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米シェールガス輸出認可…電気など値下げに期待:日本が脱原発を宣言したら天然ガスの輸入価格が高騰する?

2014-02-13 16:24:45 | 資源
日本が脱原発を宣言したら天然ガスの輸入価格が高騰する?
http://news.nifty.com/cs/economy/economyalldetail/playboy-20140212-25034/1.htm へのリンク
2014年2月12日(水)14時0分配信 週プレNEWS

舛添要一氏がダブルスコアで圧勝した今回の都知事選。実は、日本を取り巻く諸外国も非常に高い関心を持って、その動向に注目していたという。

その理由は、「脱原発」がひとつの争点となっていたからだ。外務省の現役キャリア官僚であるS氏が明かす。
「昨年、日本とアメリカとの間でシェールガスの輸入が合意されましたよね。でも価格交渉はこれからなのです」

どういうことか? S氏が続ける。

「思い出してください。東日本大震災で原発が止まった後、火力発電で補う必要に迫られ、天然ガスの輸入量を急いで増やすことになったことでカタールに足元を見られ、国際基準から考えると法外な価格で輸入せざるを得ない状況に追い込まれているんです。

日本の天然ガス購入価格は、自国でシェールガスを産出できるようになり交渉力が強くなったアメリカの5倍以上。日本と同様に資源のない韓国と比べても倍以上。もし今、日本が脱原発へと舵を切れば、またもや各国から足元を見られ、アメリカのみならずカナダ、ロシアなどからもかなり割高な価格でガスを売りつけられることになるでしょう」(前出・S氏)

太陽光や風力、水力、地熱といった再生可能エネルギーでは、現在のところ日本国内の電力需要には応えられない。すなわち、日本の脱原発は諸外国にとって、大きなビジネスチャンスでもあるのだ。

この見方に対し、原発政策に精通する現役キャリア官僚にして18万部突破のベストセラー『原発ホワイトアウト』(講談社)の著者でもある若杉冽氏は、こう反論する。

「福島の事故が起こる前に日本が買っていた天然ガスの長期固定価格も、スポット価格(変動制の瞬間価格)の2倍から3倍でした。その理由は、電力会社やそれにブラ下がる利権集団のための莫大な裏金を海外でためるというミッションのため、故意に高く買っているからなのです。この仕組みを解体すれば、今の価格の半分から3分の1に下げていくことは可能だと思います。

原発が止まっている今は、以前より天然ガスや石炭の輸入量が増えることで国富が毎年4兆円ほど流出しているという人もいます。しかし経済はマクロ(全体)で見る必要があります。アベノミクスが好調で経済は良くなっているわけで、全体の収支で見れば問題ありません」

都知事選で脱原発を訴えた候補者たちは落選し、自民党の支援を受けた舛添氏が当選。東京電力など7つの電力会社は昨年末までに、9原発16基について原子力規制委員会に再稼働を申請した。今年の春、遅くとも夏には再稼働の許可が出ると見られている。

(取材/菅沼 慶)

米シェールガス輸出認可…電気など値下げに期待
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/business/20140213-567-OYT1T00235.html へのリンク
2014年2月13日(木)11:26
読売新聞

 三井物産や三菱商事などが参画し、米国の安価なシェールガスを日本に輸出する計画が認可された。

 米エネルギー省が11日発表した。日本が1年間に輸入する液化天然ガス(LNG)の約2割をシェールガスに切り替えるメドがたち、電気・ガス料金の引き下げにつながることが期待される。

 今回認可されたのは、米ルイジアナ州の「キャメロンLNGプロジェクト」(輸出量は年1200万トン)。三井物産と三菱商事は日本向けを中心に、2017年頃から年800万トンを輸出する見通しだ。

 日本企業が関わる米シェールガスの輸出計画は全部で3件あり、これらがすべて認可された。日本企業が確保した輸出量の合計は1690万トンと、日本の年間輸入量の約2割にあたる。


メタンハイドレート、海底の宝探し…和歌山など

2014-01-28 16:08:27 | 資源

メタンハイドレート、海底の宝探し…和歌山など
http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20140128-OYO1T00241.htm?from=newslist
2014年1月28日
読売新聞

 次世代のエネルギー資源とされる天然ガスの一種「メタンハイドレート」を見つけようと、自治体による独自の調査が熱を帯びている。和歌山県や兵庫県が海中探査に挑んでいるほか、研究会を設ける自治体もある。一部の海域で国の調査が進む中、対象に入っていない海域でも豊富な埋蔵量があると期待する自治体は、「地域活性化の起爆剤に」と意気込む。

 和歌山県南部、串本町沖約15キロの太平洋。2013年11月末、県の調査船が魚群探知機による2回目の海中探査を行い、水深1600~1800メートルで柱状に湧き上がる気泡を見つけた。「メタンハイドレートに違いない」。県は13年度に約800万円の予算を組んでおり、28日から3日間かけて範囲を広げて調べる。

 鉱業法では、メタンハイドレートなどの天然資源が確認された場合、国が開発者を公募すると定めている。地元では将来、エネルギー関連の企業などが開発者となって採掘が始まれば、港を利用する船が増えるほか、エネルギー供給基地として関連する産業が発展し、働く場が増え、地域の振興につながると期待される。仁坂吉伸知事は「和歌山県沖で生産されるようになれば、商業活動につながる。採算が合う技術が開発されるまでに、メタンハイドレートのありそうな場所を見つけておきたい」と力を込める。

 12年度から調査を続ける兵庫県は13年9月下旬、5回目の探査を実施。香美町沖100~150キロの日本海で、水深1500メートルの海底に金属筒を打ち込むなどし、採取した泥のサンプル内にメタンハイドレートが気化した跡とみられる直径10センチ程度の穴を確認した。13年度の調査費は2000万円。県は「埋蔵の可能性は高い」とみて再調査を検討中だ。井戸敏三知事は「日本のエネルギーの安定供給に寄与するだけでなく、この地域の活性化にとって大きな力となる」と語る。

 土佐湾沖で埋蔵の可能性が指摘される高知県も、試験採掘などをにらんだ港の活用策の検討を進める。京都や兵庫など日本海側10府県は12年9月に共同研究会を設置、国に調査や開発の促進を求めている。

 国は13年3月、愛知県沖で、海底からの採取に成功。その後、日本海側の2海域で調査を進め、11月末には上越沖の海底で確認したと発表した。国はほかに6海域での調査を予定しており、これらの対象外となった自治体が、「埋蔵がわかれば、国の調査を呼び込める」と独自の調査を進める。

 資源エネルギー庁は「当面は予定海域の調査を優先するが、自治体の調査などで有望な海域だという根拠が見つかれば、範囲の拡大も検討する」としている。

メタンハイドレートとは?…期待の国産資源だが採掘に課題

 Q メタンハイドレートって何?

 A メタンガスと水が低温・高圧で結晶化したもので、天然ガスの一種。深海底や永久凍土層に広がっている。氷状をしていて、火を付けると燃えることから、「燃える氷」とも呼ばれている。

 Q どうしてこんなに期待されているの。

 A 国内のエネルギー供給量に占める天然ガスの割合は2012年度で24・5%と、石油(44・4%)に次いで多い。10年度には19・2%だったが、東京電力福島第一原発事故後、増え続けている。それなのに、現状では大半を輸入に頼っている。日本近海には国内の天然ガス消費量100年分に上るメタンハイドレートが埋蔵されていると推計されていて、大きな国産資源になる可能性があるからだ。

 Q 日本近海ではどんな場所にあるの。

 A 水深1000メートル程度の海底下の砂層内にある「砂層型」と、水深500~1000メートルの海底の表面付近にある「表層型」の2種類に分かれる。

 Q 商業化までの課題は。

 A 国が試掘に成功した愛知県沖などの砂層型は海底からの採掘費用が高額で、安定生産に向け、コストを下げる技術開発が不可欠だ。日本海側などの表層型は採掘時に気化してしまう。国は18年度までに商業化に向けた技術確立を目指している。


「シェール特需」に黄信号 鉄道輸送の注意呼びかけ/パイプライン追いつかず

2014-01-04 15:36:07 | 資源
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/world/snk20140104048.html
2014年1月4日(土)07:56
産経新聞

 【ワシントン=柿内公輔】米運輸省は2日、有数のシェールオイル産地で知られる北西部バッケン地区で産出される原油の鉄道輸送をめぐり、業者や住民に注意を呼びかける安全警報を発令した。昨年末にノースダコタ州で貨物列車が脱線・爆発するなど事故が相次いでいるためで、北米がわく「シェール革命」に影が差し込んだ格好だ。

 運輸省のパイプライン・有害物質安全庁は、バッケン地区で産出される原油は「従来の重質原油と比べ燃えやすい可能性」があり、鉄道輸送にあたっては、重質原油と分けた取り扱いをするよう業者らに注意喚起した。

 バッケン地区の頁岩(けつがん)層は、ノースダコタ州を中心にモンタナ州やカナダの一部にまたがる。全米屈指のシェールオイル産地だ。

 そのバッケン産原油の輸送をめぐっては、昨年12月30日にノースダコタ州で貨物列車同士が接触して脱線。積み荷の原油が燃えて爆発し、現場から8キロ離れた地域まで避難勧告が出された。同年7月にはカナダでも原油貨物列車が爆発、47人が死亡した。

 シェールオイル開発で原油生産が急拡大する米国は数年後に世界最大の産油国に躍り出る見通しだが、原油を沿岸部の石油精製工場に運ぶパイプラインの敷設が追いつかず、鉄道輸送に頼る状況が続いている。

 ただ、米国の鉄道設備は老朽化も指摘され、相次ぐ脱線・接触事故の背景には運行管理の問題も指摘される。国際エネルギー機関(IEA)も「原油の鉄道輸送の増加に伴い、安全性に関する問題も出てきている」と懸念を示している。


「和歌山県沖とても有望」 メタンプルーム新たに確認

2013-11-30 08:43:08 | 資源
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/nation/snk20131128046.html
2013年11月28日(木)08:06
産経新聞

 次世代エネルギーとして注目されるメタンハイドレートについての県の調査が27日、潮岬沖で前日に引き続いて行われ、存在の目印となるメタンガスの気泡の密集帯「メタンプルーム」が新たに確認され、有望な海域であることを示す成果となった。

 独立総合研究所の青山千春博士らは、県の漁業調査船「きのくに」で潮岬沖約15キロの海域で魚群探知機を使って調査。メタンプルームが4カ所で確認され、26日と合わせて9カ所になった。

 今回の調査はこの日でいったん終了。青山博士は「狭い海域でこれだけのプルームが確認でき、気泡の立ちのぼる量も多い。調査までは、この海域でメタンハイドレートが存在するかも分からなかっただけに、確認された意義は大きい」と評価し、「和歌山県沖はとても有望と思う」と話した。ただし、「海底の下にどれぐらい存在するかは分からない。実際に海底の調査が必要だ」と指摘した。

 調査成果について仁坂吉伸知事は、27日の定例会見で「見事にメタンプルームの存在を発見した。大変喜んでいる」と述べた。

メタンハイドレート、独自調査を開始 和歌山・潮岬沖
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/nation/snk20131127047.html
2013年11月27日(水)08:06
(産経新聞)

 気泡確認「可能性高い」

 次世代エネルギーとして注目されるメタンハイドレートの存在を確認するため県は26日、潮岬沖で独自の調査を開始した。メタンハイドレートの目印となる気泡を確認し、存在する可能性が高いことが分かった。

 メタンハイドレートは、天然ガスの主成分のメタンガスと水が低温高圧状態で結晶化した氷のような物質で、「燃える氷」と呼ばれ石油などの代替エネルギーとして期待されている。

 この日は、県から委託を受けた独立総合研究所の青山千春博士と県職員ら計11人が県の漁業調査船「きのくに」に乗り込み、潮岬沖15キロ、水深約1700メートルの海域で魚群探知機を使って調査。メタンハイドレートが存在する目印となる柱状に立ちのぼる気泡が5カ所で確認されたという。青山博士は「これがメタンなのかどうかデータを確認する必要があるが、可能性は高い」と話した。

 今回の調査は当初、25日から27日にかけてすさみ町沖で実施するとしていたが、悪天候のため予定を2日間にし、調査場所もより近い潮岬沖に変更。すさみ町沖とは地層の年代が近いため、メタンハイドレートの存在が期待されるという。調査は27日も同沖で実施される予定。

 県では今年1月にすさみ町沖で初めて調査を実施したが、機器の老朽化で精度の高いデータが取得できなかった。


  












イラク「日の丸油田」稼働 石油資源開発、調達先の多角化前進

2013-09-03 15:30:12 | 資源
http://news.goo.ne.jp/article/businessi/business/fbi20130902004.html
2013年9月3日(火)08:21
(フジサンケイビジネスアイ)

 資源開発大手の石油資源開発は2日、同社が開発権益を持つイラク南部のガラフ油田で原油生産を8月31日に開始したと発表した。イラク戦争後のイラクで日本の自主開発油田から原油が生産されるのは初めて。東日本大震災後、原発の稼働停止によりエネルギー資源の安定確保が課題となっているが、今回の「日の丸油田」の生産開始により調達先の多角化が前進する。

 ガラフ油田は、イラク戦争後に日本の陸上自衛隊が派遣された南部サマワの近くに位置する。日量3万5000バレルから生産開始し、その後段階的に生産量を引き上げる。2017年には日本の需要1日分の約5%に相当する日量23万バレルにまで増産する。

 石油資源開発は、09年にマレーシア国営石油会社ペトロナスと連合を組み、イラク政府の国際入札で日本企業として初めて落札した。

 石油資源開発によると、開発資金は同社や三菱商事などの日本勢が40%、ペトロナスが60%を負担。契約期間は20年間で、同期間中に累計約13億バレルの生産を予定する。

 産出した原油を売ったお金などにより投資した資金を回収し、原油の一部を対日輸出する方針。対日輸出の量などは現時点では未定だが、石油資源開発の中山一夫常務は2日の会見で「できるだけ多く日本に持ってくることができるように交渉中だ」と述べた。

 政府は、原発の稼働停止により代替電源である火力発電所の稼働が増していることを受け、その燃料である石油やLNG(液化天然ガス)の安定確保に力を入れている。

 経済産業省資源エネルギー庁は「エネルギー資源の安定確保が喫緊の課題だが、ガラフ油田の生産開始などにより供給源の多角化を進めていく」と強調している。


藻から燃料 高品質…目指せ「産油国」

2013-07-29 16:27:40 | 資源
http://sankei.jp.msn.com/science/news/130728/scn13072818000002-n1.htm
2013.7.28 18:00
(産経新聞)

 原油価格の高騰や地球温暖化が進む中、石油に代わる再生可能エネルギーとして小さな藻類が脚光を浴びている。藻が作る高品質の油を航空機のジェット燃料などに活用しようと研究開発が進行中だ。大量培養で安価に生産できれば、資源に乏しい日本が「産油国」になれるかもしれない。

 微小藻類には、石油とほぼ同じ成分の油を作り貯蔵するものがある。バイオ燃料の原料となるトウモロコシなどと違い、藻類は食糧需要と競合しない上、面積当たりの生産量が陸上植物に比べ桁違いに多い。国土の狭い日本にとって利点が多く、実用化を視野に入れた動きが加速している。

 筑波大の渡辺信教授らは4月、仙台市の下水処理施設に実験拠点を開設し、生活排水に含まれる栄養分で藻を育て油を抽出・精製する研究を始めた。施設は東日本大震災で被災しており、地域の復興につなげる狙いもある。

 研究には光合成を行う緑藻のボトリオコッカスと、渡辺教授らが沖縄県で発見したコンブの仲間のオーランチオキトリウムという2種類の藻を使う。

 ボトリオコッカスは下水に含まれる窒素などの無機物を肥料にして育てる。細胞外に油を分泌する珍しいタイプの藻で、抽出が容易なのが利点だ。一方、オーランチオキトリウムは油の生産効率が世界トップクラス。光合成をせず、汚泥などに含まれる有機物を与えて培養する。

 平成28年度まで実験し、大量生産や効率化の手法を探る。藻から作る燃料の生産コストは現在、1リットル当たり500~1500円程度とガソリンよりもはるかに高いが、渡辺教授は「まず1リットル当たり200~400円程度まで下げたい」と話す。

 光合成を行うミドリムシから油を作る研究も進む。東大発ベンチャーのユーグレナ(東京)は油の生産性が高いミドリムシを発見、JX日鉱日石エネルギーなどと共同でジェット燃料の開発に取り組んでいる。

 藻類から油を作る研究は米国が先行しているが、日本は培養や抽出・精製で高い技術力を持つのが強みだ。経済産業省は42年までの実用化を目指して研究開発を後押しする。

 大量培養の技術革新や生産性の高い新種の発見などで、最大の課題である生産コストを引き下げられれば、産油国への仲間入りも夢ではない。(黒田悠希)

メタンハイドレートは、シェールガス上回る切り札 政府は1兆円を投じて100年分のエネルギー採掘へ?

2013-07-28 18:06:15 | 資源

http://news.goo.ne.jp/article/toyokeizai/business/toyokeizai-16008.html
オンライン2013年7月23日(火)09:20
(東洋経済オンライン)

『図解 1時間でスピード解説!シェールガス革命』(小社刊)を書いた泉谷渉氏が、日本のエネルギー事情を論じる短期連載の第2回は、メタンハイドレートについて。いまや、シェールオイルやシェールガスを上回るインパクトをもたらす可能性が出てきたという。

日本のメタンハイドレートの採取成功は、今や世界的な話題になっている。今年3月のこと、日本政府は地球深部探査船「ちきゅう」による調査で渥美半島の80キロメートル沖、水深1000メートルの場所に眠るメタンハイドレート層から天然ガスを取り出すことに成功した。

シェールガスやシェールオイルの産出が期待できない日本にとって最後の切り札、いや21世紀の日本に吹いた神風といってよいだろう。

シェールより、はるかに環境に優しいメタンハイドレート

メタンハイドレートは、低温高圧の環境で天然ガスの主成分であるメタンと水が結合した氷状の物質だ。シャーベット状の燃える氷をイメージしてもらえればよい。メタンハイドレートのすばらしい点は、シェールガスよりもはるかに「エコ」であることだ。このメタンガスを燃やした時に出るCO2は、何と石炭・石油の約半分である。逆にエネルギー量は高く、シェールガスの2倍以上におよぶ。

これが日本近海に大量に眠っているのだから驚きである。推定では、日本が使う天然ガスの100年分があるというのだから、エネルギー不足に泣かされてきた日本にとっては大変なことであり、社会・経済に与えるインパクトはすさまじい。しかし、これまでは存在はわかっているが、技術的に採取できるまでにはあと30年とも50年ともいわれていた。つまりはメタンハイドレートは日本の宝物であるが、実用化については夢のまた夢であったのだ。

メタンハイドレートは、シェールガス上回る切り札

しかして、世界に冠たる日本の高度技術力はこれをやり遂げてしまった。また、最近になって海底7000mでも水圧に屈することなく動き回れる海洋艇の開発にも成功しており、メタンハイドレートの深海に眠る分の採掘には有効な手立てが整った。

政府見通しの「2023年商業生産」から前倒しも?

こうした状況下で先ごろ、天然ガスプラント大手の千代田化工建設は100億円を投じ、天然ガス/海底原油採掘大手の英エクソダスを買収し、メタンハイドレート開発にはずみをつけた。こうなれば、ライバルの日揮や東洋エンジニアリングなどのプラントメーカーも黙ってはいないだろう。何しろ、天然ガスプラントは日本メーカーの独壇場であり、圧倒的強さを誇る。高度な技術力を持つ各社が、メタンハイドレート開発に全力を上げていけばかなり早い時期の実用化が期待できるのだ。

政府の見通しでは、10年後の2023年をめどにメタンハイドレートの商業生産開始としているが、これを前倒しするような話が先ごろ筆者の耳に飛び込んできた。アベノミクスで世界の注目を浴びるその人、つまりは安倍首相が先ごろ日本政策投資銀行の幹部を呼び、「メタンハイドレートに日本政府は命をかける。1兆円の資金を投入したいから、あらゆる準備をしたい」とひそかに指示したというのだ。米国発のシェールガス革命をうらやましげに指をくわえて見ていた日本は、「メタンハイドレート革命」という世界初の快挙を成し遂げるべく、全速全開で開発の方向に狙いを定めた。

渥美半島沖の海底探査に続いて、日本海の佐渡エリアにおいてもJX日鉱日石開発のテスト採掘が始まる。さらに、小笠原諸島の南鳥島にはメタンハイドレートだけでなく、コバルトマンガンなどのレアメタルやレアアースも確認されており、レアアースは日本海側にもあるといわれている。

推定埋蔵量は中国の約30倍ともいわれるこれらのレアアースを採掘できれば、中国に依存していた希少金属の世界でも日本は一歩抜け出せることになるのだ。考えてみれば、今から約20年前、日米の両国で、GDPは世界の約40%もあったのだ。もう一度東京オリンピックを!もう一度日本の大復活を!


泉谷渉(いずみや・わたる)
株式会社産業タイムズ社代表取締役社長。神奈川県横浜市出身。中央大学法学部政治学科卒業。1977年産業タイムズ社に入社、91年に半導体産業新聞を発刊、編集長に就任。現役最古参の半導体記者としてキャリア35年を誇る。日本半導体ベンチャー協会理事としても活躍。
近著に『シェールガス革命で世界が激変する』(共著、東洋経済新報社)、主な単著に『ニッポンの素材力』、『ニッポンの環境エネルギー力』、『1秒でわかる!半導体業界ハンドブック』(以上、同)、『日の丸半導体は死なず』(光文社)、『100年企業~だけど最先端、しかも世界一』(亜紀書房)などがある。

続きは 東洋経済オンライン で


地味だがすごい地熱発電 稼働率7割、規制緩和で開発加速

2013-05-13 15:54:49 | 資源

http://news.goo.ne.jp/article/sankei/business/snk20130512541.html
2013年5月12日(日)18:00
(産経新聞)

 再生可能エネルギーといえば太陽光や風力が代表格だが、難点は電力の安定供給。ところが同じ自然の恵みでも、地熱発電は昼夜、年間を通じて安定しており、火山国のわが国は世界3位の地熱資源大国でもある。開発規制やコスト面から長く進展がなかったが、開発制限の緩和など、ここにきて地熱開発が「熱く」なってきた。(徳光一輝、塚本隆仁)

 ◆温泉地で実証実験

 東シナ海を望む長崎県雲仙市の小浜温泉で先月、「温泉発電所」の実証試験が始まった。温泉発電は小規模な地熱発電。15度の低い温度で沸騰する代替フロンの液体を温泉の熱で蒸発させ、蒸気の圧力でタービンを回し発電する仕組みだ。

 小浜温泉の湯は100度と高温で量も豊富だが、7割以上は使われず廃棄。このお湯を活用しようと、旅館組合や長崎大学などが社団法人を設立した。発電システムは神戸製鋼所製で、出力は150キロワットと一般家庭75世帯分の電力をまかなえる。1年間の試験中は300メートルほど離れた市の健康増進施設へ送電している。

 試験を担う福岡市の発電コンサルタント会社「エディット」の藤野敏雄社長(64)は「事業化へ向け、効率のよい発電法を見極めたい」と意気込む。

 ◆再生エネの優等生

 地底のマグマに由来する地熱は、火力発電に使われる石油や天然ガスと異なり純国産で無尽蔵。天候に左右されないため、発電所の稼働率は太陽光12%、風力20%に対し70%に上る。その結果、国内の全地熱発電所の出力は太陽光発電所の5分の1にすぎないのに、年間に発電する電力の総量は地熱が上回っている。

 だが発電所の新設は平成11年からストップ。過去46年間で建設されたのは18カ所で、稼働中の17カ所の出力を全て合わせても52万キロワットと原発1基分に満たない。国内の地熱資源は2347万キロワットとされ米国、インドネシアに次ぐが、その2%しか使われていない。

 地熱情報研究所代表で、九州大学の江原幸雄名誉教授(65)=地球熱システム学=は背景に(1)発電コスト問題(2)国立公園問題(3)温泉問題-があると解説。「ただ、状況は急速に変わってきた」と指摘する。

 ◆買い取り制も弾み

 地熱発電のコストは石炭火力や原発の2~3倍と試算されるが、昨年7月から再生可能エネルギーによる電力の全量を電力会社が固定価格で買い取る制度が始まり普及へ弾みがついた。

 また地熱資源の多い活火山は景勝地でもあるため、資源の8割は国立・国定公園内に集中。筑波大学の吉田正人教授(56)=保全生態学=が「景観や生態系、生物多様性への悪影響が懸念される」と話すように、昭和47年から開発が制限されてきたが、東京電力福島第1原発事故などを受けて昨年3月、環境省が規制緩和に踏み切った。

 さらに、地熱資源のある場所が既存の温泉地と重なるため、温泉事業者から「温泉が枯れる」と反対が根強い問題に対しては、地元との合意形成のため協議会をつくる際に環境省が資金援助する事業が始まる。

 江原教授によると、温泉の井戸が深さ200~300メートルなのに対し地熱発電は1・5~3キロ。46年間で発電所周辺の温泉へ悪影響が生じたことはないという。

 計画中の発電所では、秋田県湯沢市の山葵沢(わさびざわ)発電所(出力4万2千キロワット)が7年後の運転開始を目指し、環境影響評価に入った。

 江原教授は「地熱発電所は出力に限界があり過大な期待は禁物だが、エネルギー安全保障の観点からも、多様な電源を組み合わせてリスク分散を図るべきだ。地熱はそのための重要な電源になり得る」と話す。

 ■「先進国」アイスランド 主要エネルギーの65%

 世界最北の島国、北欧のアイスランドは国を挙げて地熱発電の普及に取り組む「地熱先進国」として知られる。政府統計によると、総人口32万人と秋田市ほどの人口の9割近くが地熱を暖房に使うなど、主要エネルギーの65%は地熱。電力供給に限れば26%で、残り74%は水力となっている。

 地熱発電所は7カ所あり、発電タービンは三菱重工や東芝製。発電所の建設のためには国有企業のアイスランドジオサーベイ社があり、資源調査や試掘などで電力会社の初期投資を支える体制が整っている。

 電力会社と温泉事業者の共存も模索され、発電所の建設時には国の協力を得て地下水を調査。同国最大の電力会社、レイキャビクエナジー社のカール・ゲイルソン販売部長は「稼働後も発電に使った水の量や水道水の使用量、地下水位の変動を常に監視している」と話す。


三菱商事のカナダシェールガス開発 LNG換算で年間約2800万t

2013-05-13 15:07:56 | 資源

http://news.nifty.com/cs/economy/economyalldetail/postseven-20130512-187289/1.htm
 2013年5月12日(日)16時0分配信 NEWSポストセブン

 今後は「非資源分野」へ注力すると三菱商事は表明しているが、現状ではエネルギー・金属といった資源分野が事業の柱であることは変わりない。ある社員は「資源と非資源は車の両輪にならなければならない」と語る。同社幹部は、「資源のない日本へエネルギーを安定供給することが社会的使命」とも言いきる。

 エネルギー分野で将来を期待されているのが、カナダで始まったシェールガス開発プロジェクトだ。

 シェールガスとは、シェール(頁岩)層から採取する天然ガスのことで、従来のガス田と違い採掘が難しい。近年、技術革新によって採掘コスト削減が可能になった。

 同社が同事業を検討し始めたのは2008年。その頃、「シェールガス」という言葉は一般的には知られておらず、石油メジャーのような支配力を持った事業者もいなかった。

「今ならばライバルと互角に戦える。掘削・精製といった“川上”の事業にも乗り出せるという判断があった」(シェールガス担当者)

 シェールガス開発プロジェクトは、カナダ西部のブリティッシュコロンビア州のコルドバとモントニーの2か所で展開されている。コルドバは2011年10月に生産が開始され、ピーク時で日量約8億立方フィート(1立方フィート=約28.3リットル)を計画。モントニーは、今後10年で日量約30億立方フィートの生産を目指すという。この量は両区合わせてLNG換算で年間約2800万トン。財務省の貿易統計によれば2011年度のLNG輸入量は8318万トンだから、この2か所の生産量だけで輸入量の3分の1に匹敵する。

 プロジェクトは決して順調に進んできたわけではない。同社は2008年にはアメリカでのLNG輸入事業からの撤退という苦杯をなめた。その悔しさもシェールガス開発でのバネになった。

 当時の担当者は、人を寄せ付けない真冬のコルドバで、国際協力銀行の融資に必要な環境調査に立ち会った。

 気温はマイナス30度。視界は白一色。防寒装備をしていても、氷点下の空気がひりつく。周囲は森林と灌木だけが広がる地域で、アセスメントを受けて合格しなければ事業が認められない無事、環境調査はクリアできたが、なぜ厳しい自然環境にも立ち向かわなければいけなかったのか。なぜ同じくシェールガスの埋蔵量が多いアメリカではなくカナダの地を選んだのか。

「カナダは人口が約3400万人と少なく、一方で豊富な資源を有する典型的なエネルギー輸出国です。シェールガスは国内消費分換算で100~200年分の埋蔵量があると見られ、将来的には日本を含む環太平洋地域への輸出が視野に入る」(前出の担当者)

※SAPIO2013年6月号


海には石油30万年分のマグネシウムが溶けている

2013-04-05 14:31:13 | 資源
http://news.nifty.com/cs/domestic/societydetail/playboy-20130312-17668/1.htm
2013年3月12日(火)15時0分配信 週プレNEWS

東京工業大学の矢部孝教授が発明した「フィルム型マグネシウム電池」は、スマホなら1ヵ月充電不要で使えるほどの高性能だという。安価でもあり、もし実用化されれば、全世界30億人のケータイ・スマホユーザーが一斉に買い求めるのは間違いない。しかし、疑問も残る。

スマホ1台を動かすのに、マグネシウム電池はマグネシウム30グラムを必要とする。全世界のケータイ・スマホユーザーのためには、計90万トンのマグネシウムが必要になる計算になる。これは現在の世界の年間生産量60万トンを軽く超えてしまうのだ。

ところが、矢部教授は「それをはるかに上回るマグネシウムはある」と断言する。

「海です。海には、石油30万年分に相当するマグネシウム、約1800兆トンが溶けています」

豆腐を買うと、原材料名に「にがり(塩化マグネシウム)」と書かれている。にがりは、海水から塩を取る過程で分離されるマグネシウムだ。2007年、矢部教授は、そのにがりを低コストで集めるため、海水の淡水化を手がけるベンチャー企業を起こした。

その淡水化のノウハウは企業秘密だが、ここで得た塩化マグネシウムにレーザー光線を当てるとマグネシウムが生まれる。つまり、マグネシウムは今後、自給できる純国産エネルギーにもなる。

また、その過程で使用するレーザー装置にも、矢部教授はコストのかからない太陽光を利用したものを開発中で、研究室の屋上にはその試作機がある。フレームなどは廃材を利用し、研究室の学生たちと組み立てた。製作費は114万円。備えつけたレンズを通して、太陽光線をクロムとネオジムという金属を含む物質に当てるとレーザー光線が出るという。

ただし、レンズの透明度を上げるのにあと数年かかるため、その間は市販のレーザー装置を使う。「そうしないと、爆発的に増えるマグネシウム需要に対応できませんので」と矢部教授は語る。

そんな教授は2005年から太陽光レーザーの実験を始めているが、いつも対峙(たいじ)してきたのが資金難。しばらくは市販のレーザー装置を使わざるを得ないのも、数年前に予定していた沖縄県宮古島での太陽光レーザー装置の大規模実証実験が、資金獲得に至らず中断したことも影響している。

2006年度に文部科学省から得た予算600万円を研究室の屋上でのレーザー実験に使ったことはあるが、それは例外的で、国への助成金申請などは認められたことがないという。

「覚えている限りで約10回は研究費の申請を出しましたが、国が私に下すのはいつも最低評価。理由は『技術的実現が望めない』というものです」

それでも矢部教授は腐らずに研究を続けてきた。そして今、ようやく国内の大企業、そして海外の企業から注目されるに至った。スマホのほか、電気自動車(EV)への応用も期待されている。

「『技術的実現が望めない』なんて冗談じゃない。私の技術は絶対にうまくいきます。ハリウッド映画にしてもいいくらいです(笑)。今年、来年と見ていてください。自動車の次は電車も動かしますから」

出火・発煙事故で話題になった最新鋭旅客機(ボーイング787)やEVからスマホまで、現在の主流はリチウムイオン電池。だが、安全性でも性能面でも大きく上回るマグネシウム電池が新しいスタンダードとなる日も、決して遠くはないのかもしれない。


メタンハイドレートの試験採取成功…愛知沖

2013-03-12 16:49:55 | 資源

http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/business/20130312-567-OYT1T00555.html
2013年3月12日(火)13:24
読売新聞

 経済産業省は12日、愛知県沖約80キロ・メートルの海底地層から天然ガスの一種「メタンハイドレート」の試験採取に成功したと発表した。

 海底からのガス採取は世界で初めてという。日本近海には、国内の天然ガス消費量の約100年分に当たるメタンハイドレートがあるとの推計もある。政府は2018年度の商業化を目指しており、安定的な生産の道筋がつけば、豊富な国産エネルギーとして活用することが期待できる。

 地球深部探査船「ちきゅう」が同日午前6時前、水深約1000メートルの海底までおろした掘削機を使って、固形状のメタンハイドレートを水と天然ガスに分解し、ガスを取り出して海上まで引き揚げる作業を開始。約4時間後の同10時頃、船尾に設置したバーナーから、ガスの産出を示す炎(フレア)が上がった。


メタンハイドレートからの天然ガス生産試験を開始 海底からの世界初に挑戦

2013-03-12 11:44:02 | 資源

http://news.goo.ne.jp/article/sankei/life/snk20130312527.html
2013年3月12日(火)11:17
(産経新聞)

 茂木敏充経済産業相は12日の閣議後会見で、愛知県沖の深海で進めていた次世代エネルギー資源「メタンハイドレート」から天然ガスを取り出す生産試験を開始したと発表した。海底で成功すれば世界初となり、同日中にもガスの採取を確認できると見込んでいる。

 試験は、国の委託を受けた独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)などが、同日午前5時40分から地球深部探査船「ちきゅう」を使って実施。愛知県の渥美半島沖の水深、約1千メートルの海底から約330メートル掘り進んだメタンハイドレートの層で、水とメタンガスに分解して採取する作業を始めた。ガスの採取に成功すれば約2週間に渡り、日量で数千~数万立方メートルの生産が見込めるという。

 メタンハイドレートは、天然ガスの主成分であるメタンが氷状となったもの。これまでカナダの永久凍土からガス化して採取した例があるが、海底からの採取に成功すれば世界初となる。今回の試験海域には10年分以上のメタンハイドレートが埋まっているとの推定もあり、政府は平成30年度をめどに実用化に向けた技術の確立を目指す構え。茂木経産相は同日の会見で「わが国周辺の資源を活用できる時代が来るようになる」と商業生産への意欲を示した。


人工光合成の研究加速 実用化へ日本が先陣 資源・温暖化で脚光

2013-01-22 05:31:30 | 資源

http://news.goo.ne.jp/article/sankei/nation/snk20130121573.html
2013年1月21日(月)19:00
産経新聞

 植物の光合成のように、太陽光のエネルギーを使って水と二酸化炭素からアルコールなどの有機物を工業的に製造する「人工光合成」の研究が日本で急展開している。鍵となる物質の構造解明や実証実験の成功など世界初の成果が相次ぎ、エネルギー問題や地球温暖化を解決する夢の技術が実現に近づきつつある。(伊藤壽一郎)

 ■原料は無尽蔵

 植物は太陽光のエネルギーを利用して光合成を行い、水と二酸化炭素から、でんぷんやブドウ糖を作り出す。これと同じ原理でエネルギー源や化学原料となる有機物を作るのが人工光合成だ。

 地球温暖化は、温室効果をもたらす二酸化炭素が大気中に増えることが原因とされる。二酸化炭素を消費して資源価値のある物質を作れば、温暖化対策への貢献と同時に、枯渇が懸念される化石燃料の代替も可能になる。

 太陽光は地球に降り注ぐ1時間分だけで、人類が必要とする1年分に相当するエネルギー量がある。二酸化炭素や水も地球に無尽蔵にある。人工光合成は原料コストがほぼゼロで、地球規模の問題を一挙に解決できる革新技術として注目されているのだ。

 ■ノーベル賞が機運

 研究の機運を高めたのは2010年にノーベル化学賞を受賞した根岸英一・米パデュー大特別教授だ。受賞直後、「温暖化やエネルギー問題の解決に大きな可能性を秘めた分野だ」と文部科学省に研究支援を要請。受賞理由の金属触媒を使って実現を目指し、プロジェクトを立ち上げた。

 11年4月、大きな成果を挙げたのが大阪市立大の神谷信夫教授のチームだった。

 植物の光合成は(1)太陽光で水を酸素、電子、水素イオンに分解する「明反応」(2)得られた電子、水素イオンに由来するエネルギーで二酸化炭素からでんぷんなどを作る「暗反応」-の2段階で行われる。

 明反応の水分解は、マンガンクラスターという物質が触媒の役割を果たしていることが分かっていた。だがごく微細なため、その構造は長く不明だった。

 そこで神谷教授は大型放射光施設「スプリング8」(兵庫県)でX線を照射し、原子間の距離が分かるオングストローム(1億分の1センチ)単位の高精度で解析。マンガン4個、カルシウム1個、酸素9個の原子から成る立体構造を世界で初めて突き止めた。

 この成果は、米科学誌サイエンスが同年の10大ニュースに選ぶ画期的な業績となった。マンガンクラスターは人工的に合成できていないが、「似た構造の物質を作れば人工光合成の触媒になり得る」(神谷教授)からだ。世界で開発競争が始まった。

 ■「植物に勝つ」

 同年9月、トヨタ自動車グループの豊田中央研究所(愛知県)が世界で初めて太陽光と二酸化炭素、水を使った人工光合成の実証実験に成功し、比較的単純な有機化合物のギ酸を作り出した。

 触媒となる酸化チタンの電極で水を分解し、金属錯体と呼ばれる特殊な化合物の電極で有機合成を行うことで実現した。ただ、太陽光エネルギーの変換効率は0・04%で、植物の光合成(0・2%)のわずか5分の1だった。

 だが昨年7月、電機大手のパナソニックが早くも植物と同じ変換効率を達成した。青色LED(発光ダイオード)などに使われる窒化ガリウムの電極と、インジウム系金属の電極の組み合わせでギ酸の高効率生成に成功。四橋聡史・先端技術研究所主幹研究員は「今後は植物に勝ちたい」と話す。

 研究が急ピッチで進展していることを受け、経済産業省も昨年11月、10年間で約150億円を投じるプロジェクトを立ち上げた。16年度末に3%、21年度末に10%の変換効率を目標に掲げている。

 しかし、課題は効率向上だけではない。実用化には燃料電池のエネルギー源となるアルコールや水素、化学原料となるエチレンやオレフィンなど、需要が大きい物質を自在に作る技術が必要だ。

 資源が少ない日本にとって実現すれば意義は大きい。触媒は日本が得意とする分野でもある。四橋氏は「研究はものすごいスピードで進展している。それぞれの物質に最適な触媒を急いで探したい」と意欲を燃やしている。


南鳥島沖のレアアース、本格調査へ…海洋機構

2013-01-10 15:46:41 | 資源

http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/nation/20130109-567-OYT1T01523.html
2013年1月10日(木)08:00
(読売新聞)

南鳥島沖のレアアース、本格調査へ…海洋機構 海洋研究開発機構は今月21日、小笠原諸島・南鳥島(東京都)沖の太平洋海底で確認されたレアアース(希土類)泥の本格調査に乗り出す。

 レアアース泥の分布域を明らかにし、政府の資源開発戦略に役立てる。

 同島周辺では、加藤泰浩・東京大学教授(地質学)の研究チームが昨年6月、過去の国際学術調査で得られた水深5600メートルの泥から、ジスプロシウムなどのレアアースを高濃度に含む大規模な鉱床を確認した。日本の排他的経済水域(EEZ)内では初めてだが、泥に含まれる詳しいレアアースの量などは不明だった。

 海洋機構は21日から31日にかけ、深海調査研究船「かいれい」を使い、同島を中心とするEEZ範囲内の海域で、抽出調査する。人工の地震波を使って海底の泥の厚さを調べ、資源量の推定に必要なデータをとるほか、泥を深さ20メートルまで採ることができる機器で採取する。分析は2~3か月かかる見込みで、データを経済産業省などへ提供する。

丸紅がカナダからリチウム安定調達
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/business/industry/snk20130110528.html
2013年1月10日(木)14:14
(産経新聞)

 丸紅は10日、カナダの資源会社カナダリチウム社と、リチウムイオン電池の材料になる炭酸リチウムの対日独占販売契約を結んだと発表した。量産を開始する3月から輸入を開始し、2015年以降は丸紅が年間最大5000トンを引き取る。大半は日本向けで、韓国やタイにも販売する。

 レアメタル(希少金属)の一種のリチウムは、世界生産はこれまでチリのSQM社など南米と豪州の4社の寡占だった。蓄電池や電気自動車(EV)のバッテリー向けなど世界のリチウム需要が拡大する中で調達は中国などとの競争が激化しており、調達先多様化と安定供給につなげる。

 日本向けリチウムの輸入量は数年後には現在よりも約30%増の2万トンが見込まれ、今回の契約はその約4分の1に相当する。数年後には世界での炭酸リチウムの取扱いシェアを10%に引き上げる計画。

 


イラク台頭“潜在力”ある産油国でも…拭えぬ政情不安

2013-01-06 17:36:24 | 資源

http://news.goo.ne.jp/article/sankei/world/snk20130106524.html
2013年1月6日(日)13:33
(産経新聞)

イラク台頭“潜在力”ある産油国でも…拭えぬ政情不安【特集 シェール革命 石油地図一変】(下)

 先月上旬、イラク南部の油田地帯バスラで開かれた石油・ガス関連企業による国際見本市は、ビジネスマンたちの熱気に包まれた。昨年で3回目という同見本市はこれまでで最大規模となり、40カ国から約350社が参加。各社のブースには掘削用機械などの見本のほか、自社の実績や技術を売り込むパンフレットが積まれ、イラクの石油産業の勢いを示した。

 イラクは1980年に始まったイラン・イラク戦争以降、湾岸戦争やイラク戦争など大規模な戦乱が相次いで石油開発が停滞してきたが、2008年ごろからマリキ政権の下で南部の油田開発が本格化。海外からの投資を引き寄せ、35年までの世界の石油生産の伸びの約45%はイラクが占めるとされるほどだ。

 米欧のみならず、中国やロシア、東南アジアなど世界各地の石油会社との間で契約した開発が軌道に乗っていることのあらわれで、現時点で「最も潜在力が高い産油国の一つ」(外交筋)とされる。

 日本勢もイラクへの進出を加速させている。大手商社の三菱商事は昨年10月、1990年の湾岸危機で撤退して以来初めての駐在員事務所をバスラに開設、原油採掘の際に副次的に発生する天然ガスを利用可能な形に精製するプロジェクトを展開する。精製されたガスは当面、イラク国内の発電や家庭用に回されるが、将来的には国際市場向けにも輸出する計画だ。

    ◇ ◇

 ただ、イラクでのビジネスのリスクは小さくない。多数派のイスラム教シーア派と、スンニ派との宗派対立が最も高まった2006~07年に比べれば大きく減少したとはいえ、現在も国際テロ組織アルカーイダ系武装勢力などによるテロが頻発、フランス通信(AFP)によると、昨年11月だけで166人が死亡した。

 また、首都バグダッドの中央政府と、北部クルド人自治政府との間では、油田地帯の帰属などをめぐる緊張が横たわる。昨年11月中旬、燃料密輸業者を追っていたイラク軍部隊が、双方が支配権を主張する北部の町に入ったのをきっかけにクルド側と交戦し、少なくとも1人が死亡した。

 同様の事件は昨年8月にも発生。これまでは両者の間に立ってきた駐留米軍が11年末に撤退し、緊張が高まりやすい状況が生まれているとの指摘もある。

 クルド人自治政府は11年後半以降、米メジャー(国際石油資本)のエクソンモービルなどとの間で自治区内の鉱区開発で合意。イラク国内の地下資源はすべて中央政府が管理するべきだとするマリキ政権の反発を無視する形で、独自の石油開発を加速させる構えをもみせている。

 イラク戦争開戦から10年がたつとはいえ、同国では電力供給が需要の約半分にとどまるなど、再建はなお道半ばの状態だ。マリキ政権としても自治政府との本格的な衝突は避けたいのが本音とみられるが、資源管理は「主権」に関わる問題でもあるだけに、妥協は容易ではない。(カイロ 大内清)

石油地図一変 「シェール革命」進む米国、エネルギー新時代に