、
切なさゆえに複雑な輝きを放ちます。
まさをの描く夢想の世界に、
乙女たちは自身を重ねて見ていたのかもしれません。






次回も素敵な絵葉書を紹介します。
お楽しみに!






次回は8月8日の予定です


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