絵葉書ロマン譚 絵葉書資料館ブログ

絵葉書を通して、古き良き時代にタイムスリップ

ミュシャとスラブ叙事詩~芸術家生涯の集大成~

2013-06-07 14:00:02 | 企画展
商業デザインは広く親しまれるその反面、
サブカルチャーとして見られます。
そのため油彩や彫刻などの芸術と、
線引きされる傾向がありました。
ミュシャを有名にしたのはポスターですが、
彼も芸術家として油彩による表現を望んでおりました。




Memory of Ivacice
1909



万国博覧会にて請け負ったパビリオン製作の仕事をきっかけに、
ミュシャは自身のルーツ、アイデンティティーが
どこにあるのか見つめ直します。
そして行きついた先は、祖国チェコに対する
熱い思いと故郷の発展への願いでした。
彼は訪米をへて創作意欲を燃やし、
愛国心と使命を携えて故郷に戻りました。
そして計20点の超大作「スラブ叙事詩」を製作します。
スラブ民族の歴史をつづったこの連作は、
芸術家アルフォンス・ミュシャの人生の集大成でした。




Jubilee Festival
1928



完成された作品はプラハ市民会館に展示される予定でしたが、
チェコスロバキア共和国の成立によって大きく変更されることとなります。
「スラブ叙事詩」のテーマは、共産党主義社会にそぐわないものとして、
彼の生地近くのモラルフスキー・クルムロフの古城に収められ、
長い間日の目を見ることが叶いませんでした。

しかしその後1989年の「ビロード革命」を経て、
ソビエト連邦の崩壊を機に再び脚光を浴びるようになります。




Slav Epopej
1928


チェコとスロバキアがそれぞれ独立国家となった現在、
壮大な歴史絵画「スラブ叙事詩」は古城にて一般公開されております。





次回も素敵な絵葉書を紹介します。
お楽しみに!






次回は7月5日の予定です