絵葉書ロマン譚 絵葉書資料館ブログ

絵葉書を通して、古き良き時代にタイムスリップ

蕗谷虹児~大正・昭和絵葉書名作品集③~

2010-09-03 14:00:02 | 大正ロマン
華やかでありながらどこか切なく、繊細な乙女心を描いた抒情画。
感傷的な余韻を残す懐かしくもロマンチックなイラストを、
抒情画と蕗谷虹児が名付けました。



蕗谷虹児は幼い頃から絵を描くことに関心を寄せ、
貧しい家庭でありながらも努力して才能を開花させていきました。
十四歳に日本画の尾竹竹波に弟子入りし、日本画を学びました。
その後様々な苦労を経て腕を磨き、ひたすら画家への道を邁進したのです。





建設を描く
平和堂上方屋




挿絵画を始めるきっかけになったのは、竹久夢二の紹介でした。
竹久夢二は持ち込まれた絵を見て才能を見出し、
『少女画報』の仕事を紹介しました。
そして彼の描いた挿絵が人気を呼び、
挿絵画家として時代の寵児となりました。

蕗谷虹児は狭い部屋で弟たちにアシスタントを
してもらいながら次々絵を発表しました。
彼の描く女性たちにはシャープで都会的な香りを放ち、
華奢でありながら洗練された美しさがありました。





焼土に立つ
平和堂上方屋 




その新しい感覚は若い読者に受け、
彼は少女たちが夢見る憧れの存在になっていったのです。
出版社に次々届いたファンレターの数や、
本格絵画の批評を主とする新聞に月評が取り上げられたことなどから、
当時の彼の人気を推し量ることができます。
また彼は絵だけでなく詩才にも恵まれ、詩集も数多く発表しました。
そのような実績から多彩な才能を伺い知ることができます。






復興の女神
平和堂上方屋




今回ご紹介しました「災害絵はがき」シリーズは、
災害の嘆きと祈りを表現しながらも、アールデコのモダンな美が漂います。
硬質でありながら上品さを感じさせる作品からは、
彼の高いセンスを感じることができますね。



次回も素敵な絵葉書を紹介します。
お楽しみに!



次回は10月1日です