湯めぐりシリーズNo.30
平成16年8月13日(金)~14日(土)
桜野温泉 熊嶺荘 山越郡八雲町わらび野348 01376-6-2564
泉 質 食塩泉
泉 温 56℃
食 事 夕食 部屋食 朝食 食堂
宿泊料金 ¥7,500 携帯圏外
お盆休みの初日、真狩、苫小牧のお墓に参詣し、心身のリフレッシュにむかう。
噴火湾沿いに国道5号線を南下し、八雲町のはずれから野田生川上流に14キロほど進むと、四方を
山に囲まれた緑豊かな温泉一軒宿がある。
温泉博士松田忠徳教授もその著書に記しているように、「地味な存在だが、この温泉の良さが解るほどの
通なら、自分だけの温泉としてなるべく内緒にしておきたい、玄人好みの温泉」であると…
投宿の日は生憎の小雨模様であったが、翌朝、木立の木漏れ日に起こされる。
濡れた木の葉は日差しを浴びて輝き、山紫水明な野田生川の瀬音に誘われ、朝食前に辺りを散策する。
ごりょう橋の下流では親子連れらしい男女ふたりが渓流釣りを楽しんでいる。
夏の終わりを告げるかのようにトンボが飛び交い、セミの鳴き声も心なしか元気がない。
長い炎暑の夏の日も、もう終わろうとしているかのようだ。
朝食時、食堂の窓辺にたくさんの黒アゲハ、黄アゲハ蝶が舞っているのが見える。
宿の前に咲く白ユリの花に群がっているのだ。
温泉の内湯は湯花で薄茶色に染まり、洗い場などは長年の掛け流した湯跡で、亀の甲羅のような
模様になっている。屋天風呂は、経営者の酒井さんご夫妻の手造りだという。
野田生川に面したこの露天風呂は、浴槽のまわりを囲った大きな丸い石の面にも湯花がこびりつき、
湯面にせり出し、サルの腰掛のように年輪を感ずる。
宿泊する際、宿帳もなければ部屋のドアーのキーロックもない。
たった一夜であっても、宿と客とが信頼関係で結ばれているような気がする。
夕食は、当別出身だという女将が部屋まで運んでくれる。ざっくばらんな人柄で、親しめる。
裏方に徹しているご主人の手料理は家庭料理風で、ジャガイモの茶巾絞りはうまい。
女将自身が好きだという、フキノトウが刻んで入っていて、山菜の風味がたまらない。
うどの酢漬けや、揚げたてのカニの甲羅のグラタン(たけのこ、きのこ入り)、アツアツのやまべの
天ぷらも舌鼓ものだ。お造りも鮮度抜群。春はギョウジャニンニクの卵とじ、秋には、きのこの手料理も
食膳に上がるという。また鉄砲撃ちのご主人が仕留めた熊や鹿肉も、獲物があれば希望で食せる
という。
この湯宿は秘湯、名湯の一つに、それも上位に列すること疑いない。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます