絵葉書ロマン譚 絵葉書資料館ブログ

絵葉書を通して、古き良き時代にタイムスリップ

シルエットロマン絵葉書展3 ~日本の影絵芸術~

2008-10-24 12:45:44 | 企画展

23日よりシルエットロマン展が開催されました。
展示されている絵葉書はどれもあたたかみがある、
素敵なシルエットのデザインばかりで、
まるでおとぎ話から飛び出したようです。



今回は日本の影絵のお話です。
日本は西洋とは違い、
体を使う一種の遊びとして発展しました。
お座敷遊びの一つとして
影絵遊びは人気があったのです。




 体や小道具を使って
 障子にうつる影を
 動物や生活に
 馴染み深い物の姿に
 変身させます。

 アイディア満載の
 変身に驚いたり、
 楽しんだりしました。




             宴会




また明かりさえあれば楽しめることから、
自宅でもできる遊びが数多くありました。




 例えば行灯の前で切り絵を指で
 摘み、壁に映してするお芝居ごっこ。
 熱を利用して笠がくるくる回り、
 色とりどりの切り絵の動く
 走馬灯を楽しみました。
 みんなが気軽に遊べるように、
 影絵の指南書や制作キットなどが
 売られていたそうです。

 やがて明治時代に移り、
 国をあげて西洋文化を
 取り入れるようになると、
 ちょうどヨーロッパで流行中だった
 シルエットの似顔絵も伝わってきました。



       冬景色




似顔絵としてのシルエットはあまり定着しなかったようですが、
絵筆で影を描いて表現する方法は、挿絵やイラストの中に残っていきました。

そんな背景があったことからか、絵葉書の時代のシルエットもどこか庶民的。
思わず切り取って遊びたくなるような、そんなイラストばかりです。



2回にわたって特集しました、シルエットロマン展
紹介させて頂いた絵葉書はほんの一部です。
まだまだたくさんの絵葉書が展示しております。
ぜひ一度お立ち寄り下さい!
ロマンチックなシルエットの世界が皆様をお待ちしております。









特別企画 ハロウィン・ポストカード特集


10月31日はハロウィン。
今回はシルエットロマン絵葉書展開催を祝し、
特別企画としてハロウィンの特集もいたします!


ハロウィンのお祭りはケルト人の古い言い伝えが、始まりとされてます。




 死霊が家を訪ね、
 魔女やお化けたちが
 自由に歩き回る日だそうです。
 日本のお盆のようなイメージですが、
 こちらは霊を家に
 あげないように注意します。
 お化けに仮装した
 子どもたちが家々を回り、
 お菓子をねだるのも、
 死霊たちに死者の国へ
 帰ってもらうために、
 宴会の料理を残した
 習慣からきたそうです。


    ハロウィンの夜
   (Black Cats Fly w
  JOL GHOSTS Fantasy)



ちょっと暗いイメージのお祭りですが、
時代が経つにつれ主にイギリスやアメリカを中心に、
子どもたちが仮装してお菓子をねだる楽しいイベントに変わりました。




 そしてイベントが一般的に
 広がった20世紀初頭、
 お菓子や変身グッズを売るお店の
 宣伝のために、
 絵葉書を作られました。
 ハロウィンのモチーフといえば、
 そのころからカボチャのランタンと
 魔女と黒猫でした。
 魔女は悪いお化けの代表として、
 黒猫はその召使として登場します。
 カボチャのランタンは、
 悪いお化けたちを
 寄せ付けない魔よけだったです。


   魔女からの紹介状
  (Witch& Black Cats)




子どもたちがお菓子やグッズと一緒に
色とりどりの絵葉書を買っていく姿を想像すると、
なんだか微笑ましい感じがしますね。





次回は深まる秋にぴったりの絵葉書を紹介いたします。
お楽しみに!





次回は11月7日の予定です


シルエットロマン絵葉書展2 ~ヨーロッパのシルエット・アート~

2008-10-10 13:44:33 | 企画展

このごろ気温の寒暖の差が激しくて、
着る物に悩んでしまう日が多いです。
でも青々とした木々が少しずつ姿を
変えていくのを眺めるのが楽しみな季節でもあります。

寒いのは苦手ですが、いつの間にか色づいた葉を発見すると
ちょっと嬉しくなってしまいますね。

さて今週はヨーロッパのシルエットについて特集します。
ヨーロッパ産のシルエットはどこかロマンチックで
アンティークな雰囲気があります。
その魅力はどこからきたのでしょうか?




最初の“シルエット”は18世紀に安上がりの肖像画として登場しました。





 黒一色で
 塗りつぶされた絵は、
 表情のかわりに
 おおまかな特徴と
 仕草を加えることで、
 その人物を
 表現しようとしました。
 またさらに影の部分を
 より美しく鮮やかに
 みせるために、
 色彩をほどこす
 工夫もしました。


     婦人の肖像




影を紙に簡単に写し取る装置の開発や、
素早く写す技術が上達したことにより、
スピーディに正確にシルエットが描けるようになりました。


ものの数分で完成し、しかも安いことから、
観光地のお土産や庶民が頼める肖像画として、
スナップ写真のような気軽さで流行しました。





 やがて人々は
 輪郭だけで
 描かれた絵が、
 逆に想像を膨らませる
 魅力に気付きます。
 しかも何気ない
 日常の姿も
 シルエットにするだけで、
 おとぎばなしのような
 雰囲気になることを
 発見したのです。



     恋人の訪問










 そこで影絵は
 個人の肖像画ではなく、
 童話の主人公と
 想像の世界が
 描かれるようになりました。

 そのため妖精や
 お姫様など、
 ファンタジックなモチーフが
 繊細な影の中で動き、
 物語を語るシルエットが
 登場したのです。


    ガチョウ番の娘
  (horse with girl&goose)






童話や小説の挿絵として活躍したシルエットは、
20世紀初頭に流行した絵葉書の中でも
存分にその魅力を発揮しました。


そして今でもアンティークな香りのする、
影絵のロマンチックな魅力は後世にも残り、
現代でもグラフィックアートの一つとして生き続けております。




さて次回もシルエットの特集をいたします。
同時に素敵な季節もの絵葉書も紹介します。
お楽しみに!






次回は10月24日の予定です